京都の花菖蒲(ハナショウブ)が美しいおすすめ名所5選
目次
6月に見頃を迎える、花菖蒲(ハナショウブ)。紫、ピンク、白、黄色など色とりどりの鮮やかな花が魅力です。京都で花菖蒲が満開を迎えるのは、例年6月半ばです。
見た目も形も様々な花菖蒲は、世界に誇る日本の園芸文化の粋を集めた花です。
京都にも花菖蒲が美しいスポットがたくさんありますが、花菖蒲の株数順に5位までランキングで紹介します。
花菖蒲(ハナショウブ)とは
アヤメの仲間で最も人気の花菖蒲
アヤメ科の様々な花
太陽には紅い花、雨には青い花が似合うと言った人がおられたみたいですが、いつやむともしれない雨を受けて咲くあじさいや花菖蒲には、誠に的を射た言葉だと思います。
特に花菖蒲は、うっとうしい雨の中で一段を気品を漂わせます。
花菖蒲は、アヤメ科アヤメ属の花です。
菖蒲(アヤメ)、杜若(カキツバタ)、黄菖蒲(キショウブ)、イチハツ、シャガ、ヒオウギ、ジャーマンアイリスなどと同じアヤメ属です。
単にショウブとも言われますが、全く別種である菖蒲(ショウブ)と区別するため、一般に花菖蒲と称されます。
菖蒲の節句は葉菖蒲
菖蒲(ショウブ)は葉菖蒲とも言われます。5月5日の「菖蒲の節句」や菖蒲湯は葉菖蒲の方です。
菖蒲の節句はもともと別名の「端午(たんご)の節句」が起源です。
中国で魔除けのために葉菖蒲の葉を端午の節句の魔除けに使ってきたため、菖蒲の節句と呼ばれるようになりました。
菖蒲湯も薬湯であるとともに、魔除けの意味があります。
「しょうぶ」が「尚武」に通じることから、江戸時代以降は菖蒲の節句と呼ぶことが多くなりました。
葉菖蒲と葉がよく似ており、美しい花を咲かせることが花菖蒲という名称の由来です。
ショウブ目の葉菖蒲とキジカクシ目の花菖蒲は全く別の植物で、同じ単子葉類ではあるものの、かなりの遠縁になります。
しかし、今では菖蒲の節句の飾りに花菖蒲が使われることも多いです。今は5月5日は花菖蒲の開花前のためにハウス栽培の花菖蒲が使われますが、旧暦だと菖蒲の節句は6月下旬なので、ちょうど花菖蒲の開花期にあたります。
古歌には登場しない花菖蒲
古歌に出てくる菖蒲は、いずれも葉菖蒲のことを指しています。
花菖蒲はカキツバタと異なり、花菖蒲は古歌には登場しません。
一説には、伝説上の美しい花として古歌に詠まれる「花かつみ」が花菖蒲のことであるとも言われています。
花菖蒲は書物にも断片的に出てくるものの、今のように広く親しまれる花ではありませんでした。
江戸時代に花菖蒲が一躍人気の花になりました。
いずれがアヤメかカキツバタ
最も開花期が遅い花菖蒲
4月ごろから開花するアヤメ属の花の中でも花菖蒲の開花は最も遅く、5月末から6月中旬頃に見頃を迎えます。
アヤメ属の中でも、菖蒲(アヤメ)、杜若(カキツバタ)、花菖蒲(ハナショウブ)は区別がつきにくいことでも知られています。
よく似ており区別がつきにくいことを慣用句で「いずれがアヤメかカキツバタ」というくらいです。
漢字で「菖蒲」と書いてアヤメと読んだり、ショウブと読んだりします。
逆に菖蒲草(あやめ草)というと葉菖蒲のことを指すなど、いろいろややこしいです。
湿地で成育する花菖蒲
よく言われる花菖蒲の識別ポイントは、生育場所です。カキツバタは水の中、アヤメは陸地で、ハナショウブはその中間の湿地というものです。
しかし、実際はこの識別方法だけでカキツバタとハナショウブ、アヤメを識別することは事実上不可能です。
まず、水の中と湿地、湿地と陸地はきれいにわかれてはいません。
無理に線を引いて3つに区別することなどできません。
さらに、アヤメは乾燥地に限らず半湿地や水中でも生育可能な場合があります。
水の中にカキツバタとアヤメが並んで生えていることもあります(長岡天満宮の八条ヶ池など)。
ただし、乾燥地ではカキツバタとハナショウブは成育できません。
乾燥地に生育していれば、ほぼ確実にアヤメであるということは言えます(ジャーマンアイリスの可能性もありますが)。
花の根元部分が黄色いのが花菖蒲
葉の違いや開花時期で識別する方法もありますが、いずれも差異は相対的なものです。
