東福寺「通天橋」は京都一人気の美しい紅葉名所!見頃がいつか色づき状況を追跡

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東福寺「通天橋」は京都一人気の美しい紅葉名所!見頃がいつか色づき状況を追跡

京都で最も有名な紅葉スポットの候補として必ず上がるのが、東福寺の紅葉。
なかでも東福寺の通天橋(つうてんきょう)の紅葉は、ディズニーランドのような大行列ができる人気紅葉スポットとして知られます。
そんな京都を代表する人気の紅葉名所である東福寺の紅葉は、いつごろから色づきはじめ、いつ見頃を迎えるのでしょう。
東福寺の通天橋での紅葉の色づき状況を、連日追いかけました。
2023年の紅葉シーズンには京都国立博物館で特別展「東福寺」も開催されています。

東福寺・臥雲橋より通天橋の紅葉 2022年11月24日 撮影:MKタクシー

東福寺・臥雲橋より通天橋の紅葉 2022年11月24日 撮影:MKタクシー

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東福寺・通天橋の紅葉の移り変わりを追う

紅葉が色づきはじめる10月から紅葉が全て散る12月まで、京都を代表する紅葉スポットである東福寺の通天橋およびその下流にある臥雲橋(がうんきょう)から見た紅葉の色づき状況を、追いかけます。
青葉から次第にグラデーション上に赤やオレンジ、黄色へと色づき、やがて茶色くなって散っていきます。
自然の移ろいはなんて美しいのでしょうか。

本記事の主な定点観測地点である臥雲橋は、東福寺の境内ではありますが、拝観料は不要な境内自由エリアにあります。
紅葉シーズンでも開門前の早朝から立ち入ることができます。
東福寺通天橋と渓谷の洗玉澗(せんぎょくかん)の紅葉を下流から楽しむことのできるお得な京都の紅葉観賞スポットです。

 

10月上旬|まだ紅葉には程遠い

2018年10月1日 臥雲橋より通天橋 青葉 撮影:MKタクシー

2018年10月1日 東福寺・臥雲橋より通天橋 青葉 撮影:MKタクシー

京都では彼岸花が見頃を迎えている10月初め。まだまだ日中は暑さが残ります。
標高が高いため京都でもいち早く色づく比叡山や愛宕山などでもまだまだ紅葉はこれから。
東福寺の通天橋は、まだまだ青々としています。
さすがに新緑もみじの頃の瑞々しさはありませんが、まだまだ夏と変わらない景色が広がります。

2019年10月9日 臥雲橋より通天橋 青葉 撮影:MKタクシー

2019年10月9日 東福寺・臥雲橋より通天橋 青葉 撮影:MKタクシー

京都でも秋の空気も濃くなってきた10月上旬。
秋の花であるコスモスがどんどんと見頃を迎え始めるころです。
東福寺の通天橋から見えるカエデも葉が少しずつ黄色く色付いてきてはいますが、まだまだ紅葉にはほど遠い状態です。

 

10月下旬|枝先より次第に色づきはじめ

2018年10月19日 臥雲橋より通天橋 色づきはじめ 撮影:MKタクシー

2018年10月19日 東福寺・臥雲橋より通天橋 色づきはじめ 撮影:MKタクシー

京都ではコスモスがピークを迎える10月下旬。朝晩はかなり冷え込みはじめてきます。

東福寺の通天橋付近の紅葉の色付きは木によって差があります。
早い木は枝先から赤く染まってきました。
まだまだピンポイントですが、東福寺でも紅葉が始まりました。

落葉広葉樹が冬を迎える準備を始めています。冬の間の消費エネルギーをできるだけ少なくするために、葉を落とします。
まず葉に含まれる緑色の色素であるクロロフィル(葉緑素)を分解し、栄養として回収します。
クロロフィルの分解が進むと、次第に葉の緑色が薄くなっていきます。

2018年10月26日 臥雲橋より通天橋 色づきはじめ 撮影:MKタクシー

2018年10月26日 東福寺・臥雲橋より通天橋 色づきはじめ 撮影:MKタクシー

最低気温は10度を切る日も出てきました。10度を切ると、紅葉は一気に進んできます。
東福寺の通天橋では、少しずつ紅葉の色づきが進んできました。
多くの木が緑から黄緑へと変わりつつあります。

葉に含まれるクロロフィルの分解がある程度進むと、葉の根本に離層(りそう)というバリアが形成されます。
離層ができると、葉と枝の間の水や養分の行き来がとまります。
その後もクロロフィルの分解は引き続き行われます。

2018年10月29日 臥雲橋より通天橋 色づきはじめ 撮影:MKタクシー

2018年10月29日 東福寺・臥雲橋より通天橋 色づきはじめ 撮影:MKタクシー

ほんの3日間ですが、明らかに色づきが進んできました。
冷え込み日があれば、たった1日でも目に見えて紅葉が進みます。

東福寺・通天橋の渓谷を埋める木々の枝先もかなり色づいてきました。
もう紅葉が色づきはじめと言って良いでしょう。

クロロフィルが分解されると、葉の緑色はなくなります。
葉に残された黄色い色素のカロテノイドが残り、葉は黄色く黄葉します。
これが黄葉のメカニズムです。
赤く紅葉するカエデも、最初は黄葉の黄色がやや目立つこともあります。

2018年10月31日 臥雲橋より通天橋 色づきはじめ 撮影:MKタクシー

2018年10月31日 東福寺・臥雲橋より通天橋 色づきはじめ 撮影:MKタクシー

下流にある臥雲橋から通天橋を見ると、左側が北、右側が南にあたります。
東福寺の通天橋でも、日当たりの良い左側(北側)の紅葉の色づきの早さが目立ちます。
谷部と右側(南側)はカエデもまだ緑が目立ちます。

東福寺の通天橋に限らず、紅葉は日当たりのよいところから色づきがはじまります。
山でも尾根から谷へと紅葉は進んでいきます。

紅葉は、黄葉とはまた別のメカニズムが働きます。
離層ができると、葉に残されたクロロフィルが作ったデンプンも葉に残されたままになります。
このデンプンが葉に含まれる酵素や太陽光と反応することで、アントシアニンという物質が生成されます。
赤い色素であるアントシアニンによって、葉が赤くそまります。
これが紅葉のメカニズムです。

