秋のお彼岸のころ。一斉に開花して田畑を真っ赤に染め上げ、一週間程度で一斉に散ってしまう彼岸花(ヒガンバナ)。
美しい田園を真っ赤な彼岸花が彩る景色は、京都に限らずまさに日本の原風景です。
彼岸花は、不吉な花といわれることもあります。9月下旬から10月初めにかけての京都では、彼岸花ほど美しい花はありません。
京都では、春のソメイヨシノ(染井吉野)に対して、秋の彼岸花といったところです。ソメイヨシノも彼岸花も、すべての個体が同じ遺伝子を持ったクローンである点が同じです。
関西でも彼岸花の名所の多い、京都のおすすめスポットを定番から穴場まで7ヶ所+αをご紹介します。
2020年の彼岸花の開花は遅めです。
京都市内では、概ね9月末から10月初め頃に満開を迎える見込みです。
- 彼岸花(ヒガンバナ)について
- 京都の彼岸花おすすめスポット7選+α
- 関西の彼岸花の名所
- おわりに
彼岸花(ヒガンバナ)について
彼岸花(ヒガンバナ)とは
彼岸花は、ヒガンバナ科ヒガンバナ属の花です。
曼珠沙華(マンジュシャゲ)ともいいます。
彼岸花(ヒガンバナ)の中でも、特に日本に自生する赤い彼岸花を曼珠沙華と呼んで、他の彼岸花と区別することもあります。
曼珠沙華とは、「天上の花」という意味です。
彼岸花は、大陸から稲作とともに京都などへ伝来した、有毒な植物です。
万葉集に出てくる「壱師の花(いちしのはな)」が、彼岸花のことであると言われます。
ただし、異説も多くはっきりしたことはわかりません。
詩歌などで彼岸花がよく詠まれるようになるのは、江戸時代に入ってからのことです。
古代に伝来していたとしても、彼岸花が今のように関西の田園の中で広く普及したのは、江戸時代ごろからのことです。
田畑で一斉に咲く彼岸花
基本的には、人里にのみ彼岸花は分布しますが、川の流れやゴミに混入して運ばれることで、稀に人里離れたところでも彼岸花を見られることもあります。
日本に存在する彼岸花は、全て遺伝子的に同一です。
関西の彼岸花も関東の彼岸花も基本的には同じです。
中国から渡来した彼岸花の球根が分球したものが、関西をはじめ日本中に広がりました。
彼岸花は、冬から春にかけて葉を出します。
花が咲く初秋のころには、葉はありません。
彼岸花が開花すると、花だけがぎっしりのため、一斉に咲く姿は、まるで赤いじゅうたんのような景色となります。
赤だけではない、様々な彼岸花
白い花の白花彼岸花(シロバナヒガンバナ)もあります。彼岸花と鍾馗水仙(ショウキズイセン)の雑種といわれます。
彼岸花は三倍体で実をつけないため、正確には中国に自生する二倍体の小彼岸花(コヒガンバナ)との雑種ではないか、とされています。
鍾馗水仙は、黄花彼岸花(キバナヒガンバナ)ともいわれますが、実は狭義の彼岸花ではなく、近縁の別種です。
その他にも、彼岸花には多数の園芸品種があります。
虫も大好きな彼岸花
彼岸花の蜜腺からは、多くの蜜が分泌されます。
アゲハチョウをはじめとする蝶や蟻などが、彼岸花の蜜を求めて群れ集います。
京都の彼岸花おすすめスポット7選+α
関西でも彼岸花の名所の多い、京都のおすすめ彼岸花スポットを、定番から穴場までの7ヶ所プラスαをご紹介します。
スポットによって多少差はありますが、2020年は10月初めごろに満開を迎える見込みです。
① 嵯峨野(さがの)<右京区>
おすすめポイント
関西を代表する彼岸花の名所としてまず名前が挙がるのが、京都の嵯峨野でしょう。
嵯峨野と言っても、示す範囲は様々です。
広義には、京都でも太秦より西のエリアを指します。
彼岸花の名所としての嵯峨野は、広沢池、大沢池、一条通に囲まれた狭義のエリアを指します。
もともと人が導入した花である彼岸花は、関西に限らず田畑の広がる田園風景でよく見かけます。
手厚く保護されてきた嵯峨野では、今も昔ながらの田園風景が広がります。9月下旬には彼岸花が咲き乱れます。
嵯峨野では朝になると、稲わらを燃やした煙がたなびくなか、真っ赤な彼岸花が咲きほこります。
今ほど多彩な園芸植物のなかった昔、このように真っ赤な花を咲かせる彼岸花は、特別な花であったことでしょう。
モグラ除けや救荒植物という実用性もあるとはいえ、日本中の田園に彼岸花が広がっていった理由は、このまがまがしいばかりの怪しい美しさにあるのでしょう。
嵯峨野では、黄金色に輝く稲穂と真っ赤な彼岸花という、関西の初秋を代表する美しい景色を見ることができます。
彼岸花の名所として愛されてきた理由です。
ちょうど彼岸花が咲く前後に稲刈りが行われるため、たわわに実った稲穂の田んぼと稲刈り後の田んぼの両方の景色を楽しむことができます。
嵯峨野の彼岸花の見頃は9月下旬~10月初めごろです。
見学情報
今も京都の平安貴族たちが愛したであろう、古き良き日本の田園風景が今も残されている地域です。
嵐山から嵯峨野にかけては、平安時代から風光明媚な名所として、京都の貴族たちの別荘地として愛されてきました。
秋には彼岸花だけでなく、コスモスも美しく咲く初秋の名所です。
広沢池と大沢池の間に広がる嵯峨野エリアは、風致地区、特別修景地域、歴史的風土保存区域、歴史的風土特別保存地区に指定されている名所です。
京都市内でも最も厳しい規制が行われている地域のひとつです。
「稲穂たなびく田園地景観」を目標に京都市を中心に保全が行われてきました。
道路などの整備もじゅうぶんではなく、農業を営むのに決して条件が良いとはいえませんが、このように見事に保全されてきました。
名所として今も残っているのは、農家さんたちの協力があってのことです。
農家の方が農作業をするのどかな雰囲気の中を、彼岸花を楽しみつつ、気持ちよく歩くことができます。