アヤメとカキツバタと花菖蒲が並んでいたら識別できる場合もありますが、正直よくわからない場合も多いです。
最も確実な識別ポイントは、花の色です。
花菖蒲は、花の根本の部分が黄色くなっています。これさえおさえておけば、花菖蒲はほぼ確実に識別可能です。
アヤメ属の中でも、花菖蒲は群を抜いて多くの園芸品種があり、最も愛されてきました。
帰化植物として、黄菖蒲(キショウブ)もアヤメやカキツバタに劣らずよく見かけます。
花菖蒲やカキツバタと同じく、庭園の池でよく植えられています。
もともと観賞用として持ち込まれた花ですが、今では公園や河川敷でも自生しています。
黄菖蒲は要注意外来生物として、拡大抑制が呼びかけられているので注意が必要です。
色が黄色なので、識別は一目瞭然です。後述のとおり、黄菖蒲をかけあわせた花菖蒲の品種群もあります。
色とりどりの花を咲かせる花菖蒲
花菖蒲の原種はノハナショウブ
園芸植物である花菖蒲の原種は、日本から東アジアにかけての山野に自生する赤紫色の花を咲かせる野花菖蒲(ノハナショウブ)です。
ノハナショウブは、青紫から赤紫のシンプルで清楚な花を咲かせます。
京都府内でもかつてはノハナショウブよく見られましたが、現在は分布が縮小し、京都府レッドデータブックで準絶滅危惧種に指定されています。
丹後半島の海岸沿いにまとまった自生地が見られます。海岸沿いのノハナショウブの自生地は全国的にも珍しい存在です。
ノハナショウブの品種改良によって多彩な花菖蒲が生まれたとおり、ノハナショウブも地域差や個体差がかなりあります。特に花の色は差が大きく、赤紫色(右)、紫色(上)、淡い赤紫色(下)などが見られます。
古くから、自生するノハナショウブを田畑の近くに移植して花を楽しんできたと考えられていますが、はっきりとしたことは分かっていません。
おそらく美しい特徴のあるノハナショウブを特に選び続けてきたことで、自然とゆっくりとした品種改良が進んだことでしょう。
約500年前より、自生のノハナショウブが園芸植物として品種改良がはじまったとされています。
江戸時代に園芸文化が花開くと花菖蒲にも注目が集まり、以降に様々な品種の花菖蒲が作出されてきました。
野生種のノハナショウブは前述のように東アジアにも広く分布していますが、園芸植物として発達したのは日本だけです。
4系統に分かれる花菖蒲の品種群
花菖蒲は、江戸時代中頃から趣味家の武士によって改良され、様々な品種が作出されました。
全国に自生するノハナショウブのうち美しく特徴ある個体が集められ、それらをかけ合わせることによって、どんどん新たな品種が誕生しました。
ハナショウブは色も形も変化性に富んでおり、今もあらたな花菖蒲の品種がどんどん生み出され続けています。プロでなくとも個人でも新しい花を作り出すこともできます。
現在は、花菖蒲の品種群は大きく江戸系、伊勢系、肥後系、長井古種(長井系)の4系統と、種間交配種に分けられます。
江戸系の花菖蒲
江戸系は、江戸時代に江戸を中心に作出された花菖蒲の品種群です。
伊勢系と肥後系よりも古来、両者のもととなりました。近年の調査により、霧ケ峰と日光に分布するノハナショウブを品種改良して作出されたことが判明しました。
ひとつひとつの花はそれほど大きくはなく、主に庭園などで群生している姿を楽しむ品種です。
もっとも歴史ある花菖蒲の品種群だけあって、色も形も多彩な品種があります。
伊勢系の花菖蒲
伊勢系は、三重県の松阪市を中心に作出された花菖蒲の品種群です。
江戸時代後期に誕生した、やや矮性垂れ咲きで草姿のバランスの良い品種群です。近年の研究により、斎宮も自生するノハナショウブを品種改良して作出されたことが判明しました。
花と葉がほぼ同じ高さとなり、主に鉢植えにして単体で鑑賞することが多い品種です。
もともと限られた人々の間でのみ伝えられていた花菖蒲の品種で、一般に普及するようになったのは戦後のことです。
そのため、品種の数はそれほど多くありません。
肥後系の花菖蒲
肥後系は、熊本を中心に作出された花菖蒲の品種群です。
