グローバル・ビジネス・レポート【118】卒業:長岡技術科学大学での日々を振り返って|MK新聞連載記事

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グローバル・ビジネス・レポート【118】卒業:長岡技術科学大学での日々を振り返って|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、「グローバル・ビジネス・レポート」を2012年2月1日から連載しています。
MK新聞2023年3月1日号の掲載記事です。筆者プロフィールは新聞掲載時点のものです。

長岡技術科学大学経営戦略・技術経営・ものづくり経営研究室 門田 大輝さん 小山 祥吾さんの執筆です。

長岡技大の正門にて(写真右から小山、門田)

長岡技大の正門にて(写真右から小山、門田)

卒業:長岡技術科学大学での日々を振り返って

門田 大輝

私は兵庫県立三木高校を卒業後、2017年4月に長岡技術科学大学に入学した。現在は修士2年であり、この3月に卒業する。2020年から流行した新型コロナウイルスによって、この3年間は制限があったが、長岡技大で過ごした6年間は、現在の私の成長につながっている。特に学部3年時から配属となった研究室での活動は大きかった。今回の記事では、その研究活動について書く。

私は「行動制約下における産業財マーケティング―日本工作機械産業を中心として―」というテーマで研究を行った。この研究テーマにしたきっかけは、学部3年時に受講した技術経営論という講義で工作機械メーカーである株式会社牧野フライス製作所に技術経営戦略を提案するという課題を行ったことに遡る。工作機械業界に興味を持った私は、その1年後、牧野フライスで実務訓練(長期インターンシップ)を行った。

工作機械(産業財)は、何千万円と価格が高く専門的な機械であるため、対面での営業活動、実地での展示会が重要な意味を持つ。しかし、新型コロナ禍により対面、実地でのマーケティング活動は制限されることになった。実務訓練に行く前から産業財ではこのような行動制約下でどのようにマーケティングを行えばよいのか、今後のためにもオンラインをどのように活用すればよいのかといった問題意識を持っていたため、研究テーマを「行動制約下における産業財マーケティング」に決めた。

私の研究では、最初に産業財マーケティングに関する先行研究の検討を行い、研究分野の知識を深めるとともに工作機械メーカー5社にインタビュー調査、工作機械産業関連企業に調査票調査(アンケート調査)を行った。

調査票調査では、企業のHPからメール等で問い合わせが可能な計335社に調査票を配布した。しかし、1度目の配布ではあまり回答が得られず、回答率は7~8%と低かった。企業の回答率が低くなることは調査票を配布する前から覚悟していたものの実際の回答数を見ると落ち込んだ。しかし、私はサンプル数を確保するために回答が得られなかった企業に対して再度、連絡を取り続けた。その結果、回答数は49件、回答率は14.6%にまで上昇した。時間はかかったが、諦めずに企業に連絡を取り続けたおかげである。そして、最終的には、全体として行動制約下でも産業財では対面でのマーケティング活動が重要である、ただし、このような状況下でもオンラインで効果的にマーケティング活動を行う企業もある、という2つの研究成果を得ることができた。

調査票調査以外にも研究には多くの苦労があった。新型コロナ禍による緊急事態宣言により大学に行くことができない、企業に直接訪問してインタビュー調査を行うことができないといった時期もあった。しかし、どのような時でもいつも時間を作り丁寧にご指導頂いた鈴木信貴准教授をはじめ、経営戦略・技術経営・ものづくり経営研究室に所属する皆様に支えられたことで修士論文をまとめることができた。心より感謝申し上げる。何かを成し遂げるためには、挑戦すること、諦めないこと、そして、周りの方の支えが必要であるということを学んだ。研究室での貴重な経験を忘れず、今後も社会人として邁進していこうと思っている。

■筆者プロフィール

兵庫県出身。兵庫県立三木高校卒。現在、長岡技術科学大学大学院情報・経営システム工学分野の修士2年に在籍。

小山 祥吾

私は長岡高専を卒業後、2021年に長岡技術科学大学の3年次に編入し、2023年3月をもって卒業をする。編入してからの2年間は、あっという間だった。

私が所属する経営戦略・技術経営・ものづくり経営研究室では、毎週、行われるゼミでの教科書、専門書、論文の輪読、研究発表に加え、実際に企業を調査で訪問することも多かった。私は、長岡技大に編入する前は経営学について学んだことはなかった。しかし、研究室の活動を通して、多くの知識、経験を得ることができた。

ゼミの輪読では、ただ本を読むだけでなく、レジメ作成の指導を受けた。最初は、レジメを作成するのに苦労したが、レジメの作成は、本の構造を把握できるため理解度が深まる、後からレジメを見ることで内容を確認できる等の点からとても意味のある活動だった。

企業の訪問調査では、本当に貴重な経験を得た。特に、去年、訪問したMKホールディングス本社やスーパーマーケット事業を展開するアクシアルリテイリング社では、普段、聞くことができない企業の経営戦略やその意図、取り組みについて、しっかり聞くことができた。

私が大学にいた2年間は、新型コロナ禍による自粛が徐々に緩和されていた時期だった。研究室の先輩で「自粛時における若年層の消費者行動の変化」をいうテーマで研究を行った先輩がおり、私はこの論文に興味を持ったため、研究テーマを「自粛緩和時における若年層の消費者行動の変化」に決め、研究を行った。

自粛緩和に伴い、若年層(大学生)の生活や購買行動はどのように変化したのか。私は、対象者へのインタビュー調査や質問紙(アンケート)の配布による調査を行った。その結果、自粛緩和に伴い、大学生の外出回数やオンラインショッピングの利用時間がどの程度、変化しているかということが分かった。しかし、研究ではアンケート調査の有効回答者数は27人と少なく、研究のスケジュール管理などで様々な課題も残った。今後、この経験は、社会人としての生活に活かしていきたいと考えている。

最後に、新型コロナ禍の中でもしっかり指導して頂いた鈴木信貴准教授をはじめ、研究室の先輩、後輩に心より感謝を申し上げる。この研究室に入ったおかげで、私は大きく成長することができた。今後は、自分が他の人の力になれるように日々、精進していきたいと思っている。

■筆者プロフィール

新潟県出身。長岡高専卒。現在、長岡技術科学大学情報・経営システム工学課程の第4学年に在籍。

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