無人販売所で売られている、地元のとれたて京野菜もお楽しみのひとつです。
お店で買ったら高価な京野菜が、びっくりするほど安く手に入ることもあります。
アクセス |
市バス「広沢池・佛大広沢校前」「大覚寺」バス停など |
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② 千本ゑんま堂(せんぼんゑんまどう)<上京区>
おすすめポイント
明るい太陽の光を浴びた田園風景に映える彼岸花も良いですが、彼岸花の魅力はそれだけではありません。
一味違った彼岸花を楽しめるのが、京都の洛北近くにある穴場スポットの千本ゑんま堂です。
彼岸花は、古くから死を連想させる花でもありました。
千本ゑんま堂のある蓮台野(れんだいの)は、古くから京都の葬送地のひとつでした。
その蓮台野で、閻魔(えんま)さんを祀る千本ゑんま堂の彼岸花というのは、ある意味では最強のタッグです。
境内の奥にある地蔵池のほとりには、付近から出土したというお地蔵さんをはじめとした石仏がずらりと並んでいるちょっとした名所です。
初秋になると、ところ狭しと並ぶ石仏の隙間から、たくさんの彼岸花が顔を出します。石仏の中で咲く彼岸花は、"怪しい"美しさです。
石仏は古いものばかりではなく、新しくかわいらしい顔をしたものも交じっています。赤い彼岸花を従えながら咲く光景はほほえましいです。
春には桜の普賢象で知られる千本ゑんま堂ですが、彼岸花を見物に来る人は稀な穴場スポットです。
穴場である千本ゑんま堂の彼岸花の見頃はやや早めで9月下旬ごろです。
拝観情報
一般には「ゑんま堂」と言われますが、正式には引接寺(いんじょうじ)と言います。
京都の葬送の地であった蓮台野へ通ずる入口であり、閻魔王を本尊とした寺院です。
閻魔王につかえたとされる小野篁(おののたかむら)が死者の魂を弔うために創建したと伝えられる寺院です。
古くから京都では、庶民の信仰を集めてきました。
京都三大念仏狂言の一つである「千本ゑんま堂大念佛狂言」を今も伝承しています。
例年は、2月の節分とゴールデンウィークに公演が行われます。
セリフがあるタイプの念仏狂言のため、ストーリーがわかりやすく、特におすすめの狂言です。
拝観時間 | 9:00~16:30 |
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拝観料 | 境内自由 |
住所 | 京都市上京区千本廬山寺上閻魔前町34 |
アクセス | 市バス「千本鞍馬口」バス停から2分バス停から徒歩3分 |
公式ホームページ:千本ゑんま堂 引接寺
③ 平野神社(ひらのじんじゃ)<北区>
おすすめポイント
春は多くの人で賑わう、関西を代表する桜の名所である平野神社ですが、初秋の時期は訪れる人も稀な穴場の彼岸花スポットです。
そんな人が少ない平野神社で、密かに見頃を迎えているのが彼岸花です。
柵で囲まれた桜苑内のほかに東側の平野道沿いの「さくら通学路」など、境内各所で彼岸花が咲きます。
平野神社では、赤い彼岸花だけでなく、白い花を咲かせる白花彼岸花が多いのも特徴です。
半分近くは白花彼岸花が占める穴場スポットです。
開花がやや早い白花彼岸花が多いため、京都でも一足早く見頃を迎える彼岸花の名所です。
平野神社の彼岸花の見頃は9月中旬~下旬ごろと長めです。
拝観情報
朝廷から特別な奉幣を受ける、京都近郊の関西を中心とした二十二社のひとつとして古くから重んじられてきた神社です。
春には境内には「平野妹背(ひらのいもせ)」「手弱女(たおやめ)」「突羽根(つくばね)」など著名な桜の原木がある、桜の名所です。
その他約50種400本の桜が植えられており、3月からGWまで長期間にわたって順次開花が続きます。
初秋には、彼岸花以外にもかわいらしい紫色の実をつける紫式部(ムラサキシキブ)や小紫(コムラサキ)も見頃を迎えます。
拝観時間 | 日中随時 |
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拝観料 | 境内自由 |
住所 | 京都市北区平野宮本町1 |
アクセス | 市バス「衣笠校前」バス停から徒歩3分 |
公式ホームページ:平野神社 HIRANO-JINJA Official web site
④ 京都府立植物園<左京区>
おすすめポイント
彼岸花といえば、どれも同じ遺伝子を持っているのが特徴です。
そのため、ソメイヨシノと同じでどこで見ても同じ花をしています。
しかし、実はヒガンバナ属のリコリスなどとの交配などにより、多彩な園芸品種があります。
そんな多彩な彼岸花を楽しみたいのであれば、京都府立植物園です。
関西でこれだけ多彩な彼岸花を見られるところは他にないでしょう。
しかし、京都府立植物園では、あまり彼岸花をメインとした宣伝はしていません。
その意味では、彼岸花の穴場スポットといえるかもしれません。
様々な色や形の花がある彼岸花ですが、京都府立植物園でなくてもよく見かけるのは、白花彼岸花(シロバナヒガンバナ)と黄花彼岸花(キバナヒガンバナ)。
黄花彼岸花は、鍾馗水仙(ショウキズイセン)という別種で、白花彼岸花は彼岸花と黄花彼岸花の雑種です。
同じ白花彼岸花と言っても、うっすらピンクや黄色っぽかったりと、個体によってやや色あいは異なります。
京都府立植物園以外では、今のところ見たことがない、桃色彼岸花(モモイロヒガンバナ)なんて品種も見ることができます。
オレンジ色の花を咲かせる近縁種のキツネノカミソリの血も引いているのかもしれません。
その他にも、八重咲きの彼岸花や、黒っぽい濃い緋赤色をした彼岸花などもあります。
