エッセイ「本だけ眺めて暮らしたい」【446】|MK新聞連載記事

よみもの
エッセイ「本だけ眺めて暮らしたい」【446】|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、大西信夫さんによる様々な身近な事柄を取り上げたエッセイ「本だけ眺めて暮らしたい」を前身を含めて1988年5月22日から連載しています。
MK新聞2026年11月1日号の掲載記事です。

本だけ眺めて暮らしたい

前回、持っている本の中で一番大きなものを紹介したので、今回は一番小さな本。
今野書房刊「ミクロ文庫」の一冊で、『悲しき玩具』石川啄木著。奥付をルーペで見ると、発行は「昭和四三年五月十二日」と読み取れる。
極小サイズなのに上製本風の装丁。貼り表紙のハードカバーで見返しがあり、しかも貼り箱入だ。しおり紐(スピン)だけでなく、花ぎれまで付いている。
本体は縦23ミリ×横17ミリ×幅5ミリ(実測値。誤差あり。以下同)。貼り箱の外形寸法は縦26ミリ×横19ミリ×幅7ミリ。本文16字×7行。ノンブルあり。全112ページ。
付属説明書によると、版面(はんづら=本文印刷範囲)は縦14ミリ×横9ミリ。見返しは和紙で、本文用紙はインディア紙を使用とのこと。
既刊『杜子春』、次刊は『藪の中』(共に芥川龍之介著)と出版案内にある。定価600円。
第二位は、松下幸之助著『道をひらく』(PHP研究所刊)。奥付に「昭和45年1月1日特別号発行」とある。この豆本がピタリと収まる透明のプラスチックケースに入っている。非売品。
本体は縦32ミリ×横24ミリ×幅7ミリ。
ただ、本体は上記『悲しき玩具』のほうが小さいのだが、本文31字×10行で、文字はこちらのほうが小さい。さらに驚くべきは、なんと! ルビ(フリガナ)まで印刷されているのだ。
Webサイト「松下幸之助.com」によると、ナショナルのカラーテレビ「パナカラー」購入者に進呈された。大阪万博の松下館を訪れた要人にも贈呈されたという。
松下館に出展されたタイムカプセルのミニチュア模型の中に豆本が収められていたことは憶えているが、模型はいつのまにか捨ててしまった。
最後に変わり種をご紹介。京都市内の京寺町会商店街が二〇〇九年四月に「豆本キット」なるものを発行している。題して『都の魁(さきがけ)・寺町編』。
明治期に発行された商店イラストガイド本『都の魁』のパロディだ。
寺町編はA3判用紙一枚に両面印刷。ハサミで切って、蛇腹に折り、のり付けしたら完成。厚紙の表紙が別添。商店街の35店舗ほかをイラスト付きで紹介している。
豆本の仕上がりサイズは、縦30ミリ×横42ミリ×幅7ミリ。
これをもらうために商店街に行って安価な商品を選んで買い物をした記憶がある。コピーして豆本を作り、原物はそのまま保存している。
豆本のコレクターではないが、文庫本の半分程度か、それより小さくても拡大鏡なしで読める実用範囲のユニークな豆本がまだいくつも手元にあるので、またの機会に紹介しましょう。

MK新聞について

「MK新聞」は月1回発行で、京都をはじめMKタクシーが走る各地の情報を発信する情報紙です。
MK観光ドライバーによる京都の観光情報、旬の映画や隠れた名店のご紹介、 楽しい読み物から教養になる連載の数々、運輸行政に対するMKの主張などが凝縮されています。
40年以上も発行を続けるMK新聞を、皆さま、どうぞよろしくお願いします。

ホームページからも最新号、バックナンバーを閲覧可能です。

 

MK新聞への大西信夫さんの連載記事

1988年以来、MK新聞に各種記事を連載中です。

1988年5月22日号~1991年11月22日号 「よしゆきの京都の見方」(45回連載)
1990年1月7日号~1992年2月7日 「空車中のひとりごと」(12回連載)
1995年1月22日号~1999年12月1日号 「何を見ても何かを思う」(64回連載)
1996年4月16日号~現在 「本だけ眺めて暮らしたい」(連載中)

 

本だけ眺めて暮らしたい バックナンバー

この記事が気に入ったらSNSでシェアしよう!

関連記事

まだ知らない京都に出会う、
特別な旅行体験をラインナップ

MKタクシーでは様々な京都旅コンテンツを
ご用意しています。