 

東福寺・通天橋の豆知識 ① 
色別標高図(地理院地図Globeより作成)

東福寺付近の色別標高図(地理院地図Globeより作成)

東福寺・通天橋の地理

紅葉で知られる東福寺の通天橋は、飾りではありません。境内を南北に移動するには欠かせない重要な交通路です。
東福寺の通天橋は、東山から流れ出る三ノ橋川に架かる橋です。
普段はちょろちょろしか水は流れていませんが、通天橋や臥雲橋から下をのぞき込むとわかる通り、川が流れています。

この三ノ橋川は、伏見稲荷大社のある稲荷山(233m)の北麓に源を発し、東福寺境内を横断し、琵琶湖疏水(鴨川運河)の下をくぐり抜けて鴨川へと流れ込んでいます。
小さな川ながら、東福寺境内では高低差10mほどの深い渓谷を刻みながら西へと流れています。
三ノ橋川には、上流から「東福寺三名橋」ともいわれる偃月橋(えんげつきょう)、通天橋、臥雲橋の3つの橋がかかっており、通天橋は真ん中の橋です。
なお、豆知識②のとおり、三名橋が架かっていることが三ノ橋川という名称の由来ではありません。

2018年12月9日 三ノ谷川の源流部にあたる稲荷山の御膳谷の紅葉 散りはじめ 撮影:MKタクシー

2018年12月9日 三ノ谷川の源流部にあたる稲荷山の御膳谷の紅葉 散りはじめ 撮影:MKタクシー

東福寺境内は、三ノ橋川の両側に東山から伸びる微高地の上に位置します。
広大な境内は、三ノ橋川の渓谷によって南北に二分されています。
南側には、本堂にあたる仏殿や三門、庫裏など主要な建物があり、北側には開山堂などの重要な建物が広がります。
考えてみると、ど真ん中に渓谷があるという立地にお寺を作ったのは不思議ですね。

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11月上旬|多彩なグラデーションが楽しめる

2021年11月2日 臥雲橋より通天橋 色づきはじめ 撮影:MKタクシー

2021年11月2日 東福寺・臥雲橋より通天橋 色づきはじめ 撮影:MKタクシー

11月に入ると、一気に紅葉が進んできました
紅葉の見頃というには気が早すぎるものの、東福寺の通天橋では、部分部分はもう真っ赤に染まっています。
美しい紅葉のグラデーションが始まりました。

前述のとおり、落葉広葉樹は葉を落とすにあたって黄葉と紅葉のメカニズムが働きます。
すべての落葉広葉樹で黄葉のメカニズムは働きますが、紅葉のメカニズムの働きには大きな差があります。
アントシアニンが生成されないイチョウは、黄色にのみ染まります。
モミジなどカエデ科の植物は、アントシアニンが生成されやすく、紅葉のメカニズムが強く働きます。
しかし、それも個体差や気候、土壌などの環境による影響も受けます。
場所によって黄色く染まったり、赤く染まったり、中間のオレンジに染まったりします。
そのため、モミジの紅葉は美しいグラデーションが楽しめるのです。

2020年11月5日 臥雲橋より通天橋 見頃近し 撮影:MKタクシー

2020年11月5日 東福寺・臥雲橋より通天橋 見頃近し 撮影:MKタクシー

朝日を浴び、えもいわれぬ味わいの色に輝いています。
下流側の臥雲橋の東側に通天橋があるため、臥雲橋から見ると日の出の方向に通天橋があります。
晴れた朝には、紅葉が朝日で輝きます。
なんと美しいのでしょうか。

2017年11月7日 臥雲橋より通天橋 見頃近し 撮影:MKタクシー

2017年11月7日 東福寺・臥雲橋より通天橋 見頃近し 撮影:MKタクシー

臥雲橋付近はまだまだ青葉が目立ちますが、通天橋付近では、かなり色づきが進んでいます。
東福寺の通天橋から眺めると、もうじゅうぶんに美しく色づいた紅葉が楽しめそうです。

2020年11月8日 通天橋より臥雲橋 見頃近し 撮影:MKタクシー

2020年11月8日 東福寺・通天橋より臥雲橋 見頃近し 撮影:MKタクシー

臥雲橋よりも、通天橋から見たほうが、やや紅葉が進んでいるように見えます。
すぐ下の木々が赤く色づいています。

2020年11月10日 臥雲橋より通天橋 見頃近し 撮影:MKタクシー

2020年11月10日 東福寺・臥雲橋より通天橋 見頃近し 撮影:MKタクシー

特に紅葉の色づきが進んでいる東福寺の通天橋の渓谷を北側だけを切り取るとこのとおりの色づき。もう紅葉は見頃といってよいくらいの色づきです。
ただし、全体からいうと東福寺の通天橋からの紅葉も見頃には早すぎます。

 

東福寺・通天橋の豆知識 ② 
2018年11月20日 臥雲橋 撮影:MKタクシー

2018年11月20日 東福寺・臥雲橋の「撮影禁止」標識 撮影:MKタクシー

事故防止のための撮影禁止について

2016年より、京都でも屈指の紅葉スポットである東福寺では、期間限定で通天橋と臥雲橋からの撮影は事故防止のため禁止されました。
東福寺の混雑、特に通天橋の紅葉ピーク時の大混雑から考えると当然のことです。
拝観料が必要なエリア内にある通天橋はもちろん、拝観料不要で24時間通行可能な臥雲橋とその前後の道路は東福寺の私道です。
公道ではないので、東福寺の判断で撮影禁止等の規制を設けることが可能なのです。

通天橋などでの撮影禁止期間は毎年変わっています。
2018年は11月11日~30日の間でしたが、2019年は状況を見て期間は随時伸縮しています。
事前に撮影禁止期間を固定して硬直した運用をするよりは、混雑状況に応じた柔軟な運用をする方が合理的です。
2018年は、早朝など誰もいないのに撮影禁止だったり、12月初めはかなり混雑しているのに撮影可だったりしました。