様々な色や形をした、珍しい品種の彼岸花たちを楽しむことができます。
京都府立植物園内でも、彼岸花が特に多く見られるのは賀茂川門近くの水車小屋前です。
同時期には、水車のある小川沿いで秋明菊(シュウメイギク)も見頃を迎えつつあります。
すぐ北向かいの絶滅危惧種園内にも、園芸品種の彼岸花が多数咲いています(彼岸花が絶滅危惧種というわけではありませんが)。
水車小屋前以外でも、京都府立植物園では、園内のところどころで彼岸花が咲いています。
おそらく意図的に彼岸花を植えたのではなく、混入してしまったのでしょう。
種を作らない彼岸花は、無性生殖で球根が分球することによって増殖します。
京都府立植物園の彼岸花の見頃は9月中旬~10月初めです。
中国の自生種であり、日本の彼岸花の元となったと思われる小彼岸花(コヒガンバナ)は一足早く9月上旬から咲き始めます。
三倍体で種を付けない彼岸花と異なり、二倍体のコヒガンバナは種をつけます。
見た目は彼岸花そっくりですが、散ったあとの姿が大きく異なります。
彼岸花の仲間であるリコリスの園芸品種は、早咲きの品種は8月頃から咲きはじめます。
リコリスの園芸品種が多数植えられているのは、水車前と、絶滅危惧種園のすぐ西側にある四季彩の丘の北側です。
特に四季彩の丘では、多彩な色のリコリスが入り混じって咲いている美しい姿を見せてくれます。
遅咲きの彼岸花は、10月に見頃を迎えるものもあります。
多彩な彼岸花を長期間楽しめるのは、関西でも京都府立植物園ならではです。
特に近年はどんどん植栽される彼岸花の品種が増えている気がします。
2020年はいったいどんな彼岸花を見られるのか、今から楽しみです。
入園情報
1924年に開園した、関西どころか日本を代表する京都の植物園で、京都府民の休日のお出かけ定番スポットです。
広い敷地をぶらぶら歩けば、植物が約12,000種。
桜や梅、つばき、花しょうぶ、あじさいなど昔から親しまれてきた植物のほか、バラ園など左右対称の造形美が楽しめる洋風庭園など変化に富んでいます。
熱帯の植物が見られる温室もあります(別途入館料が必要です)。
彼岸花が見頃を迎えるころは気候も良く、週末には大勢の家族連れで賑わいます。
特に中央の大芝生広場では、たくさんの子どもたちが楽しそうに走り回っています。
休園日 | 12月28日~1月4日 |
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入園時間 | 9:00~17:00(受付終了は16:00) |
拝観料 | 一般 :200円 高校生 :150円 中学生以下:無料 |
TEL | 075-701-0141 |
住所 | 京都市左京区下鴨半木町 |
アクセス | 地下鉄「北山」よりすぐ |
公式ホームページ:京都府立植物園 Kyoto Botanical Gardens/京都府ホームページ
⑤ 大原(おおはら)<左京区>
おすすめポイント
京都近郊の田園景色といえば、洛北の大原も忘れてはなりません。
今も古い良き田園風景が残る山里の名所です。
秋の紅葉シーズンは大いににぎわう大原ですが、初秋にはまだ観光客の姿もまばらな穴場の時期です。
静かな田畑や道端、川沿いの土手など、あちこちで彼岸花が咲いています。
ただし、理由はよくわかりませんが、2020年は比較的彼岸花は少なめです。
開花前というわけではなく、つぼみもあまり見かけません。
観光資源として彼岸花を植えているのではなく、自然体で彼岸花が咲いている姿は私たちの心を捉えます。
モグラよけなどのために、営々と育てられてきた彼岸花たちなのでしょう。
もっとも、モグラによっては彼岸花をものともしないそうですが。
京都大原では、彼岸花の見頃にあわせてコスモスも咲きはじめます。
コスモスがピークを迎えるのは、彼岸花が散り始めることではあります。早咲きのコスモスと彼岸花を同時の楽しめます。
初秋を代表する花を静かにゆっくりと味わえるのはうれしいところです。
大原では、彼岸花の見頃は9月下旬ごろです。
大原と言えば、京都市内よりも山間部にあります。そのため、紅葉の色づきも早いのですが、彼岸花はそれほどではありません。
京都市内よりも彼岸花の見頃がやや早いのは確かではありますが、明らかに早いわけではありません。
とはいえ、関西でもやや早く初秋の花を楽しめる、彼岸花の名所です。
見学情報
京都の洛北に佇む大原は、比叡山のおひざ元です。三千院や寂光院(じゃっこういん)などの格式高い寺院が発展してきました。
中世からは、女性たちが大原で採れた野菜や薪を京都で売り歩く大原女(おおはらめ)でも知られます。
京都近郊の静かな農村でしたが、「♪京都大原三千院~」で知られる「女ひとり」のヒットを機に多くの人が訪れる、関西有数の人気の名所へとなりました。
ちょうど彼岸花が見頃を迎え始めるころに、寂光院で「しば漬法要」が行われます。2020年は9月19日(土)~22日(火)です。
毎日新着100名には、できたばかりのしば漬の「新漬」がプレゼントされます。
アクセス | 京阪「出町柳」より京都バスで33分 地下鉄「国際会館」より京都バスで23分 JR「京都」より京都バスで62分 |
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公式ホームページ:京都 大原観光保勝会
⑥ 曽我部・彼岸花の里(そがべ)<亀岡市>
おすすめポイント
最後に紹介する京都の彼岸花おすすめスポットは、亀岡市の曽我部地区です。
関西随一の美しい彼岸花が見られる名所として、最近人気急上昇中です。
「彼岸花の里」として売り出されるようになったのは、ここ最近という穴場です。
