藤袴(フジバカマ)に集うアサギマダラやツマグロヒョウモンなどの蝶

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藤袴(フジバカマ)に集うアサギマダラやツマグロヒョウモンなどの蝶

秋の七草のひとつである藤袴(フジバカマ)。
藤袴は花そのものもさることながら、蜜を吸いに集まってくるアサギマダラなどの美しい蝶が見どころです。
青く輝く美しさと優雅な飛び方から大人気のアサギマダラはかなり有名ですが、それだけではありません。まだら模様が美しいツマグロヒョウモンなど、藤袴に集ういろんな美しい蝶たちを見ることができます。
藤袴が咲く10月、美しい蝶たちの乱舞を見に行きませんか?

 

京都のおすすめ藤袴スポットの紹介はこちら

 

藤袴(フジバカマ)について

藤袴は、キク科ヒヨドリバナ属の花です。
秋の七草のひとつで、日本書紀や万葉集、源氏物語にも登場し、古くから日本人に愛されてきました。
かつては本州以南の山野で広く自生していました藤袴ですが、近年は減少しており、京都府では絶滅寸前種に指定されています。
しかし、近年藤袴の自生種が発見されて増殖に成功し、京都のあちこちで藤袴を見ることができるようになりました。

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蝶について

鱗翅目(チョウ目)のうち、一般にアゲハチョウ上科とセセリチョウ上科を「蝶」と呼びます。
今回紹介している蝶は、すべてアゲハチョウ上科です。
アゲハチョウ上科は、アゲハチョウ科、シロチョウ科、シジミチョウ科、タテハチョウ科に分かれます。
今回は、シジミチョウ科以外の3つの科の蝶を紹介します。
なおシジミチョウ科の蝶も藤袴に集まってはきますが、小さすぎて素人には撮影及び分類が困難なため、今のところは入っていません。
※分類は様々な方法があるが、今回は日本分類学会連合に基づく。

 

タテハチョウ科の蝶

チョウ目アゲハチョウ上科に属する科です。
タテハチョウとは、花に止まったときに翅を立てていることが名前の由来です。
世界中に分布し、5,000種を超える多彩な蝶が属しています。
タテハチョウ亜科、マダラチョウ亜科、ドクチョウ亜科など12の亜科に分かれます。

一般に、止まるときに蝶は翅を閉じ、蛾は翅を開くと言われますが、タテハチョウ科にはアサギマダラをはじめ翅を開いてとまる種類も多いです。

① アサギマダラ(浅葱斑)

1933年刊行 加藤正世「分類原色日本昆虫図鑑」出典:国立国会図書館デジタルコレクション

1933年刊行 加藤正世「分類原色日本昆虫図鑑」出典:国立国会図書館デジタルコレクション

藤袴といえば、アサギマダラ。
タテハチョウ科マダラチョウ亜科の蝶です。
誰もがみとれる美しさですが、本記事はアサギマダラ以外の美しい蝶を取り上げます。
アサギマダラと藤袴について、以下の記事を参照願います。

大原野フジバカマ園のアサギマダラ 2022年9月23日 撮影:MKタクシー

大原野フジバカマ園のアサギマダラ 2022年9月23日 撮影:MKタクシー

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② ツマグロヒョウモン(褄黒豹紋)

ツマグロヒョウモンとは

1933年刊行 加藤正世「分類原色日本昆虫図鑑」出典:国立国会図書館デジタルコレクション

1933年刊行 加藤正世「分類原色日本昆虫図鑑」出典:国立国会図書館デジタルコレクション

藤袴で最もよく見かける蝶は、このツマグロヒョウモンでしょう。
アサギマダラよりもはるかに頻繁に見かけます。
藤袴が咲いていれば、たいていの場合ツマグロヒョウモンがいます。

藤袴に群れるツマグロヒョウモン 丸太町河原町 2022年10月15日 撮影:MKタクシー

藤袴に群れるツマグロヒョウモン 丸太町河原町 2022年10月15日 撮影:MKタクシー

藤袴に限らずコスモスやセイタカアワダチソウなど、いろんな花に蜜を吸いに集まります。
希少価値は少ない蝶ですが、ツマグロヒョウモンにはアサギマダラとはまた違った美しさがある魅力的な蝶です。

【メス】革堂行願寺の藤袴祭でのツマグロヒョウモン 2020年10月10日 撮影:MKタクシー

【メス】革堂行願寺の藤袴祭でのツマグロヒョウモン 2020年10月10日 撮影:MKタクシー

タテハチョウ科ドクチョウ亜科のヒョウモンチョウ(豹紋蝶)の一種です。
後ばねが黒く縁どられていることが名前の由来です。

【メス】明日香・稲渕のツマグロヒョウモンと藤袴 2021年9月19日 撮影:MKタクシー

【オス】明日香・稲渕のツマグロヒョウモンと藤袴 2021年9月19日 撮影:MKタクシー

ヒョウモンチョウの仲間は、世界中の温帯から寒帯に分布していますが、ツマグロヒョウモンは、熱帯から温帯の比較的低緯度の地域を中心に分布しています。
もともとは南方から渡ってくる蝶で、1960年ごろには近畿以西にのみ分布しており、関東では稀にしか見られませんでした。

