秋の七草のひとつ。京都の「藤袴(フジバカマ)」おすすめスポット10選
秋の七草のひとつとして知られる「藤袴(フジバカマ)」。山野で自生しているのはほとんど見かけませんが、京都では「絶滅寸前種」に指定されているのでやむを得ません。
しかし、1998年に京都の大原野で再発見された野生種の藤袴が、京都各地の寺社へと広がり、美しい花を咲かせているのをよく見かけます。
藤袴の魅力は、花そのものの美しさだけではありません。吸蜜のためにたくさんの蝶が藤袴へ群れ集い、美しいアサギマダラやツマグロヒョウモンなどが乱舞する光景はまさに楽園です。
2023年は猛暑のためにフジバカマの開花もアサギマダラの飛来も遅れ気味です。
10月上旬から中旬ごろがフジバカマもアサギマダラも見頃になりそうです。
藤袴(フジバカマ)とは
藤袴について
藤袴は、キク科ヒヨドリバナ属の花です。
花が藤色で袴のような姿をしていることが藤袴という名称の由来です。
秋の七草のひとつで、日本書紀や万葉集、源氏物語にも登場し、古くから日本人に愛されてきました。
かつては本州以南の山野で広く自生していましたが、近年は減少しており、京都府改訂版レッドリスト2022でも絶滅寸前種として掲載されています。
環境省レッドリストでも準絶滅危惧種として掲載されています。
アサギマダラなどの蝶の吸蜜植物であり、多くの蝶が蜜を求めて集まります。
園芸種として流通している藤袴のほとんどは、コバノフジバカマあるいはサワフジバカマですが、京都では自生種のフジバカマをあちこちで見ることができます。
京都と藤袴(フジバカマ)
京都でも広く自生していた藤袴ですが、河川整備や宅地配達に伴い生息地を奪われ、激減していました。
既に京都府内では藤袴は絶滅したかと思われていました。
1997年に大原野(おおはらの)の溜池である明治池のあぜで再発見されました。明治池は、「なりひら寺」としても知られる十輪寺の北東200メートルほどのところにあります。
富山県中央植物園の研究員である橋屋誠さんが、大原野で植物を調査中に、明治池付近に自生している藤袴の小群落を1997年に発見しました。
自生の藤袴群落はその後まもなく自然消滅し、大原野の藤袴はいったん絶えてしまいました。
しかし、藤袴を再発見した橋屋誠さんが保存のため、藤袴を富山県中央植物園に増殖していました。
自生していた大原野で野生の藤袴を取り戻すため、2004年に大原野発祥の藤袴の子孫50株が里帰りし、大原野神社の一角で育てはじめられました。
2005年から大原野神社のフジバカマ苑が一般公開されるようになり、京都各地へと広がっていきました。
その後、保津峡などでも原種の藤袴が分布しているのが発見されました。
2011年からは水尾の休耕田での植栽もはじまりました。
京都で藤袴(フジバカマ)を楽しめるスポット
① 大原野フジバカマ園(おおはらの)<西京区>
2024年10月6日をもって、大原野フジバカマ園は閉園となりました。
おすすめポイント
京都府より絶滅寸前種に指定されている藤袴の野生種が大原野小塩町(おしおちょう)付近で自生しているのが1998年に発見されました。
現在、京都各地の寺社や公園で咲く藤袴の野生種は、ほとんどが発見された株を増殖したものです。
栽培種や近縁のヒヨドリバナとの交雑を防ぐため、フジバカマ園の花は実ができる前に刈り取り、増殖は全て挿し木によって行われています。
2014年に大原野小塩町に開設されたフジバカマ園では、9月下旬になるとフジバカマ祭りが開催されていました。
約1,000株の藤袴が咲き誇り、地元の特産品を販売する模擬店が開設されます。
藤袴の見頃は9月下旬~10月初めです。
大原野フジバカマ園としての開園期間は、2024年9月21日(土)~10月6日(日)でした。
9月21日(土)~23日(月祝)には、最後の開催となる「第11回フジバカマ祭り」が開催されました。
フジバカマ園では、地元大原野産の加工品等の販売が行われます。
2024年の藤袴は開花が遅めなので、フジバカマ祭りの時点ではまだつぼみが目立ちました。
京都盆地の西側にあり、朝には太陽が昇ってくるのを見ることができる位置にあります。
大原野フジバカマ園は開園時間は定められていません。早朝から夕暮れどきまでいつでも入園可能です。
朝6時台の早朝にはなってしまいますが、淡い紫色をした藤袴の花に、オレンジ色をした朝日がぴったりあいます。
