京都の「彼岸花」おすすめスポット18選!初秋の田畑を真っ赤に染め上げる
目次
秋のお彼岸のころ。一斉に開花して田畑を真っ赤に染め上げ、一週間程度で一斉に散ってしまう彼岸花(ヒガンバナ)。
美しい田園を真っ赤な彼岸花が彩る景色は、京都や亀岡に限らずまさに日本の原風景です。
彼岸花は、不吉な花といわれることもあります。お彼岸の9月下旬から10月初めにかけての京都では、彼岸花ほど美しい花はありません。
京都では、春のソメイヨシノ(染井吉野)に対して、秋の彼岸花といったところです。ソメイヨシノも彼岸花も、すべての個体が同じ遺伝子を持ったクローンである点が同じです。
関西でも彼岸花の名所の多い、京都や亀岡のおすすめスポットを定番から穴場まで18ヶ所+αをご紹介します。
京都市内や亀岡では、例年は概ね9月下旬から10月初め頃に満開を迎えます。
2024年は9月に入っても連日猛暑日となるなど厳しい残暑に見舞われ、彼岸花の開花は遅れています。見頃となるのは9月末~10月初ごろの見込みです。
彼岸花(ヒガンバナ)について
彼岸花(ヒガンバナ)とは
別名は「天上の花」の意の曼珠沙華
彼岸花は、ヒガンバナ科ヒガンバナ属の花です。
曼珠沙華(マンジュシャゲ)ともいいます。
彼岸花(ヒガンバナ)の中でも、特に日本に自生する赤い彼岸花を曼珠沙華と呼んで、他の彼岸花と区別することもあります。
曼珠沙華とは、サンスクリットのmañjūṣaka(マンジューシャカ)を音写したもので、「天上の花」という意味です。
秋の田畑を彩る真っ赤な花
秋の彼岸頃、田の畦や土手に、燃え立つような豪華さで行列をなして咲く花。
日本古来の植物のようですが自生ではなく、古く縄文時代に中国大陸から京都などへ渡来した史前帰化植物です。
有毒なため、田畑にもぐらよけとして植えられます。
万葉集に出てくる「壱師の花(いちしのはな)」とは、彼岸花のことであると言われます。
ただし、異説も多くはっきりしたことはわかりません。
中国から渡来し江戸時代に日本中に広がる
身近な植物でしたが、日本古来の和歌や絵花にあまり使われず、茶花・生花では禁止でした。
詩歌などで彼岸花がよく詠まれるようになるのは、江戸時代に入ってからのことです。
彼岸花は古代に伝来していましたが、今のように関西の田園の中で彼岸花が広く普及したのは、江戸時代ごろからのことです。今では農村に限らず都市部でも身近な花として人気です。
全て同じ遺伝子を持つ彼岸花
基本的には、人里にのみ彼岸花は分布しますが、川の流れやゴミに混入して運ばれることで、稀に人里離れたところでも彼岸花を見られることもあります。
日本に存在する彼岸花は、全て遺伝子的に同一です。
関西の彼岸花も関東の彼岸花も基本的には同じです。
中国から渡来した彼岸花の球根が分球を繰り返し、関西をはじめ日本中に広がりました。
彼岸花の開花期
「葉見ず花見ず」とも言われる彼岸花
彼岸花は、冬から春にかけて葉を出します。
花が咲く初秋のころには、葉はありません。「葉見ず花見ず」との別名もあります。
彼岸花が開花すると、花だけがぎっしりのため、一斉に咲く姿は、まるで赤いじゅうたんのような景色となります。
夏が暑いほど開花が遅れる
彼岸花は、葉が枯れた後の6月中旬ごろから雌蕊(めしべ)が形成されはじめ、8月下旬から花粉が作られ始めます。
高温だと雌蕊の形成が抑制されるため、開花が遅れます。
概ね夏が暑い年は、彼岸花の開花は遅れる傾向にあります。彼岸花の開花期である9月よりも、7月~8月の気候の影響が大きいことがわかっています。
実際、彼岸花は関東より関西の方がやや開花が遅れることで知られます。
赤だけではない、様々な彼岸花
白い白花彼岸花は交雑種
欧米では彼岸花の仲間は古くから観賞用として親しまれてきました。
近年では品種改良が進み、日本でも多彩な品種が庭先に多く植えらるようになってきました。
彼岸花といえば、真紅に染まった赤ですが、赤以外の彼岸花もあります。
例えば、白い花の白花彼岸花(シロバナヒガンバナ)。彼岸花と鍾馗水仙(ショウキズイセン)の雑種といわれます。
よく見る彼岸花は三倍体で実をつけないため1、彼岸花ではなく中国に自生する二倍体の小彼岸花(コヒガンバナ)との雑種ではないか、とされています。ただし、ごくまれに三倍体の彼岸花も種をつけることがあるそうです。
黄色い黄色彼岸花は「鍾馗水仙」
鍾馗水仙は、黄花彼岸花(キバナヒガンバナ)ともいわれますが、実は狭義の彼岸花ではなく、近縁の別種です(彼岸花の突然変異種のひとつという説もあります)。
その他にも、彼岸花には多数の園芸品種があります。
「鬼滅の刃」では、鬼舞辻無惨が青い彼岸花を探し求めることがストーリーの軸になっています。
もちろん、青い色をした彼岸花は実在しません。しかし、彼岸花の仲間のリコリスの中には、青みを帯びた園芸品種も存在します。
将来的には遺伝子組み換え技術などを応用すれば、実際に青い彼岸花が誕生するかもしれませんね。
白花彼岸花に青色の水を吸い上げさせて青っぽい彼岸花を作ることはわりと簡単にできるみたいです。
彼岸花の原種の小彼岸花
8月下旬頃から開花する早咲き彼岸花として、前述の小彼岸花があります。
園芸品種ではなく、日本の彼岸花の原種ともいうべき自生種です。
「小」とついていますが、彼岸花よりも小型というわけではなく、見た目は彼岸花とあまり差はありません。
彼岸花と小彼岸花大きな違いは、花が終わったあとに種ができる点です。
日本の彼岸花には種ができないため、あとに種が残る小彼岸花との違いは一目瞭然です。
なお黄色い花を咲かせる鍾馗水仙は二倍体なので種をつけますが、鍾馗水仙と小彼岸花の雑種である白花彼岸花は三倍体なので、種をつけません。
洛中の彼岸花おすすめスポット7選
① 千本ゑんま堂(せんぼんゑんまどう)<上京区>
おすすめ度 B
明るい太陽の光を浴びた田園風景に映える彼岸花も良いですが、彼岸花の魅力は田畑で咲く姿だけではありません。
一味違った彼岸花を楽しめるのが、京都の洛北近くにある穴場スポットの千本ゑんま堂です。
彼岸花は、古くから死を連想させる花でもありました。
千本ゑんま堂のある蓮台野(れんだいの)は、古くから京都の葬送地のひとつでした。
その蓮台野で、閻魔(えんま)さんを祀る千本ゑんま堂の彼岸花というのは、ある意味では最強のタッグです。
境内の奥にある地蔵池のほとりには、付近から出土したというお地蔵さんをはじめとした石仏がずらりと並んでいるちょっとした名所です。
初秋になると、ところ狭しと並ぶ石仏の隙間から、たくさんの彼岸花が顔を出します。
石仏の中で咲く彼岸花は、”怪しい”美しさです。
石仏は古いものばかりではなく、新しくかわいらしい顔をしたものも交じっています。赤い彼岸花を従えながら咲く光景はほほえましいです。
春には桜の普賢象(ふげんぞう)で知られる千本ゑんま堂ですが、彼岸花を見物に来る人は稀な穴場スポットです。
石仏群の反対側にある狂言の舞台では、よくちょっとしたイベントが行われています。
不思議な人形劇や、占いなど行われているのを見たことがあります。
ちょっと怪しげな雰囲気が逆に人気の原因のようです。
穴場である千本ゑんま堂の彼岸花の見頃はやや早めで9月下旬ごろです。
千本ゑんま堂について
