グローバル・ビジネス・レポート【130】実務訓練報告:アクシアル リテイリング株式会社(2023年度)|MK新聞連載記事

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グローバル・ビジネス・レポート【130】実務訓練報告:アクシアル リテイリング株式会社(2023年度)|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、「グローバル・ビジネス・レポート」を2012年2月1日から連載しています。
MK新聞2024年5月1日号の掲載記事です。筆者プロフィールは新聞掲載時点のものです。

長岡技術科学大学経営戦略・技術経営・ものづくり経営研究室 千代 季さんの執筆です。

実務訓練報告:アクシアル リテイリング株式会社(2023年度)

原信川崎店にて店舗実習を行っている様子

私が在籍している長岡技術大学では、4年次の2学期に大学院修士課程に進学する学生に対し実務訓練(長期インターンシップ)という科目が準備されている。長岡技大の実務訓練は、約5か月という長期に渡り、企業等の現場で実務を経験する。
私が実務訓練先として志望し、受け入れてくださった企業は、アクシアル リテイリング株式会社(以下、アクシアルと略す)である。アクシアルは新潟県を中心にスーパーマーケット事業を展開する持株会社であり、私が住む長岡市では原信というスーパーマーケットを展開している。私は、マーケテイング、特に店舗運営、店舗の売り場作りなどに関心があり、同社での実務訓練を希望した。私の研究室では、2022年度に先輩の助川将啓さんがTQM(Total Quality Management)を軸に同社で実務訓練を行っており、MK新聞にも記事を執筆している(グローバル・ビジネス・レポート【119】【120】【121】)。
新型コロナ禍のため、2020~2022年度の実務訓練は、1か月遅れの11月開始となったが、2023年度の実務訓練は、新型コロナ禍前に戻り、10月開始となった。私は、最初の1か月間、原信川崎店で店舗実習を行った。私は、惣菜作りや商品陳列、接客などの基本的な業務から棚作り・データ確認など一歩踏み込んだ業務も経験した。前述したとおりアクシアルではTQMと呼ばれる改善活動を行っている。同社の改善活動は、作業の改善だけでなくレジの顧客対応、商品の品質向上などその内容は多岐に渡り、同社で活用されている。私は、前述の業務はほぼ全て未経験だったが、従業員の方々の指導やこれまで同社が積み上げてきた改善活動のおかげで、1週間程で効率良く業務を行えるようになっていった。
1か月間の店舗実習の後、11月から2月にかけては、アクシアル本部で実務訓練を行った。まず、11月は店舗運営部の中にあるSV室で実習を行った。SV室には、アクシアルの各店舗を支援するスーパーバイザーと呼ばれる方々がいる。スーパーバイザーは、青果、水産、デイリー部門といった部門毎に担当者があり、全店舗に商品案内や陳列方法を配信する業務と合わせ、店舗によって店の広さや立地などの条件が異なるため、実際に店舗に行き、各店舗の問題解決、支援の仕事を行っている。このようにSV室はアクシアル本部と各店舗をつなぐ重要な役割を担っている。私は、SVミーティングに参加したり、スーパーバイザーの方に同行し店舗巡回等の業務を行ったりした。私の実務訓練中に、新店の開店があり、その仕事にも参加することができた。開店前の準備では、スーパーバイザーの方が実際に品物を陳列しながら売り場作りを教えてくれた。これらの仕事を通して、プロの商品配置、陳列方法、売り場作りを学習することができた。
12月は、アクシアル本部に在籍しつつ、ある店舗で顧客の動線調査を行った。動線調査は、顧客の店舗での買い回り行動を調査することで、店舗のレイアウトの位置、構成などを検討する。具体的には、担当者が来店客を入口からレジまで追跡しながらレイアウト図に行動を記入することを繰り返す。私が行った動線調査では、目的の商品だけ買う顧客や店内をくまなく回りメニューを考えながら買い回る顧客など様々な顧客がいた。アクシアルの店舗のレイアウトは、納豆や卵などの購買率の高い商品はあえて店の奥に配置し、その間に様々な商品を見てもらうようになっている。この他、店舗のレイアウトには、様々な工夫がなされており、動線調査の仕事を行うことにより、このような工夫にも気がつくことができた。
動線調査に引き続き、1月は、商品の陳列方法の調査を行った。この調査は商品の棚割、配置に着目し、売上などのデータと合わせ、どのような陳列方法が効果的なのかを分析した。私は、菓子に焦点をあて、棚割、配置を調査した。想像以上に商品の数が多く大変な調査だったが、売上データと照合し分析した結果、商品の棚の位置や配置方法と売上データとの関係性についていくつかの提案をまとめることができた。
私の実務訓練では、店舗運営、店舗の売り場作りなどについて、プロの仕事を身近で学習することができた。大学院では、これらのテーマについて引き続き、研究していきたいと思っている。最初の店舗実習が無かったら、これらのことについてより深く学べなかったと思っている。実務訓練では、社会人としてのマナー、行動についても数多く学ぶことができた。実務訓練先として受け入れてくださったアクシアルグループの関係者の皆様に心から感謝申し上げる。

■筆者プロフィール
北海道出身。旭川高専卒。現在、長岡技術科学大学大学院情報・経営システム工学分野の修士1年に在籍。

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