まだアサギマダラなどが飛んでくる前ですが、一度は見てほしい絶景です。
しかし、2024年をもって大原野フジバカマ園は閉園となりました。
毎年約3千人が訪れる大原野フジバカマ園でしたが、高齢化が進み維持管理が困難になりつつありました。
2020年に現在地へと移転して5年がたち、連作障害を防ぐために再移転が必要な時期でしたが、移転作業が困難な見込みのために閉園が決定しました。
本来は2023年までに閉園の予定でしたが、2024年の大河ドラマ「光る君へ」の放映にあわせて1年間だけ延期していました、
近隣の洛西ニュータウンの小畑川河川敷にも藤袴が植えられています。
開花期には藤袴自由鑑賞会も開催されます。
入園情報
2014年に開設された大原野フジバカマ園は、2019年までは大原野小塩町の善峯寺(よしみねでら)へと登る途中の山間にありました。
標高が高く、京都盆地を見下ろすことができる立地でした。
2020年からフジバカマ園が大原野南春日町へと約2kmほど北東へ移転しました。
藤袴は連作障害がおきやすい植物です。連作障害を避けるのが移転の大きな理由です。
移転に伴い、フジバカマ園へのアクセスも良くなりました。
近隣の洛西ニュータウンからの散歩圏内です。
フジバカマ園が移転したのは、大原野神社の東麓に広がる田園風景の中です。
休耕田を利用して整備されています。
大原野南春日町でも、移転前と同じく、1,000株の藤袴が咲き誇ります。
洛西ニュータウンから歩いて行くことも可能ですが、駐車場はないのでご注意ください。
南春日町のバス停からも歩いて5分程度です。
鉢植えではなく、地植えの藤袴が密集してずらりと植えられています。
園内に入ると、藤袴の良い香りがそこはかとなく漂ってきます。
アサギマダラをはじめとする蝶たちもフジバカマに集まってきます。
静かな田園の中、まるで別天地にいるような気分になります。
ゆっくりじっくりと藤袴や蝶たちを楽しんでいきましょう。
フジバカマ園の周囲には、近隣にある上里小学校の児童が作ったかかしが取り囲んでいます。
入園は無料ですが、維持管理費用を捻出するための募金箱が設置されています。
開園期間 | 2023年9月23日(土祝)~10月8日(日) |
開園時間 | 入園随時 |
入園料 | 寸志 |
住所 | 京都市西京区大原野南春日町 |
アクセス | 阪急バス「南春日町」バス停より徒歩5分 |
公式ホームページ:なんやかんや大原野 ホームページ – なんやかんや大原野
同時期の大原野ひまわり畑もおすすめ
「え!?今頃ひまわり大原野」として知られる遅咲きのヒマワリ園もすぐ近くにあります。
フジバカマの開花シーズンともかぶるので、両方一緒に楽しむことができます。
ヒマワリ園は、2020年までは移転後のフジバカマ園の近隣でしたが、2021年には徒歩15分程度のところへ移転しました。
大原野エリアのフジバカマ
藤袴の原種が発見された大原野エリアでは、フジバカマ園以外にも藤袴の鉢植えが設置されています。
中でも大原野神社では、社務所前や本殿前に鉢植えの藤袴が多く並べられており、楽しむことができます。
大原野神社の境内は、発見された原種の藤袴栽培が最初に行われたところです。
今は鉢植えの藤袴ですが、アサギマダラなどの蝶がいつも飛び交っています。
大原野神社では期間限定の「フジバカマ御朱印」も授与されています。
2023年の開花は遅めでしたが、10月に入って見頃を迎えました。
4棟が並ぶ大原野神社の春日造の本殿は、京都市指定文化財です。
② 梅小路公園・朱雀の庭(すざくのにわ)<下京区>
おすすめポイント
朱雀の庭では、藤袴の開花期の9月末から10月上旬ごろには藤袴をテーマとした「藤袴と和の花展」が開催され、2023年で13回目を迎えていました。
2023年9月23日(土祝)~10月9日(月祝)に開催されました。
ただし、9月25日(月)と10月2日(月)は定休日です。
朱雀の庭の園内に鉢植えの藤袴がずらりと並んだ姿は壮観です。
2023年は高温による生育不良で例年よりも藤袴の数は減っています。
それでも100鉢500株の藤袴がずらりと並び、蝶が乱舞する様子は、さながら楽園です。
美しいアサギマダラがあそこでもここでも藤袴で蜜を吸っている姿を見ることができます。
アオスジアゲハの姿をよく見かけるのも朱雀の庭の特徴です。
暑さにも強いため、アサギマダラの姿をあまり見かけない昼間には、アオスジアゲハの姿はかなり目立ちます。