一般には「ゑんま堂」と言われますが、正式には引接寺(いんじょうじ)と言います。
京都の葬送の地であった蓮台野へ通ずる入口であり、閻魔王を本尊とした寺院です。
閻魔王につかえたとされる小野篁(おののたかむら)が死者の魂を弔うために創建したと伝えられる寺院です。
古くから京都では、庶民の信仰を集めてきました。
京都三大念仏狂言の一つである「千本ゑんま堂大念佛狂言」を今も伝承しています。
例年は、2月の節分とゴールデンウィークに公演が行われます。
セリフがあるタイプの念仏狂言のため、ストーリーがわかりやすく、特におすすめの狂言です。
閻魔天の縁日である毎月16日には「ゑんま様の日」が催されます。
2024年9月16日(月)には、ご住職の法話と法要の特別法要会(10:30~、14:00~)が行われました。
拝観情報
拝観時間 | 9:00~16:30 |
拝観料 | 境内自由 |
住所 | 京都市上京区千本廬山寺上閻魔前町34 |
アクセス | 京都市バス「千本鞍馬口」バス停から2分バス停から徒歩3分 |
公式ホームページ:千本ゑんま堂 引接寺
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② 平野神社(ひらのじんじゃ)<北区>
おすすめ度 B
春は多くの人で賑わう、関西を代表する桜の名所である平野神社ですが、初秋の時期は訪れる人も稀な穴場の彼岸花スポットです。
そんな人が少ない平野神社で、密かに見頃を迎えているのが彼岸花です。
柵で囲まれた桜苑内のほかに東側の平野道沿いの「さくら通学路」など、境内各所で彼岸花が咲きます。
平野神社では、赤い彼岸花だけでなく、白い花を咲かせる白花彼岸花が多いのも特徴です。
半分近くは白花彼岸花が占める穴場スポットです。
開花がやや早い白花彼岸花が多いため、京都でも一足早く見頃を迎える彼岸花の名所です。
平野神社で初めて白い花の彼岸花を見てびっくりする人もいます。
彼岸花が咲くころには、境内では十月桜も咲きはじめます。
十月桜自体はそれほど珍しい桜ではありませんが、平野神社の十月桜は開花が早めです。
平野神社の彼岸花の見頃は9月中旬~下旬ごろと長めです。
平野神社について
朝廷から特別な奉幣を受ける、京都近郊の関西を中心とした二十二社のひとつとして古くから重んじられてきた神社です。
春には境内には「平野妹背(ひらのいもせ)」「手弱女(たおやめ)」「突羽根(つくばね)」など著名な桜の原木がある、桜の名所です。
その他約50種400本の桜が植えられており、3月からGWまで長期間にわたって順次開花が続きます。
初秋には、彼岸花以外にもかわいらしい紫色の実をつける紫式部(ムラサキシキブ)や小紫(コムラサキ)も見頃を迎えます。
例年白花彼岸花が咲き始めるころの9月第2日曜日には、手作り市の「平野櫻市」が開催されます。
2024年9月8日(日)の平野櫻市は運営の都合により開催されませんでした。
拝観情報
拝観時間 | 日中随時 |
拝観料 | 境内自由 |
住所 | 京都市北区平野宮本町1 |
アクセス | 京都市バス「衣笠校前」バス停から徒歩3分 |
公式ホームページ:平野神社 HIRANO-JINJA Official web site
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③ 高瀬川(たかせがわ)<下京区>
おすすめ度 C
京都を代表する歓楽街といえば、木屋町通りです。
鴨川の東側にある祇園が大人の夜の街なのに対し、木屋町通りは若者の夜の街です。
木屋町通り沿いの高瀬川は、点々と彼岸花が咲く、穴場スポットなんです。
彼岸花の美しい景色が広がるというわけではありませんが、高瀬川の各所で彼岸花が開花します。
川の堤防に植えられた彼岸花の名所というのも、全国的には少なくありませんが、京都ではあまり見ません。
京都では珍しく、川の流れのすぐそばで咲く彼岸花を見ることができます。
御池通から七条通あたりまで、断続的に彼岸花が咲いています。
特に四条通から五条通あたりの高瀬川沿いで、彼岸花がよく咲いています。
通りかかる人の姿は、昼夜を通じて多いですが、彼岸花を見に来る人はほとんどいない穴場です。
このような歓楽街に彼岸花スポットがあるというのは、考えてみたらすごいことですね。
高瀬川の彼岸花の見頃は9月中旬~10月初めごろです。
彼岸花によって個体差が大きく、やたらと開花期間が長いのが特徴です。
早い花は、京都でも最速に近い9月上旬から開花します。一方で遅い花は、10月に入っても見頃が続きます。
もともとそれほどたくさんの彼岸花が植えられているわけではない高瀬川なので、開花期がばらつくことで、よりいっそう花が少なく見えます。
高瀬川について
高瀬川は、角倉了以(すみのくらりょうい)によって1611年に開削された運河です。
古くから淀川の水運を利用して京都へと物資を運んできましたが、商業の発達につれて従来の方法では限界がありました。
そこで、大坂から大型船が運航可能な伏見港と京都市内を結ぶ運河として、高瀬川が作られました。
伏見港で小型の高瀬舟へと積み替えられた物資が、京都市内へと大量に運搬されるようになりました。
関西を支える物流の大動脈として、高瀬川は近年まで約300年間にわたって利用されました。
森鴎外の小説「高瀬舟」の舞台としても知られます。
流罪となって京都から高瀬舟で運ばれる男と護送役との物語です。
安楽死をテーマとした古くて新しい小説として、今も高く評価されています。
例年、高瀬川で彼岸花が見頃を迎える秋分の日には一之舟入付近で「高瀬川 舟まつり」が開催されます。
高瀬川の高瀬舟に乗船できるほか、舞妓さんによるお茶席や、様々なステージイベントが開催されます。
2024年は10月6日(日)に開催されました。
例年なら彼岸花の見頃は終わりかけの時期ですが、2024年はちょうど見頃でした。
高瀬川に浮かぶ高瀬舟をバックに数輪の彼岸花が咲きます。
高瀬舟には、伏見の清酒が満載されています。清酒だけではなく様々な物資が運搬されました。
高瀬舟の周囲には藤袴祭の関連企画として、鉢植えの藤袴が並んでいます。藤袴も例年より開花が遅くまだ咲き始めです。
公式ホームページ:銅駝高瀬川保勝会
見学情報
見学時間 | 日中随時 |
見学料 | 自由 |
住所 | 京都市中京区~下京区 |
アクセス | 京阪「三条」、阪急「京都河原町」などより徒歩数分 |
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④ 妙蓮寺(みょうれんじ)<上京区>
おすすめ度 C
寺之内にたち並ぶ法華宗(日蓮宗)の大寺院のひとつである妙蓮寺では、彼岸花が咲き誇ります。
妙蓮寺は、初秋には酔芙蓉(スイフヨウ)の名所として知られますが、彼岸花もなかなか美しい穴場スポットです。
ちょうど芙蓉が散り始め、酔芙蓉が咲き始めるころに、彼岸花が見頃を迎えます。
門前や酔芙蓉の根元付近にずらりと彼岸花が並んで咲きます。
妙蓮寺について
日蓮宗系の本門法華宗の大本山です。
永仁2年(1294年)に、日像上人によって創建されました。
京都内をあちこち移転し、豊臣秀吉の京都改造に伴い、天正15年(1536年)に寺之内の現在地へと移転しました。
境内には8つの塔頭が並びます。