2017年には、彼岸花が満開を迎えた晴天の週末にも関わらず、カメラを持っている人は1人しか見かけなかったくらいの穴場でした。
これほど美しい彼岸花を見られる亀岡市の曽我部ですが、関西人はもちろん、亀岡市民ですらあまり知られていない穴場でした。
何だか今日は人が多いなあ、と思ったらちょうどその日の朝刊一面に曽我部の彼岸花の写真が掲載されていたからだったりします。
しかし、彼岸花を見に来る人は年々増えており、そろそろ関西の彼岸花鑑賞の"穴場"は卒業かもしれません。
亀岡市の曽我部地区で咲く彼岸花の魅力は、広々とした田畑に咲く点です。
比較的広い亀岡盆地の郊外では、平地に田畑が連なっています。
その畦を彼岸花が埋め尽くす姿は絶景です。
レッドカーペットが広がっているかのような美しい光景です。
亀岡市の曽我部は、関西でも最大級の彼岸花が咲き誇る名所です。
晴天時は、真っ赤な彼岸花が青空に美しく映えます。
まさに"天上の花"です。
普段は軽トラが行きかう農道の道端には、お地蔵さんや石仏などがたたずみます。
石仏をバックに咲く彼岸花は、風情があふれます。
こういった景色がそこかしこで見ることができます。
京都に限らなければ、全国には他にも彼岸花の名所はあります。
なかでも、亀岡市の曽我部に咲く彼岸花が、特におすすめなだとイチオシするのは、他では見られない景色が見られるためです。
亀岡市の曽我部では、稲わら干しと彼岸花の競演を見ることができます。
刈り取った稲わらを、田んぼで三角形に縛って天日干しにしてあります。
かつては干し方の違いはあれど、彼岸花のシーズンになると日本中で見られた景色なのでしょう。
わらの用途がほとんどなくなった現代では、あまり見ることのない景色です。
天日干しの稲わらと彼岸花の景色は、まさに関西に限らず日本の原風景です。
亀岡市曽我部の彼岸花の見頃は9月下旬ごろです。
一部白花彼岸花もありますが、ほぼ全てが彼岸花です。
開花時期が一斉にそろうため、彼岸花が満開を迎える時期の景色は圧巻です。
その分、彼岸花が見頃の期間は案外短い名所なのでご注意を。
2020年は、例年googlemapで「彼岸花の里」として表示されるスポット周辺では、圃場整理のために田んぼの畦が掘り返されました。
その影響で、2020年の彼岸花は、例年通りの開花ではありません。
曽我部の南東部にある山の上には、かめおか霧のテラスという展望台があります。
名前のとおり、秋から冬にかけての早朝には、霧のテラスから雲海に沈んだ亀岡盆地の絶景が見られる、人気の新観光スポットです。
霧のテラスから見下ろした曽我部の中でも、もっとも彼岸花が美しいエリアですが、2020年はほとんど彼岸花が見当たりません。
よく見ると、畦道に咲いていますが、2020年は赤いじゅうたんとは程遠い状態です。
ただし、曽我部の彼岸花スポットは広大です。
見事な彼岸花が見られるところはたくさんあるので、心配は無用です。
田園のそこかしこで、美しい彼岸花が咲いているのを見ることができます。
2020年の曽我部の彼岸花がピークを迎えるのは、9月末ごろと見込まれます。
見学情報
穴太寺(あなおじ)の南側に広がる曽我部地区の田んぼ一帯が、初秋には美しい彼岸花スポットになります。
旧曽我部村は、1890年に九ヶ村の合併により成立し、1955年の南桑田郡合併により亀岡市となりました。
亀岡市曽我部は、京都画壇の代表である円山応挙の出身地でもあり、近くに大きな記念碑があります。
自動車で訪れた方は、穴太寺の周辺にいくつかある有料駐車場を利用可能です。
路駐は厳禁です。
地元の農家さんたちにとって、彼岸花見物の観光客は、決してありがたい存在ではないでしょう。
農作業の邪魔や渋滞の原因になります。田畑へとずかずかと入り込むマナーの悪い観光客だって目につきます。
あくまで彼岸花を見せていただいているという心を、忘れないように肝に銘じましょう。
穴太寺は「あなおじ」と読みます。
穴太積みで有名な大津市坂本の穴太は「あのう」です。
末尾も「でら」ではなく「じ」と読みます。
湯桶読みの寺名になっています。
アクセス | 京阪京都交通「穴太寺」バス停より徒歩数分 |
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曽我部以外の亀岡の彼岸花
亀岡市内では、曽我部ほどまとまってはいませんが、他にもあちこちで彼岸花を咲いているのを見ることができます。
いずれも彼岸花ばかりで、白花彼岸花はほとんど見かけないのが、亀岡の特徴かもしれません。
亀岡市内でも北東部にある美濃田では、田畑の畔を彼岸花が真っ赤に染め上げています。
基本的には観光地ではないので、彼岸花見物の人は誰もいません。
彼岸花の穴場スポットです。
曽我部から1kmあまりの距離にある、亀岡夢コスモス園でも彼岸花が咲きます。
関西有数の規模を誇るコスモスの名所である亀岡夢コスモス園は、例年彼岸花の見頃の時期にはコスモスは咲きはじめから三分咲きくらいです。
2020年の亀岡夢コスモス園の開園は、10月1日(木)~11月3日(火)です。
彼岸花のピークの時期には開園前のため、外から眺めるだけにはなります。
その他、亀岡盆地のあちこちで彼岸花が美しく咲いています。
曽我部だけではなく、あちこちの彼岸花を楽しみましょう。
公式ホームページ:ぶらり亀岡 亀岡市観光協会
⑦ 若宮八幡宮(わかみやはちまんぐう)<八幡市>
おすすめポイント
ネット上ではちらほら情報があるものの、八幡市観光協会のHPにも掲載されていない穴場スポットです。
八幡市でも南東部の流れ橋にもほど近い、八幡市民体育館の横にある小さな神社です。
