西本願寺の「逆さ銀杏」徹底解説!京都駅徒歩15分で迫力の黄葉
京都駅から徒歩15分、世界遺産・西本願寺で出会えるのが有名な「逆さ銀杏」。おそらく京都で最も有名なイチョウでしょう。
京都市の天然記念物にも指定されている枝張り24mの逆さ銀杏が黄金色に染まる黄葉は圧巻です。
西本願寺の境内では逆さ銀杏以外にも阿弥陀堂前のイチョウや本願寺献菊展など見どころ満載です。
伝説に彩られた逆さ銀杏や西本願寺について分かりやすく紹介します。
西本願寺の「逆さ銀杏」
逆さ銀杏は御影堂門を入ってすぐのところにあります。
黄葉したときの大きさ、生命力ともに圧倒的な迫力があり、必見です。
西本願寺・御影堂門裏のイチョウ 見頃 2017年11月23日 撮影:MKタクシー
枝張り24mにも及ぶ巨木
京都市の天然記念物に指定
西本願寺の「逆さ銀杏」は樹齢400年と言われ、高さは7mですが、枝張りが24mもある巨木です。
京都市の天然記念物にも指定されています。
京都市内に天然記念物のイチョウは、他に右京区京北周山の慈眼寺にしかありません。
慈眼寺は、黒塗りの光秀像「くろみつくん」で最近注目を浴びているお寺です。
2002年に京北町が京都市に編入されるまでは、逆さ銀杏が唯一でした。
都名所図会「本願寺」 出典:国際日本文化研究センター
樹齢は400年とも言われる大銀杏
安永9年(1780年)に刊行された都名所図会でも、ちょうど中央の本堂(今の御影堂)前の逆さ銀杏の位置に木が描かれています。
樹齢400年が事実であれば、当時でもすでに樹齢100年を大きく超えるイチョウだったことになります。
しかし、そこまで樹齢があるようには見えませんし、樹形もイチョウなのかどうか疑問です。
実は逆さ銀杏の樹齢に関するはっきりした記録は残っておらず、おそらく西本願寺の創建当初に植えられたと仮定した場合樹齢400年になるというのが根拠です。
都名所図会からするともう少し新しい可能性はあります。
西本願寺の御影堂と逆さ銀杏 2024年12月2日 撮影:MKタクシー
「逆さ銀杏」と呼ばれる特徴的な樹形
西本願寺のイチョウが「逆さ銀杏」と呼ばれるのは、特徴的な樹形のためです。
大きく横に伸びる主幹から横や上へと枝が伸びている姿が逆立って見えることが由来です。
このようなイチョウとして他に類を見ない樹形となったのは自然のことではなく、長年に渡る剪定・管理の結果です。
西本願寺の逆さ銀杏 2024年12月2日 撮影:MKタクシー
「逆さ銀杏」という名のイチョウは全国にあり、何も西本願寺の専売特許というわけではありません。
ただ、このように横に大きく広がる樹形は他に類は少なく、西本願寺のイチョウはまさに「逆さ銀杏」と呼ぶのがふさわしい堂々とした風格を備えています。
西本願寺の逆さ銀杏と夕日 2023年11月24日 撮影:MKタクシー
火災を防いだ「水吹き銀杏」
二度にわたる火災から西本願寺を救う
西本願寺の逆さ銀杏には「水吹き銀杏」という別名もあります。
江戸時代に水を吹きだして西本願寺を火災から救ったとの伝説に基づく呼び名です。
「西本願寺の七不思議」の一つにも挙げられています。
天明8年(1788年)1月に起こった「天明の大火」では応仁の乱を上回るとも言われる被害があり、京都市街の8割以上が焼亡しました。西本願寺近くの東本願寺や北隣の本圀寺はほぼ全焼しましたが、西本願寺は火災を免れました。
元治元年(1864年)7月に起こった「どんどん焼け」でも京都市街は大きな被害を受け、やはり東本願寺では主要伽藍を失いましたが、西本願寺は助かりました。
また1902年に南隣にある興正寺の火災時も水を吹いたという説もありますが、さすがにこれが事実であればもう少し何らかの記録が残っていそうなものです。
