フットハットがゆく【337】「狩猟」|MK新聞連載記事
MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、塩見多一郎さんのエッセイ「フットハットがゆく」を2001年11月16日から連載しています。
MK新聞2022年1月1日号の掲載記事です。
狩猟
あけましておめでとうございます。今年もこりずに、フッと思ったことハッと気づいたことを書いていきます。
昨年末、ついに念願のハンターになれました!
狩猟免許、猟銃所持許可を取得して狩猟者登録も行い、猟友会のメンバーとともに猟へ。
初猟で野生のシカを仕留めることができました。ジビエとしてお肉もいただき、最近毎日食べています。
山の命に感謝です。
猟期のうちに、イノシシ撃ちやカモ撃ち、わな猟にも挑戦予定。
猟に使うアマチュア無線、ジビエの解体作業、猟犬の育成など、まだまだ覚えたいことが山ほどあります。
生き物を殺す、ということには賛否ありますが、僕は信念と理想を持ってやっています。
それについてはまたおいおいお話しします。
今回は、狩猟免許を取る過程で知った、個人的に興味深かった専門用語を紹介します。
『空気銃』
最初、水鉄砲の親戚みたいなものだと思っていました。空気を飛ばして軽く衝撃を与えるような…。
でも実際は違います。
狩猟用の空気銃は圧縮した空気で弾丸を勢いよく押し出し、鳥などを撃ち殺すことができます。免許も必要です。
火薬銃はある程度基礎構造が出来上がってしまい、近年はそれほど進化がないのですが、空気銃は年々進化し、100m先の鳥をスコープで覗いて狙撃することもできます。
空気のパワーを侮るなかれ。
『眠り銃』
野生動物を麻酔で眠らせるための銃かな? と思っていましたが違います。
購入したものの、使用されずに眠っている銃のことです。
猟銃を所持するには、公安委員会(警察)の厳しい審査を経て許可を受けなければなりません。
銃は盗難に遭わないように、頑丈なガンロッカーに保管する必要があります。
使用用途は、標的射撃か、狩猟に限られます。護身用やコレクションという用途では所持許可はおりません。
つまり眠り銃の期間が長いと、所持許可が取り消される場合があります。
『かたづけ』
猟銃の講習などで「かたづけの練習をしっかりしなさい!」と、よく言われます。
整理整頓お片付けのことではありません。
猟銃は細長くて重く、銃のお尻をしっかりと自分の肩に固定して撃ちます。
これを『肩付け』といい、肩付けが悪いと発砲した時の反動で痛い思いをします。
鎖骨に当たったら骨折する場合もあります。
何より、肩付けが悪いと、弾がまっすぐ飛びません。獲物が飛び出した時に、サッと素早く肩付けできるように、日頃からの練習が必要です。
『ガサドン』
言葉の響き的には滑稽な感じがしますが、ガサツな鈍感者のことではありません。
山に猟に出て、茂みがガサガサとしたので獲物と思い込み、ドンッ! と撃ったら、人間だった…。
実際に稀に起こる猟銃事故です。
ガサドンをしないために必要なのは、獲物を確実に目視できるまで撃たないこと。
猟場での慢心、油断、焦り、パニックが、ガサドンを引き起こしかねません。
何事も初心、基本、冷静さが必要ですね。
猟に限ったことではなさそうです。
田舎暮らし公開中! YouTube『塩見多一郎』で検索!
MK新聞について
「MK新聞」は月1回発行で、京都をはじめMKタクシーが走る各地の情報を発信する情報紙です。
MK観光ドライバーによる京都の観光情報、旬の映画や隠れた名店のご紹介、 楽しい読み物から教養になる連載の数々、運輸行政に対するMKの主張などが凝縮されています。
40年以上も発行を続けるMK新聞を、皆さま、どうぞよろしくお願いします。
ホームページからも最新号、バックナンバーを閲覧可能です。