季節違いの時期に何度か訪れたことがありましたが、彼岸花がたくさんあることにすら気づきませんでした。
彼岸花は、「花見ず葉見ず」とも言う通り、花が咲く時期と葉が出る時期が別です。
彼岸花の葉はあまり目立たないため、注意して見ないと気付きません。
確かに春の頃に撮った若宮八幡宮の写真を見ると、彼岸花の葉が生えています。
若宮八幡宮では、鎮守の森の下を、彼岸花が埋め尽くします。
彼岸花が咲く様子を、よく「赤いじゅうたん」と表現しますが、むしろ「赤い海」と言いたいくらいです。
森の中に咲く彼岸花の姿は、田園に咲くのとはまた一味違います。
穴場ではありますが、さすがに週末ともなると、多くの人が集まります。
偶然かもしれませんが、コスプレの撮影会が複数開催されていました。
神社だけあって、角度によっては鳥居や灯籠などが背景に咲く彼岸花を見ることができます。
たくさんの彼岸花が咲く神社はそれほど多くはないため、珍しい景色です。
拝観情報
日頃は観光スポットでも何でもない神社ですが、彼岸花シーズンだけ多くの人が集まります。
何の変哲もない神社です。
八幡市内には、別にもう一ヶ所若宮八幡宮があるので、ご注意ください。
彼岸花の穴場として知られるのは、八幡市民体育館の横の若宮八幡宮です。
拝観時間 | 日中随時 |
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拝観料 | 境内自由 |
住所 | 八幡市野尻北ノ口5 |
⑨ その他の彼岸花おすすめスポット
その他の、美しい彼岸花を楽しめる穴場スポットを数箇所紹介します。
1. 高瀬川(たかせがわ)<下京区>
おすすめポイント
京都を代表する歓楽街といえば、木屋町通りです。
鴨川の東側にある祇園が大人の夜の街なのに対し、木屋町通りは若者の夜の街です。
木屋町通り沿いの高瀬川は、点々と彼岸花が咲く、穴場スポットなんです。
彼岸花の美しい景色が広がるというわけではありませんが、高瀬川の各所で彼岸花が開花します。
川の堤防に植えられた彼岸花の名所というのも、全国的には少なくありませんが、京都ではあまり見ません。
京都では珍しく、川の流れのすぐそばで咲く彼岸花を見ることができます。
御池通から七条通あたりまで、断続的に彼岸花が咲いています。
特に四条通から五条通あたりの高瀬川沿いで、彼岸花がよく咲いています。
通りかかる人の姿は、昼夜を通じて多いですが、彼岸花を見に来る人はほとんどいない穴場です。
このような歓楽街に彼岸花スポットがあるというのは、考えてみたらすごいことですね。
高瀬川の彼岸花の見頃は9月中旬~10月初めごろです。
彼岸花によって個体差が大きく、やたらと開花期間が長いのが特徴です。
早い花は、京都でも最速に近い9月上旬から開花します。一方で遅い花は、10月に入っても見頃が続きます。
もともとそれほどたくさんの彼岸花が植えられているわけではない高瀬川なので、開花期がばらつくことで、よりいっそう花が少なく見えます。
高瀬川は、角倉了以(すみのくらりょうい)によって1611年に開削された運河です。
古くから淀川の水運を利用して京都へと物資を運んできましたが、商業の発達につれて従来の方法では限界がありました。
そこで、大坂から大型船が運航可能な伏見港と京都市内を結ぶ運河として、高瀬川が作られました。
伏見港で小型の高瀬舟へと積み替えられた物資が、京都市内へと大量に運搬されるようになりました。
関西を支える物流の大動脈として、高瀬川は近年まで約300年間にわたって利用されました。
森鴎外の小説「高瀬舟」の舞台としても知られます。
流罪となって京都から高瀬舟で運ばれる男と護送役との物語です。
安楽死をテーマとした古くて新しい小説として、今も高く評価されています。
アクセス | 京阪「三条」、阪急「京都河原町」など |
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2. 妙蓮寺(みょうれんじ)<上京区>
寺之内にたち並ぶ法華宗(日蓮宗)の大寺院のひとつである妙蓮寺では、彼岸花が咲き誇ります。
妙蓮寺は、初秋には酔芙蓉(スイフヨウ)の名所として知られますが、彼岸花もなかなか美しい穴場スポットです。
ちょうど芙蓉が散り始め、酔芙蓉が咲き始めるころに、彼岸花が見頃を迎えます。
門前や酔芙蓉の根元付近にずらりと彼岸花が並んで咲きます。
拝観時間 | 10:00~16:00(彼岸花は日中随時エリア) |
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拝観料 | 500円(彼岸花は境内自由エリア) |
住所 | 上京区寺ノ内通大宮東入ル |
アクセス | 地下鉄「今出川」より徒歩16分 |
公式ホームページ:本門法華宗 大本山 妙蓮寺
3. 大原野(おおはらの)<西京区>
京都西山の山麓に広がる田園地帯が、西京区大原野です。
ゆるやかな起伏のある田畑の畔を、美しい彼岸花が彩る穴場スポットです。
大原野と書いて「だいげんや」と読んでしまいそうになりますが、「おおはらの」です。
一面がレッドカーペットのような景色があるわけではありませんが、田畑のそこかしこで真っ赤な彼岸花が咲いています。
彼岸花の名所としては、まだ無名な存在の穴場です。
彼岸花見物に訪れる人はまれですが、京都市街では見られない落ち着いた景色を楽しむことができます。
彼岸花が見頃を迎えるころに、咲き始めるのがフジバカマです。
京都で絶滅したと思われていた野生のフジバカマが再発見された大原野では、フジバカマ園が整備され、同時に楽しむことができます。
