エッセイ「本だけ眺めて暮らしたい」【315】|MK新聞連載記事

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エッセイ「本だけ眺めて暮らしたい」【315】|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、大西信夫さんによる様々な身近な事柄を取り上げたエッセイ「本だけ眺めてくらしたい」を前身を含めて1988年5月22日から連載しています。
MK新聞2014年7月1日号の掲載記事です。

本だけ眺めてくらしたい

ネット書店のアマゾンで古本を販売しているマーケットプレイスの送料は一律で一冊257円。
古本の価格は、この送料を加えて定価の半額になるよう設定されているものが多い。
ブックオフなどの新古書店の値付けが定価の半額なのを意識しているのだ。

またマーケットプレイスには、一円で売っている古本も少なくない。
「一円の商品」が生み出される現代経済の仕組みに驚くばかりだが、それはともかく、これに規定の送料をプラスすると258円になる。
販売者の側から見ると、売り値は一円でも、送料の実費を抑えれば、薄くてもそれだけ利益が出るということだろう。
ただ、買う側からすれば、アマゾンの一円本は、ブックオフの百円均一(税別)コーナーにあるような類の本なので、ピンポイントで今すぐ欲しい本を別にすれば、ブックオフで買ったほうが断然お安く買える、ということになる。

ところが、ここ一、二年でブックオフ各店が単行本の百円均一コーナーを200円(税込み)均一に順次移行してきた(一部、100円商品あり。文庫本は今も百円均一)。
つまり、ここにきてアマゾンの送料込み258八円の一円本と価格差がかなり縮まってきたというわけだ。
この価格差なら、ネットで一円本が目に留まったときには、そのままクリックしてしまうことが以前より増えるに違いない。
心理的な敷居は確実に低くなった。

本以外では、以前は送料無料だった商品が有料になり、逆にアマゾンでは買わず、近所のスーパーで買うようになったものがある。
通信販売が盛んになった現代において“送料戦略”は売り上げを即座に左右する重要かつ難しい問題のようだ。
アマゾンは配送の頻度を減らしたのか、配達が以前よりも遅くなったように感じる。
物流コストや、人手不足による人件費の上昇などで、今後どうなっていくのか。
有料オプションで、より速く商品が届くサービスなど“配達メニュー”も用意されはじめた。
めまぐるしく変化する社会、経済の状況へ機敏に対応する企業や商売人の行動やその結果を注視するのは、自らの生活への影響は別にして、実は案外おもしろい。

 

MK新聞について

「MK新聞」は月1回発行で、京都をはじめMKタクシーが走る各地の情報を発信する情報紙です。
MK観光ドライバーによる京都の観光情報、旬の映画や隠れた名店のご紹介、 楽しい読み物から教養になる連載の数々、運輸行政に対するMKの主張などが凝縮されています。
40年以上も発行を続けるMK新聞を、皆さま、どうぞよろしくお願いします。

ホームページからも最新号、バックナンバーを閲覧可能です。

 

MK新聞への大西信夫さんの連載記事

1988年以来、MK新聞に各種記事を連載中です。

1988年5月22日号~1991年11月22日号 「よしゆきの京都の見方」(45回連載)
1990年1月7日号~1992年2月7日 「空車中のひとりごと」(12回連載)
1995年1月22日号~1999年12月1日号 「何を見ても何かを思う」(64回連載)
1996年4月16日号~現在 「本だけ眺めて暮らしたい」(連載中)

 

本だけ眺めて暮らしたい バックナンバー

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