アフガニスタンで受け継がれる現地での活動 中村哲さん死後のペシャワール会④|MK新聞2021年掲載記事
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MKタクシーの車内広報誌であるMK新聞では、フリージャーナリストの加藤勝美氏及びペシャワール会より寄稿いただいた中村哲さんの記事を、2000年以来これまで30回以上にわたって掲載してきました。
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アフガニスタンで受け継がれる現地での活動 中村哲さん死後のペシャワール会④
現地の技師がタリバンと面会
2021年10月15日、ペシャワール会支援室から、現地活動の様子が届いた。
今年8月15日のタリバンによる首都カブール掌握後、ダラエヌール診療所や農業、用水路建設を一旦停止したが、やがて新政権から配置された州政府やPMS(ピース ジャパン メディカルサービス=平和医療団・日本)活動地の郡職員からの接触があるたびに、作業の再開を勧められた。
そのため、職員たちの安全を慎重に確認のうえ、全事業が再開されることになった。一方、アフガニスタンの資産凍結によって、PMSの銀行口座から資金が取り出せなくなっていたが、9月19日、ひと月に25,000ドル相当のアフガニ通貨を引き出せるようになった。
9月初旬にガンベリ農場でのレモン収穫や乳牛の生産があったので、滞っていた日雇い作業員への一ヵ月分の労賃を支払い、診療所の薬も準備し、重機燃料の購入で、掘削機2台やトラック数台を稼働し、用水路事業も再開された。
PMSではパシュトゥ、タジク、ハザラ、パシャイー族と複数の民族が働いているが、いつの間にか、全員がそれぞれの部署に戻っていた。
現地の様子をハラハラしながら気を揉んでいた福岡本部の支援室スタッフは「時間をかけてじっくり様子を見て来た彼らの判断が最適だったのだ」と、取り越し苦労を“喜んで”いるらしい。
似たようなことがかつてあった。
あの2001年9月11日の直後、アフガンにいる中村さんたちに「狼狽した反応」が日本側から届けられ、イスラマバードの日本大使館は現地からの日本人退去を要請した。
これを受けて中村さんは書いている。
「意外に町は平静であった。黙々と日々の営みが行われていたが、それは事情を知らないからではない。相変わらずBBCはパシュトゥ語放送で米国の動きを伝えていたし、職員の誰もが日本人大衆よりは驚くほど正確に事態を判断していた」
(『医者、用水路を拓く アフガンの大地から世界の虚構に挑む』石風社)。
これまでの経過を時系列でたどると、まず8月14日にマルワリード堰上流にタリバン兵が到着、翌日にはPMSの3つの事業を停止し、職員の安全を確認した。
9月21日、ナンガラハル州の水・エネルギー局長代理と河川局長がマルワリードⅡ堰・用水路とバルカシコート堰を視察し、その事業を評価して活動再開と継続を要請した。
10月2日、シェイワ郡保健局長と職員が、ダラエヌール診療所に来所し、助産師の助手として女性職員を増やすよう要請があった。
なお、ガンベリ農場では今年1月から開墾を始め、人手不足への対応と生産性向上のため、農業高校卒の24名の候補者から、5名が試験採用され、7月24日から農場で働き始めた。
写真はすべてペシャワール会提供。
(2021年10月31日記)
ペシャワール会
〒810-0003 福岡市中央区春吉1-16-8 VEGA天神南601号
☎092-731-2372
FAX:092-731-2373
http://www.peshawar-pms.com/
peshawar@kkh.biglobe.ne.jp
(MK新聞2021年12月1日号)
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フリージャーナリスト・加藤勝美氏について
ペシャワール会北摂大阪。
1937年、秋田市生まれ。大阪市立大学経済学部卒
月刊誌『オール関西』編集部、在阪出版社編集長を経て、1982年からフリー
著書に『MKの奇蹟』(ジャテック出版 1985年)、『MK青木定雄のタクシー革命』(東洋経済新報社 1994年)、『ある少年の夢―稲盛和夫創業の原点』(出版文化社 2004年)、『愛知大学を創った男たち』(2011年 愛知大学)など多数。
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