アサギマダラは見られなくても、たくさんのアオスジアゲハを見られたら満足するでしょう。
その他にもツマグロヒョウモンやアオスジアゲハ、タテハチョウなどたくさんの美しい蝶が藤袴に集まり、蝶のお勉強をするにももってこいです。
過去には藤袴の夜間ライトアップも実施されたこともあります。
またライトアップをやってもらえないものでしょうか。
藤袴の見頃は9月末~10月中旬ごろです。
藤袴以外にはも約20種の希少植物があずまやなどで展示されています。
入園情報
「朱雀の庭」は京都への平安建都1200年を記念し、京都の技術の粋を結集してつくられた池泉回遊式の日本庭園です。
水鏡を中心に、野筋(のすじ)や築山が配され、歩くにつれて大きく景色が変わっていきます。
通常は水鏡の上には入れませんが、藤袴と輪の花展では水鏡の上に架設道が設けられ、水鏡に並んだ藤袴を間近で見ることができます。
梅小路公園は、1995年に貨物駅の跡地に開園した13.7haの公園です。園内には芝生広場や朱雀の庭など、様々な景色を楽しむことができます。
京都水族館や京都鉄道博物館に続き、2019年には新たに梅小路京都西駅が開業しました。
続々とホテルもオープンするなど、大きく変わりつつあるエリアです。
朱雀の庭(梅小路公園は日中随時園内自由です)
休園日 | 月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始 |
入園時間 | 9:00~17:00(入園は16:30) |
入園料 | 小学生以上 200円 |
TEL | 075-352-2500 |
住所 | 京都市下京区観喜寺町56-3 |
アクセス | JR「梅小路京都西」よりすぐ |
藤袴と和の花展
開催期間 | 2023年9月23日(土祝)~10月9日(月祝) |
休園日 | 9月25日(月)と10月2日(月) |
公式ホームページ:梅小路公園| 京都市都市緑化協会
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③ 〈寺町通その1〉革堂行願寺(こうどう ぎょうがんじ)<中京区>
おすすめポイント
2023年は10月13日(金)~16日(月)に寺町通の「藤袴祭」が開催されます。
革堂行願寺は藤袴祭のメイン会場です。
10月14日(土)には「藤袴と秋の花いけばな教室」、15日(日)・16日(月)の10~15時には「藤袴茶会」が開催されます。
例年は、他の会場が藤袴祭期間前後だけなのに対し、革堂行願寺では9月になると境内には鉢植えの藤袴が並べられます。
本堂正面だけではなく、北側にある都七福神のひとつである寿老人神堂などへの参道の両側にもたくさん鉢植えの藤袴が並びます。
それほど広くはない境内は、まさに藤袴で埋め尽くされます。
革堂行願寺の境内には藤袴の香りが漂います。
一年を通じて参拝者が絶えない革堂行願寺ですが、藤袴のシーズンは一段と賑わいを見せます。
藤袴の見頃は10月上旬~中旬です。
革堂行願寺では、アサギマダラの願い札というのもあります。
裏側に願いごとを書いて祈願する絵馬のようなものです。アサギマダラが藤袴にとまって羽を休めている姿が描かれています。
革堂行願寺本堂の前には、アサギマダラの願い札を吊り下げるための大きな藤袴の鉢植えが置かれます。
アサギマダラの願い札は、後日願いが叶うように祈願しながらお火焚きされます。
もちろん、願い札だけではなく本物のアサギマダラと出会うこともできます。
京都の中心部にある革堂行願寺ですが、アサギマダラの飛来スポットです。
美しくひらひらと舞うアサギマダラを見られるかもしれませんよ。
藤袴祭を主催する源氏藤袴会による藤袴の育成・保全プロジェクトは、2019年に京都市より「京の生きもの・文化協働再生プロジェクト」の第24号に認定されました。
この制度は、京都の祭りや文化を支えてきた生きものの保全・再生を実施する団体の取組を京都市が認定し,支援する事業です。
2014年からはじまり、2021年8月時点で28件が認定されています。
拝観情報
寛弘元年(1004年)創建と伝えられ、京都の各地を転々とし、宝永5年(1708年)に現在地へと落ち着きました。
皮聖(かわのひじり)といわれた行円によって創建されたため、革堂行願寺という通称で呼ばれることが多いです。
西国三十三ヶ所の第19番札所であり、都七福神のひとつとして寿老人を祀り、洛陽三十三所観音霊場の第四番札所でもあります。
