グローバル・ビジネス・レポート【105】「文部科学省のGIGAスクール構想とICT支援員」|MK新聞連載記事

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グローバル・ビジネス・レポート【105】「文部科学省のGIGAスクール構想とICT支援員」|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、「グローバル・ビジネス・レポート」を2012年2月1日から連載しています。
MK新聞2022年2月1日号の掲載記事です。筆者プロフィールは新聞掲載時点のものです。

長岡技術科学大学 経営戦略・技術経営・ものづくり経営研究室の助川将啓さんの執筆です。

高校の先生方向けのICT研修会

高校の先生方向けのICT研修会

文部科学省のGIGAスクール構想とICT支援員

皆さんは「ICT支援員」という職業をご存知だろうか。 あまり聞き慣れない言葉かもしれないが、簡単にいうと文部科学省の政策により小・中・高の学校にてICT化を進めることを現場で支援する仕事である。私は、昨年、このICT支援員の募集に応募し採用された。私のICT支援員としての任期は 、当初、2021年7月から12月末までの半年間だった。

私のICT支援員としての一日は、自分の担当する各学校(高校)に週に一回、出勤する。そこで9時から16時まで勤務し、学校の先生から来るICT関連の質問や依頼に対応する。さらに、パソコンやタブレット端末などICT機器の使い方を説明したマニュアルを作成したり、先生方に対しトピックを決めて研修会を開いたり、教室で生徒に学校が所有するタブレット端末の使い方を説明したりしている。

全国の学校で、このICT支援員が必要となったのは、文科省のGIGAスクール構想という政策のためである。GIGAスクール構想は、日本の教育水準をICTの活用により向上させるために、 2019年から始まった政策だ。パソコンやタブレット端末といったICT機器を全国の生徒に1人1台配備し、各学校に高速ネットワークを整備することを目的としている。私が住む新潟県の公立学校でも、各学校にiPadと高速インターネットが配備されている。他にも生徒、教師にはGoogleアカウントが配布されており、Google社のGoogle Workspace for educationを利用することができるようになっている。しかし、学校の先生方は、これらの機器などの使い方に必ずしも得意という訳でなく、普段の業務で忙しいため、ICT化をサポートするためにもICT支援員が必要なのである。

私が担当している学校でも、学校の先生方は多忙でICT化まで手が回らない。それどころか先生方は、担当科目の授業準備に加えて学校運営のための委員会や部活動の仕事もあるため、定時になっても帰らず仕事をしていることが多い。その上、新型コロナウイルスにより、学校でも密を避けるための配慮や濃厚接触者への措置が求められるようになったため、より一層、ICT化を進めなければならない状況になっていた。

私がICT支援員として行った具体的な支援として、始業式など一ヵ所に集まる式典は、各教室にある電子黒板にて校長先生が話す様子をライブ中継する、濃厚接触者の学生のために、連絡用ツール(Classroom)と遠隔会議ツール(MeetやZoom)を用いて自宅待機中でも授業が受けられるようにする、などがある。 私にとって、この仕事のやりがいは、このように先生方の実現したい授業や効率化したい業務を組み上げ、先生方が受け入れ、喜んでくれたところにある。

ただし、学校のICT化はまだまだ道半ばである。学校の現場でよりICT化を促進するためにはどうすればいいのだろうか。私は、先生方に「これは便利だ」ともっと感じてもらうこと、これに尽きると思う。ICT機器やGoogleのソフト・サービスは、とにかく触って慣れることが上達への近道である。そのため、私の開く研修会では先生方にiPadなどをできるだけ触ってもらう時間としている。どんなICT機器やソフト・サービスでも本質は人の活動を今より便利にするところにあると思う。触って使ってみて、「これは便利だ」と思ってくれれば、私も素直に嬉しいし、先生方も他にも何か楽できるところがないかなと次のモチベーションにつながり、ICT化の促進になると考える。

 

筆者プロフィール

茨城県出身。茨城高専卒業。現在、長岡技術科学大学情報・経営システム工学課程の第4学年に在籍

 

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