江戸系の花菖蒲を肥後藩主が熊本に送り、豪華な大輪種に作り上げられました。
伊勢系と同じく鉢植えで鑑賞します。もともとは座敷の金屏風の前に飾られていました。
大輪の花で風雨に弱く、室内鑑賞向きの華やかな品種です。
長井古種の花菖蒲
長井古種は長井系ともいわれる原種のノハナショウブに近い品種群です。
山形県長井市のあやめ公園に近隣で古くから栽培されていた野生種を植えたのが始まりです。
1962年にこれまでの花菖蒲の品種とは異なる品種群であると確認され、あらたに長井古種と名づけられました。
江戸系やその流れを汲む伊勢系・肥後系とは異なり、ノハナショウブに近い清楚な味わいが魅力です。
黄菖蒲との種間雑種の花菖蒲
1950年に作出された「愛知の輝(かがやき)」が黄菖蒲と花菖蒲の最初の交配種です。
愛知の輝のように、やや薄い黄色で黄菖蒲に近い品種から、一部だけが黄色を帯びており花菖蒲に近い品種まであります。
黄菖蒲以外にも、カキツバタとの種間雑種の品種も作られています。
また花菖蒲内でも、例えば肥後系と伊勢系などの系統をまたいだ交配も行われています。
アヤメ属の花々の中でも古くから人気の花菖蒲は品種数も多く、今も続々と新しい品種が作出されています。
原種のノハナショウブに近い赤紫の清楚な花も魅力的ですし、白、ピンク、紫、青など色とりどりの華やかな花も人気です。
花の色だけではなく、花の形も様々で魅力たっぷりなのが花菖蒲です。
花菖蒲栽培のポイント
花菖蒲の花期は、5月下旬から6月下旬に及びます。花が終了次第、順次株分けをします。
数年同じ鉢で育てても良いのですが、毎年株分けをした方が立派な花が咲きます。
用土は、赤玉に腐葉土、または堆肥を2~3割混ぜたものを使用します。
花菖蒲の葉を根元から30㎝くらいのところで切り、株分けをし、6号鉢で1芽、8号鉢で3芽植えにします。
鉢は深鉢を使用しますが浅植えとします。植え替え後は、固形肥料を与え、以後は9月と10月に与えます。液肥を併用するとより一層良いでしょう。
花菖蒲は10月までは成長期のため、常に水を充分与え、水切れをさせないように注意しましょう。
花菖蒲の株数ランキングTOP5+α
株数ランキングに関する注
- 対象は京都市及びその近郊とします
- 公称の株数のないスポットについては、一部不確実な可能性があります
① 京都府立植物園「花しょうぶ園」【10,000株】
日本一の公設植物園である京都府立植物園
京都にある花菖蒲の株数ランキングの堂々第1位は、年間86万人(2022年度)という入園者数日本一の公設植物園である京都府立植物園です。
京都府立植物園は、1924年に開園した日本を代表する植物園です。四季を通じて京都府民の休日のお出かけ定番スポットです。
花菖蒲と同時期には、アジサイやバラ園などが続々と見頃を迎えます。
春や秋と比べて訪れる人もそう多くはなく、穴場スポットとも言えます。
150品種10,000株の花しょうぶ園
園内中心部にある大枝垂桜を取り囲む花しょうぶ園では、150品種10,000株の紫、白、黄、ピンクの色とりどりの花菖蒲が池を埋め尽くします。
5月半ばから花菖蒲の早咲き品種が咲きはじめ、6月上旬から下旬にかけて花しょうぶ園全体が見頃を迎え、遅咲きの品種は7月初めまで長期間にわたって開花します。
例年だと6月中旬頃に花菖蒲がピークを迎えます。
植物園だけあって、全ての花菖蒲に品種名の札が立てられているのも特徴です。
たくさんある花菖蒲の品種ですが、端正美麗な江戸系、優雅な伊勢系、雄大で豪華な肥後系の主に3つに分類されます。
それらの特徴をじっくりと愉しめるのも京都府立植物園ならではです。
数は少ないですが、長井古種やキショウブ系の品種もあります。
花菖蒲園の周囲をぐるりと回れるのはもちろん、花菖蒲園の中に設けられた木道からも楽しむことができます。
木道からは、右にも左にも満開の花菖蒲が広がり、まさに花菖蒲のパラダイスです。
質・量ともに京都でもナンバーワンの花菖蒲園といって良いでしょう。
京都で最も訪れるべき花菖蒲の名所は、京都府立植物園で間違いありません!
