12月まで見頃!伏見・三栖神社のイチョウは黄葉ライトアップもある穴場

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12月まで見頃!伏見・三栖神社のイチョウは黄葉ライトアップもある穴場

紅葉シーズンが終わっても、京都の秋はまだ終わりません。伏見にある三栖(みす)神社では、12月にようやくイチョウの黄葉が見頃を迎えます。黄金色に輝くイチョウの大木が黄金色に染まります。
夜にはライトアップも楽しめる地元の人しか知らない穴場スポットです。

三栖神社のイチョウの黄葉

12月に見頃を迎えるイチョウ

三栖神社のイチョウ 黄色づく 2021年12月2日 撮影:MKタクシー

三栖神社のイチョウ 黄色づく 2021年12月2日 撮影:MKタクシー

黄葉の見頃は12月上旬~中旬

秋の主役が紅葉のモミジなのに対し、準主役は黄葉のイチョウでしょう。
黄色く色づくイチョウは、モミジに次いで人気です。

イチョウの黄葉が色づく時期は、木によってかなり幅があります。
モミジよりも早く11月上旬から色づく木もあれば、モミジよりも大幅に遅れて12月に入ってから色づく木もあります。
かなり遅れて12月に見頃を迎えるイチョウの代表が、京都市伏見区にある三栖神社のイチョウです。

三栖神社のイチョウ 黄色づく 2021年12月2日 撮影:MKタクシー

三栖神社のイチョウ 黄色づく 2021年12月2日 撮影:MKタクシー

 

年によってバラつきが大きい色付き

三栖神社のイチョウの黄葉は年によって色付きにややばらつきがあります。
色付きが遅い年は11月末になってようやく色づきはじめ、12月に入ってもまだ青々とした部分が残り、12月中旬にようやく全体が美しく黄葉することもあります。
一方で色付きが早い年は11月にはかなり色づき、見頃のピークが12月初めになることもあります。
不思議なのは、モミジの紅葉の色付きと連動しない点です。モミジの色付きが早いからといって三栖神社の色付きが早いとは限らず、モミジが遅いからといって三栖神社が遅いとも限りません。

三栖神社のイチョウ 見頃近し 2022年11月28日 撮影:MKタクシー

三栖神社のイチョウ 見頃近し 2022年11月28日 撮影:MKタクシー

 

京都市指定保存樹のイチョウの大木

高さ20メートルを超えるイチョウ

三栖神社の境内にはイチョウの木が何本かありますが、中でも境内北側のイチョウは20メートルを超える大木です。
2018年に台風21号による被害を受ける前は、さらにすごいイチョウだったとか。

三栖神社のイチョウ 見頃 2020年12月10日 撮影:MKタクシー

三栖神社のイチョウ 見頃 2020年12月10日 撮影:MKタクシー

 

2006年に京都市指定保存樹

三栖神社のイチョウは2006年3月に「京都市指定保存樹」に選定されています。
看板には以下のように記載されています。

境内にそびえるイチョウの巨木は、途中で4本に幹分かれし、空へ向かって枝を伸ばしています。
イチョウは雌雄異株(しゆういしゅ)の樹木で、この木は雄株です。
高さ22mを超える巨木が秋に一斉に黄葉する様子は壮観です。

京都市指定保存樹の案内板 2024年12月18日 撮影:MKタクシー

京都市指定保存樹の案内板 2024年12月18日 撮影:MKタクシー

京都市指定保存樹は、市民に親しまれている高さ15m以上などの条件を満たした樹木を保存樹として指定する制度です。
指定されると、樹勢回復などの費用の一部が京都市から助成されます。
2001年~2005年にかけて47本が指定され、2024年時点では36本が存在します。
2019~2024年にかけて追加調査が行われ、2025年に数本の追加指定が行われる予定です。

 

珍しいイチョウの黄葉ライトアップ

12月から始まるイチョウのライトアップ

三栖神社・イチョウのライトアップ 見頃 2020年12月14日 撮影:MKタクシー

三栖神社・イチョウのライトアップ 見頃 2020年12月14日 撮影:MKタクシー

三栖神社では、イチョウの黄葉シーズンの12月にはライトアップも行われます。
色づき状況にもよりますが、例年11月下旬ごろからライトアップがはじまり、12月半ばころまで続きます。色づきが遅い年は、12月に入ってからライトアップが始まります。
三栖神社のライトアップは2つのライトを設置しているだけという簡易な設備によるものであり、ほとんど知られていません。
それでも、12月の黄葉シーズンにはイチョウの黄葉が鮮やかに照らし出されます。
ライトアップはかなり遅い時間でも点灯しており、日をまたぐくらいまで行われているようです。
京都の紅葉スポットでは手の込んだライトアップも多数行われていますが、三栖神社の黄葉ライトアップはとてもシンプルです。
社務所の屋根に取り付けられたライトによって照らし出される、手作り感満載のライトアップです。
シンプルではありますが、立派な三栖神社の鳥居にライトアップされたイチョウの姿がとても映えます。