2020年は、撮影禁止期間の告知はありませんでした。
例年と比べると混雑が緩和されていたこともあり、撮影禁止の措置は取られませんでした。
2021年・2022年も特に告知はありません。
ただし、公式ホームページに撮影禁止の記載がなかったとしても、行ってみたら撮影禁止ということもあるかもしれません。

2007年12月2日 大行列の通天橋拝観受付 撮影:MKタクシー

2007年12月2日 大行列の通天橋拝観受付 撮影:MKタクシー

本記事に掲載しているの通天橋などの紅葉写真は、撮影禁止のエリア外か期間外のものです。
ルールを守って撮影しましょう。それだけ混雑する大人気な京都の紅葉スポットが東福寺の通天橋です。
常識と良識をもって紅葉名所スポットを守りましょう。

 

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11月中旬|京都でもやや早い見頃を迎える

11月中旬からは、東福寺の拝観料が秋期期間に入ります。2023年は11月11日(土)からです。
通天橋・開山堂の拝観料が、600円→1,000円にアップします。
なお、東福寺本坊庭園(方丈)の拝観料は500円で変動はありません。

臥雲橋より通天橋の紅葉 見頃近し 2020年11月11日 撮影:MKタクシー

2020年11月11日 東福寺・臥雲橋より通天橋の紅葉 見頃近し 撮影:MKタクシー

11月中旬ともなると、あと見頃まで一息です。
この時期はまだ、平日だと通天橋も混雑しません。
ガラガラとまでは言いませんが、じゅうぶんゆっくりと楽しめる状況です。

2018年11月12日 臥雲橋より通天橋 見頃近し 撮影:MKタクシー

2018年11月12日 東福寺・臥雲橋より通天橋 見頃近し 撮影:MKタクシー

最も早く色づきはじめた木は、もう見頃を迎えています。
真っ赤に染まる紅葉も良いですが、これくらいの緑や赤が入り混じった紅葉も絶妙に美しいです。
紅葉そのものだけでも美しいのですが、通天橋からの東福寺の建造物があわさって魅力倍増です。

2017年11月13日 通天橋より臥雲橋 見頃近し 撮影:MKタクシー

2017年11月13日 東福寺・通天橋より臥雲橋 見頃近し 撮影:MKタクシー

ここまでは、東福寺の通天橋より下流側の臥雲橋から見た通天橋でしたが、上の写真は上流側の通天橋から見た臥雲橋です。
紅葉が壁のように眼前に立ちふさがり、見え方がずいぶんと異なります。
どちらから見ても美しい紅葉が味わえます。

2019年11月15日 通天橋より臥雲橋 見頃 撮影:MKタクシー

2019年11月15日 東福寺・通天橋より臥雲橋 見頃 撮影:MKタクシー

臥雲橋の造り自体がシンプルであり、臥雲橋の周囲には他に建物がありません。
紅葉+建物の美という意味では、通天橋よりも臥雲橋から見た方が美しいかもしれません。
しかし、渓谷を埋め尽くす紅葉を楽しむのであれば、高い位置にある通天橋から見た方が楽しめます。
どちらの紅葉が美しいかは、喧々諤々でしょう。

2021年11月15日 臥雲橋より通天橋 見頃近し 撮影:MKタクシー

2021年11月15日 東福寺・臥雲橋より通天橋 見頃近し 撮影:MKタクシー

11月も後半に入ると、もう紅葉の見頃まであと一息です。
空にかかる飛行機雲もきれいです。
本当に美しい東福寺の通天橋の紅葉です。

2022年11月15日 東福寺・臥雲橋より見た日の出 撮影:MKタクシー

2022年11月15日 東福寺・臥雲橋より見た日の出 撮影:MKタクシー

早朝の臥雲橋から通天橋方面を見ると、方丈の向こう側から日が昇ってきます。
日の出直後の朝日を浴びて、紅葉がいっそう輝きます。

2023年の東福寺では、JR東海の「ずらし旅」、EX旅先予約、EX旅パック限定の早朝先行貸切拝観が行われています。
一般公開が始まる8:30より1時間早い7:30から貸切拝観が行われています。
11月18日(土)~30日(日)の商品が対象となります。
WEBより事前予約が必要なので、ご注意ください。
ずらし旅限定の特別拝観はいくつかありますが、早朝であれば東福寺一択でしょう!

8:00過ぎには通天橋には多くの観光客 2022年11月24日 撮影:MKタクシー

8:00過ぎには通天橋には多くの観光客 2022年11月24日 撮影:MKタクシー

実際、8:30の開門前から通天橋上には多くの観光客の姿が見えます。多くの方がずらし旅で早朝貸切拝観を利用されているのでしょう。
京都在住だと京都行きの旅行商品を利用する機会はないので、残念です。

2020年11月17日 臥雲橋より通天橋 見頃 撮影:MKタクシー

2020年11月17日 東福寺・臥雲橋より通天橋 見頃 撮影:MKタクシー

東福寺の顔である通天橋の紅葉が、ついに見頃を迎えました
東福寺のどまんなかの渓谷が、真っ赤に染まっています。

2021年11月12日 通天橋からの紅葉ライトアップ 色づきはじめ 撮影:MKタクシー

2021年11月12日 東福寺・通天橋からの紅葉ライトアップ 色づきはじめ 撮影:MKタクシー

なお、ちょうどこれくらいの時期から東福寺の夜間特別拝観がはじまります。
2023年は11月18日(土)~12月3日(日)に開催されます。早朝拝観と同じくJR東海の「ずらし旅」、EX旅先予約、EX旅パック限定です。
昼間は通天橋と方丈の拝観は別々ですが、夜間拝観では一度に両方拝観できます。