入園情報
入園時間 | 9:00~17:00(16:00受付終了) |
入園料 | 一般 :200円 高校生 :150円 中学生以下:無料 |
TEL | 075-701-0141 |
住所 | 京都市左京区下鴨半木町 |
アクセス | 地下鉄「北山」よりすぐ |
公式ホームページ:京都府立植物園 Kyoto Botanical Gardens/京都府ホームページ
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② 梅宮大社(うめのみやたいしゃ)「神苑」【8,000株】
猫でも有名な酒造・安産の神社
かつては朝廷から特別の奉幣を受けた京都近郊の二十二社の一つとして高い社格を誇り、橘氏の氏神として栄えてきた神社です。
酒造の神、子授け・安産の神としても古くから人々の信仰を集めてきました。
神社では十数匹のネコが飼われており、京都でも有名な猫スポットとして近年人気を集めています。
花菖蒲(ハナショウブ)とアジサイが咲く神苑
約3,000坪の神苑は、東、北、西の3つのエリアにわかれています。春から夏にかけて、梅やカキツバタ、ツツジ、アジサイ、ツバキなど季節の花が咲き乱れます。
中でも美しいのが、6月に見頃を迎える花菖蒲です。
ちょうど花菖蒲と同時期には、500株のアジサイも見頃を迎え、おすすめです。典型的な梅雨の「日本の風景」に出あうことができます。
神苑は、東神苑、北神苑、西神苑にわかれます。
東神苑の作庭時期ははっきりしませんが、江戸時代には今の半分ほどの広さでした。
明治以降に拡張され、今の姿になりました。北神苑や西神苑は、1970年代ごろから整備されました。
花菖蒲が見られるのは。主に東神苑です。
東神苑は、祭神である木花咲耶姫(このはなさくやひめ)にちなんだ咲耶池(さくやいけ)が中心です。
池の周囲では、まずカキツバタやアヤメが開花し、続いて花菖蒲が見頃を迎えます。
拝観情報
拝観時間 | 9:00~17:00 |
拝観料 | 大人 600円 小人 400円 |
TEL | 075-861-2730 |
住所 | 京都市右京区梅津フケノ川町30 |
アクセス | 阪急「松尾大社」より徒歩15分 |
公式ホームページ:梅宮大社
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③ しょうざん「日本庭園」【3,000株】
広大なしょうざんリゾートの一角
京都・西陣で財を成した松山政雄氏が3万5千坪の広大な敷地に築いた庭園を元に、紙屋川(天神川)沿いの広大な敷地に広がる「しょうざんリゾート」です。
日本庭園や結婚式場、レストランなどを擁します。
「しょうざん」という名称は、株式会社しょうざん(旧近畿生糸商事)の創業者である松山政雄の姓の音読みに由来します。
しょうざんは、日本で初めてウールを着物に取り入れた会社として知られます。
近年は、2014年にしょうざん内に東急ハーヴェストクラブ京都鷹峯&VIALAが開業し、隣接地にアマン京都が開業、2019年に閉店したしょうざんボウルの跡地に2021年9月にはヒルトン系のROKU KYOTO LXR ホテルズ&リゾーツなど、再整備が進んでいます。
「華しょうぶの会」も催される日本庭園
各地から移築した屋敷や茶室が点在し、楓や北山杉がいたるところに植えられ、初夏の花菖蒲や紅葉など四季を通じて美しいたたずまいを見せます。
広大な日本庭園は、たくさんの木々や花と水や借景を巧みに取り入れたデザインで、見飽きることがありません。
別料金になりますが、昼食付きの贅沢な「華しょうぶの会」が催されます。
2024年は6月1日(土)~9日(日) に開催予定です。
花菖蒲が咲く池のほとりにある迎賓館である通常非公開の「峰玉亭」でのお抹茶・お菓子に加えて、若村亮さんによる文化サロン講座か、聞香体験付きです。
入園情報
入園時間 | 9:00~17:00(16:30受付終了) |
入園料 | 500円 |