いわば巡礼のメッカとして、四季を通じて多くの巡礼者で賑わいます。
革堂行願寺のアイドルである猫ちゃんたちもあちこちにいます。
夏には鉢植えの蓮がずらりと並びますが、秋の雰囲気が濃くなって来ると、いつの間にか藤袴の鉢植えに変わっています。
以前から境内には猫があちこちにいるお寺ですが、最近は猫のお寺としても売り出し中です。
拝観時間 | 8:00~16:30 |
拝観料 | 境内自由 |
TEL | 075-211-2770 |
住所 | 京都市中京区寺町通竹屋町上ル行願寺門前町 |
アクセス | 京阪「神宮丸太町」より徒歩10分 |
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④ 〈寺町通その2〉下御霊神社(しもごりょうじんじゃ)<中京区>
おすすめポイント
革堂行願寺の北隣にあり、藤袴祭では革堂行願寺に次ぐ規模で藤袴の展示が行われます。
期間中には藤袴グッズなどを販売する「なごみ市」も催されます。
鳥居前から拝殿の周囲、本殿の前などたくさんの鉢植えの藤袴が置かれています。
4日間の藤袴祭期間だけでなく、その前後も藤袴の展示が行われます。
藤袴祭では、10月13日(金)には「二胡演奏」、14日(土)には「アイリッシュライブ」、15日(日)には「紙芝居と歌」などが催されます。
藤袴祭スタンプラリーの景品引き換え所は、下御霊神社です。
革堂行願寺、下御霊神社、洛陽教会、新島会館、京都市歴史資料館、清荒神、廬山寺、梨木神社、白雲神社、宗像神社、厳島神社、護王神社、菅原院天満宮神社、山紫水明処頼山陽邸、興聖寺、京都ハリストス正教会にさらに2ヶ所が加わり、計19ヶ所がスタンプラリー会場となります。
10ヶ所以上スタンプがあると、お茶やあぶらとり紙、絵はがき、お米、雑貨などから景品をもらうことができます。
引き換えは下御霊神社だけですので、スタンプラリーに参加する方は、コース取りに気を付けてください。
下御霊神社境内に並ぶ藤袴の多くを占める青い鉢に入った藤袴は、近隣の御所南小学校の児童が育成した藤袴です。
美しく咲く藤袴や飛来するアサギマダラを楽しみに、一生懸命育ててくれた藤袴たちです。
青い鉢にはひとつひとつ児童たちの名前も記載されています。
下御霊神社の藤袴の見頃は10月上旬~中旬です。
拝観情報
政争に巻き込まれて非業の死を遂げた8人の人物を八所御霊として祀る神社です。
疫病や天災は怨霊の祟りと考えられ、貞観5年(863年)に怨霊を鎮めるために催され御霊会(ごりょうえ)が下御霊神社のはじまりです。
皇居の産土神として、歴代の天皇や公家から篤い信仰を集めてきました。
拝観時間 | 6:00~20:00 |
拝観料 | 境内自由 |
TEL | 075-231-3530 |
住所 | 京都市中京区寺町通丸太町下ル |
アクセス | 京阪「神宮丸太町」より徒歩7分 |
公式ホームページ:下御霊神社 – 御霊八所の神、霊元天皇、山崎闇斎を祀り疫病災厄から朝廷と都民を守護する神社
⑤ 〈寺町通その3〉寺町通界隈
藤袴祭期間中には、寺町二条から寺町今出川あたりまでの社寺や道端でたくさんの鉢植えの藤袴が展示され、アサギマダラなどが飛び交います。
藤袴祭は、スタンプラリーや販売会、演奏会なども催される手づくりのイベントです。
寺町通の二条通~丸太町通間では、点々と藤袴が咲いているのを楽しむことができます。
藤袴の見頃は10月上旬~中旬です。
廬山寺(ろざんじ)<上京区>
正式には廬山天台講寺(ろざんてんだいこうじ)といい、京都で皇室の仏事を担う四箇本寺の一つとして高い格式を誇った寺院です。
現在地は紫式部の邸宅跡と推定され、源氏物語執筆の地として知られます。
もしかしたら、この地で藤袴を眺めながら源氏物語「藤袴」を執筆したのかもしれませんね。
拝観受付前に数個の鉢植えが置かれています。拝観料が必要な寺院ですが、拝観受付手前なので自由に入れます。
2023年は10月14日(土)に廬山寺の執事長により特別講演企画が行われます。
拝観時間 | 9:00~16:00 |
拝観料 | 大人 500円 小中学生 400円 |
TEL | 075-231-0355 |
住所 | 京都市上京区寺町通り広小路上る北之辺町397 |
アクセス | 京阪「出町柳」「神宮丸太町」より徒歩15分 市バス「府立医大病院前」より徒歩5分 |