2021年11月12日 東福寺・方丈の紅葉ライトアップ 色づきはじめ 撮影:MKタクシー

2021年11月12日 東福寺・方丈の紅葉ライトアップ 色づきはじめ 撮影:MKタクシー

通天橋と並んで夜間拝観の見どころである方丈庭園の紅葉は、やや色づきが遅めになります。
夜間拝観期間の後半の方が色づきはおすすめです。

2020年11月18日 臥雲橋より通天橋 見頃 撮影:MKタクシー

2020年11月18日 東福寺・臥雲橋より通天橋 見頃 撮影:MKタクシー

臥雲橋から通天橋を見ると、ちょうど通天橋の向こう側から日が昇ります。
逆光だからこそ紅葉が美しく映えます。
混雑もしない早朝は、おすすめの時間帯です。

2015年11月19日 臥雲橋より通天橋 見頃 撮影:MKタクシー

2015年11月19日 東福寺・臥雲橋より通天橋 見頃 撮影:MKタクシー

まさに東福寺の通天橋は紅葉の海に架かる橋です。
部分的にまだ緑を残したカエデもありますが、それ以外の緑は常緑樹によるものです。

2019年11月20日 洗玉澗より通天橋 見頃 撮影:MKタクシー

2019年11月20日 東福寺・洗玉澗より通天橋 見頃 撮影:MKタクシー

臥雲橋から見た、紅葉の海に架かる通天橋も良いですが、谷底の洗玉澗から見た紅葉の雲の中に架かる通天橋もまた良いです。
どこから見ても絵になる東福寺・通天橋の紅葉。

 

東福寺・通天橋の豆知識 ③ 

東福寺・通天橋の架かる三ノ橋川

2016年10月29日 伏水街道第三橋 撮影:MKタクシー

2016年10月29日 本町通の伏水街道第三橋碑 撮影:MKタクシー

豆知識①のとおり、東福寺の通天橋は三ノ橋川に架かります。
稲荷山より発して西へと流れる小さな川です。
三ノ橋川の名称の由来は、本町通がある三ノ橋がかかる川という意味です。
本町通は、伏見街道とも伏水(ふしみ)街道とも言われ、京都と伏見を結ぶメインストリートです。

「ふしみ」は古代以来様々な漢字表記がされてきましたが、秀吉が伏見城を築城したころには「伏見」という表記が優勢になりました。
しかし、江戸時代に伏見で酒造業が盛んになると、「伏水」という表記も多くみられるようになり、しばらく伏見と伏水が併存していました。
1879年になって、公的な呼称は伏見とするように定められました。
そのため、第三橋のように今も伏水という表記はあちこちに残されています。

京都側から伏見街道を南の伏見方面へと進むと、東福寺付近までに3つの川を渡りました。
一ノ橋、二ノ橋があり、三番目の橋が三ノ橋です。

2016年10月29日 伏水街道第一橋 撮影:MKタクシー

2016年10月29日 本町通の伏水街道第一橋碑 撮影:MKタクシー

一ノ橋は今熊野川や瀧尾川とも言われた一ノ橋川に架かっていましたが、今は廃川となり、東福寺駅から200mほど北に石碑が残るのみです。
近隣の一橋小学校(現:東山泉小学校西学舎)は、この一ノ橋に由来します。

東山泉小学校西学舎内の一ノ橋 2022年12月10日 撮影:MKタクシー

東山泉小学校西学舎内の一ノ橋 2022年12月10日 撮影:MKタクシー

東山泉小学校のグランドには、今も移設された一ノ橋が保存されています。
小学校とグランドの間の大和大路通のすぐ横のグランド内なので、外からも一ノ橋は良く見えます。
京都と伏見を結ぶ幹線道路がこんなに細いわけないので、そのまま移築したというわけではなさそうです。
なお、小学校名は「いっきょう」と読みます。今も一橋学区という名称は地元で広く使われています。

2016年10月29日 伏水街道第二橋 撮影:MKタクシー

2016年10月29日 本町通の伏水街道第二橋 撮影:MKタクシー

二ノ橋川にかかる二ノ川も廃川となりました。
二ノ橋は、今も東福寺駅前の九条跨線橋下に残されています。
東福寺の北大門前にある橋も、かつて二ノ橋川に架かっていました。

 

今も健在の三ノ橋川に架かる三ノ橋川は、今も健在です。
本町通には、「伏水街道第三橋」という石橋が残されています。
東福寺へ紅葉狩りに訪れる多くの観光客が渡っていますが、ここが通天橋の下流部にあたることを認識している人は稀でしょう。

 

 

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11月下旬|ついに紅葉がピークを迎える

2017年11月21日 臥雲橋より通天橋 見頃 撮影:MKタクシー

2017年11月21日 東福寺・臥雲橋より通天橋 見頃 撮影:MKタクシー

全てが赤く染まっています。
京都を代表する紅葉の名所である東福寺では、これから11月末までが紅葉も人出もピークを迎えます。

2018年11月22日 臥雲橋より通天橋 見頃 撮影:MKタクシー

2018年11月22日 東福寺・臥雲橋より通天橋 見頃 撮影:MKタクシー

まだ東福寺の通天橋の拝観開始直後ですが、通天橋は人でいっぱいです。
橋のでっぱりは通天台という見晴台です。

2020年11月21日 通天橋より臥雲橋 見頃 撮影:MKタクシー

2020年11月21日 東福寺・通天橋より臥雲橋 見頃 撮影:MKタクシー

通天橋の通天台から見ると、この紅葉の絶景です。
臥雲橋からだと下流から紅葉を見上げる構図ですが、通天橋からは下流を見下ろす景色になります。
それにしても東福寺は真っ赤です。

2018年11月27日 臥雲橋より通天橋 見頃 撮影:MKタクシー

2018年11月27日 東福寺・臥雲橋より通天橋 見頃 撮影:MKタクシー

紅葉トップシーズンの東福寺の通天橋。
臥雲橋から見ると、通天橋の通天台の破風と、庫裏の大屋根が入って紅葉の構図に変化を与えてくれるのがメリットです。

2021年11月29日 臥雲橋より通天橋 見頃過ぎ 撮影:MKタクシー

2021年11月29日 東福寺・臥雲橋より通天橋 見頃過ぎ 撮影:MKタクシー

11月も終わりを迎えると、東福寺でも最初に色づいた木から順に散りはじめています。
臥雲橋からの紅葉の景色はピークを過ぎた感はありますが、渓谷では真っ赤な散紅葉のレッドカーペットが楽しめます。