TEL | 075-491-5101 |
住所 | 京都市北区衣笠鏡石町47番地 |
アクセス | 市バス「北木ノ畑町」より徒歩3分 市バス「金閣寺道」より徒歩10分 |
華しょうぶの会
開催期間 | 2024年6月1日(土)~9日(日) |
料金 | 胡蝶コース 8,800円 むらさき懐石 10,560円 |
公式ホームページ:結婚式場、日本庭園、料亭 しょうざんリゾート京都|SHOZAN RESOT KYOTO 四季を歩く
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④ 平安神宮「西神苑」【2,000株】
小川治兵衛の代表作として知られる神苑
平安神宮が創建されたのは1895年のことです。
熱気がうずまいていた幕末の京都、しかし明治維新後、東京に都が移り、さびれてしまいました。
そんな中、京都のにぎわいを取り戻そうと平安建都1100年を記念して建てられたのが平安神宮です。
社殿裏にひろがる自然豊かな神苑は、近代京都を代表する造園家である7代目小川治兵衛により、1895年から20年の歳月をかけて作られた33,000㎡の広大な池泉回遊式庭園です。
開通したばかりの琵琶湖疏水からの水が引き込まれています。
いつ訪れても美しい広大なお庭です。
水辺に多彩な花が咲き乱れる神苑
「細雪(ささめゆき)」で谷崎潤一郎が「京洛の春を代表する」と絶賛した桜の季節が有名です。
初夏には、杜若(カキツバタ)、花菖蒲(ハナショウブ)、睡蓮(スイレン)などが咲く中を、ゆっくり景色を楽みながら巡ることができます。
200品種2,000株の花菖蒲は、西神苑の白虎池で咲いています。
西神苑は、中神苑とともに平安神宮が創建された1895年に作庭されました。
東神苑は1916年、南神苑は1981年の作庭です。
平安神宮の神苑は拝観料が必要ですが、毎年花菖蒲が見頃を迎える6月上旬に1日だけ無料公開が行われます。
2024年は6月7日(金)に無料公開が行われます。
神苑が無料公開されるのは、南神苑が完成した9月19日とあわせて年間で2日だけです。
花菖蒲が見頃を迎えるころに設定されるので、ぜひ無料公開日にあわせて訪れてみましょう。
拝観情報
拝観時間 | 8:30~17:30(3月15日~9月30日) 8:30~17:00(3月1日~14日、10月1日~31日) 8:30~16:30(11月1日~2月28日) |
拝観料 | 大人:600円 小人:300円 |
TEL | 075-761-0221 |
住所 | 京都市左京区岡崎西天王町97 |
アクセス | 地下鉄「東山」より徒歩10分 JR「向日町」・阪急「東向日」「長岡天神」よりタクシーで20分 |
公式ホームページ:[公式]Heian Jingu Shrine 平安神宮 | 京都 平安神宮の参拝情報と神前結婚式・七五三など各種ご祈祷、名勝神苑のご紹介
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⑤ 長岡天満宮「八条ヶ池」【1,800株】
長岡京を代表する観光スポット
京都の南西、長岡京にあります。
菅原道真が大宰府に左遷されるおり、この地で名残を惜しんだと伝えられています。
4月下旬には、樹齢100年を超えるキリシマツツジが鮮やかに咲き誇ります。
花菖蒲が咲く八条ヶ池は、桂離宮を造営した八条宮智仁親王によって築造されたことに由来する溜池です。今も農業用水として現役で利用されています。
ど真ん中を長岡天満宮の参道が貫きます。
水辺の花が次々開花する八条ヶ池
5月から杜若(カキツバタ)、黄菖蒲(キショウブ)、コウホネが次々と開花し、6月になると主役の花菖蒲(ハナショウブ)が見頃を迎えます。
八条ヶ池では中央の参道南側に花菖蒲がまとまって植えられています。
八条ヶ池の西側に連なる西池のカキツバタ園の2ヶ所で見られます。
カキツバタ園とはいうものの、花菖蒲の方がかなり多く咲きます。
同時期には睡蓮(スイレン)が見頃を迎えています。