彼岸花は全て散ってしまった10月13日の御会式の頃には、有名な「御会式桜(おえしきざくら)」が咲き始めます。
拝観情報
拝観時間 | 10:00~16:00(彼岸花は日中随時エリア) |
拝観料 | 500円(彼岸花は境内自由エリア) |
住所 | 上京区寺ノ内通大宮東入ル |
アクセス | 地下鉄「今出川」より徒歩16分 |
公式ホームページ:本門法華宗 大本山 妙蓮寺
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⑤ 西本願寺<下京区>
おすすめ度 C
郊外に多い彼岸花スポットですが、京都駅からも近いおすすめの隠れた穴場なのが、西本願寺。
御影堂(おえいどう)前にある、「逆さ銀杏」「大銀杏」ともいわれる樹齢400年の銀杏の巨木。
その足元では、初秋になると紅白の彼岸花が見頃を迎えます。
逆さ銀杏の柵の中では、彼岸花と白花彼岸花がみっちりと密集して咲いています。
このように紅白が入り混じって密に咲く姿は、他ではあまり見られません。
隠れた穴場彼岸花スポットです。
西本願寺について
浄土真宗本願寺派の本山で、正式には龍谷山本願寺と言います。
2020年4月現在で10,129ヶ寺が所属しており、日本で最も大きい教団のひとつです。
御影堂(ごえいどう)、阿弥陀堂、飛雲閣、唐門など多数の建築が国宝に指定されており、1994年には「古都京都の文化財」の一部として世界遺産に指定されました。
早朝の5:30から開門されており、誰でもお参りすることができます。
京都駅からも近く、気軽に訪れることができる世界遺産です。
拝観情報
拝観時間 | 5:50~17:30(3月~10月) 6:20~16:30(11月~2月) |
拝観料 | 境内自由 |
TEL | 075-371-5181 |
住所 | 京都市下京区堀川通花屋町下ル |
アクセス | JR「京都」より徒歩18分 |
公式ホームページ:浄土真宗本願寺派(西本願寺)-親鸞聖人を宗祖とする本願寺派
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⑥ 東本願寺<下京区>
おすすめ度 C
西本願寺ほどではありませんが、東本願寺でも美しい彼岸花を見ることができます。
広大な東本願寺ですが、ずらりと並ぶ彼岸花を見られるのは境内北側の花屋町通沿いです。
なまこ塀をバックに真っ赤な彼岸花が咲きます。
田園でよく見られる彼岸花としては、かなり珍しい光景を楽しめます。
境内ではないので、閉門時間でもいつでも見ることができます。
東本願寺の北堀のなかには、たくさんの鯉がいます。なかには色鮮やかな錦鯉の姿もあります。
北堀を泳ぐ錦鯉と彼岸花という景色を見ることもできます。
それほど規模は大きくない東本願寺の彼岸花ですが、他には見られない光景が見られておすすめです。
東本願寺から烏丸通を隔てた東側の安全地帯にも、彼岸花が咲きます。
それほど多くの彼岸花が咲くわけではありませんが、車窓からも眺めることができます。
烏丸通り沿いには、彼岸花だけでなく白花彼岸花も多く咲きます。
彼岸花よりも開花が早いため、9月上旬ごろから咲き始めています。
ただし、大規模な改修工事により2024年は烏丸通沿いの彼岸花は見られません。
東本願寺について
真宗大谷派の本山で、正式には真宗本廟と言います。
2018年12月現在で8,492ヶ寺が所属しており、浄土真宗本願寺派と並んで日本で最大級の教団のひとつです。
2019年には御影堂(ごえいどう)、阿弥陀堂、御影堂門が新たに国宝に指定されました。
池泉回遊式庭園として知られる国指定名勝の渉成園は、東本願寺の飛び地境内です。
京都駅からも歩いて数分の距離にあるアクセスの良いお寺です。
拝観情報
拝観時間 | 3月~10月 5:50~17:30 11月~2月 6:20~16:30 烏丸通り沿いと北周濠は日中随時エリア |
拝観料 | 境内自由 |
TEL | 075-371-9181 |
住所 | 京都市下京区烏丸七条上ル |
アクセス | 地下鉄「五条」より徒歩5分 JR「京都」より徒歩7分 |
公式ホームページ:東本願
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⑦ 神泉苑(しんせんえん)<中京区>
おすすめ度 C
二条城の南側に広がる神泉苑では、彼岸花ではなく白花彼岸花が主役です。
かつては平安京の広大な庭園の一部であった池の周囲咲きます。
白花彼岸花には、多少の違いがありますが、神泉苑の白花彼岸花はややピンクがかっているのが特徴です。
赤い彼岸花はあまりありませんが、市内にある穴場スポットです。
神泉苑について
平安京造営時に既存の池や川などを取り込んで庭園として造営されたのが始まりです。
かつては皇族や貴族らが舟を浮かべて宴を楽しみました。
徳川家康による二条城築城時には、神泉苑の北半分が削られ、今の境内になりました。
東寺と並んで平安京造営時から位置が変わらない珍しい史跡です。
毎年、中秋の名月の日には「神泉苑観月会」が開催されます。
2024年の中秋の名月は9月17日(火)で、ようやく彼岸花が咲き始めた時期でした。
夜に野点茶席、観月法要、奉納演奏などが行われます。
普段は入れない法成就池の周囲の特別拝観も行われます。
公式ホームページ:神泉苑観月会
拝観情報
拝観時間 | 境内自由 |
拝観料 | 日中随時 |
TEL | 075-821-1466 |
住所 | 京都市中京区御池通神泉苑町東入門前町167 |
アクセス | 地下鉄「二条城前」より徒歩で3分 |
公式ホームページ:神泉苑
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洛西の彼岸花おすすめスポット3選
① 嵯峨野(さがの)<右京区>
おすすめ度 A
関西を代表する彼岸花の名所としてまず名前が挙がるのが、京都の嵯峨野でしょう。
嵯峨野と言っても、示す範囲は様々です。
広義には、京都でも太秦より西のエリア(桂川南岸を除く)を指します。
彼岸花の名所としての嵯峨野は、広沢池、大沢池、一条通に囲まれた最狭義のエリアを指します。
もともと人が導入した花である彼岸花は、関西に限らず田畑の広がる田園風景でよく見かけます。
手厚く保護されてきた嵯峨野では、今も昔ながらの田園風景が広がります。9月下旬には彼岸花が咲き乱れます。
嵯峨野では、黄金色に輝く稲穂と真っ赤な彼岸花という、関西の初秋を代表する美しい景色を見ることができます。
彼岸花の名所として愛されてきた理由です。
嵯峨野の彼岸花の前半戦は、黄金色に輝く稲穂と共にあります。
たわわに実った稲穂と真っ赤な彼岸花の組み合わせは見事です。
なだらかな斜面に広がる嵯峨野の田んぼからは、美しい彼岸花と稲穂の向こう側には、京都盆地の町並みが広がります。
ちょうど彼岸花が見頃を迎える頃に、稲刈りが行われます。
たわわに実った稲穂の田んぼと稲刈り後の田んぼの両方の景色を楽しむことができます。黄金色の中の赤色は、遠くからでも一目で分かります。
嵯峨野では朝になると、稲わらを燃やした煙がたなびくなか、真っ赤な彼岸花が咲きほこります。