堀川通から見た西本願寺の逆さ銀杏 2023年11月24日 撮影:MKタクシー
実際にイチョウが水を吹くということはありませんが、水分が多く幹がコルク質のイチョウは燃えにくく、防火に役立つことはたしかです。
古くから寺社に好んでイチョウが植えられるのも防火性を期待しているのも理由のひとつです。
水面に映った逆さ銀杏 2023年11月24日 撮影:MKタクシー
西本願寺の七不思議
水吹き銀杏以外の西本願寺七不思議は以下のとおりです。
- 水噴銀杏
- 躑躅の太鼓
- 日暮門
- 三面大黒天
- 鬼の腕を入れた石櫃
- 月見の欄間
- 麝香猫の杉戸
- 抜け雀
- 遠くから見ると大きく見える人物
- 大飯杓子梟の手水鉢
- 本圀寺の灯籠
- 双磐が木であること
- 鶴亀の松
- 天狗瓦
- けちけちの面
- 薩摩石
出典:1943年刊行「京都記録叢書 第4巻 京の七不思議」郷土文化研究会編
7個どころか16個もありますが、一般にはごろがよい「七不思議」と言われています。
西本願寺・逆さ銀杏 見頃 2017年11月27日 撮影:MKタクシー
今なお樹勢盛んな逆さ銀杏
今もあふれんばかりの生命力にあふれた逆さ銀杏ですが、一時は樹勢が衰えたので1994年に樹木医による治療を受け、再び元気を取り戻しました。
後述のとおり2017年には台風被害も受けましたが、早々に復活しています。
西本願寺・逆さ銀杏 見頃 2021年11月23日 撮影:MKタクシー
逆さ銀杏の見頃は11月下旬~12月上旬ですが、境内では11月中旬から他のイチョウが順次見頃を迎えます。
西本願寺・逆さ銀杏 見頃 2022年11月22日 撮影:MKタクシー
阿弥陀堂前のイチョウ
京都市の保存樹に指定
西本願寺の境内には、逆さ銀杏以外にも立派なイチョウが多数あります。
中でも、阿弥陀堂前のイチョウは、2002年に京都市の保存樹に指定されています。
樹形は16.5mもあり、丸くこんもりとした独特の樹形の美しいイチョウでした。
推定樹齢も200年とされており、逆さ銀杏には負けますが立派な大木です。
西本願寺・阿弥陀堂前のイチョウ 見頃 2007年12月2日 撮影:MKタクシー
台風被害から蘇ったイチョウ
2017年10月23日に京都を襲った台風21号は京都の神社仏閣に大きな被害を与えました。
西本願寺も例外ではなく、境内の木々も被害を受け、中でも阿弥陀堂前イチョウが最も大きなも被害を受けました。
大きな被害を受けた阿弥陀堂前のイチョウ 2017年10月26日 撮影:MKタクシー
大きな枝がいくつも折れてしまい、見るも無残に樹形も変わってしまいました。
一方で西本願寺の伽藍は2017年の台風では被害は軽微でした。
まるで台風の被害を阿弥陀堂前のイチョウが一身に受けてくれたかのうようです。
西本願寺境内に並んだイチョウの枝 2017年10月26日 撮影:MKタクシー
これだけの被害を受けて阿弥陀堂前のイチョウもただでは済まないだろうと心配していました。
被害からしばらくは、西本願寺に行くたびに阿弥陀堂前のイチョウに向けて「頑張れ」と心の中で呼びかけていました。
人々の祈りが通じたのか、阿弥陀堂前のイチョウはその後も旺盛な樹勢は変わらず、あっという間に復活を遂げました。
今や被害のあともわからないくらいです。今年も美しい黄葉を見せてくれることでしょう。
西本願寺・阿弥陀堂前のイチョウ 散りはじめ 2019年12月14日 撮影:MKタクシー
阿弥陀堂前のイチョウは黄葉するのが逆さ銀杏よりもさらに遅く、12月半ばでもまだ楽しめる年もあります。
逆さ銀杏だけでなく、ぜひ阿弥陀堂前のイチョウも見てください。
西本願寺の阿弥陀堂前のイチョウ 2021年12月1日 撮影:MKタクシー