 

東福寺・通天橋の豆知識 ④ 

東福寺の三名橋

偃月橋の紅葉 見頃近し 2020年11月23日 撮影:MKタクシー

東福寺・偃月橋の紅葉 見頃近し 2020年11月23日 撮影:MKタクシー

東福寺を流れる三ノ橋川に架かる三つの橋は「東福寺三名橋」と称されます。

最も上流側の偃月橋は、慶長8年(1603年)に架橋された三名橋でも最も古いもので、国の重要文化財にも指定されています。
三名橋だけでなく、現存する日本最古の屋根付き橋でもあります。
「日本百名橋」にも選定されています。
橋長21メートル、有効幅員2.2メートルと、通天橋よりひとまわり小さな橋です。

偃月橋は通常非公開である塔頭の龍吟庵と即宗院への通路にあたり、普段の人通りはわずかです。
紅葉シーズンには、龍吟庵と即宗院も特別公開されていることが多いです。

偃月橋の紅葉 色づき始め 2020年11月11日 撮影:MKタクシー

東福寺・偃月橋の紅葉 色づき始め 2020年11月11日 撮影:MKタクシー

通天橋や臥雲橋付近と比べて、色づきも随分遅めです。
通天橋などではもう見頃間近でも、まだ青々とした紅葉が目立ちます。

最も下流側の臥雲橋は弘化4年(1847年)に再建されたもので、通天橋と同じく瓦葺の屋根付きの橋です。
先代は慶長8年(1603年)に架橋されました。京都府の重要文化財に指定されています。
東福寺境内の移動だけではなく、近隣住民の生活道路や日吉ヶ丘高校への通学路として幅広く利用されています。

 

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12月上旬|まだまだ見頃。散紅葉が美しい

11月30日をもって、東福寺の秋期拝観期間は終了となります。
通天橋・開山堂の拝観料が、1,000→600円ともとに戻ります。
しかし、まだ通天橋からの紅葉の見ごろは続きます。

2007年12月2日 通天橋より臥雲橋 見頃過ぎ 撮影:MKタクシー

2007年12月2日 東福寺・通天橋より臥雲橋 見頃過ぎ 撮影:MKタクシー

東福寺でも紅葉の色付きが早かった右側(北側)は半ば以上散ってしまいました。
代わって、左側(南側)が時間差でまさに紅葉の見頃を迎えています。

通天橋から見た洗玉潤の紅葉 見頃過ぎ 2021年12月1日 撮影:MKタクシー

2021年12月1日 東福寺・通天橋から見た洗玉潤の紅葉 見頃過ぎ 撮影:MKタクシー

なかば散っていますが、まだ東福寺の通天橋付近では、じゅうぶんに紅葉を楽しめます。
京都では12月に入った途端に紅葉目当ての観光客は激減するので、この時期を狙って京都観光に訪れるツウの人も多いです。
人ではなく紅葉を見に来るツウたち。

2019年12月6日 臥雲橋より通天橋 散りはじめ 撮影:MKタクシー

2019年12月6日 東福寺・臥雲橋より通天橋 散りはじめ 撮影:MKタクシー

紅葉も半ばが散り、今も残っているのは南側だけです。
さすがに今年の紅葉も終わりつつあります。

2018年12月9日 臥雲橋より通天橋 終わり近し 撮影:MKタクシー

2018年12月9日 東福寺・臥雲橋より通天橋 終わり近し 撮影:MKタクシー

紅葉シーズンを終え、すっかり静けさを取り戻した東福寺の紅葉スポット通天橋。
東福寺の通天橋にもまばらに人の姿が見えるだけです。ほんの数日前までの喧騒が夢のようです。
まだわずかに紅葉が見頃の木も残っています。

 

東福寺・通天橋の豆知識 ⑤ 
東福寺・山門前の通天楓の紅葉 見頃近し 2020年11月11日 撮影:MKタクシー

東福寺・山門前の通天楓の紅葉 見頃近し 2020年11月11日 撮影:MKタクシー

通天楓とは

東福寺の通天橋で紅葉しているモミジは、カエデ類を主体として、いろいろな樹種が混じっています。
紅葉するカエデといえば、京都ではイロハモミジ(タカオカエデ)がメインであることが多いです。

実は、東福寺の通天橋では、通天楓(つうてんかえで)というモミジが主体となっています。
樹高23メートルの大きな通天楓もあります。

東福寺・山門前の通天楓の紅葉 見頃近し 2020年11月11日 撮影:MKタクシー

東福寺・山門前の通天楓の紅葉 見頃近し 2020年11月11日 撮影:MKタクシー

ツウテンカエデとは、通天橋で有名な楓という意味の通称です。
種類としては、トウカエデ(唐楓)になります。
もともと日本にはなく、中国原産のモミジです。

東福寺の開山である聖一国師(しょういちこくし)が、中国から持ち帰ってきたモミジであると伝えられています。
五裂あるいは七裂しているイロハモミジとは異なり、三つの切れ込みが入った葉が大きな特徴です。
イロハモミジなどと同じく、秋には赤や黄金色に紅葉します。

トウカエデ自体は、決して珍しい樹ではありません。
街路樹や公園樹としても良く用いられています。
しかし、通天楓に由来ともなった東福寺の通天橋で見るトウカエデはまた一味違う気がします。
なお、東福寺の通天橋のトウカエデだけを特別に通天楓と称しているわけではありません。
園芸店でもトウカエデのことを通天楓として売っているのもよく見ます。

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12月中旬|紅葉は落ち静寂を取り戻す

2019年12月11日 臥雲橋より通天橋 終わり近し 撮影:MKタクシー

2019年12月11日 東福寺・臥雲橋より通天橋 終わり近し 撮影:MKタクシー

2019年のように、比較的紅葉が遅い年では、12月中旬に入ってもある程度紅葉が残っている場合もあります。
2020年のように、紅葉が早い年だと12月上旬のうちにすっかり散ってしまいます。