2019年までは、善峯寺へと上っていく山道の脇にあったフジバカマ園ですが、2020年からは大原野小塩町に移転しています。
ご注意ください。
拝観時間 | 日中随時 |
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拝観料 | 境内自由 |
住所 | 京都市西京区大原野 |
4. 西本願寺<下京区>
郊外に多い彼岸花スポットですが、京都駅からも近いおすすめの隠れた穴場なのが、西本願寺。
御影堂(おえいどう)前にある、「逆さ銀杏」「大銀杏」ともいわれる樹齢400年の銀杏の巨木。
その足元では、初秋になると紅白の彼岸花が見頃を迎えます。
逆さ銀杏の柵の中では、彼岸花と白花彼岸花がみっちりと密集して咲いています。
このように紅白が入り混じって密に咲く姿は、他ではあまり見られません。
隠れた穴場彼岸花スポットです。
拝観時間 | 5:30~17:00 |
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拝観料 | 境内自由 |
TEL | 075-371-5181 |
住所 | 京都市下京区堀川通花屋町下ル |
アクセス | JR「京都」より徒歩18分 |
公式ホームページ:浄土真宗本願寺派(西本願寺)-親鸞聖人を宗祖とする本願寺派
5 .東本願寺<下京区>
西本願寺ほどではありませんが、東本願寺でも美しい彼岸花を見ることができます。
広大な東本願寺ですが、ずらりと並ぶ彼岸花を見られるのは境内北側の花屋町通沿いです。
なまこ塀をバックに真っ赤な彼岸花が咲きます。
田園でよく見られる彼岸花としては、かなり珍しい光景を楽しめます。
境内ではないので、閉門時間でもいつでも見ることができます。
東本願寺から烏丸通を隔てた東側の安全地帯にも、彼岸花が咲きます。
それほど多くの彼岸花が咲くわけではありませんが、車窓からも眺めることができます。
拝観時間 | 3月~10月 5:50~17:30 11月~2月 6:20~16:30 南周濠は日中随時エリア |
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拝観料 | 境内自由 |
TEL | 075-371-9181 |
住所 | 京都市下京区烏丸七条上ル |
アクセス | 地下鉄「五条」より徒歩5分 JR「京都」より徒歩7分 |
公式ホームページ:東本願寺
6. 法住寺(ほうじゅうじ)<東山区>
三十三間堂や養源院などの隣にある小さなお寺の法住寺では、門前にずらりと彼岸花が並びます。
京都国立博物館や智積院も近い、観光名所が集まるエリアです。
同時期には境内では萩も見頃を迎えます。
萩の穴場スポットとして知る人ぞ知るお寺ですが、彼岸花も楽しめます。
拝観時間 | 9:00~16:30 |
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拝観料 | 境内自由 |
TEL | 075-561-4137 |
住所 | 京都市東山区三十三間堂廻り655 |
アクセス | 京阪「七条」より徒歩8分 |
公式ホームページ:後白河法皇御所聖跡 天台宗 法住寺
7. 宇治市植物公園<宇治市>
京都府立植物園に次ぐ京都の花の名所である宇治市植物公園でも、初秋には彼岸花が開花します。
彼岸花と白花彼岸花のみで、園芸品種があるわけではありませんが、春のゾーンの林間で美しく咲いています。
宇治の丘陵地帯上にあるため、彼岸花の向こう側に市街地が広がる景色を楽しむことができます。
平地で見ることが多い彼岸花にとって、あまり見ないアングルの光景です。
密集した咲いているわけではありませんが、彼岸花はそこかしこで咲いています。
白花彼岸花の比率も高めです。
休園日 | 月曜日(祝日の場合は翌日) |
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入園時間 | 9:00~17:00(受付終了は16:00) |
入園料 | 大人:600円 小人:300円 幼児:無料 |
TEL | 0774-39-9387 |
住所 | 京都府宇治市広野町八軒屋谷25-1 |
アクセス | JR「宇治」よりバス 近鉄「大久保」よりバス |
公式ホームページ:宇治市植物公園(公式ホームページ)
8. 神泉苑(しんせんえん)<中京区>
二条城の南側に広がる神泉苑では、彼岸花ではなく白花彼岸花が主役です。
かつては平安京の広大な庭園の一部であった池の周囲咲きます。
白花彼岸花には、多少の違いがありますが、神泉苑の白花彼岸花はややピンクがかっているのが特徴です。
赤い彼岸花はあまりありませんが、市内にある穴場スポットです。
拝観時間 | 境内自由 |
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拝観料 | 日中随時 |
TEL | 075-821-1466 |
住所 | 京都市中京区御池通神泉苑町東入門前町167 |
アクセス | 地下鉄「二条城前」より徒歩で3分 |
公式ホームページ:神泉苑
9. 禅定寺(ぜんじょうじ)<宇治田原町>
宇治の奥、宇治田原町禅定寺にある禅定寺では、山門へと至る参道の脇を彼岸花が埋め尽くします。
密集して咲く真っ赤な彼岸花は、じゅうたんのようです。
ほとんど知る人もいない穴場の名所です。
今は穴場ですが、これからもう少し知名度が上がっていくのではないでしょうか。
彼岸花が咲くスペースでは、彼岸花が終るころになると、櫓が組まれます。
櫓で天日干しされるのが、宇治田原の名産のころ柿(孤狼柿)です。
宇治田原の秋の風物詩として知られます。