見学情報
拝観時間 | 日中随時 |
拝観料 | 境内自由 |
TEL | 075-951-1025 |
住所 | 京都府長岡京市天神2丁目15-13 |
アクセス | 阪急「長岡天神」より徒歩10分 |
公式ホームページ:長岡天満宮 | 学問の神様
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【番外】上賀茂神社「渉渓園」
株数は多くありませんが、花菖蒲のお勧めスポットとして上賀茂神社の渉渓園(しょうけいえん)を紹介します。
京都最古の神社
京都で最も古い神社の一つです。古代からこの地に住んでいた賀茂一族の氏神をおまつりし、また平安京造営後は都の守り神として信仰されてきました。
森につつまれるように社があり、百人一首にも詠われた“ならの小川”が流れています。
花菖蒲の開花期間に公開される渉渓園
渉渓園は、1960年に曲水の宴を復活するために作庭された比較的新しい庭園です。もともと上賀茂神社の神宮寺があったところと伝えられています。
普段は非公開なことが多く、柵の外からしか見られませんが、花菖蒲開花期間中は公開されます。
この花菖蒲は京都市山科区の勧修寺から奉納されたものです。
勧修寺の花菖蒲も素晴らしいのですが、普段は入れないところという点で上賀茂神社を番外として選出しました。
花菖蒲が見頃を迎えはじめる6月上旬は、ホタルの季節でもあります。
上賀茂神社は、境内をならの小川や御手洗川の清流が流れます。
川の近くでは、ホタルが舞う姿を見ることができます。
乱舞というほどではありませんが、タイミングが良いと思ったより多くのホタルが舞います。
上賀茂神社では、ぜひ花菖蒲だけでなくホタルも探してみてください。
拝観情報
拝観時間 | 5:00~17:00 |
拝観料 | 境内自由 |
TEL | 075-781-0011 |
住所 | 京都市北区上賀茂本山339 |
アクセス | 市バス「上賀茂神社前」よりすぐ 地下鉄「北山」より徒歩15分 |
公式ホームページ:上賀茂神社(賀茂別雷神社:かもわけいかづちじんじゃ)公式Webサイト
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花菖蒲の街「城陽」
城陽市の花にもなった花菖蒲
京都府城陽市の「市の花」は、花菖蒲です。市制施行10周年を記念し、1982年11月7日に花菖蒲が市の花に制定されました。
1988年にサイクリングターミナルとしてオープンしたアイリスイン城陽も、花菖蒲を含むアヤメ属の英語名であるアイリスに由来します。
2018年にはロゴスランドがオープンし、グランピングなどのアウトドアレジャー施設として人気です。
城陽市は豊富な地下水に恵まれており、明治時代に花菖蒲の栽培が始まりました。
今では全国でも愛知県愛西市、静岡県河津町、埼玉県吉川市と並んで花菖蒲の四大産地のひとつに数えられ、京阪神を中心に年間200万本の花菖蒲を出荷しています。
城陽市観音堂のあちこちで見られる花菖蒲
城陽市でも花菖蒲の栽培が盛んにおこなわれているのは城陽市南部の観音堂の西部です。
長谷川がつくる扇状地の扇端部に位置し、豊富な湧水に恵まれています。今はポンプで地下水をくみ上げていますが、かつては竹筒を打ち込んだら水が湧き出るほどでした。
花菖蒲の生産には水が不可欠であるだけでなく、湧水は冬季も15度以上と高い水温が維持されています。この湧水を使うことで、花菖蒲の開花期を早めて菖蒲の節句に出荷を間に合わせることができます。
大消費地である京阪神への交通の便もよく、城陽市は花菖蒲の栽培に適した環境にあります。
城陽市観音堂では、もともとミョウガタケの栽培が盛んにおこなわれていました。花菖蒲の栽培が始まったのは1907年ごろで、伏見から花菖蒲が持ち込まれました。
しばらくは栽培技術も未熟で生産も不安定で一部の農家のみが花菖蒲を生産していました。戦中から戦後しばらくは食料増産のために花菖蒲畑は田として利用され、花菖蒲を生産する余裕はありませんでした。