公式ホームページ:天台圓淨宗 廬山寺公式HP
梨木神社(なしのきじんじゃ)<上京区>
狭い境内には約500株もの萩が植えられており、「萩の宮」とも称される京都随一の萩の名所である梨木神社。
例年は藤袴祭のころには、萩は既に散りつつありますが、萩にまじって藤袴が満開です。
梨木神社だけ鉢植えではなく、地面から生えた藤袴なので、藤袴祭期間以外にも見ることができます。
場所によっては、萩と藤袴が並んで咲いています。
同じく秋の七草の萩と藤袴ですが、案外同じところで見られることは多くはありません。
梨木神社では萩と藤袴の共演を見ることができます。
拝観時間 | 日中随時 |
拝観料 | 境内自由 |
TEL | 075-841-7878 |
住所 | 京都市上京区下立売通西大路通東入ル |
アクセス | 市バス「府立医大病院前」より徒歩3分 |
公式ホームページ:梨木神社
新島襄旧邸(にいじまじょう きゅうてい)<上京区>
この地で1875年に同志社大学の前身である同志社英学校が開校しました。翌年には今の今出川キャンパスへと移転し、跡地は新島襄の邸宅となりました。
藤袴祭期間中は10:00~16:00に通常公開が行われます。建物内部には入れませんが、敷地内から外観を見学することができます。
なお、2023年は藤袴祭に先立つ10月1日(日)~5日(木)には、建物内部も公開される「秋の特別公開」が開催されます。
南隣の洛陽教会と北隣の京都市歴史資料館にも鉢植えの藤袴が展示され、スタンプラリーの会場にもなっています。
通常公開期間 | 2023年9月2日~11月30日の毎週の火・木・土曜日(祝日は除く) |
特別公開期間 | 2023年10月1日~5日 |
公開時間 | 10:00~16:00(入館は15:30まで) |
入館料 | 無料 |
住所 | 京都市上京区寺町通丸太町上ル松陰町18 |
アクセス | 京阪「神宮丸太町」より徒歩10分 |
公式ホームページ:新島旧邸|同志社大学 同志社社史資料センター
京都市歴史資料館〈上京区〉
京都市歴史資料館の入り口前にも、鉢植えの藤袴が並んでいます。
京都市歴史資料館は、京都の歴史資料の保存活用を目的とした資料館です。前身は京都市史編さん所で、1982年に開館しました。
多くの所蔵資料が年間4回の特別展で順次出陳されます。
展示施設というよりも調査研究施設という雰囲気が強く、初心者向けの展示というよりも、テーマを絞った個性ある展示が特徴です。
2023年10月1日(日)から12月24日(日)まで特別展「人びとは、京をどう生きたか?―館蔵品をひもとけば―」を開催中です。
映像展示室は2021年10月に第二展示室としてリニューアルしています。
入館は無料というのも大きな特徴です。ぜひお立ち寄りください。
開館時間 | 9:00~17:00 |
定休日 | 月曜日、祝日 |
入館料 | 無料 |
住所 | 京都市上京区寺町通荒神口下る松蔭町138番地の1 |
アクセス | 京阪「神宮丸太町」より徒歩10分 |
御所東小学校前(河原町丸太町)
寺町通からは少し外れますが、藤袴祭でも最も密度が高い藤袴が見られるのが河原町丸太町北東角の御所東小学校前です。
交差点の北西角に鉢植えの藤袴がずらりと並びます。通勤通学で道行く人たちは足早に通り過ぎますが、なかなか壮観です。
御所東小学校の位置には、かつて1869年開校の春日小学校がありました。
ドーナツ化現象による人口減少で、1995年に近隣の計4校と統合されて御所南小学校となり100年を超える歴史に幕を閉じました。
しかし、都心部への人口回帰によって御所南小学校から分校となり、2018年に御所東小学校として開校しました。
鉢植えの藤袴のなかには、御所東小学校の児童によって育てられた藤袴も多数あります。
アクセス | 京阪「神宮丸太町」より徒歩3分 |
⑥ 竹間公園(ちっかんこうえん)<中京区>
おすすめポイント
竹間公園の藤袴は、こどもみらい館内にある中京もえぎ幼稚園の園児や近隣住民らが育てたものです。
2023年も7月11日に源氏藤袴会から譲られた200株の藤袴の苗が植えられました。
そして藤袴のシーズンを迎えて見事に開花しています。
まとまって植えられている藤袴としては近隣でも革堂と並んで最大級の規模です。
見学情報
竹間公園は、1869年に上京第二十一番組小学校として開校した竹間小学校の跡地を利用した公園です。