三栖神社・イチョウのライトアップ 見頃 2020年12月11日 撮影:MKタクシー

三栖神社・イチョウのライトアップ 見頃 2020年12月11日 撮影:MKタクシー

三栖神社のイチョウが見頃を迎えている12月中旬は、京都では完全に紅葉シーズンは終了しています。
全く注目を浴びることはありませんが、12月の三栖神社の黄葉ライトアップは超穴場です。
まだ地元の人くらいにしか知られていないのではないでしょうか。

三栖神社のイチョウライトアップ 見頃 2021年12月10日 撮影:MKタクシー

三栖神社のイチョウライトアップ 見頃 2021年12月10日 撮影:MKタクシー

 

三栖神社について

下三栖の氏神

本三栖と浜三栖

三栖神社は、伏見の旧市街地の西隣にある旧下三栖村の産土神です。
下三栖村は、かつては典型的な都市近郊の農村地帯でしたが、今は高速道路も開通してアクセスもよくなり、多数の工場や配送センターが立地するエリアになっています。

三栖神社のイチョウ 見頃 2022年12月12日 撮影:MKタクシー

三栖神社のイチョウ 見頃 2022年12月12日 撮影:MKタクシー

三栖神社の氏子区域は新高瀬川を境に東西に別れます。
西側が三栖神社を中心とした「本三栖」と言われ、前述のとおりかつては農村地帯で今は工業地帯となっています。
東側が三栖神社の御旅所でもある金井戸神社を中心とした「浜三栖」です。今は竹田街道となった京橋運河より西の地域です。
伏見築城時には城下町に組み込まれて大名屋敷が並び、その後は宇治川派流と高瀬川を結ぶ水運の結節点として栄えた都市部にあたります。
三栖神社は本三栖と浜三栖という農村と市街地にまたがる神社でした。

三栖神社のイチョウ 散りはじめ 2020年12月20日 撮影:MKタクシー

三栖神社のイチョウ 散りはじめ 2020年12月20日 撮影:MKタクシー

三栖神社の主祭神は、あまり京都にゆかりのなさそうな天武天皇です。
実は壬申の乱の際、のちの天武天皇である大海人皇子(おおあまのみこ)が夜中に下三栖を通りかかった際に、村人が松明を掲げて道を照らし出したという故事があります。

 

三栖の炬火祭

三栖の炬火祭 2025年10月12日 撮影:MKタクシー

三栖の炬火祭 2025年10月12日 撮影:MKタクシー

その故事に基づき、毎年10月16日に近い日曜日には、三栖の炬火祭(みすのたいまつまつり)という祭が行われます。
戦後いったん廃絶しましたが、1989年に復活しました。
炬火祭を担うのは東側の浜三栖です。

三栖の炬火祭 2025年10月12日 撮影:MKタクシー

三栖の炬火祭 2025年10月12日 撮影:MKタクシー

 

下三栖城の跡地に建つ三栖神社

横大路沼に面した下三栖村

伏見三栖「拾遺都名所図会」出典:国際日本文化研究センター

伏見三栖「拾遺都名所図会」出典:国際日本文化研究センター

下三栖城のある下三栖村は、横大路沼に接する低湿地に位置するわずかな微高地に位置します。
横大路沼は巨椋池の一部で、豊臣秀吉が宇治川に淀堤を築いた際に巨椋池から分離された池沼です。

三栖神社のイチョウ 2023年12月9日 撮影:MKタクシー

三栖神社のイチョウ 2023年12月9日 撮影:MKタクシー

天明7年(1787年)に出版された「拾遺都名所図会」でも当時の景観が描かれています。
図会では右上が北・右下が南で左下に「天武社」と記されているのが今の三栖神社です。
三栖神社の東側と南側は横大路沼で囲まれ、漁をしている人の姿が描かれています。
社前から東へと続く参道は京街道とつながっています。
三栖神社のすぐ北側にある集落が下三栖村です。下三栖村の周囲は田が広がっています。
横大路沼の水位が上がると田は水没し、下三栖村は水害常襲地帯として知られました。

