秋から咲き始める桜として京都で最も有名な妙蓮寺の「御会式桜」とは
目次
京都には、秋から咲く桜があちこちにありますが、中でも最も有名なのが妙蓮寺に咲く「御会式桜(おえしきざくら)」です。
10月の御会式の頃から咲きはじめ、紅葉シーズンに一度目のピークを迎え、桜のシーズンに二度目のピークを迎えます。
花びらを持ち帰ると恋が成就するという伝承もある、ありがたい桜です。
妙蓮寺と御会式について
妙蓮寺について
日蓮宗系の本門法華宗の大本山です。
京都で日蓮宗を広めた日像により、1294年に創建されました。1536年の天文法華の乱で焼亡したのち、豊臣秀吉の京都改造により、寺之内の現在地に移転しました。
かつては27もの塔頭がありましたが、今も8ヶ寺の塔頭が残ります。
「十六羅漢の石庭」といわれる庭園は、江戸時代初めに僧侶の玉淵坊日首(ぎょくえんぼう にっしゅ)により作庭されました。
釈迦如来を中心に、十六羅漢に見立てた石が置かれています。法華曼荼羅の世界をあらわしているともいわれます。
拝観情報
拝観時間 | 10:00~16:00(御会式桜は日中随時エリア) |
拝観料 | 500円(御会式桜は境内自由エリア) |
住所 | 上京区寺ノ内通大宮東入ル |
アクセス | 地下鉄「今出川」より徒歩16分 |
御会式について
御会式とは、仏教各宗派における宗祖らが亡くなった命日に行われる法要のことです。
特に日蓮宗系の宗派が日蓮の命日である10月13日前後に行われる法要を指すことが多いです。
日蓮は、弘安5年(1282年)10月13日に今の池上本門寺で入滅しました。
今も池上本門寺では、御会式が毎年数十万人の参拝者が訪れる一大行事として行われています。
妙蓮寺では、毎年10月12日に本門法華宗三大法要のひとつとして、宗祖御会式の法要が行われます。
以前は。10月12日夜に万灯会も行われていました。
御会式と御会式桜について
御会式桜は、日蓮入滅時に咲いたという言い伝えに由来します。
確かに御会式桜は毎年10月初めごろに開花するため、時期としてはぴったりです。
しかし、この10月13日というのは、太陽太陰暦に基づくものです。
これを太陽暦であるユリウス暦に直すと11月14日になります(1582年施行のグレゴリオ暦だと11月21日)。
つまり、入滅時に咲いたというのは無理があります。入滅時に見頃を迎えていた、というのがもともとの由来ではないでしょうか。
なお、京都で御会式桜といえば妙蓮寺の専売特許ですが、全国的には必ずしもそうではありません。
例えば日蓮入滅地の池上本門寺にも有名な御会式桜があります。
伝説どおりであれば、池上本門寺にあった御会式桜が、妙蓮寺など全国の日蓮宗系の寺院へと広がっていったということになります。
その他にも、日蓮宗系の寺院で御会式桜が植えられている例は多いといいます。
伝説の真偽はともあれ、日蓮宗では十月桜を御会式桜と称していると理解するのが正解でしょう。
池上本門寺(大田区)の御会式桜
御会式桜がある御会式桜が咲くのは、池上本門寺内の子院の首座である本行寺です。
本行寺は、弘安5年(1282年)に日蓮聖人が亡くなった地にあります。
境内のご臨終の間の前に今も御会式桜があります。
御会式桜を訪れたのが9月のため、青々とした葉が茂っており、ぱっと見では花が咲いていません。
しかし、よく見たらあちこちでちらほらと御会式桜が開花しています。
本行寺の御会式桜も妙蓮寺の御会式桜と変わらぬ姿です。
十月桜(ジュウガツザクラ)について
妙蓮寺の御会式桜は、品種としては十月桜になります。
他の日蓮宗系寺院の御会式桜もおそらく同じでしょう。
十月桜は、いくつかある秋から冬に咲く桜の園芸品種の中でも、最もメジャーな桜です。
マメザクラ(豆桜)とエドヒガン(江戸彼岸)の種間雑種で江戸時代から知られている桜です。
京都でも各所で十月桜を見ることができます。
十月桜についての詳細はこちらを参照願います。
秋から春まで御会式桜の開花状況を追う
妙蓮寺では、本堂の前に2本の御会式桜が植えられています。
まず、最初に掲示もされている注意事項から。
御会式桜の花びらは恋愛成就のご利益があるとされています。
ご利益があるのは散った花びらです。
決して咲いている枝をもぎとったりしないようにしましょう。
咲きはじめ(9月下旬~10月)
9月も半ばになると、御会式桜がちらほら咲き始めます。
まだ近くで探せば見つかる程度の咲き具合です。
10月に入ると、枝先のあちこちで開花しはじめます。
日蓮上人の命日である10月13日を迎えると、かなりの数の花が咲きます。
ただし、開花状況には年によって差があり、全く咲いていない年もあります。
秋の開花期(11月~12月)
紅葉が見頃を迎えるころ、御会式桜も秋の見頃を迎えます。
花のひとつひとつも春よりはやや小さめです。
木の全体で桜が開花していますが、秋の開花期のピークでも、花付きは春には及びません。
秋から開花する桜の品種はいくつかありますが、十月桜の秋の花付きは控えめな方です。
いったん花が減る(1~3月上旬)
年が変わると、いったん花の数は減ります。
冬の間もずっと開花は続きますが、一部だけです。
京都の底冷えといわれる寒さがピークを迎える2月にも、御会式桜は咲き続けます。
年によって差はありますが、2月下旬から3月初めくらいには、ほとんどの花が消えます。
春の開花期(3月中旬~4月上旬)
3月の中旬から、再度花が増え始めます。
そして、概ねソメイヨシノと同じ3月末から4月初めごろに満開を迎えます。
ソメイヨシノなどと遜色ないくらいの見事な咲きっぷりです。
なお妙蓮寺にはソメイヨシノも多く植えられており、同時に見頃を迎えています。
開花期間はソメイヨシノよりはやや長めです。
春は秋より花のサイズも大きめです。
開花から7ヶ月を経て、全ての花が散りました。
また5ヶ月後に会いましょう。
おわりに
京都の秋と言えば紅葉ですが、実は、御会式桜を代表に桜も咲いています。
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1995年2月8日のMKタクシー伏見営業所における全員業務集会では、妙蓮寺の執事長である飯田信栄様にご講話いただきました。