【メス】法住寺の藤袴とツマグロヒョウモン 五分咲き 2021年9月15日 撮影:MKタクシー

【メス】法住寺の藤袴とツマグロヒョウモン 五分咲き 2021年9月15日 撮影:MKタクシー

京都などでも幼虫で越冬はできなかったため、それほど頻繁に見られる蝶ではありませんでした。
温暖化の影響により1980年ごろから次第に分布を広げ、今では東北南部にま分布を広げています。
京都でもごく普通に見られる蝶になりました。

雌雄が追いかけ合う梨木神社のツマグロヒョウモン 2021年10月2日 撮影:MKタクシー

雌雄が追いかけ合う梨木神社のツマグロヒョウモン 2021年10月2日 撮影:MKタクシー

日本では、ヒョウモンチョウの仲間でも最もよく見られるのがツマグロヒョウモンです。
前ばねの色がオスとメスで全く異なります。
美しいのはメスのツマグロヒョウモンです。

雌雄が追いかけ合う革堂行願寺の藤袴祭でのツマグロヒョウモン 2020年10月13日 撮影:MKタクシー

雌雄が追いかけ合う革堂行願寺の藤袴祭でのツマグロヒョウモン 2020年10月13日 撮影:MKタクシー

ときには、オスがメスを追いかけまわしている姿を見ることができます。
パッと見ただけでは、異なる種類の蝶がけんかをしている姿に見えるかもしれません。

雌雄のツマグロヒョウモン 丸太町河原町 2022年10月15日 撮影:MKタクシー

雌雄のツマグロヒョウモン 丸太町河原町 2022年10月15日 撮影:MKタクシー

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藤袴とツマグロヒョウモン

【メス】梅小路公園・朱雀の庭のツマグロヒョウモンと藤袴 2017年10月5日 撮影:MKタクシー

【メス】梅小路公園・朱雀の庭のツマグロヒョウモンと藤袴 2017年10月5日 撮影:MKタクシー

はねの先の模様が美しい、ツマグロヒョウモンのメス。
メスのこの模様は、実は有毒なカバマダラという蝶に似せた擬態です。
見た目だけでなく、飛び方もカバマダラに似せており、捕食者から身を守っているとされています。

【メス】宇治市植物公園のツマグロヒョウモンと藤袴 2020年10月15日 撮影:MKタクシー

【メス】宇治市植物公園のツマグロヒョウモンと藤袴 2020年10月15日 撮影:MKタクシー

オスのツマグロヒョウモンが間違えてカバマダラ(樺斑)に求愛行動をとることもあるそうです。
ただし、日本では南西諸島を除くとカバマダラは稀にしか見られません。
もしかしたら、本州ではあまり擬態は役に立っていないのかもしれません。

【オス】梅小路公園・朱雀の庭のツマグロヒョウモンと藤袴 2017年10月5日 撮影:MKタクシー

【オス】梅小路公園・朱雀の庭のツマグロヒョウモンと藤袴 2017年10月5日 撮影:MKタクシー

オスは、他のヒョウモンチョウの仲間と同じような見た目です。
豹紋柄です。
大阪のおばちゃんが好きそうな柄です(なお、実際にはヒョウ柄が好きな大阪のおばちゃんはほんの一部に過ぎません)。

【オス】松ヶ崎疏水のツマグロヒョウモンとコバノフジバカマ 2019年10月22日 撮影:MKタクシー

【オス】松ヶ崎疏水のツマグロヒョウモンとコバノフジバカマ 2019年10月22日 撮影:MKタクシー

ツマグロヒョウモンは藤袴専門ではなく、コスモスなど同時期に咲くいろんな花の蜜を吸っているのを見かけます。
藤袴の近縁のコバノフジバカマ(小葉藤袴)では、かなり頻繁に見かけます。

【メス】梅小路公園・朱雀の庭のツマグロヒョウモンと藤袴 2021年10月5日 撮影:MKタクシー

【メス】梅小路公園・朱雀の庭のツマグロヒョウモンと藤袴 2021年10月5日 撮影:MKタクシー

成虫が見られるのも、春から秋までと長く、春や夏にも花に集まっており、今では藤袴シーズンに限らずおなじみの蝶です。
ただし、もっとも個体数が増えるのは秋です。

【メス】下鴨神社のツマグロヒョウモンと藤袴 2016年10月2日 撮影:MKタクシー

【メス】下鴨神社のツマグロヒョウモンと藤袴 2016年10月2日 撮影:MKタクシー

下鴨神社の中門前に並ぶ鉢植えの藤袴に飛んできたツマグロヒョウモン。
メスも下翅の裏面はオスとそれほど変わりません。きれいですね。

【メス】革堂行願寺のツマグロヒョウモンと藤袴 2020年10月12日 撮影:MKタクシー

【メス】革堂行願寺のツマグロヒョウモンと藤袴 2020年10月12日 撮影:MKタクシー

日本一の公立植物園である京都府立植物園では、藤袴が園内各所で咲きます。これは園内北西部にある四季彩の丘で撮影したツマグロヒョウモンです。
京都府立植物園の藤袴は、保津峡で発見された藤袴の自生種を増やしたものです。

