グローバル・ビジネス・レポート【110】「アクシアル リテイリング株式会社によるTQM講座(2022年度)」|MK新聞連載記事

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グローバル・ビジネス・レポート【110】「アクシアル リテイリング株式会社によるTQM講座(2022年度)」|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、「グローバル・ビジネス・レポート」を2012年2月1日から連載しています。
MK新聞2022年7月1日号の掲載記事です。筆者プロフィールは新聞掲載時点のものです。

長岡技術科学大学 経営戦略・技術経営・ものづくり経営研究室 助川将啓さんの執筆です。

TQM講座の講義風景

TQM講座の講義風景

アクシアル リテイリング株式会社によるTQM講座(2022年度)

昨年度、アクシアル リテイリング株式会社(以下、アクシアル)によるTQM講座が鈴木信貴准教授の講義と連携して開催され、MK新聞にも2021年11月1日号に記事として掲載した。今年度も昨年度の講義を改良したTQM講座が5月24日と31日に本学で行われた。アクシアルの人事異動により講師も変わり、今年度は水島典子氏、植木卓氏によって講義が行われた。

アクシアルは、新潟県を中心にスーパーマーケット事業を展開している東証プライム上場企業であり、原信、ナルス、フレッセイといったスーパーマーケットの持株会社である。その中でも原信は長岡技大がある長岡市内に16店舗存在する。私も普段から頻繁に利用している馴染み深い企業であり、今回の講座を非常に楽しみにしていた。

改めて用語を説明すると、TQMは、Total Quality Management(総合的品質管理)の略称で顧客満足に向けて企業の全組織を効果的・効率的に運営し企業目的の達成に貢献する全社的な体系的活動のことを指す。TQM活動の一環としてQC(Quality control:品質管理)サークルがある。問題解決のためにQCサークルを結成し、このグループで品質改善、工程改善などの具体的なテーマを設定し、課題解決に向けた活動を行っている。アクシアルでは年に数回、このQCサークルでの活動を発表する大会を行い、同社内で工夫した取り組みやそれらに関する知識を他店舗などにも共有することで全社的な改善に力を入れている。

今年度の講座では、まず、QC、TQM、QCサークルといった基本用語について説明があり、次にQCサークルの問題解決手法について演習を交えて講義が行われた。昨年度との講義の違いは、昨年度は、QCの分析手法であるQC7つ道具、新QC7つ道具を説明し、QC7つ道具の「パレート図」、「特性要因図」の演習を行ったが、今年度は、QCサークルの一連の問題解決の流れを意識して講義が設計されているとのことだった。

QCサークルの問題解決の流れ(ステップ)は、企業によって異なるが、アクシアルでは、問題解決型の場合、10段階のステップを取っている。具体的には、テーマ選定理由、活動計画、現状把握、目標設定、要因解析、対策立案、対策実施、効果確認、歯止め、反省と今後の課題、の10ステップである。今年度の講義では、最初にこの流れ全体について説明があり、次に、最初のステップであるテーマ選定理由から順番に講義が行われた。今年度は、3段階目の現状把握のための有効な手法としてパレート図、5段階目の要因解析のための有効な手法として特性要因図が位置づけられ、それぞれ実際に学生が作成する演習が行われた。特性要因図の演習後に残りのステップについて講義があり、2回の講義が終了した。

今回の演習では、時間の都合上、問題解決の10項目のステップのうち、2項目の演習となった。しかし、この2項目に取り組むだけでも様々な要因の可能性があり、表現方法に気をつけながら言語化するのが難しく簡単には進まかった。演習を通して実際の企業は、このような活動を時間をかけて試行錯誤しながら行っているということがよく理解できた。

今回の講座では、企業が実際に見えないところで行っている取り組みを知ることができた。普段から利用する企業だからこそ違った側面で見られるのは非常に嬉しかった。今回、講師を務めた水島氏は、最後に、いつもは会社で社員を対象に講義を行っており、今回のように多くの学生の前で講義をするといったことは初めてだとおっしゃっていた。学生に合わせて講義を行うことは大変だったと思うが、水島氏、植木氏ともとても分かりやすい講義であり、両氏に心から感謝申し上げたい。

筆者プロフィール

茨城県出身。茨城高専卒業。現在、長岡技術科学大学情報・経営システム工学課程の第4学年に在籍。

 

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