今ほど多彩な園芸植物のなかった昔、このように真っ赤な花を咲かせる彼岸花は、特別な花であったことでしょう。
モグラ除けや救荒植物という実用性もあるとはいえ、日本中の田園に彼岸花が広がっていった理由は、このまがまがしいばかりの怪しい美しさにあるのでしょう。
嵯峨野の彼岸花の見頃は9月下旬~10月初めごろです。
2024年はもう少し遅めと思われます。
嵯峨野について
今も京都の平安貴族たちが愛したであろう、古き良き日本の田園風景が今も残されている地域です。
嵐山から嵯峨野にかけては、平安時代から風光明媚な名所として、京都の貴族たちの別荘地として愛されてきました。
秋には彼岸花だけでなく、コスモスも美しく咲く初秋の名所です。
広沢池と大沢池の間に広がる嵯峨野エリアは、風致地区、特別修景地域、歴史的風土保存区域、歴史的風土特別保存地区と何重にも保全指定されている名所です。
京都市内でも最も厳しい規制が行われている地域のひとつです。
「稲穂たなびく田園地景観」を目標に京都市を中心に保全が行われてきました。
道路などの整備もじゅうぶんではなく、農業を営むのに決して条件が良いとはいえませんが、このように見事に保全されてきました。
名所として今も残っているのは、農家さんたちの協力があってのことです。
農家の方が農作業をするのどかな雰囲気の中を、彼岸花を楽しみつつ、気持ちよく歩くことができます。
無人販売所で売られている、地元のとれたて京野菜もお楽しみのひとつです。
お店で買ったら高価な京野菜が、びっくりするほど安く手に入ることもあります。
見学情報
見学時間 | 日中随時 |
見学料 | 自由 |
住所 | 京都市右京区北嵯峨 |
アクセス | 京都市バス「広沢池・佛大広沢校前」「大覚寺」バス停など JR「嵯峨嵐山」より徒歩20分 |
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② 大原野(おおはらの)<西京区>
おすすめ度 C
京都西山の山麓に広がる田園地帯が、西京区大原野です。
ゆるやかな起伏のある田畑の畔を、美しい彼岸花が彩る穴場スポットです。
大原野と書いて「だいげんや」と読んでしまいそうになりますが、「おおはらの」です。
一面がレッドカーペットのような景色があるわけではありませんが、田畑のそこかしこで真っ赤な彼岸花が咲いています。
彼岸花の名所としては、まだ無名な存在の穴場です。
彼岸花見物に訪れる人はまれですが、京都市街では見られない落ち着いた景色を楽しむことができます。
大原野では、彼岸花が散り始めるころに藤袴が見頃を迎えます。
大原野南春日町の大原野フジバカマ園では、原種の藤袴が大切に育てられています。
アサギマダラをはじめとする様々な美しい蝶が蜜を吸いに集まってきます。
大原野について
京都の南西部に位置する大原野は、1959年に京都市に編入されるまでは、乙訓郡大原野村でした。
編入に伴い京都市右京区となり、1976年に分区によって西京区となりました。
大原野には、京春日とも称される大原野神社や西山門跡とも言われた善峯寺(よしみねでら)、西行法師ゆかりの勝持寺(しょうじじ)、紅葉穴場スポットとして知られる金蔵寺などの古寺古社があります。
大原野の東北部は洛西ニュータウンとして開発されましたが、それ以外にエリアは今も田園風景が広がります。
おおむね彼岸花と同時期の例年9月中旬~下旬には、「え!?頃ひまわり大原野」というひまわり畑も楽しむことができます。
その名のとおり、見頃が遅くなるように調整されています。
彼岸花を見に大原野を訪れた際は、ぜひひまわり畑もみてください。
ただし、2024年は9月に種まきをして11月に開花させるそうです。
公式ホームページ:え!?今頃ひまわり大原野 2024
見学情報
拝観時間 | 日中随時 |
拝観料 | 境内自由 |
住所 | 京都市西京区大原野 |
ホームページ:大原野保勝会
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③ 曽我部・彼岸花の里(そがべ)<亀岡市>
おすすめ度 S
京都に彼岸花スポットは数あれど、最も規模が大きいのが、亀岡市の曽我辺地区にある「彼岸花の里」です。
亀岡駅から西に2kmほど離れた農村地帯が、初秋には美しい彼岸花で彩られます。
ちょうど稲の借り入れ前後の時期で、黄金色に輝く稲穂と彼岸花の景色も、刈り入れ後の稲わらと彼岸花の景色も最高です。
古き良き日本の原風景が残る曽我部は、ぜひ見てほしい彼岸花スポットです。
見学情報
見学時間 | 日中随時 |
見学料 | 自由 |
住所 | 亀岡市曽我部町 |
アクセス | 京阪京都交通「穴太寺」バス停より徒歩数分 |
ホームページ:ぶらり亀岡 亀岡市観光協会
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洛北の彼岸花おすすめスポット2選
① 大原(おおはら)<左京区>
おすすめ度 A
京都近郊の田園景色といえば、洛北の大原も忘れてはなりません。
今も古い良き田園風景が残る山里の名所です。
秋の紅葉シーズンは大いににぎわう大原ですが、初秋にはまだ観光客の姿もまばらな穴場の時期です。
静かな田畑や道端、川沿いの土手など、あちこちで彼岸花が咲いています。
観光資源として彼岸花を植えているのではなく、自然体で彼岸花が咲いている姿は私たちの心を捉えます。
モグラよけなどのために、営々と育てられてきた彼岸花たちなのでしょう。
もっとも、モグラによっては彼岸花をものともしないそうですが。
京都大原では、彼岸花の見頃にあわせてコスモスも咲きはじめます。
コスモスがピークを迎えるのは、彼岸花が散り始めることではあります。早咲きのコスモスと彼岸花を同時の楽しめます。
初秋を代表する花を静かにゆっくりと味わえるのはうれしいところです。
大原では、彼岸花の見頃は9月下旬ごろです。
大原と言えば、京都市内よりも山間部にあります。そのため、紅葉の色づきも早いのですが、彼岸花はそれほどではありません。
京都市内よりも彼岸花の見頃がやや早いのは確かではありますが、明らかに早いわけではありません。
とはいえ、関西でもやや早く初秋の花を楽しめる、彼岸花の名所です。
大原について
京都の洛北に佇む大原は、比叡山のおひざ元です。三千院や寂光院(じゃっこういん)などの格式高い寺院が発展してきました。
中世からは、女性たちが大原で採れた野菜や薪を京都で売り歩く大原女(おおはらめ)でも知られます。
京都近郊の静かな農村でしたが、「♪京都大原三千院~」で知られる「女ひとり」のヒットを機に多くの人が訪れる、関西有数の人気の名所へとなりました。
大原エリアの全域が歴史的風土保存区域に指定されており、さらにその多くが歴史的風土特別保存地区に指定されています。
厳しい規制によって、美しい田園風景が守られているのです。
例年は、ちょうど彼岸花が見頃を迎え始めるころに、寂光院で「しば漬法要」が行われます。2024年は9月21日(土)~23日(月祝)に開催されます。
毎日新着100名には、できたばかりのしば漬の「新漬」がプレゼントされます。2023年は新着50名だったので、倍増です。
法要は、初日の朝9時から寂光院で開催されます。
見学情報
見学時間 | 日中随時 |
見学料 | 自由 |
