フットハットがゆく!【362】「夢かなう」|MK新聞連載記事

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フットハットがゆく!【362】「夢かなう」|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、塩見多一郎さんのエッセイ「フットハットがゆく」を2001年11月16日から連載しています。
MK新聞2024年3月1日号の掲載記事です。

夢かなう

愛犬と猟に出て、獲物を仕留めるという夢が叶いました。僕が猟師になって3年、愛犬を育てて1年半でした。子どもの頃、椋鳩十の児童小説を読み、山で猟犬と狩りをする猟師の姿に憧れておりました。しかし、都会での日々の生活の中で、子どもの頃の夢などすっかり忘れておりました。働きすぎてあちこち体を壊し、50歳でそのころの仕事を辞めて田舎に引っ越し、のんびり自給自足の生活をすることに決めました。その時に、「あれ?子どもの時の夢を実現することが出来るかも?」と思いました。コロナの邪魔などもあり少し手間取りましたが、4年かけて現実になりました。

さて今回は、最近知った猟犬の特徴をいくつか紹介します。

・匂いつけ
猟犬と散歩していると、道で他の動物のオシッコやウンチを見つけて、自分の体になすりつけることがあります。これは犬ならだいたい持っている習性ですが、特に猟犬はよくします。猟犬がこれをする理由は、狩りをしていたオオカミ時代の本能…自分の体を獲物と同じ匂いにして、相手に接近したことを悟らせない為、という説が有力です。獲物であるイノシシやシカは鼻が効きますから、犬の匂いが近づけばすぐに逃げてしまいます。自らをその動物に馴染んだ匂いにして、獲物に気付かせず接近するのです。先日、うちの猟犬が山からシカを追い出し、待ち受けた猟師が発砲し見事獲物を得ました。戻ってきた愛犬を抱きしめて褒めてやろうと思ったら、体中ウンチまみれでした。困ったものだと苦笑いしつつ、これも猟師ならではの貴重な経験だと思い、しっかり抱きしめました。

・追いかけ
うちの猟犬は2頭、同じ親から生まれた姉弟です。が、性格は微妙に異なり、獲物の追い方にも個性が出ます。オスメスの関係もあるかもしれません。僕は勢子として犬を山に放し、僕自身も山に入りつつ、鉄砲隊が待つ方に犬が獲物を追い立てるように誘導します。メスの方は、基本、僕の近くを経由しつつ、獲物を探します。オスの方は、僕に構わずひたすら獲物を追いかけてしまいます。ですから、一旦狩猟が終わると、メスはすぐ僕の元に帰ってきますが、オスはそれこそ鉄砲玉のように遠くまで獲物を追いかけてしまい、時にはそのまま行方不明になります。今はGPSという便利なものを首輪に装着していますので、かなり離れた場所まで車で迎えに行くこともできます。昔は、犬が自力で帰ってくるまで待たねばならなかったわけですから、猟師さんの気苦労も今とはまるで違ったことでしょう。

狩猟や愛犬の話をし始めるとキリがないのですが、世間では、猟銃(または改造銃)を使った事件や、猟犬・飼い犬の咬傷事故、さらには野生動物による殺傷事故、などが…。そのようなニュースを目にするたび、猟師の立場としては他人事ではない複雑な気持ちになります。しかし昔ながらのやり方で、自然と真っ向勝負してこそ得られる感動もあります。細心の注意をはらい、最良の経験を得られるように日々精進です。

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