2018年12月12日 臥雲橋より通天橋 落葉 撮影:MKタクシー

2018年12月12日 東福寺・臥雲橋より通天橋 落葉 撮影:MKタクシー

最後まで残っていた木もついに散りはじめました。

2018年12月15日 洗玉澗より通天橋 落葉 撮影:MKタクシー

2018年12月15日 東福寺・洗玉澗より通天橋 落葉 撮影:MKタクシー

通天橋年の紅葉は、これにて終了です。
また来年の紅葉シーズンまで静かな東福寺が戻ってきます。
桜シーズンはびっくりするほど静かな東福寺ですが、紅葉だけではなく桜の次の春の新緑も実はおすすめです。
良い時期もいまいちな時期も経て、本当に美しい京都に出会えることでしょう。

 

東福寺・通天橋の豆知識 ⑥ 

日本百名橋とは

2006年12月5日 日本百名橋のひとつである渡月橋 撮影:MKタクシー

2006年12月5日 日本百名橋のひとつである渡月橋 撮影:MKタクシー

東福寺三名橋のうち、最も上流にある偃月橋は、前述のとおり日本百名橋に選定されています。
日本百名橋とは、橋梁工学の専門家が1998年に選定したものです。
有名な通天橋ではなく偃月橋が選定されている最大の理由は、古さです。
現存の通天橋は1961年に対し、偃月橋は慶長8年(1603年)の架橋です。

京都府では、他に三条大橋、五条大橋、上賀茂神社の橋殿(はしどの)、渡月橋、宇治橋、流れ橋、泉大橋の7箇所が日本百名橋に選定されています。
上賀茂神社の橋殿はやや異色ですが、納得の選定ではないでしょうか。
公的に選ばれた百選だと、もろもろの配慮から全国万遍なく選ばれることが多いですが、私的に選ばれた日本百名橋は、京都からも多数選ばれています。

 

 

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初夏|青く輝く新緑の季節もおすすめ

2019年4月19日 臥雲橋より通天橋 撮影:MKタクシー

2019年4月19日 東福寺・臥雲橋より通天橋 撮影:MKタクシー

紅葉スポットは、初夏の新緑もまた美しいスポットです。
東福寺の通天橋も例外ではありません。
本記事の主題とははずれますが、通天橋の新緑を簡単に紹介します。

2017年4月5日 臥雲橋より通天橋 撮影:MKタクシー

2017年4月5日 東福寺・臥雲橋より通天橋 撮影:MKタクシー

京都でソメイヨシノが満開を迎えている4月初め、通天橋では新緑の季節が始まります。
洗玉澗を埋めるカエデから、瑞々しい黄緑色をした新芽が萌え出してきます。

2009年5月2日 臥雲橋より通天橋 撮影:MKタクシー

2009年5月2日 東福寺・臥雲橋より通天橋 撮影:MKタクシー

ゴールデンウィークを迎える頃、通天橋の新緑は見頃を迎えます。
生命感にあふれた、鮮やかな新緑により、洗玉澗は緑色の海へと変貌します。

2018年5月9日 臥雲橋より通天橋 撮影:MKタクシー

2018年5月9日 東福寺・臥雲橋より通天橋 撮影:MKタクシー

紅葉シーズンにはあれほど混雑する通天橋ですが、桜から新緑の時期に訪れる人は稀です。
新緑も本当に美しいので、是非訪れて欲しい絶景スポットです。

2018年5月16日 カエデの実と通天橋 撮影:MKタクシー

2018年5月16日 東福寺・カエデの実と通天橋 撮影:MKタクシー

 

東福寺・通天橋の豆知識 ⑦ 

三ノ橋川の源流を探訪する

稲荷山の一ノ峰 2020年12月2日 撮影:MKタクシー

稲荷山の一ノ峰 2020年12月2日 撮影:MKタクシー

東福寺の通天橋の下を流れる三ノ橋川は、伏見稲荷大社がある稲荷山が源流です。
稲荷山中にある、三ノ橋川の源流を探訪します。

三ノ橋川は、稲荷山の一ノ峰の北側から発します。
伏見稲荷大社のお山巡りルートの内側と言った方がわかりやすいかもしれません。
反時計まわりにお山巡りを行った場合、一ノ峰から北へと下っていく谷間が、三ノ橋川の源流部です。

稲荷山・薬力の滝 2020年12月2日 撮影:MKタクシー

稲荷山・薬力の滝 2020年12月2日 撮影:MKタクシー

源流部は雨上がりでなければ、水流はありません。
普段は薄暗い谷間を伏流し、一ノ峰から5分程度くだった薬力社(やくりきしゃ)ではじめて水があらわれます。
このすぐ下にあるのが、薬力(やくりき)の滝です。

稲荷山・薬力の滝 2020年12月2日 撮影:MKタクシー

稲荷山・薬力の滝 2020年12月2日 撮影:MKタクシー

行場でもある薬力の滝が、三ノ橋川のはじまりです。
お山巡りの途中には、いくつか滝がありますが、そのひとつが通天橋へとつながる三ノ橋川のはじまる地点なのです。
お山巡りをしたら必ず通る地点なので、見たことがあるという人も多いでしょう。しかし、これこそが三ノ橋川のはじまりだという事実を知る人はほとんどいないでしょう。
伏見稲荷と東福寺の意外な関係に驚かされます。

 

 

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1704年刊行 金屋平右衛門編「宝永花洛細見図」出典:国立国会図書館デジタルコレクション

1704年刊行 金屋平右衛門編「宝永花洛細見図」出典:国立国会図書館デジタルコレクション

 

