グローバル・ビジネス・レポート【137】新潟県の農業アルバイトで働くこと|MK新聞連載記事

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グローバル・ビジネス・レポート【137】新潟県の農業アルバイトで働くこと|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、「グローバル・ビジネス・レポート」を2012年2月1日から連載しています。
MK新聞2025年7月1日号の掲載記事です。筆者プロフィールは新聞掲載時点のものです。

長岡技術科学大学経営戦略・技術経営・ものづくり経営研究室 千代 季さんの執筆です。

新潟県の農業アルバイトで働くこと

新潟県は米で知られているとおり、全国有数の農業県である。今回の記事は、この新潟での農業のアルバイトについて書く。私は、学部4年生の時から新潟県長岡市で農業のアルバイトを始め、今年で3年目になる。私の実家は北海道で農業を営んでおり、幼少の頃から農業に親しんでいたため、人の紹介を通して新潟で農業のアルバイトをすることを決めた。
現在、私のアルバイト先である農家では、主に米の生産を行っている。私の勤務時間は、週に2~3日、午前9時~午後5時が基本である。ただし、状況に応じて午前中のみの勤務とすることもできる。勤務シフトの柔軟性が非常に高く、約2時間に1回の休憩もあるため、私に合っているアルバイトだと思っている。時給も一般的なコンビニなどのアルバイトに比べて高く、農家の方から新米や他の農作物を分けていただくこともある。これは農業アルバイトの特権だと思う。
私が手伝っている米の生産は、まず、4月頃、育苗箱と呼ばれる専用の箱を使い、ビニールハウスの中で稲の苗を15cmほどの高さまで育てる。同時並行で、田を耕して水を入れ、平らにする田起こしや代かきを行い、4月~5月にかけて田植えを行う。田植えの後は、稲の成長を助けるために、雑草を取ったり肥料を追加したりする。そして、9月~10月頃に稲刈りを行い、刈り取った稲を乾燥させ、もみ殻を取る脱穀をし、米として保存する。

育苗箱を運ぶ筆者

この写真は、ビニールハウスに並べた育苗箱を軽トラックに積み込む作業と苗を田植え機にセットする作業の写真である。育苗箱は一見、軽そうに見えるが、水分を含んでいるため、6~7kgと意外と重い。アルバイトではこれを数十枚運ぶため、かなりの労働となる。普段、私は、大学ではほとんど運動することはないが、農作業では体を動かし、汗を流す。農業のアルバイトは、私にとって心身ともにリフレッシュできる貴重な時間ともなっている。
農業のアルバイトは、人が自然と向き合いながら農作物を育てていくという仕事である。農作物の成長を間近で見ることができ、収穫を迎えた時の達成感は格別のものがある。作業の合間には農家の方から新潟の歴史や暮らしについて話を聞いたり、地元の料理をいただいたりすることもある。アルバイトを通して、新潟ならではの風土や文化を肌で感じている。
その一方で、農業のアルバイトは、常に自然の変化の影響を受けるという一面もある。作業中に突然、雨が降り出す時もあれば、強風のために作業を中断せざるを得ない時もある。近年では、IT、ロボットを利用したスマート農業の取り組みも行われているが、猛暑、集中豪雨といった自然現象は、人間にはどうすることもできない。
それでも農家の方は毎年種をまき、土を耕し、空を見上げながら農作物の成長を願い続けている。自然の厳しさを知っているからこそ、農作物の実りや収穫のありがたさを心から実感できる。このように農業は自然と向き合う厳しくも素晴らしい仕事であり、私は、農業のアルバイトに携わっていることを誇りに思っている。

■筆者プロフィール
北海道出身。旭川高専卒。現在、長岡技術科学大学大学院情報・経営システム工学分野の修士2年に在籍。

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