竹間小学校は、1995年に近隣小学校と統合されて御所南小学校となり廃校となりました。
小学校跡の南半分は京都市子育て支援総合センター(こどもみらい館)となり、北半分は竹間公園となりました。
「竹間」とは、北の竹屋町通と東の間之町通に由来します。
アクセス | 地下鉄「丸太町」より徒歩2分 |
⑦ 下鴨神社(しもがもじんじゃ)<左京区>
おすすめポイント
下鴨神社の中門を鉢植えの藤袴が飾ります。
大原野で発見された藤袴が京都のいろんな寺社へと広がりましたが、下鴨神社もそのひとつです。
アサギマダラやツマグロヒョウモンなどの美しい蝶が藤袴の蜜を吸いに集まります。
藤袴の見頃は9月末~10月中旬ごろです。
拝観情報
京都最古の神社の一つ。原生林・糺ノ森(ただすのもり)に包まれた静かな社です。
平安京の守り神として信仰されてきました。現在境内のほぼすべての社殿が重要文化財・国宝に指定されています。
拝観時間 | 6:30~17:00 |
拝観料 | 境内自由 |
TEL | 075-781-0010 |
住所 | 京都市左京区下鴨泉川町59 |
アクセス | 京阪「出町柳」より徒歩12分 |
公式ホームページ:下鴨神社|賀茂御祖神社
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⑧ 伏見稲荷大社<伏見区>
おすすめポイント
2019年に新たに京都の藤袴おすすめスポットに仲間入りしたのが伏見稲荷大社です。
啼鳥庵前の八島ヶ池のほとりには、たくさんの藤袴が咲きます。
2018年までも藤袴はありましたが、これほどではありませんでした。
これからに期待です。
藤袴の見頃は9月末~10月中旬ごろです。
拝観情報
商売繁昌で知られるおいなりさん。伏見稲荷大社は全国数万ある稲荷社の総本宮です。初詣の人出は京都のみならず全国でも屈指です。千本鳥居をはじめとし、稲荷山に点々とある小さな祠を結んで無数の鳥居がずらりと並ぶ様子は圧巻です。
今は外国人観光客に大人気ですが、平安時代には既に多くの人が伏見稲荷大社にお参りしていました。
拝観時間 | 日中随時 |
拝観料 | 境内自由 |
TEL | 075-641-7331 |
住所 | 京都市伏見区深草薮之内町68番地 |
アクセス | JR「稲荷」よりすぐ |
公式ホームページ:伏見稲荷大社
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⑨ 京都府立植物園<左京区>
おすすめポイント
園内では、四季彩の丘や植物生態園、北山門付近をはじめ各所で藤袴が咲きます。そして藤袴を求めて蝶が乱舞します。
京都府立植物園の藤袴は、保津峡で発見された野生種の株に由来するそうなので、大原野の系統とは少し異なることになります。
同じく秋の七草である女郎花(オミナエシ)萩(ハギ)、ススキ、桔梗(キキョウ)、撫子(ナデシコ)なども近くで咲いています。
藤袴の見頃は9月末~10月中旬ごろです。
入園情報
1924年に開園した日本を代表する京都の植物園で、京都府民の休日のお出かけ定番スポットです。
広い敷地をぶらぶら歩けば、植物が約12,000種。
桜や梅、つばき、花しょうぶ、あじさいなど昔から親しまれてきた植物のほか、バラ園など左右対称の造形美が楽しめる洋風庭園など変化に富んでいます。
熱帯の植物が見られる温室もあります(別途入館料が必要です)。
休園日 | 12月28日~1月4日 |
入園時間 | 9:00~17:00(受付終了は16:00) |
拝観料 | 一般 :200円 高校生 :150円 中学生以下:無料 |
TEL | 075-701-0141 |
住所 | 京都市左京区下鴨半木町 |
アクセス | 地下鉄「北山」よりすぐ |
公式ホームページ:京都府立植物園
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⑩ 伏見区役所深草支所<伏見区>
2023年は深草支所での藤袴の展示はありません。
深草西浦南公園で展示されています。
おすすめポイント
伏見区では、深草藤袴の会が藤袴の普及活動を行っています。
2013年から「深草のまちで育む藤袴プロジェクト」に取り組むなど、京都でも早くから活動を行っています。
例年、深草支所のほか、深草地域の西浦南公園や深草商店街、藤森神社、深草小学校などで藤袴の展示を行っています。
見学情報