通天橋の紅葉について

通天橋の歴史

2007年11月3日 通天橋 撮影:MKタクシー

2007年11月3日 東福寺の通天橋 撮影:MKタクシー

現在の通天橋は、橋長27メートル、有効幅員2.7メートルの三ノ橋川に架かる橋です。

東福寺の仏殿と開山堂を結ぶ橋廊として康暦2年(1380年)に架橋されたのが通天橋の始まりです。
東福寺の創建は嘉禎2年(1236年)ですので、それまで100年以上の間は、深い渓谷を上り下りして行き来して南北を往来していました。
春屋妙葩(普明国師)が往来をしやすくするために架けたと言われます。通天橋にかかる「通天」の扁額も春屋妙葩によるものです。

2007年12月2日 12月に入っても大混雑する通天橋 撮影:MKタクシー

2007年12月2日 12月に入っても大混雑する通天橋 撮影:MKタクシー

その後、慶長2年(1597年)、文政12年(1829年)と架け替えられ、1959年の伊勢湾台風で大破し、1961年に今の通天橋が再建されました。
再建時に橋脚部分は観光客の重量に耐えられるように鉄筋コンクリートになりました。

東福寺の通天橋北側にある開山堂付近が中位段丘面、その他が低位段丘面にあります。

2018年11月20日 限定公開で夜間ライトアップされる通天橋を臥雲橋より 撮影:MKタクシー

2018年11月20日 限定公開で夜間ライトアップされる通天橋を臥雲橋より 撮影:MKタクシー

 

東福寺・通天橋の紅葉

2018年11月22日 三門前の通天楓 見頃 撮影:MKタクシー

2018年11月22日 東福寺・三門前の通天楓 見頃 撮影:MKタクシー

東福寺境内に刻まれた渓谷は「洗玉澗(せんぎょくかん)」と称され、古くから京都の紅葉名所として知られています。
京都に限らず紅葉といえばイロハモミジ(タカオカエデ)が定番ですが、東福寺の通天橋はトウカエデ(唐楓)という三股のカエデが主となっています。
東福寺の開山である円爾弁円(えんにべんえん)が宋から京都へと持ち帰ったと言われ、通天楓とも言われる美しく色づくカエデです。

円爾画像「国史大図鑑」出典:国立国会図書館デジタルコレクション

円爾画像「国史大図鑑」出典:国立国会図書館デジタルコレクション

 

東福寺・通天橋の古絵図・古写真

東福寺 山本泰順 1658年刊行「洛陽名所集」 出典:国立国会図書館デジタルコレクション

東福寺 山本泰順 1658年刊行「洛陽名所集」 出典:国立国会図書館デジタルコレクション

万治元年(1658年)刊行の「洛陽名所集」では、通天橋付近に紅葉の姿は描かれていません。
左端に半分見えているのが通天橋です。

東福寺 山本泰順 1658年刊行「洛陽名所集」 出典:国立国会図書館デジタルコレクション

東福寺 山本泰順 1658年刊行「洛陽名所集」 出典:国立国会図書館デジタルコレクション

右端に半分見えているのが通天橋、右下が臥雲橋です。
17世紀半ばの時点では、まだ紅葉の名所としての認識はまだなかったのでしょう。

都名所図会「東福寺」 出典:国際日本文化研究センター

都名所図会「東福寺」 出典:国際日本文化研究センター

安永7年(1780年)に刊行された都名所図会では、通天橋の洗玉潤沿いにモミジが集中的に描かれています。
境内の他の部分では松ばかり描かれているのとは対照的です。
18世紀後半には、通天橋が紅葉の名所としてよく知られていたということがわかります。

1834年頃 歌川広重「京都名所之内」(国立国会図書館デジタルコレクション)

1834年頃 歌川広重「京都名所之内」 出典:国立国会図書館デジタルコレクション

東福寺の通天橋の下の座敷でくつろぎつつ紅葉狩りをしている様子を描いたものです。
東福寺の通天橋は、皆が集まる京都有数の紅葉スポットとして人気でした。

19世紀中頃 貞信「京都名所之図」(国立国会図書館デジタルコレクション)

19世紀中頃 貞信「京都名所之図」 出典:国立国会図書館デジタルコレクション

通天橋に通天台が見えますが、歌川広重の絵とほぼ同じ構図です。
カエデの生えている位置や枝ぶりまでそっくりですが、いずれも正確に写生されたのか、貞信が広重の絵を下書きにして描いたのかどちらでしょうか。

1860年刊行「淀川両岸一覧」出典:京都府立京都学・歴彩館 京の記憶アーカイブ

1860年刊行「淀川両岸一覧」出典:京都府立京都学・歴彩館 京の記憶アーカイブ

万延元年(1860年)の淀川両岸一覧でもカエデに覆われた通天橋の姿が描かれています。
川沿いから斜面、上まであちこちに床几が設けられています。

1900年発行 瀬川光行 編「日本之名勝」(国立国会図書館デジタルコレクション)

1900年発行 瀬川光行 編「日本之名勝」 出典:国立国会図書館デジタルコレクション

明治に入っても、通天橋の下で桟敷で紅葉狩りをする方法が続いています。
結構ぎゅうぎゅうづめです。

今よりもカエデの密度がかなり低いことが見て取れます。
東福寺の通天橋や臥雲橋から海のように広がる紅葉を楽しむのではなく、紅葉の下で楽しく過ごすのが主流だったのでしょうか。
お花見みたいに、美しく色づいた紅葉の下で酒でもたしなみつつ楽しんでいたのでしょう。

1907年発行 京都市参事会「京都名所帖」(国立国会図書館デジタルコレクション)

1907年発行 京都市参事会「京都名所帖」 出典:国立国会図書館デジタルコレクション

白黒写真なので判然とはしませんが、今よりも杉や松などの常緑樹が多そうに見えます。
東福寺の通天橋は今と同じく紅葉の名所とはいえ、100年後の現代とは異なる景観で、異なる方法で楽しまれていたのかもしれませんね。
現代の日本ではお花見と紅葉では楽しみ方が違いますが、ほんの百年前まではどちらも京都の四季として桟敷から眺めつつ食事やお酒を楽しんできたのでしょう。

