フットハットがゆく【333】「田舎ウォーズ2」|MK新聞連載記事

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フットハットがゆく【333】「田舎ウォーズ2」|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、塩見多一郎さんのエッセイ「フットハットがゆく」を2001年11月16日から連載しています。
MK新聞2021年9月1日号の掲載記事です。

 

 

田舎ウォーズ2

 

都会のスーパーに並んでいる赤いトマトは、実は青いうちに収穫されているというのは有名な話です。
収穫~輸送~店頭に並ぶまでに何日かかかり、その間にちょうど赤くなるそうです。
だから、田舎で自家菜園をしていると、庭で赤くなったトマトを採ってすぐに食べられるから羨ましい…と都会の人にいわれます。
実際僕もそうしています。
しかし、3つ隣の村に住む人から聞いた話では、そこにはハクビシンやアライグマがいて、赤く熟したトマトを狙って食べてしまうので、青いうちに採って台所に数日置いて赤くする…ということでした。
それじゃぁ都会の人と変わらないじゃないか…という悲しいお話。

 

続いて2つ隣の村の人から聞いた話。
過疎化が進み休耕田が多くなったので、地域活性のために蕎麦(そば)を栽培することになりました。
蕎麦畑の横にミツバチ養蜂の巣箱を置き、蕎麦の花から採取された蜜でコクのあるハチミツが採れます。
ミツバチに受粉を助けられた蕎麦は実がよく成り、それを挽いて地元産の蕎麦として生産できるという、なんとも夢のある話です。
が、実際には何マン円もかけて購入したミツバチの巣箱が凶暴なスズメバチに襲撃されて全滅…。
蕎麦の収穫時期が迫り、いざ業者さんに来てもらったら、すでに実のほとんどがシカに食べられてしまっていたという…。
自然界の生き物も、何をいつ食べたら美味しいかということをよく知っています。
同じ村の大麦生産者さんは、収穫予定の一週間前に必ずサルがやって来る、といっていました。
サルを追い払うためのロケット花火が、朝からよく鳴っています。
パン! パン! という音を聞いたなら、すわ、そのサル軍団がうちの畑をも襲うかもしれん(実際去年は襲われました。)と、僕も花火とパチンコを持って迎撃態勢に入ります。
ロケット花火やパチンコなどは子どものおもちゃでしょうが、50過ぎたいい大人が、それを持ってサルと戦うとは夢にも思いませんでした。

 

夏といえばスイカですが、僕の住む村のスイカがイノシシにやられて全滅した、という情報が入りました。
幸い、うちの自家菜園の小玉スイカはまだ無事だったので、早速採って切ってみたところ、赤いはずのスイカが種も実もまだ真っ白で、甘いというよりすっぱい味でした。
イノシシの存在に焦って早く収穫しすぎたのです。
同じ理由で、イノシシにやられそうなもの、ジャガイモ、サツマイモなど、全部早めに収穫してしまい、小ぶりの実を見て後で後悔します。
食われるよりはマシですが。

 

ちなみに裏山には竹林がありますが、冬の間にイノシシが土を掘り返して、タケノコになる予定だった部分を全部食べてしまいます。
それを生き延びて春先にちょこっと芽を出したタケノコは、シカが器用に先っちょを食べてしまいます。
イノシシと鹿が見逃した数少ないタケノコを、やっと僕たち人間がいただく、という順番です。
まぁ、何をどう改善すれば今の状況を打破できるか…ということはわかっているので、それを少しずつ実行していくまでです。
戦いはまだまだつづく…

 

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