かつては紀伊郡深草町として、京都とは別の町であった深草は、1931年に伏見市などとともに京都市へと編入され、伏見区の一部となりました。
1998年10月に伏見区役所深草支所を含む深草総合庁舎が現在地へと新築移転しました。
今も深草地域の拠点として、様々な展示やイベントが開催されています。
開庁時間 | 8:30~17:00 |
閉庁日 | 土日祝及び年末年始 |
TEL | 075-642-3101 |
住所 | 京都市伏見区深草向畑町93-1 |
アクセス | 京阪「藤森」より徒歩5分 |
閉庁日も館外の藤袴は見学可能です。
2023年の展示はありません。
公式ホームページ:https://www.city.kyoto.lg.jp/fushimi/
藤袴(フジバカマ)についてあれこれ
秋の七草のひとつ
藤袴は、古くから秋の七草のひとつとして愛されてきました。
女郎花(オミナエシ)、尾花(ススキ)、桔梗(キキョウ)、撫子(カワラナデシコ)、藤袴(フジバカマ)、葛(クズ)、萩(ハギ)の7種類で、「秋の七草」と言われます。
“秋”の七草とは言うものの、キキョウやカワラナデシコはむしろ夏の花です。
藤袴など他の花は、秋のなかでも初秋に開花します。
万葉集で山上憶良(やまのうえのおくら)が詠んだ
「萩の花 尾花 葛花 瞿麦(なでしこ)の花 姫部志(をみなへし) また藤袴 朝貌*1の花」
という歌が由来とされています。
なお、万葉集では藤袴が登場するのは、この歌のみです。
当時は藤袴はそれほどメジャーではなかったようです。
七草粥にする春の七草(セリ、ナズナ、ハハコグサ、ハコベラ、ホトケノザ、カブ、ダイコン)のように、食用とする習慣はありません。
藤袴は食用にはなりませんが、古くから乾燥させて香草として使われてきました。
源氏物語「藤袴の巻」
藤袴は、源氏物語の五十四帖の第三十帖です。
巻名は、作中で夕霧が詠んだ「同じ野の露にやつるる藤袴あはれはかけよかことばかりも」という和歌に由来します。
夕霧の玉鬘への秘めた思いを込めた歌です。
主人公・光源氏が37歳の秋にあたります。
令和と藤袴(フジバカマ)
令和の典拠となったのは、万葉集の
「初春令月、気淑風和、梅披鏡前之粉、蘭薫珮後之香」
という序文の一節です。
ここで出てくる「蘭」とは、今のラン科の植物ではなく藤袴のことという説が最も有力です。
秋の花である藤袴がなぜ初春に?というのも疑問を持つかもしれませんが、これは藤袴の葉を乾燥させて作った匂い袋のこととされています。
京都での藤袴の保全・普及活動
守ろう!藤袴プロジェクト
2008年の「源氏物語千年紀」を前に、KBS京都が中心となって「守ろう藤袴プロジェクト」が立ち上げられました。
2010年までの3年間に7,000株もの藤袴を育て、小学校などに分配しました。
梅小路公園の朱雀の庭で毎年開催されている「藤袴と和の花展」も藤袴プロジェクトの一環として2009年から始まりました(2020年・2021年は中止)。
今では京都各所で原種の藤袴を見られるようになりましたが、関係各位のご尽力のおかげです。
源氏藤袴会の活動
京都では、源氏藤袴会が中心となって藤袴の保全活動・普及活動が行われています。
源氏藤袴会は、藤袴が生育できる環境と整える環境保全と、藤袴の利用促進を両輪として活動に取り組んでいます。
これまでは環境保全活動や普及活動が主でしたが、藤袴を製品の素材として積極的に使用する利用促進活動にも力を入れています。
特別講演会「藤袴に含まれる芳香成分の検索とその利用」
2023年7月17日(月祝)には、源氏藤袴会主催の特別講演会がハートピア京都で開催されした。
近畿大学名誉教授の駒井功一郎さんによる「藤袴に含まれる芳香成分の検索とその利用」という講演が行われました。
藤袴には化粧品にも使われている効能がある芳香成分が含まれており、商品化の可能性もあります。
一方で、毒物であるアルカロイド成分を何とかしなければ、例えば口紅としては認可がおりません。
また商品化するには、原料として相当な量の藤袴が必要となり、ハードルは高いという講話が行われました。
100人近く集まった聴衆らの間で、藤袴の効能や活用方法、製品開発にあたってのハードルなどについて、活発な質疑応答が行われました。
園芸種のコバノフジバカマ
一般にフジバカマとして流通している栽培型の花は、自生種のフジバカマとは異なります。自生種のフジバカマは流通が制限されており、誰でも手に入るものではありません。