東福寺通天 国立国会図書館デジタルコレクション「笹田駒治『京名所写真帖』1903刊行」

東福寺通天 国立国会図書館デジタルコレクション「笹田駒治『京名所写真帖』1903刊行」

通天橋の拝観情報

拝観情報

拝観時間4~10月
9:00~16:30(受付は16:00)
11月~12月第一日曜日
8:30~16:30(受付は16:00)
12月第一日曜日~3月
9:00~16:00(受付は15:30)
拝観料方丈(本坊庭園)
大人:500円
小人:300円通天橋・開山堂(11/11~11/30)
大人:1,000円
小人:300円通天橋・開山堂(上記以外)
大人:600円
小人:300円
TEL075-561-0087
住所京都市東山区本町15丁目778
アクセス京阪・JR「東福寺」より徒歩8分
京阪「鳥羽街道」より徒歩8分
臥雲橋までの場合

公式ホームページ:臨済宗大本山 東福寺 -日本最古の最大級の伽藍-

 

早朝拝観(完全予約制)
期間2023年11月18日(土)~30日(木)
時間7:30~8:30 (最終受付8:30)
金額1,800円※EX旅先予約での価格
夜間拝観(完全予約制)
期間2023年11月18日(土)~12月3日(日)
時間17:30~19:30 (最終受付 19:00)
金額2,800円※EX旅先予約での価格

 

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京都国立博物館の特別展「東福寺」

初の東福寺をテーマとした特別展

平成知新館で開催の「東福寺展」 2023年10月21日 撮影:MKタクシー

平成知新館で開催の「東福寺展」 2023年10月21日 撮影:MKタクシー

2023年の10月7日(土)から12月3日(日)まで、京都国立博物館で東福寺展 が開催されています。
東福寺をテーマにした特別展は今回が初開催です。東福寺の誇る寺宝の数々が並びます。
平成知新館の入り口には、通天橋の紅葉を模した原寸大の模型があります。

 

谷口吉生設計の平成知新館 2023年10月21日 撮影:MKタクシー

谷口吉生設計の平成知新館 2023年10月21日 撮影:MKタクシー

 

明兆の「五百羅漢図」がすごい!

東福寺展の最大の見どころは、明兆の「五百羅漢図」でしょう。14年にわたる修復がおわった全47幅がならぶ様子は圧巻です。
今回の東福寺展も五百羅漢図の修復完成を記念して開催されました。

明兆が雪舟と並んで「画聖」とまで言われたことは知っていましたが、五百羅漢図をはじめとする作品群は本当に見事です。
テーマがわかりにくい絵には、漫画の解説がついています。なかなか秀逸な解説にも注目です。
来年春にはもう一人の画聖の特別展「雪舟伝説」も開催されます。

明治古都館(旧本館) 2023年10月21日 撮影:MKタクシー

明治古都館(旧本館) 2023年10月21日 撮影:MKタクシー

2023年の春には東京国立博物館でも開催されています。東京会場では通天橋の実物大再現展示もあったそうです。
京都会場は本物の通天橋が近くなので再現展示はありません。

 

京都国立博物館の紅葉もおすすめ

京都国立博物館は、紅葉も楽しむことができます。
特に噴水の周囲に植えられているケヤキは京都でも早く見頃を迎える紅葉スポットです。
11月上旬ごろからいち早く見頃を迎えます。黄色やオレンジに染まったケヤキが見事です。
噴水や片山東熊の設計で重要文化財に指定されている明治古都館(旧本館)と紅葉の景色が魅力的です。

京都国立博物館のケヤキの紅葉 2017年11月13日 撮影:MKタクシー

京都国立博物館のケヤキの紅葉 2017年11月13日 撮影:MKタクシー

紅葉の東福寺は多くの観光客でにぎわいます。
東福寺を訪れる方は、ぜひ京都国立博物館の東福寺展も訪れてください。
歩いても30分くらいですよ。

京都国立博物館の茶室「堪庵」と紅葉 2022年11月20日 撮影:MKタクシー

京都国立博物館の茶室「堪庵」と紅葉 2022年11月20日 撮影:MKタクシー

特別展「東福寺」の情報

開催期間2023年10月7日(土)~12月3日(日)
開館時間9:00~17:30(入館は17:00まで)
観覧料一般 1,800円
大学生 1,200円
高校生 700円
TEL075-525-2473
住所京都市東山区茶屋町527
アクセス京阪「七条」より徒歩7分

公式ホームページ:特別展「東福寺」

京都国立博物館のケヤキの紅葉 2016年11月5日 撮影:MKタクシー

京都国立博物館のケヤキの紅葉 2016年11月5日 撮影:MKタクシー

 

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おわりに

東福寺の通天橋から見た紅葉は本当に素晴らしいです。
是非一度は見て欲しい絶景です。
しかし、紅葉ピークシーズンの東福寺ともなると、紅葉を見に来たのか、人を見に来たのかわからないような大混雑です。

しかし、京都には東福寺に負けず劣らず美しい紅葉が見られるスポットが他にもあります。
MKタクシーの観光ドライバーであれば、あまり知られていないとっておきの京都にある紅葉の穴場をがたくさん引き出しに入っています。
定番の人気紅葉スポットはもちろん、あまり知られていない穴場紅葉スポットまで、紅葉の色づき具合にあわせて、ちょうど良い穴場紅葉スポットを効率よくご案内することができます。

MKの観光貸切タクシーなら、京都の紅葉を心行くまで楽しむことができます。
観光・おもてなしのプロといっしょに一味ちがう京都旅行を体験してみませんか?

 

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1995年2月14日のMKタクシー山科営業所における全員業務集会では、臨済宗東福寺派庶務部長の伊藤寳様にご講話いただきました。

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紅葉のライブ配信

MKタクシーの公式インスタグラムでは、「京都の今」を伝えるインスタライブの配信を行っています。
紅葉シーズンには、京都各地の紅葉をライブ中継します。
原則として毎週木曜日のお昼12時15分頃から約30分配信します。
その他、夜間や土日祝の特別配信も予定しています。

MKタクシー公式インスタグラム:https://www.instagram.com/mktaxi.jp/

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