グローバル・ビジネス・レポート【139】オーストラリア紀行|MK新聞連載記事

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グローバル・ビジネス・レポート【139】オーストラリア紀行|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、「グローバル・ビジネス・レポート」を2012年2月1日から連載しています。
MK新聞2025年11月1日号の掲載記事です。筆者プロフィールは新聞掲載時点のものです。

長岡技術科学大学経営戦略・技術経営・ものづくり経営研究室 千代 季さんの執筆です。

オーストラリア紀行

大学の夏休み期間を利用して、私は、8月7日~25日の間、オーストラリアを旅行した。オーストラリアを選んだ理由は、オーストラリア人の友人がいること、比較的治安の良い英語圏であること、そして何より雄大な自然を自分の肌で感じたいと思ったからである。オーストラリアでは、ゴールドコースト、キャンベラ、シドニー、タスマニア島のホバートの4つの都市を訪れた。その中でも特に印象に残ったのはホバートだった。
タスマニア島はオーストラリア大陸の南東海上に位置し、北海道の約8割の面積を持つ島である。1800年代初期に植民が始まった歴史ある地域であり、ホバートはシドニーに並ぶ古い町として知られている。オーストラリア旅行といえば、まず、シドニーやケアンズなどの有名都市が思い浮かぶが、私がタスマニア島を選んだ理由は、より多様な文化に触れたいという思いと歴史的な街並みを実際に歩いてみたいという思いからであった。ホバートには8月12~14日の3日間、滞在した。
ホバートでは主に2つの場所を訪れた。1つ目は、ホバートからバスで30分ほどの小さな町リッチモンドである。ここにはオーストラリアに現存する石橋の中で最古のリッチモンド橋がある。この橋はかつて囚人によって建設されたもので、近くにはリッチモンド監獄跡地も残っている。こうした史跡を前にすると、過去の歴史が単なる知識ではなく現実として迫ってくる。そのため、オーストラリア各地を巡った中でも、この場所は特に心に残った。町全体に漂う静けさや古い建築は、旅行者であることを忘れる程、心を落ち着かせてくれた。さらに、ご当地グルメであるスカロップパイ(ホタテとカレー風味のクリームが入ったパイ)を味わったことも印象に残った。地元のベーカリーで食べたその一品は、土地の温もりを感じさせてくれた。観光というよりもむしろ「暮らすように滞在する」体験ができたことが印象的であった。リッチモンドで過ごした時間は本当に素晴らしく、また訪れたいと思う場所になった。
2つ目はカスケードブルワリーである。ここはオーストラリアに現存する最古のブルワリーであり、歴史を感じさせる外観とともに今も伝統のビールを造り続けている。私は内部を案内してくれるツアーに参加し、醸造所の歴史や工程について説明を受けた。英語での解説だったため、すべてを理解することは難しかったが、大きな醸造タンクや古いレンガ造りの建物を目にするだけで、その重厚さや時間の積み重ねが伝わってきた。ツアーの最後には4種類のビールを試飲した。どれも非常にクリアで雑味が無く、特に水の良さが味に直結していることを強く実感した。
私は、現在、スーパーマーケットの売り場について研究をしているが、オーストラリアのスーパーは、日本とは大きく異なるものだった。Colesというスーパーでは牛肉からラムまで本当に広大な肉売場があり、牛乳は常温で販売、5kg約1000円の米も販売されていた。Colesの他にも常時セールを行っているWoolworth、豊富なプライベートブランド商品を展開するAldiなどのスーパーにも行った。
オーストラリア人の友人とは現地での生活や日本との違いについて英語・日本語を交えて様々な話をした。旅行を通して、私の英語はある程度通じたが、ネイティブのように会話するには、まだまだ勉強が必要だと感じた。学生最後の夏休みにオーストラリアを長期で旅するということは自分にとって大きな決断だった。長い休みを活かして異国の地を歩いた経験は、自分の視野を広げ、価値観を深める大きな糧になった。

■筆者プロフィール
北海道出身。旭川高専卒。現在、長岡技術科学大学大学院情報・経営システム工学分野の修士2年に在籍。

リッチモンド橋

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