近年は、栽培型のフジバカマをコバノフジバカマ(小葉藤袴)として、区別するようになっています。
コバノフジバカマは、日本在来のフジバカマとは別に、奈良時代ごろに中国から香草として人為的に持ち込まれた植物です。
日本在来種と比べて栽培しやすいため、園芸では主にコバノフジバカマが利用されてきました。
フジバカマとコバノフジバカマは見た目にも違いがあり、コバノフジバカマの方が葉が細く小ぶり、花色が濃い紫色をしているなどの特徴があります(白花もあり)。葉が小さいという特徴から、コバノフジバカマ(小葉藤袴)と名付けられています。
自生種と栽培型のフジバカマは、形態に違いがあることは知られていたものの、長らく同種の変異とされていました。しかし、近年の研究では、日本在来のフジバカマと中国から帰化したコバノフジバカマは、別種であると認識されるようになりました。
フジバカマとコバノフジバカマは別種ではありますが、容易に交雑します。
自生種のフジバカマを維持するため、コバノフジバカマなどの近縁種と交雑しないよう、関係者の努力が続けられています。
藤袴祭を開催する前述の源氏藤袴会でも、以下の「藤袴三則」を定めています。
- 京都から出さない
- 他の地域から入れない
- 種を作らない
1,2はともかく3は意味がわからないかもしれませんが、これも交雑を防ぐことが目的です。
フジバカマは種ではなく挿し芽繁殖によって増やしています。
京都でも個人宅の庭先などでは、濃い紫色や白花のコバノフジバカマが植えられているのはよく見かけます。
フジバカマと同じくアサギマダラが舞っていることもあります。
乾燥した花を使った「藤袴湯」
甘い香りでリラックス
乾燥させた藤袴の花は、「藤袴湯」に利用されます。藤袴特有の桜餅のような甘い芳香が魅力です。
平安時代から藤袴は香草として匂袋に利用されてきました。
リラックス効果も高く、体臭消臭や美肌効果もあります。
一袋で2回ほど使え、使用後のお湯で洗濯をすると、驚くほど匂いが撮れるそうです。
今回は、革堂行願寺の出店で藤袴湯を購入することができました。
一袋で200円とお手頃価格です。
もちろん、無農薬無添加の素材が使われています。
藤袴湯にも利用されるように、藤袴は漢方薬としても利用されてきました。
乾燥させた茎や葉を利用します。月経促進や利尿、発汗などの効能があります。
2023年は藤袴祭期間中の10月13日(金)~16日(月)には、近隣にある銭湯の玉の湯、桜湯、むらさき湯で藤袴湯が行われます。
出店では、藤袴湯への参加を銭湯関係者に呼びかけるチラシも配布されています。
どんなお風呂なのか、楽しみですね。昨年の様子はこんな感じ。
玉の湯
営業時間 15:00-24:00
定休日 日曜日
桜湯
営業時間 16:30~23:00
定休日 月曜日
むらさき湯
営業時間 15:00~24:30
定休日 月曜日
2023年の藤袴祭の目玉は平八茶屋の「藤袴かま風呂」
源氏藤袴会が開催する藤袴祭の2023年の目玉は、山ばな平八茶屋での「藤袴かま風呂」です。
2023年10月13日(金)~16日(月)の4日間限定で提供されます。
かま風呂とは、日本に古くから伝わるサウナの一種です。
京都でも山ばな平八茶屋にしか伝わらないとても珍しいお風呂です。
大きなかまくら型の竃の内部に敷かれたむしろに横たわって入浴します。
通常のサウナと比べて温度が低いため、長い時間をかけてゆっくりと入ることができます。
体への負担も少なく、もともとは壬申の乱で傷を負った大海人皇子が治療のために使用したのが始まりと伝わります。
藤袴祭の4日間のみは、源氏藤袴会が提供した藤袴入浴剤が使われます。
竃の内部は藤袴の香りで見たられることでしょう。
藤袴かま風呂の利用は、山ばな平八茶屋での食事利用者限定です。
山ばな平八茶屋と言えば、「とろろ汁」がとても有名ですね。
詳細は公式ホームページをご覧ください。
営業時間 | 11:30~15:00(最終入店13:30) 17:00~21:30(最終入店19:00) |
定休日 | 水曜日、他 夏季休業、冬季休業あり |
TEL | 075-781-5008 |
住所 | 京都市左京区山端川岸町8-1 |
アクセス | 叡山電鉄「修学院」より徒歩5分 |
おわりに
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