三栖神社のイチョウ 2023年12月9日 撮影:MKタクシー

三栖神社のイチョウ 2023年12月9日 撮影:MKタクシー

しかし、下三栖村が拾遺都名所図会に描かれるように横大路沼に囲まれるようになったのは、江戸時代中期以降です。
前述のとおり、三栖神社など下三栖一帯では、弥生時代から江戸時代までいたる集落遺跡である下三栖遺跡が発見されています。
弥生時代から集落が営まれるくらいなので、もともとは水害常襲地帯ではなかったことがわかります。
古地図にも三栖神社の南側にも条里制地割の田が描かれています。
下三栖村が横大路沼に接するようになったのは江戸時代中期ごろ以降のことです。
秀吉の淀堤築造によって、宇治川の堤防内側にある下三栖村は内水がたまりやすい状態となりました。
当初は排水がうまくいっていたものの、次第に排水不良となり、横大路沼がしだいに拡大したのです。

三栖神社のイチョウ 2024年12月10日 撮影:MKタクシー

三栖神社のイチョウ 2024年12月10日 撮影:MKタクシー

横大路沼は1954年に干拓され、跡地は工業用地として使用されています。
三栖神社付近ではすでに明治期から淀川改修に伴う水位低下によって干拓が進み、田として利用されていました。

三栖神社のイチョウの黄葉 見頃 2017年12月3日 撮影:MKタクシー

三栖神社のイチョウの黄葉 見頃 2017年12月3日 撮影:MKタクシー

 

下三栖城の遺構に建つ三栖神社

下三栖神社の住所は「横大路下三栖城ノ前町」です。その名のとおり、三栖神社の周辺はかつて下三栖城がありました。
今も三栖神社の北側と西側は空堀となっていますが、これは下三栖城の遺構です。

下三栖城の堀の遺構 2024年12月18日 撮影:MKタクシー

下三栖城の堀の遺構 2024年12月18日 撮影:MKタクシー

下三栖城は、室町時代に横大路被官衆が築いた平城です。
横大路被官衆は、将軍直轄の奉公衆のひとつです。下三栖城のほか、横大路城や富ノ森城など横大路一帯に拠点を持っていた国衆です。
かつては三栖神社の位置に下三栖城の主郭があったと考えられていました。しかし、発掘調査の結果三栖神社から100mほど北あたりが下三栖城の主郭であり、三栖神社は下三栖城の南端にあったことがわかりました。

下三栖城の堀の遺構 2024年12月18日 撮影:MKタクシー

下三栖城の堀の遺構 2024年12月18日 撮影:MKタクシー

重森三玲氏によると、三栖神社の境内には多島式の神池庭園があり、境内北東部には今も遺構がわずかに残っているとのことです。
拾遺都名所図会にも境内の北側には弁天島が描かれています。

三栖神社のイチョウの黄葉 見頃 2017年12月3日 撮影:MKタクシー

三栖神社のイチョウの黄葉 見頃 2017年12月3日 撮影:MKタクシー

2022年には社殿の修復工事も終わり、美しい姿を取り戻しています。
三栖神社には駐車場はなく、近隣にもコインパーキングはありません。
公共交通機関を利用するか、ちょっと離れた駐車場(伏見港公園など)へ停めて行くようにしてください。路駐は厳禁です。

三栖神社のイチョウと猫 2022年12月12日 撮影:MKタクシー

三栖神社のイチョウと猫 2022年12月12日 撮影:MKタクシー

三栖神社は、隠れた猫スポットとしても知られています。
数年前と比べると猫の数は減っており、いつも見られるというわけではありませんが、よく猫の姿を見かけます。
イチョウの落葉の中で戯れている姿を見ることもできます。

三栖神社のイチョウと猫 2022年12月12日 撮影:MKタクシー

三栖神社のイチョウと猫 2022年12月12日 撮影:MKタクシー

 

拝観情報

拝観時間日中随時
拝観料境内自由
TEL075-603-0085
住所京都市伏見区横大路下三栖城ノ前町83
アクセス京阪「中書島」より徒歩25分

公式ホームページ:三栖の祭り情報ページ

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おわりに

12月に入っても、京都の紅葉シーズンは終わりません。伏見にある三栖神社では、京都市指定保存樹であるイチョウの大木が、まだまだ黄金色に輝いています。
三栖神社のイチョウ黄葉ライトアップは、穴場中の穴場。誰にいないことの方が多いくらいの超穴場スポットで静かにゆっくりと鑑賞できます。
三栖神社では下三栖城の歴史にも思いをはせつつ、猫たちとの出会いを満喫してください。

MKタクシーなら、12月に入ってもまだまだ見頃が続く紅葉や黄葉スポットにご案内することが可能です。
ぜひ静かな12月の紅葉を楽しんでください。

MKの観光貸切タクシーの詳細はこちらをご覧ください

MKタクシーが提供する京都の紅葉情報

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