グローバル・ビジネス・レポート【127】フィールド調査：アクシアル リテイリング株式会社｜MK新聞連載記事
MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、「グローバル・ビジネス・レポート」を2012年2月1日から連載しています。
MK新聞2023年12月1日号の掲載記事です。筆者プロフィールは新聞掲載時点のものです。
長岡技術科学大学経営戦略・技術経営・ものづくり経営研究室 三科 雄一朗さんの執筆です。
フィールド調査：アクシアル リテイリング株式会社
原信の売り場で説明を聞く様子
私は、２０２２年４月に長岡技術科学大学の学部３年に編入学した。それ以前は、東京都のサレジオ高専の情報工学科にて主にプログラミングについて学んでいた。サレジオ高専で学んだプログラミングと企業経営のデジタル化について関心があり、長岡技大の情報・経営システム工学課程に編入学した。
私が所属する経営戦略・技術経営・ものづくり研究室の研究室活動の一環としてアクシアル リテイリング株式会社(以下、アクシアルと略す)のフィールド調査に参加した。具体的には、8月29日に原信川崎店、古正寺店の２店舗を８月30日に食品の製造・加工を行う株式会社ローリーの工場を訪問した。
原信の川崎店と古正寺店では、主に店長の業務、売り場づくり、レジ業務について話を伺った。原信では店長業務の一つとして、店舗の全部門の従業員と販売データなどの情報を共有し、これらの情報をもとに各部門でＱＣサークル活動による改善活動を行っている。ＱＣサークル活動による改善活動は成功事例バンクや改善事例バンクと呼ばれる会社内のデータベースに登録され、店長は良い事例だけでなくあまり良くないとされる事例も教育のために何が悪かったのか、改善点はどこだったのか従業員に説明しているとのことだった。
原信における改善活動の成果は、我々、利用者側からも見ることができる。例えば、店の入口すぐの場所に配置されている青果コーナーでは手前が低く、奥へ行くにつれて高くなる設計になっており、来店者が店舗の広がりを感じられるようになっている。また、レジでも改善活動の成果を見ることができる。原信では、レジで従業員が購入した商品の袋詰めを行うサービスを行っている。従業員の負担やミスを減らし、効率的にレジの仕事を行うためにレジには様々な改善が詰め込まれている。例えば、原信ではレジ台の高さを従業員に合わせて調整することが可能となっている。実際に私もレジの仕事を体験した。自分の背丈にあったレジで作業することにより袋詰めの台に商品や腕が当たることが無くなり、より楽な体勢で作業をすることができた。店長の話では、一つ一つは小さな改善でも積み重ねにより大きな変化となるとのことだった。
株式会社ローリーの工場では、アクシアルでの役割や設備、製造品について話を伺い、特に小国饅頭の製造とその経緯について話を聞いた。小国饅頭は新潟県長岡市（旧小国町）の山理屋にて作られていた伝統の饅頭であり、ローリーがその事業を引き継いだ。山理屋から製造法を学び、始めは少なかった製造量をＱＣサークル活動と機械設備を導入することにより増加することに成功した。山理屋では手作業で行われていた包装作業も機械により自動化され、１日あたりの製造量も桁が一つ増え、現在は、より多くの店舗に供給できるようになっている。アクシアルが山理屋の小国饅頭を製造するようになった経緯とその後の取り組みについては動画があり、ＹｏｕＴｕｂｅの原信ナルス公式チャンネルにて読者の皆様も視聴可能となっている(「つなぐ」小国饅頭物語 )。
今回、アクシアルでのフィールド調査に参加することにより、同社ではＱＣサークル活動による改善活動が行われ、これらの活動によって人々の生活を支えるスーパーマーケットの経営が支えられていることがよく理解できた。今回の訪問に当たっては、アクシアルのＴＱＭ推進部の齋藤祐亮マネジャー、川崎店の小川智寛店長、古正寺店の高野淳店長、株式会社ローリーの山本茂克管理部長に大変、お世話になった。心から感謝を申し上げる。
■筆者プロフィール
東京都出身。サレジオ高専卒。現在、長岡技術科学大学情報・経営システム工学課程の第４学年に在籍。
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