住所 | 京都市左京区大原1 |
アクセス | 京阪「出町柳」より京都バスで33分 地下鉄「国際会館」より京都バスで23分 JR「京都」より京都バスで62分 |
ホームページ:大原観光保勝会
公式ホームページ:京都 大原観光保勝会
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② 京都府立植物園<左京区>
おすすめ度 A
彼岸花といえば、どれも同じ遺伝子を持っているのが特徴です。
そのため、ソメイヨシノと同じでどこで見ても同じ花をしています。
しかし、実はヒガンバナ属のリコリスなどとの交配などにより、多彩な園芸品種があります。
そんな多彩な彼岸花を楽しみたいのであれば、京都府立植物園です。
関西でこれだけ多彩な彼岸花を見られるところは他にないでしょう。
しかし、京都府立植物園では、あまり彼岸花をメインとした宣伝はしていません。
その意味では、彼岸花の穴場スポットといえるかもしれません。
様々な色や形の花がある彼岸花ですが、京都府立植物園でなくてもよく見かけるのは、白花彼岸花(シロバナヒガンバナ)と黄花彼岸花(キバナヒガンバナ)。
黄花彼岸花は、鍾馗水仙(ショウキズイセン)という別種で、白花彼岸花は彼岸花と黄花彼岸花の雑種です。
同じ白花彼岸花と言っても、うっすらピンクや黄色っぽかったりと、個体によってやや色あいは異なります。
京都府立植物園以外では、今のところ見たことがない、桃色彼岸花(モモイロヒガンバナ)なんて品種も見ることができます。
オレンジ色の花を咲かせる近縁種のキツネノカミソリの血も引いているのかもしれません。
その他にも、八重咲きの彼岸花や、黒っぽい濃い緋赤色をした彼岸花などもあります。
様々な色や形をした、珍しい品種の彼岸花たちを楽しむことができます。
京都府立植物園内でも、彼岸花が特に多く見られるのは賀茂川門近くの水車小屋前です。
同時期には、水車のある小川沿いで秋明菊(シュウメイギク)も見頃を迎えつつあります。
すぐ北向かいの絶滅危惧種園内にも、園芸品種の彼岸花が多数咲いています(彼岸花が絶滅危惧種というわけではありませんが)。
水車小屋前以外でも、京都府立植物園では、園内のところどころで彼岸花が咲いています。
おそらく意図的に彼岸花を植えたのではなく、混入してしまったのでしょう。
種を作らない彼岸花は、無性生殖で球根が分球することによって増殖します。
京都府立植物園の彼岸花の見頃は9月中旬~10月初めです。
中国の自生種であり、日本の彼岸花の元となったと思われる小彼岸花(コヒガンバナ)は一足早く9月上旬、年によっては8月中から咲き始めます。
同一遺伝子を持つ彼岸花とは異なり、やや個体差があります。
彼岸花の仲間であるリコリスの園芸品種は、早咲きの品種は8月頃から咲きはじめます。
リコリスの園芸品種が多数植えられているのは、水車前と、絶滅危惧種園のすぐ西側にある四季彩の丘の北側です。
特に四季彩の丘では、多彩な色のリコリスが入り混じって咲いている美しい姿を見せてくれます。
遅咲きの彼岸花は、10月に見頃を迎えるものもあります。
多彩な彼岸花を長期間楽しめるのは、関西でも京都府立植物園ならではです。
特に近年はどんどん植栽される彼岸花の品種が増えている気がします。
京都府立植物園について
1924年に開園した、関西どころか日本を代表する京都の植物園で、京都府民の休日のお出かけ定番スポットです。
広い敷地をぶらぶら歩けば、植物が約12,000種。
桜や梅、つばき、花しょうぶ、あじさいなど昔から親しまれてきた植物のほか、バラ園など左右対称の造形美が楽しめる洋風庭園など変化に富んでいます。
熱帯の植物が見られる温室もあります(別途入館料が必要です)。
彼岸花が見頃を迎えるころは気候も良く、週末には大勢の家族連れで賑わいます。
特に中央の大芝生広場では、たくさんの子どもたちが楽しそうに走り回っています。
入園情報
休園日 | 12月28日~1月4日 |
入園時間 | 9:00~17:00(受付終了は16:00) |
拝観料 | 一般 :200円 高校生 :150円 中学生以下:無料 |
TEL | 075-701-0141 |
住所 | 京都市左京区下鴨半木町 |
アクセス | 地下鉄「北山」よりすぐ |
公式ホームページ:京都府立植物園 Kyoto Botanical Gardens/京都府ホームページ
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洛東・洛南の彼岸花おすすめスポット2選
① 法住寺(ほうじゅうじ)<東山区>
おすすめ度 C
三十三間堂や養源院などの隣にある小さなお寺の法住寺では、門前にずらりと彼岸花が並びます。
京都国立博物館や智積院も近い、観光名所が集まるエリアです。
同時期には境内では萩も見頃を迎えます。
萩の穴場スポットとして知る人ぞ知るお寺ですが、彼岸花も楽しめます。
法住寺について
永祚元年(989年)に創建され、かつては広大な寺域を誇る大きな寺院でした。
保元3年(1158年)には後白河院の院御所となり、源平の時代の主要舞台のひとつでした。
明治維新後は後白河天皇陵と分離され、大興徳院と名を改めました。
1955年に旧称に復しました。
大石内蔵助ゆかりの寺院でもあり、毎年12月14日には義士大祭が行われます。
拝観情報
拝観時間 | 9:00~16:30 |
拝観料 | 境内自由 |
TEL | 075-561-4137 |
住所 | 京都市東山区三十三間堂廻り655 |
アクセス | 京阪「七条」より徒歩8分 |
公式ホームページ:後白河法皇御所聖跡 天台宗 法住寺
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② 伏見北堀公園<伏見区>
おすすめ度 C
伏見北堀公園は、2021年に彼岸花の植栽が始まり2024年でまだ3年の新しい彼岸花スポットです。
赤い彼岸花よりも白花彼岸花がメインのスポットです。
伏見北堀公園の清掃ボランティア活動を行っている「みどりの会伏見桃山」が、彼岸花の少ない洛南で新たに彼岸花スポットを作るために彼岸花の植栽を始めました。
毎年30kgの球根が植栽され、すでに約100kgの彼岸花が植えられています。
白花彼岸花と赤い彼岸花の両方が見られるスポットは他にもありますが、伏見北堀公園は見頃の時期がそろうのが特徴です。
一般的には白花彼岸花の方が開花が早いですが、なぜか伏見北堀公園ではむしろわずかに開花が遅れます。
数は少ないですが、遅れて黄色の彼岸花も咲きます。
京都の他の彼岸花スポットと比べると開花はやや遅めなのも特徴です。
例年でも9月末から10月初めごろが見頃なので、お彼岸のころはまだ開花していないことが多いです。
まだ1~3年目の若い彼岸花のため、これからどんどん花の数が増えていく見込みです。
伏見北堀公園内でもさらに彼岸花を植えていく予定なので、これからが楽しみな彼岸花スポットです。
みどりの会伏見桃山は、伏見北堀公園の清掃活動だけでなく様々なボランティア活動を行っています。
近隣の総合支援学校との交流活動や、海外からの留学生の里山自然体験などを行っています。
これらの活動が認められ、2023年には内閣府から緑綬褒章を受けています。