拝観時間 | 9:00~16:00 |
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拝観料 | 500円 |
TEL | 0774-88-4450 |
住所 | 宇治田原町大字禅定寺小字庄地100 |
アクセス | 京阪宇治バス「維中前」バス停より2km |
公式ホームページ:禅定寺 - 禅定寺
10. けいはんな記念公園<精華町>
京阪奈丘陵に広がる関西学研都市に整備された、けいはんな記念公園は1995年の開園です。
広大な公園のうち、有料区域は水景園と言います。
観月橋や永谷池など見どころの多い水景園ですが、彼岸花が咲くのは園内南部の里棚田です。
かつての日本の田園風景を再現した里棚田では、初秋になると彼岸花が咲きます。
刈取りの終った棚田で、かかしをバックにした彼岸花を楽しむことができます。
白花の彼岸花や、その他リコリスの仲間も咲いています。
農業用ではなく、人工的に作られた棚田ですが、穴場スポットです。
休園日 | 12月28日~1月4日 |
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入園時間 | 9:00~17:00(受付終了は16:30) |
入園料 | 一般: 200円 中学生以下:100円 |
TEL | 0774-93-1200 |
住所 | 相楽郡精華町精華台6-1 |
アクセス | JR「祝園」近鉄「新祝園」より2km |
公式ホームページ:けいはんな記念公園 | 文化を大切にした水と緑のあふれる公園
11. 恭仁宮跡(くにきゅうせき)<木津川市>
コスモスで知られる木津川市加茂の恭仁宮跡ですが、ひとあし早く彼岸花が見頃を迎えます。
史跡として保存されている恭仁宮跡ですが、南側の山城国分寺跡の石碑あたりがもっとも彼岸花がたくさん咲きます。
恭仁宮には、遷都にともない平城宮の大極殿が移築されました。
わずか3年で恭仁京から紫香楽宮、難波京を経て平城京へと都は戻りました。大極殿はそのまま残され、山背国分寺の金堂として転用されました。
山背国分寺の金堂は焼失し、山背国分寺自体も衰微して廃絶し、今は跡が残るのみです。
かつての栄華を偲ぶものは、石碑しか残っていません。
恭仁宮跡では、同時期にコスモスも咲き始めます。コスモスは恭仁宮跡でも北の方に多く、彼岸花とは少しだけ場所が異なります。
周辺には今も田園風景が広がり、畝には多くの彼岸花が咲き誇ります。
見学時間 | 日中随時 |
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見学料 | 境内自由 |
住所 | 木津川市加茂町例幣中切 |
アクセス | JR「加茂」から徒歩30分 |
関西の彼岸花の名所
京都だけでなく、奈良や滋賀などの関西を代表する彼岸花スポットを紹介します。
奈良県の彼岸花スポット
関西を代表する彼岸花スポットといえば、やはり明日香は外せません。
1. 稲渕<明日香村>
京都の彼岸花スポットを紹介する本記事ですが、京都以外でどうしても紹介したいのが、奈良県明日香村の彼岸花です。
関西でも最も美しい彼岸花が見られます。
日本の古代の中心地であった明日香では、今も古くからの美しい田園風景が残ります。
初秋には、美しい彼岸花が田畑を彩ります。
中でも、明日香の奥にある稲渕では、美しい棚田に彼岸花が咲き誇る関西でも随一の名所です。
美しい彼岸花たちは必見です。
稲渕は、日本の棚田百選、にほんの里100線、重要文化的景観にも選ばれている棚田です。なだらかな斜面には300枚あまりの田んぼが並ぶ美しい景観は、日本の原風景と呼ぶにふさわしいところです。
例年彼岸花の開花時期には「飛鳥 光の回廊」「彼岸花祭り」が開催されます。
2020年は新型コロナウイルス感染防止対策のため、中止となりました。
「彼岸花祭り」がない2020年の明日香ですが、稲渕の「かかしコンテスト」は2020年も開催されています。
稲渕の棚田にたくさん並ぶかかしですが、毎年ひとつだけ巨大なジャンボかかしが展示されます。
毎年時事ネタがモチーフとしたかかしがたくさん登場しますが、中でも注目を集めるのがジャンボかかしです
2020年は志村けんのバカ殿でした。
志村けんが亡くなって間もなく半年が経とうとしています。
今もあのときの驚きと悲しみを思い浮かべるという方も多いでしょう。
「大丈夫だぁ~」と言っているジャンボかかしを見て、少し涙ぐんでしまいました。
公式ホームページ:明日香村観光ポータルサイト | 旅する明日香ネット
2. 明日香
稲渕以外にも、明日香では各所で彼岸花が咲きます。
高松塚古墳に石舞台古墳、キトラ古墳など、名立たる観光名所で美しい彼岸花を見ることができます。
古代のロマンを探訪しながら、彼岸花を楽しむことができます。
明日香の彼岸花巡りは、自転車が便利です。
自動車は駐車場所が限られてしまうため、どこかで停めてレンタサイクルを使うのがおすすめです。
中心部だけであれば、それほど起伏はなく楽しくサイクリングを楽しむことができます。
自信がない方は、電動機付きや変速機付きを使うのが良いでしょう。
例年は、「彼岸花祭り」でライトアップも行われます。
桜や紅葉と異なり、彼岸花のライトアップはかなり珍しいでしょう。
いつもとは違った艶やかさを見せてくれます。
2020年は彼岸花の開花が遅めです。
9月下旬から10月初めにかけて見頃を迎える見込みです。
田園の広がる明日香では、農産物の直売所などもあちこちにあります。
散策に疲れたら、ゆっくりと座って地元産の果物をいただきながらゆっくりすることもできます。
