グローバル・ビジネス・レポート【132】実務訓練報告:牧野フライス製作所(2023年度)(下)|MK新聞連載記事
MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、「グローバル・ビジネス・レポート」を2012年2月1日から連載しています。
MK新聞2024年9月1日号の掲載記事です。筆者プロフィールは新聞掲載時点のものです。
長岡技術科学大学経営戦略・技術経営・ものづくり経営研究室 三科 雄一朗さんの執筆です。
実務訓練報告:牧野フライス製作所(2023年度)(下)
7月号の阿部航君の牧野フライス製作所(以下、牧野フライスと略す)での実務訓練(長期インターンシップ)の記事に引き続き、今月は私が同社での実務訓練の記事を書く。牧野フライスや長岡技大の実務訓練の概要については7月号の記事と重複するため、詳しく知りたい方は、7月号の記事を読んでいただければと思う。
私も阿部君と同様に鈴木信貴准教授の「技術経営論」を受講し、この講義を通して工作機械産業や牧野フライスに興味を持つようになった。昨今、産業財でもSNSなどを使ったオンラインマーケティングが行われるようになってきた。私は、このようなマーケティング活動に関心があるため、同社での実務訓練を希望し、営業本部インサイド営業部プロモーション課に配属となった。
2023年10月から2024年2月にかけて私が所属したプロモーション課は、イベントの運営やPR動画の作成などを行うプロモーションチームとWeb、SNS、メールマガジンの運用などを行うマーケティングチームの2つに分かれて業務を行っている。大きなイベントの際には両チームが協力して準備や運営を行う。私はマーケティングチームの所属となった。
私が配属された早々にメカトロテックジャパン(以下、MECTと略す)という大きな展示会が名古屋であり、私も名古屋に行き、その仕事に関わった。MECTは、1987年にスタートした大規模な工作機械見本市で西暦奇数年の秋に名古屋市のポートメッセなごやで開催される。2023年は、10月18日(水)~10月21日(土)の4日間で開催され、世界各国から約7万7千人の方が会場を訪れた。
2023年のMECTでは、牧野フライスは新製品のマシニングセンタDA500を目玉に展示を行った。DA500は「時間・面積あたりの生産性を最大化!」をキャッチフレーズとした製品である。マーケティングチームは、この製品の特設ページの作成、運営を行っている(https://info.makino.co.jp/da500/)。さらにマーケティングチームは、MECT用イベント特設ページ(https://info.makino.co.jp/mect2023/)を作成し、メールマガジンやSNSなどを利用してMECTの周知を行っていた。
MECTの牧野フライスのブースは、連日多くの来場者で賑わった。展示ブース内のステージで製品のプレゼンなどが行われると通路まで人が溢れる時もあった。当然のことながら私はMECTのような大型イベントの運営に携わるのは初めてであり、当初は右も左も分からない状態であった。しかし、牧野フライスの多くの方々に助けられながら業務に励んだおかげで、イベント終了時には大きな達成感や社員の方々との一体感を感じることができた。
MECTから会社に戻ってからは、自社と競合他社のSNSアカウントを分析し、新たな運用方法やコンテンツの提案などの仕事に従事した。牧野フライスのX(旧Twitter)の投稿業務では、実際の投稿内容の確認と修正案提示の担当として携わった。この仕事では、紙のカタログやWebとは異なるSNSならではの表現や見せ方について提案した。この分析や提案のために、他社、他業界のアカウントや投稿を数多く見て分析した。
このような分析や実際の投稿を通して、より多くの人に興味を持ってもらうための言葉選びと文章構成、そして、投稿により会社のイメージを棄損させないことがいかに重要なことなのかをよりよく理解した。
私の実務訓練は、まずMECTという大きなイベントに参加することができ、次に会社に戻ってからは実際のオンラインマーケティングの仕事に従事することができた。産業財のオフライン(MECT)、オンライン(SNS)、両方のマーケティングに関わるという貴重な実務訓練となり、今後、このような経験を活かし大学院でさらに研究を進めていきたいと思っている。最後に、お世話になった牧野フライスの皆様に心より感謝を申し上げる。
■筆者プロフィール
東京都出身。サレジオ高専卒。現在、長岡技術科学大学大学院情報・経営システム工学分野の修士1年に在籍。
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