彼岸花の植栽をはじめとしたみどりの会伏見桃山の活動には感謝です。
伏見北堀公園について
伏見北堀公園は、その名のとおり伏見城の北堀跡地を利用した公園です。
桃山丘陵の南端にある伏見城は、丘陵のつらなる北側が防衛上の弱点になります。そこで、幅150m、深さ15mにも及ぶ巨大な堀が作られました。
豊臣秀吉が最晩年に政権の拠点として築いただけあって、大規模な土木工事が行われました。
戦前には北堀は軍用水道の貯水池として利用されていましたが、平安建都1200年記念事業の一環として再整備され、1995年に伏見北堀公園としてオープンしました。
見学情報
入園時間 | 24時間 |
入園料 | 入園自由 |
住所 | 京都市伏見区桃山町大蔵 |
アクセス | JR「藤森」より徒歩15分 |
公式ホームページ:伏見北堀公園 – 京都市
南山城の彼岸花おすすめスポット5選
① 若宮八幡宮(わかみやはちまんぐう)<八幡市>
おすすめ度 S
2020年ごろから急に人気となった彼岸花スポットです。
若宮八幡宮はごく普通の神社ですが、彼岸花シーズンになると多くの人が集まるようになりました。
境内の鎮守の森の中を、赤い海のような彼岸花が埋め尽くします。
京都の他の彼岸花スポットとはまた一味違った美しさです。
拝観情報
拝観時間 | 日中随時 |
拝観料 | 境内自由 |
住所 | 八幡市野尻北ノ口5 |
アクセス | 京阪バス「野尻」バス停下車すぐ |
② 宇治市植物公園<宇治市>
おすすめ度 C
京都府立植物園に次ぐ京都の花の名所である宇治市植物公園でも、初秋には彼岸花が開花します。
彼岸花と白花彼岸花のみで、園芸品種があるわけではありませんが、春のゾーンの林間で美しく咲いています。
宇治の丘陵地帯上にあるため、彼岸花の向こう側に市街地が広がる景色を楽しむことができます。
平地で見ることが多い彼岸花にとって、あまり見ないアングルの光景です。
密集した咲いているわけではありませんが、彼岸花はそこかしこで咲いています。
白花彼岸花の比率も高めです。
宇治市植物公園について
1996年に太陽が丘(山城総合運動公園)の隣接地でオープンしました。
10ヘクタールの園内には、約800種類の植物が植栽され、加えて温室では650種の熱帯・亜熱帯性植物が植栽されています。
入園情報
休園日 | 月曜日(祝日の場合は翌日) |
入園時間 | 9:00~17:00(受付終了は16:00) |
入園料 | 大人:600円 小人:300円 幼児:無料 |
TEL | 0774-39-9387 |
住所 | 京都府宇治市広野町八軒屋谷25-1 |
アクセス | JR「宇治」よりバス 近鉄「大久保」よりバス |
公式ホームページ:宇治市植物公園(公式ホームページ)
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③ 禅定寺(ぜんじょうじ)<宇治田原町>
おすすめ度 C
宇治の奥、宇治田原町禅定寺にある禅定寺では、山門へと至る参道の脇を彼岸花が埋め尽くします。
密集して咲く真っ赤な彼岸花は、じゅうたんのようです。
ほとんど知る人もいない穴場の名所です。
今は穴場ですが、これからもう少し知名度が上がっていくのではないでしょうか。
彼岸花が咲くスペースでは、彼岸花が終るころになると、櫓が組まれます。
櫓で天日干しされるのが、宇治田原の名産のころ柿(孤狼柿)です。
宇治田原の秋の風物詩として知られます。
禅定寺について
正暦2年(991年)創建の寺院です。
平等院の末寺として広大な寺院でしたが、鎌倉時代以降に衰退しました。
17世紀に曹洞宗の復古運動の先駆けとなった月舟宗胡(げっしゅうそうこ)によって復興されました。
宝物殿には、重要文化財指定の仏像など10体が並びます。
特に京都最大の十一面観音立像は必見です。
本堂裏には、ややくたびれかけていますが、コンクリートに描かれた大涅槃図があります。
拝観情報
拝観時間 | 9:00~16:00 |
拝観料 | 500円 |
TEL | 0774-88-4450 |
住所 | 宇治田原町大字禅定寺小字庄地100 |
アクセス | 京阪宇治バス「維中前」バス停より2km |
公式ホームページ:禅定寺 – 禅定寺
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④ けいはんな記念公園<精華町>
おすすめ度 C
京阪奈丘陵に広がる関西学研都市に整備された、けいはんな記念公園は1995年の開園です。
広大な公園のうち、有料区域は水景園と言います。
観月橋や永谷池など見どころの多い水景園ですが、彼岸花が咲くのは園内南部の里棚田です。
かつての日本の田園風景を再現した里棚田では、初秋になると彼岸花が咲きます。
刈取りの終った棚田で、かかしをバックにした彼岸花を楽しむことができます。
白花の彼岸花や、その他リコリスの仲間も咲いています。
農業用ではなく、人工的に作られた棚田ですが、穴場スポットです。
けいはんな記念公園について
京都府南西部の精華町にあるけいはんな記念公園は、関西文化学術研究都市(学研都市)の開発に伴い、1995年に開園しました。
京都の名だたる作庭家や庭師が施工設計した、大胆な現代的回遊式庭園です。
公園の周囲はニュータウンとして開発が進み、京都でも最も人口が増えているエリアのひとつです。
毎年彼岸花の開花時期にも様々なイベントが行われます。
2024年は、9月21日(土)・28日(土)・10月12日(土)に「水景園ジャズライブ」、 9月29日(日)に「けいはんな記念公園クラフトフェスタ」が開催されます。
9月14日(土)の17:30~21:00には「観月の夕べ」が開催されました。
入園情報
休園日 | 12月28日~1月4日 |
入園時間 | 9:00~17:00(受付終了は16:30) |
入園料 | 一般: 200円 中学生以下:100円 |
TEL | 0774-93-1200 |
住所 | 相楽郡精華町精華台6-1 |
アクセス | JR「祝園」近鉄「新祝園」より2km |
公式ホームページ:けいはんな記念公園 | 文化を大切にした水と緑のあふれる公園
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⑤ 恭仁宮跡(くにきゅうせき)<木津川市>
おすすめ度 C
コスモスで知られる木津川市加茂の恭仁宮跡ですが、ひとあし早く彼岸花が見頃を迎えます。
史跡として保存されている恭仁宮跡ですが、南側の山城国分寺跡の石碑あたりがもっとも彼岸花がたくさん咲きます。
かつての都も、今は田園に生まれ変わりました。
ありし日の繁栄を偲ぶかのように、真っ赤な彼岸花が咲きます。
恭仁宮の碑や礎石を取り囲むように咲く彼岸花たち。
恭仁宮跡では、同時期にコスモスも咲き始めます。
コスモスは恭仁宮跡でも北の方に多く、彼岸花とは少しだけ場所が異なります。
周辺には今も田園風景が広がり、畝には多くの彼岸花が咲き誇ります。
恭仁宮跡について
恭仁宮は、740年から743年に都が置かれました。
長らく詳細は謎に包まれていましたが、発掘調査が進むにつれて、想定よりも本格的な都城であったことがわかってきました。