明日香の棚田といえば、稲渕が有名ですが、談山神社へと向かう途中にある細川でも見事な棚田が広がります。
稲渕とは異なり、かなりの穴場です。
稲渕と比べると、開花が早めなのでご注意ください。
公式ホームページ:明日香村観光ポータルサイト | 旅する明日香ネット
3. 葛城古道<御所市>
葛城山、金剛山の東麓を結ぶ葛城古道は、彼岸花の名所として知られます。
山麓の緩斜面に広がる田畑の畔を真っ赤な彼岸花が彩ります。
葛城古道は、鴨都波神社、鴨山口神社、一言主神社、高鴨神社などの古い歴史を誇る古社寺をつなぎます。
これらの「鴨」のついた神社は、京都の上賀茂神社、下鴨神社のルーツであるとも言われます。
葛城古道という呼称自体は、それほど歴史があるものではありません。
道標が整備されたのも、それほど古いわけではありません。
しかし、「西の山の辺の道」とも言われ、じわじわ人気を集めつつあります。
葛城地方は、かつて天皇家と肩を並べる勢力を誇った大豪族・葛城氏の本拠地でした。
今はただ田園が広がるのみですが、かつての栄華を偲ぶ数々の遺跡が発見されています。
同じく彼岸花で有名な明日香よりも、さらに古い時代に栄えた地方です。
葛城古道のなかでもよく知られている神社は、「いちごんさん」として親しまれている一言主神社です。
どんな願いも一言で叶えてくれるというありがたい神社です。
全国に100社あるという一言主神社の総本社です。
拝観時間 | 日中随時 |
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拝観料 | 境内自由 |
TEL | 0745-66-0178 |
住所 | 御所市森脇432 |
アクセス | 近鉄・JR「御所」より50分 |
4. 九品寺(くほんじ)<御所市>
あちこちで彼岸花を楽しめる葛城古道の中でも、最も美しい彼岸花を見られるのが、九品寺です。
葛城山麓のやや高台にある九品寺は、行基が開いたといわれる古刹です。
境内の千体石仏などが有名です。
九品寺の駐車場の脇には、一面彼岸花が咲いた美しい景色を見ることができます。
高台にあるため、彼岸花の向こう側には、畝傍山や明日香などの奈良盆地が広がる絶景を見ることができます。
葛城古道歩きのハイカーだけでなく、マイカーで九品寺を訪れる人も多いです。
古代のロマンあふれる葛城の地です。
拝観時間 | 日中随時 |
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拝観料 | 境内自由 |
TEL | 0745-62-3001 |
住所 | 御所市楢原1188 |
アクセス | 近鉄・JR「御所」より40分 |
滋賀県の彼岸花スポット
京都のお隣、滋賀県の彼岸花スポットを紹介します。
滋賀県にも、関西を代表する彼岸花スポットがいくつかあります。
① 徳山<長浜市>
滋賀県長浜市の郊外にある徳山町では、約10万本の彼岸花が咲き誇ります。
湖北の名峰・金糞岳(かなくそだけ)から発し、姉川へと合流する草野川の中流域にある徳山町では、堤防沿いなどで見事な彼岸花を見ることができます。
2007年頃から植えられ始めた彼岸花は、関西でも最大級の10万本です。
堤防上の遊歩道の両側を彼岸花が彩ります。
気温の低い湖北にありながら、2020年は9月末でもまだ三分咲き~五分咲き程度と、京都市内と同じくらいかやや遅いくらいの開花状況です。
地元の方に聞かれて「京都から来た」と言うと、「わざわざ遠くから来てもらったのに申し訳ない。来週満開になるだろうし、また来て」と言われました。
例年は彼岸花の時期には各種イベントも行われますが、2020年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、中止となりました。
例年は駐車場所が限られており、停めるところに難儀するようなのでご注意を。
公式ホームページ:長浜・米原・奥びわ湖を楽しむ観光情報サイト
② 桂浜園地<高島市>
白砂青松の湖岸沿いの桂浜園地では、秋には群生する彼岸花を見ることができます。
黒松の木立のなかを、じゅうたんのような彼岸花が広がります。
1万本と言われますが、もっと多いかもしれないくらいです。
冬季には雪の多い地域ですが、京都市内と開花時期は同じくらいになります。
「びわいち」と言われる琵琶湖一周サイクリングロード沿いなので、サイクリストの姿も多く見かけるのも、関西の他の彼岸花スポットにはない特徴です。
広大な琵琶湖をバックに映える彼岸花は、関西でも他には見られない美しい光景です。
公式ホームページ:びわ湖高島観光ガイド | 滋賀県高島市の観光情報です。スポット情報やイベント情報、各エリア情報などを掲載しています。
おわりに
静かな田園風景が良く似合うのが京都の彼岸花。
彼岸花はソメイヨシノのように一斉に咲いて一斉に散ります。
彼岸花の見頃の時期は、見計らうのが難しい花です。京都でも同じ場所の同じ日でも年によって咲きはじめだったり、散りかけだったりとバラバラなのが彼岸花です。
MKの観光貸切タクシーなら、交通の便の悪い京都郊外にも簡単にアクセスできます。予定の場所の開花状況がイマイチであったとしても、今見頃の場所にご案内することもできます。
京都には、穴場から定番までたくさんの彼岸花スポットがあります。
観光・おもてなしのプロといっしょに一味ちがう京都旅行を体験してみませんか?
秋の京都を彩るおすすめの花
秋の京都は彼岸花だけではありません。9月中旬から10月はじめまで、京都は彼岸花一色です。京都の秋を美しく彩るのは、彼岸花だけてはありません。京都の秋に咲く、彼岸花以外の花々を紹介します。