1955年ごろから、需要の増大と技術の向上によって、ミョウガタケから花菖蒲への転作が進みました。
1966年にはハウス栽培、1976年には電照栽培もはじまり、より安定的な生産が可能となり、花菖蒲の栽培がますます盛んにおこなわれるようになりました。
関西の花菖蒲は大半が城陽産で占められるまでになり、城陽は花菖蒲の一大生産地となりました。
1996年には花菖蒲の栽培地付近に約500メートルの「花の小径」という散策路も整備されました。
2021年度には10戸の農家が2.1haで花菖蒲の栽培を行っています。
ただ近年は疫病被害もあり花菖蒲の生産量は減少傾向にあります。
城陽市内を歩いていると、花菖蒲の姿を見かけることがあります。
花菖蒲はつぼみの状態で出荷されるため、咲いている花菖蒲は出荷されなかった花です。
花菖蒲の需要が最も高まるのは、5月5日の端午の節句(菖蒲の節句)です。
旧暦の5月5日はちょうど花菖蒲が見頃ですが、新暦の5月5日はまだ花菖蒲の開花前です。
そこで、出荷される花菖蒲はビニールハウスで栽培され、端午の節句に間に合うように調整されています。
出荷のタイミングにあわなかった花菖蒲が、そのまま咲いて道行く人の目を楽しませてくれています。
ハウス栽培だけでなく露地栽培もおこなわれています。
城陽市の花は花菖蒲ですが、他にもカラーやカキツバタや蓮もあちこちで植えられています。
カラーは花菖蒲と同じく観音堂が中心ですが、カキツバタは寺田が栽培の中心です。
最も作付け面積が広い花橋は寺田から青谷にかけての城陽市南部で広く栽培されています。
水に恵まれた城陽市ならではの光景です。
京都近郊の花菖蒲スポット
京都府内からもほど近い、大規模な花菖蒲スポットを紹介します。
山田池公園(枚方市)
国道1号線で大阪方面へと進み、府境をこえて3kmほどのところにある山田池公園は、150種10,000株の花菖蒲の名所です。
品種数も株数も京都でトップの京都府立植物園と同等という大規模な花しょうぶ園です。
しかも、驚くべきことに無料で見ることができます。
花しょうぶ園は多彩な品種の花菖蒲で覆われ、飽きることはありません。
京都の花菖蒲好きであれば、ぜひ一度訪れてほしいスポットです。
花菖蒲と同時期にあじさいも見頃を迎えています。
花しょうぶ園の開園は、毎年5月25日~6月25日です。
入園情報
開園期間 | 2024年5月25日(土)~6月25日(火) |
開園時間 | 9:00~17:00 |
入園料 | 無料 |
住所 | 枚方市山田池公園1-1 |
アクセス | JR「藤阪」より徒歩10分 |
公式ホームページ:山田池公園 | 大阪府枚方市 府営公園
柳生花しょうぶ園(奈良市)
剣豪の里として知られる奈良市の柳生には、公称450種類80万本という花しょうぶ園があります。
80万本というと、京都最大級の京都府立植物園の80倍に当たりますが、実際の規模は同じくらいです。
カウントの方法が異なるのでしょう。
柳生と言うとかなり山奥に聞こえますが、JR関西本線の笠置駅からも3km程度にあり、奈良市内よりもむしろ京都府内からのアクセスが良好です。
すぐ近くの柳生藩陣屋跡などとあわせた楽しみましょう。
広大な敷地は、花菖蒲だけでなくアジサイやサツキなどの季節の花で覆われます。
入園情報
開園期間 | 2024年6月1日(土)~30日(日) |
開園時間 | 9:00~16:00 |
入園料 | 大人 650円 子供 350円 |
住所 | 奈良市柳生町403番地 |
アクセス | 国道167号線の笠置大橋より車で10分 |
おわりに
池泉回遊式庭園が最も華やかになるのは色とりどりの花が咲き乱れる花菖蒲(ハナショウブ)の季節です。
京都は桜や紅葉のシーズンも良いですが、花菖蒲の季節は決して外すことはできません。
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