恭仁宮の大極殿は、遷都にともない平城宮から移築されたものです。
わずか3年で恭仁京から紫香楽宮(しがらきのみや)、難波京を経て平城京へと都は戻りました。大極殿はそのまま残され、山背国分寺の金堂として転用されました。
山背国分寺の金堂は焼失し、山背国分寺自体も衰微して廃絶し、今は跡が残るのみです。
かつての栄華を偲ぶものは、石碑しか残っていません。
見学情報
見学時間 | 日中随時 |
見学料 | 境内自由 |
住所 | 木津川市加茂町例幣中切 |
アクセス | JR「加茂」から徒歩30分 |
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関西の彼岸花の名所
京都だけでなく、奈良や滋賀などの関西を代表する彼岸花スポットを紹介します。
奈良県の彼岸花スポット
関西を代表する彼岸花スポットといえば、やはり明日香は外せません。
滋賀県の彼岸花スポット
京都のお隣、滋賀県の彼岸花スポットを紹介します。
滋賀県にも、関西を代表する彼岸花スポットがいくつかあります。
大阪府の彼岸花スポット
関西の中心である大阪府にも、彼岸花を楽しめるスポットがあります。
① 花博記念公園鶴見緑地<鶴見区>
かつて花博の会場であった鶴見緑地では、大規模ではありませんが彼岸花を楽しめます。
日中のみ開いている庭園地区である山のエリアでは、タンザニア庭園前に彼岸花が見られます。
園内で奥まった目立たない位置にあるため、訪れる人は多くはありません。
山のエリアには、花博で出展された55の庭園と庭園の跡地があります。
彼岸花が咲く付近には、タンザニア庭園のほかカリフォルニア州の庭園などがあります。
ただし、いずれも荒廃が進みつつあり、それほど整備はされていません。
やや荒れており、現役の庭園とはいいづらい状態です。
そのため、常時蚊が飛び回っているので、彼岸花見物時にはじゅうぶん注意しましょう。
鶴見緑地の中心にある大池のすぐ南側の花さじきでも彼岸花が咲いています。
こちらは今も美しく整備されています。
花壇の中で彼岸花のほか、白花彼岸花や黄花彼岸花も咲いています。
見学情報
1974年に開園した122ヘクタールの緑地公園です。
1990年には国際花と緑の博覧会(花博)の会場となり、2,312万人の来場者がありました。
終了後は、花博の施設であった温室の咲くやこの花館を中心に、花博記念公園鶴見緑地として再整備されました。
入園時間 | 日中随時(山のエリアは9:00~17:30(4~10月)/9:00~16:30(11月~3月) |
入園料 | 無料 |
TEL | 06-6912-0650 |
住所 | 大阪市鶴見区緑地公園 |
アクセス | 地下鉄 「緑地公園」からすぐ |
公式ホームページ:花博記念公園鶴見緑地
彼岸花の豆知識
① 多彩な品種があるリコリス
彼岸花を含むヒガンバナ属の学名はLycoris、リコリスと総称されます。
ギリシャ神話に出てくる海の妖精であるリコリアス/リュコーリアス(Lycorias)に由来します。ただし、なぜ彼岸花と海の妖精が関連づけられているのかはよくわかりません。
ヒガンバナの学名はLycoris radiataです。放射状のリコリスという意味です。
ヒガンバナ属は、東アジアを中心に、東南アジアから南アジアにかけて分布します。
ヒガンバナの他に、ショウキズイセン(鍾馗水仙)、キツネノカミソリ(狐の剃刀)、夏水仙(ナツズイセン)などの種があります。
ナツズイセンは、夏に咲く水仙に似た植物という意味です。スイセン属ではなくヒガンバナ属の花です。
「夏」とつくとおり、彼岸花はもちろん白花彼岸花よりもさらに早く8月ごろに開花します。
やや大きめのピンク色の花を咲かせ、鑑賞用としても人気があります。
彼岸花と同じく種ができないことから、雑種であると考えられています。
リコリスは、彼岸花とはまた違った赤、白、黄、オレンジ、ピンク、紫など多彩な色合いが魅力的です。
彼岸花の園芸品種には、リコリスとの交雑種も多数あります。
単に「リコリス」と言った場合は、ヒガンバナ属の総称を指す場合よりも、ヒガンバナ属の園芸品種のうち、彼岸花の園芸品種を除いたものを指すことが多いです。
リコリスは、日本では彼岸花と比べるとそれほど人気はありませんが、ヨーロッパやアメリカでは盛んに園芸品種が作出されている、人気の花です。
最近は、日本でも多彩なリコリスが咲いているのをよく見かけるようになってきました。
英語でリコリスと言う場合は、 Lycoris(ヒガンバナ属)ではなく、liquorice(スペインカンゾウ)を指す場合が多いとのこと。
スペインカンゾウはマメ科の植物で、根から甘味料が採取されます。マメ科なのでヒガンバナとは全く異なります。
英語では、ヒガンバナをSpider lily、Cluster amaryllis、Hurricane lilyなどと呼ぶことが多いです。
② 有毒でも大活躍の彼岸花
関西では田畑で彼岸花がよく見られるのは、畦をモグラなどの害から守る目的で植えらたためです。
代表的な有毒アルカロイドの一種である「リコリン」は、ヒガンバナ属の別名であるリコリスに由来します。
彼岸花の葉にも球根にもリコリンが含まれており、有毒です。
彼岸花が「死」を連想したり、おどろおどろしいイメージがあるのは、有毒成分を含んでいるということとも無関係ではありません。
同じヒガンバナ亜科であるスイセンの葉にも彼岸花ほどではありませんが、リコリンが含まれています。
スイセンの葉を見た目の似ているニラと間違えて誤食する食中毒が発生しています。
2019年には2名が誤食により嘔吐や吐き気を訴える事件がありましたが、重篤な症状に陥ることはまれです。
彼岸花の球根には、多量のでんぷんが含まれています。
飢饉のときには、彼岸花の球根を長時間水にさらすなどして毒抜きをし、彼岸花の球根を、食用にすることは関西に限らず広くありました。
いざというときには、彼岸花は救荒植物としても活躍しました。
ただ、食べるには手間がかかりすぎ、他の作物と比べると取れるでんぷんも多くはなく、おいしいものでもないので、常食されることはありません。
③ 彼岸花の由来の「お彼岸」って何?
彼岸花の由来となったお彼岸は、春と秋にある仏教行事です。
「彼岸」とはサンスクリットで悟りと安らぎの境地に至ることを意味する波羅蜜多(パーラミター)を意訳した仏教用語です。
三途の川のこちら側である現実世界の「此岸(しがん)」に対してあちら側である彼岸は「あの世」という意味で使われることもあります。
仏教用語に由来するお彼岸ですが、インドや中国にはお彼岸はなく、日本独自の行事です。本来は仏教とは直接関係のない日本の民俗行事です。
鎌倉時代に南宋から日本へやってきた禅僧の大休正念も「日本恭仁の風俗春二月秋八月彼岸修崇の辰あり」と記しています。
お彼岸は春分の日、秋分の日であることからわかるとおり、日本古来の太陽信仰と関係があると言われています。
春分の日と秋分の日には太陽が真西に沈むことから、仏教の極楽浄土(西方浄土)信仰と結びつき、仏教と深いつながりを持つようになりました。
さらに本来の仏教には存在しない祖霊信仰とつながり、お彼岸にはお墓参りなど先祖供養をする行事として定着しています。
④ お彼岸っていつ?