龍谷大大宮キャンパスのイチョウもおすすめ
西本願寺に隣接している龍谷大学大宮キャンパスにも大きなイチョウがあります。
龍谷大学は西本願寺はの浄土真宗本願寺派が開いた大学です。
龍谷大学の主たるキャンパスは深草キャンパスと瀬田キャンパスへと移りましたが、今も文学部の3,4回生が学んでいます。
本館や正門など5つの建物は国の重要文化財に指定されており、明治期の映像のロケ地としても使われています。
龍谷大学大宮キャンパスのイチョウ 見頃 2022年11月17日 撮影:MKタクシー
西本願寺ほどではありませんが、明治の龍谷大学が生まれた当時から大木だったイチョウの木が鮮やかに染まります。
すぐ近くの西本願寺を訪れた際は、ぜひ龍谷大学の大宮キャンパスも訪れてみてください。
西本願寺について
日本最大の教団の本山寺院
10,042ヶ寺を擁する浄土真宗本願寺派
日本には多数の仏教宗派がありますが、その中でも最大規模なのが浄土真宗本願寺派です。
その本山であるのが西本願寺です。正式には「真宗本廟」といいます。
西本願寺・逆さ銀杏 見頃 2019年11月29日 撮影:MKタクシー
境内には巨大な御影堂と阿弥陀堂が並び、唐門(国宝)や虎渓の庭(特別名勝)など桃山時代の豪華さが各所に残されています。
観光寺院ではありませんが、見所は満載です。
拝観料不要のお寺ですが、世界文化遺産に名を連ねています。
西本願寺・逆さ銀杏 見頃過ぎ 2020年12月1日 撮影:MKタクシー
京都駅から徒歩15分の好立地
京都駅からはバスも多数運行されていますが、歩いても15分ほどという徒歩圏内にあります。
早朝6:20から開門されているので、朝一の観光におすすめです。
秋には「本願寺献菊展」も開催
西本願寺でイチョウの黄葉が見頃を迎えるころには、恒例の「本願寺献菊展」も開催されます。
2025年は10月1日(月祝)~11月23日(日祝)まで、京都菊栄会から献花された約350鉢の菊が並びます。
11月7日(金)~12日(水)には「切り花の部」の約50鉢が渡り廊下で展示されます。
イチョウとあわせてぜひ豪華で美しい菊も見てください。
龍谷大学大宮キャンパスのイチョウ 見頃 2022年11月17日 撮影:MKタクシー
拝観情報
| 拝観時間 | 5:50~17:30(3月~10月) 6:20~16:30(11月~2月) |
| 拝観料 | 境内自由 |
| TEL | 075-371-5181 |
| 住所 | 京都市下京区堀川通花屋町下ル |
| アクセス | JR「京都」より徒歩18分 |
公式ホームページ:お西さん(西本願寺)-本願寺への参拝(参る・知る・観る)
おわりに
京都駅から歩いても15分ほどで気軽に行ける世界遺産だる西本願寺は、秋のシーズンがおすすめです。
西本願寺の境内に入ってすぐ目の前に現れる逆さ銀杏の圧巻の黄葉が魅力です。横へ大きく広がる独特の樹形は唯一無二で、写真映えはもちろん、間近で眺めると生命力に圧倒されます。
見頃の時期には阿弥陀堂前のイチョウや献菊展も楽しめ、短時間でも秋の京都をしっかり満喫できます。
早朝から開門されているので、他の紅葉スポットが開く前の時間にを有効に活用できるのもありがたいポイントです。
京都の中心で、鮮やかな黄金色に浸る贅沢なひとときを体験してください。
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MKタクシーのオウンドメディアであるMKメディアの編集部。京都検定マイスターや自動車整備士、車載広報誌のMK新聞編集者、公式SNS担当者、などが所属。京都大好き!旅行大好き!歴史大好き!タクシー大好きです。