秋のお彼岸の時期に開花するのが、彼岸花という名称の由来です。
お彼岸は、秋の秋分の日を中心とした一週間です。
2024年は9月19日(木)~25日(水)で、年にとっては9月18日~24日のこともあります
お盆は地域によって異なる場合もありますが、お彼岸は関西に限らず全国的に同じ時期です。
お彼岸の時期は、旧暦でも太陽の運行をもとにした秋分の日を基準として決まるため、新暦の9月23日前後になります(2024年の秋分の日は9月22日)。
なので、旧暦でも新暦でも彼岸花はお彼岸の頃に咲きます。
なお旧暦ではお彼岸は8月になります。新暦ではお盆は8月15日前後ですが、旧暦では7月15日前後になるので、お盆とお彼岸が重なることはありません。
関西では彼岸花がピークを迎えるのは、秋のお彼岸が明けたことになることも多いです。
開花が早い年は、お彼岸にピークとなることもあります。
お彼岸にちなんだ花と言えば、彼岸花が有名ですが、春のお彼岸にちなんだ花に江戸彼岸(彼岸桜)があります。
エドヒガン(江戸彼岸)は、ヤマザクラ(山桜)と並んで日本に広く分布している桜の自生種です。
ソメイヨシノをはじめ多くの桜の園芸品種の親となりました。
桜の中でも非常に長命で、枝垂桜はほとんどが種類としてはエドヒガンになります。
江戸彼岸の名前の由来は、他の桜に先駆けて春のお彼岸(3月21日ごろ)に開花するためです。
近年は温暖化の影響で春のお彼岸よりも早く咲くことも多くなってきました。
⑤ 墓地でよく見られる彼岸花
美しい花を咲かせる彼岸花ですが、不吉な花扱いされることも多いです。「死人花」「地獄花」との別名があるくらいです。
彼岸花が不吉とされる理由の多くは、墓地で多く見られるためです。
また「彼岸」は本来は悟りと安らぎの境地という非常によい意味ですが、単にあの世(死後の世界)という意味で使用されることもあり、死のイメージとつながりがあることも大きな理由です。
ちょうどお彼岸でお墓参りに行く人が多い時期に、彼岸花は見頃を迎えています。
墓地に彼岸花が多いのは、田畑に多いのと同じく毒を持っていることが原因です。
今でこそほとんど火葬ですが、かつては土葬も少なくありませんでした。
墓地に葬った遺体は、野生生物にとって格好の獲物です。
有毒な彼岸花を植えることで、野生生物が現れるのを防いでいたというのです。
また、有毒物質を含む彼岸花は、小さな子供は触っただけで炎症を起こしてしまうこともあります。
彼岸花に子どもたちが不用意に近づかないために、不吉な花ということにしたという説もあります。
人間の役に立ってくれている彼岸花ですが、そのために貧乏くじを引かされてしまっているのです。
⑥ 彼岸花の様々な別名
彼岸花には、様々な別名があります。
まず、彼岸花と曼珠沙華については、通常は同じ花の別名として使いますが、微妙に使い分ける場合もあります。
彼岸花は、彼岸花を含むリコリスの総称として使われる場合があるのに対し、曼珠沙華は、日本に分布する三倍体の彼岸花のみを指す場合があります。
「曼珠沙華」という名称は、サンスクリットの”manjusaka”に由来します。
「赤い花」「天上に咲く花」を意味するといいます。
同じ系統では、「天界花(てんがいばな)」という別名もあります。
ただし、彼岸花の原産地は中国でインドには彼岸花はありません。
法華経に出てくる曼珠沙華は、実在の花ではなく伝説上の花であるとされています。
中国に仏教が伝わってから、法華経に出てくる曼珠沙華は彼岸花のことであると考えられるようになったのでしょう。
曼珠沙華などの他にも、様々な別名や地方名があるのが、彼岸花の特徴です。「 死人花(しびとばな)」、「地獄花(じごくばな)」、「幽霊花(ゆうれいばな)」など、不吉な別名が多くあります。
有毒で食べると苦いことから「舌曲がり(したまがり)」という、ちょっとユニークな別名もあります。
その他、「狐花(きつねばな)」、「葉見ず花見ず」などとも言われ、地方ごとの別名は無数にあります。
1,000前後の別名があり、最も別名が多い植物であるとも言われます。
田畑で咲く彼岸花は人間の生活とも密接に関わっているため、多くの別名が生まれたのでしょう。
中国では、彼岸花ではなく「石蒜(せきさん)」と言います。
彼岸花そのものだけでなく、彼岸花の鱗茎の生薬名でもあります。
去痰や鎮痛などの効用がありますが、効果が強すぎて危険なため、広くは使われていません。
お彼岸は日本独自に発達した宗教行事であり、中国にはありません。
中国で彼岸花と呼ばれていないのは、当然と言えば当然です。
⑦ 種田山頭火が詠んだ彼岸花の俳句
自由律俳句(五七五などの定型に縛られない俳句)で知られる20世紀前半の俳人、種田山頭火(さんとうか)は彼岸花を詠んだ俳句が多数かあります。
そのうちの一部を紹介します。
意味は解説するまでもないでしょう。彼岸花ならではの物悲しさが伝わってくるようです。
- 歩きつづける 彼岸花 咲きつづける
- 曼珠沙華 咲いてここが わたしの寝るところ
- いつまで生きる 曼珠沙華 咲きだした
- 悔いるこころの曼珠沙華 燃ゆる
- 彼岸花の赤さがあるだけ
- なんでもない 道がつゞいて 曼珠沙華
- 燃えつくしたる こゝろさびしく 曼珠沙華
- なかなか死ねない 彼岸花さく
⑧ 虫も大好きな彼岸花
彼岸花の蜜腺からは、多くの蜜が分泌されます。
アゲハチョウをはじめとする蝶や蟻などが、彼岸花の蜜を求めて群れ集います。
彼岸花は虫に花粉を運んでもらう虫媒花ですが、日本の彼岸花は3倍体のため、せっかく虫に花粉を運んでもらっても、実をつけることはありません。
彼岸花は、1つの花に雄しべ6本とと雌しべ1本が出ています。
雄しべも雌しべも似た形をしていますが、先に花粉がついているのが雄しべなので、識別は容易です。
蜜を吸いに来たアゲハ蝶の羽に花粉が付着し、花粉を運びます。
⑨ 彼岸花の育て方
彼岸花の植物の1年のサイクルは、春から夏の間、球根で休眠し、9月初旬頃の秋雨が降ると、花経を伸ばし花を咲かせます。
葉は花が終わってからロゼット状に翌春まで出し、次年の準備をします。
繁殖は球根です。植替えは、休眠期の春~夏に繁殖した球根を分球し行いますが、毎年行わないで、混み合った時以外はそのままの方が花立ちがよくなります。
球根の購入時期は8月頃で、鉢・地植えともに、水はけには十分配慮し、栽培場所は西日を避けたよく日の当たる所とします。
施肥は少なめとし、植え付け時か生長時に一度、総合肥料を少なめに施しましょう。水やりは本当に乾いた時、たっぷり与えることとします。
おわりに
静かな田園風景が良く似合うのが京都の彼岸花。
彼岸花はソメイヨシノのように一斉に咲いて一斉に散ります。
彼岸花の見頃の時期は、見計らうのが難しい花です。京都でも同じ場所の同じ日でも年によって咲きはじめだったり、散りかけだったりとバラバラなのが彼岸花です。
MKの観光貸切タクシーなら、交通の便の悪い京都郊外にも簡単にアクセスできます。予定の場所の開花状況がイマイチであったとしても、今見頃の場所にご案内することもできます。
京都には、穴場から定番までたくさんの彼岸花スポットがあります。
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MKトラベルの京都観光タクシーツアー・秋の花めぐり
MKトラベルでは、「秋の花めぐり」をテーマとした京都観光タクシーツアーを催行しています。
コスモスや藤袴、そばの花などをテーマとしたツアー
秋の京都を彩るおすすめの花
秋の京都は彼岸花だけではありません。9月中旬から10月はじめまで、京都は彼岸花一色です。京都の秋を美しく彩るのは、彼岸花だけてはありません。京都の秋に咲く、彼岸花以外の花々を紹介します。
彼岸花(ヒガンバナ) 見頃:9月中旬~上旬
萩(ハギ) 見頃:9月下旬~10月上旬
秋明菊(シュウメイギク) 見頃:9月下旬~10月下旬
藤袴(フジバカマ) 見頃:9月下旬~10月下旬
秋桜(コスモス) 見頃:10月上旬~11月上旬
- 通常の個体は染色体を2組持っている二倍体。三倍体は正常な減数分裂ができないために、種子ができない。[↩]