【オス】下御霊神社のツマグロヒョウモンと藤袴 2020年10月13日 撮影:MKタクシー

【オス】下御霊神社のツマグロヒョウモンと藤袴 2020年10月13日 撮影:MKタクシー

それにしても、ツマグロヒョウモンはおいしそうに藤袴の蜜を吸っています。
長い口吻(こうふん)を藤袴の花に差し込んで、夢中な様子です。
よく見るとかわいらしいお顔をしていますね。

【メス】梅小路公園・朱雀の庭のツマグロヒョウモンと藤袴 2021年10月5日 撮影:MKタクシー

【メス】梅小路公園・朱雀の庭のツマグロヒョウモンと藤袴 2021年10月5日 撮影:MKタクシー

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③ キタテハ(黄立羽)

キタテハとは

タテハチョウ科タテハチョウ亜科の蝶です。
タテハチョウ(立羽蝶)の仲間には、日本の国蝶であるオオムラサキもいます。
キタテハは東南アジアから日本まで広く分布しており、北海道でも見られます。
花の蜜だけでなく、果実にも集まります。

京都府立植物園のキタテハと藤袴 2020年10月13日 撮影:MKタクシー

京都府立植物園のキタテハと藤袴 2020年10月13日 撮影:MKタクシー

翅が黄色がかっているため、キタテハといいます。はねの裏側はまるで枯葉のような模様をしており、保護色になっています。
東南アジアから日本まで広く生息しています。

 

藤袴とキタテハ

梅小路公園・朱雀の庭のキタテハと藤袴 2017年10月5日 撮影:MKタクシー

梅小路公園・朱雀の庭のキタテハと藤袴 2017年10月5日 撮影:MKタクシー

藤袴にあつまる蝶の中では一回りこぶりなキタテハ。
夏と秋でやや色ありが異なります。
写真は翅の色が鮮やかな山吹色をした秋型です。
夏型はややくすんだ黄色をしています。
触角の先っぽが白いのは、タテハチョウの仲間の特徴です。

お世辞にも美しい蝶とは言えませんが、キタテハの見どころははねの裏側です。

梅小路公園・朱雀の庭の翅を閉じたキタテハと藤袴 2017年10月5日 撮影:MKタクシー

梅小路公園・朱雀の庭の翅を閉じたキタテハと藤袴 2017年10月5日 撮影:MKタクシー

これが擬態のはねの裏です。地面に寝転がっていたら枯葉にしか見えないでしょう。見事です。
翅の縁がぎざぎざしていますが、これも擬態のためでしょう。
飛行効率を多少犠牲にしても、擬態を優先させています。
キタテハには、茶色の薄い夏型と濃い秋型がいますが、これは秋型なのでしょう。
枯れ具合まで季節にあわせてくるとは、お見事です。

キタテハのCマーク 革堂 2022年10月15日 撮影:MKタクシー

キタテハのCマーク 革堂 2022年10月15日 撮影:MKタクシー

翅の中央やや下に、小さな白いC字型があります。
学名の「c-aureum」は、このC字型に由来します。
なお”aureum”とはラテン語で「金色の」という意味ですが、見てのとおりCは白色で周囲が金色(黄色)をしています。

下御霊神社の藤袴とキタテハ 2022年10月15日 撮影:MKタクシー

下御霊神社の藤袴とキタテハ 2022年10月15日 撮影:MKタクシー

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④ ヒメアカタテハ(姫赤立羽)

1933年刊行 加藤正世「分類原色日本昆虫図鑑」出典:国立国会図書館デジタルコレクション

1933年刊行 加藤正世「分類原色日本昆虫図鑑」出典:国立国会図書館デジタルコレクション

ヒメアカタテハとは

前翅の模様が特徴的な美しい蝶です。
キタテハと同じくタテハチョウ科タテハチョウ亜科の蝶です。
世界で最も生息エリアが広い蝶で、南極大陸を除く全ての大陸に生息しています。
非常に広範囲にわたって移動することでも知られています。
全世界に分布していながら、遺伝的にはそれほど変異がないそうです。

 

藤袴とヒメアカタテハ

梅小路公園・朱雀の庭のヒメアカタテハと藤袴 2017年10月5日 撮影:MKタクシー

梅小路公園・朱雀の庭のヒメアカタテハと藤袴 2017年10月5日 撮影:MKタクシー

規模が大きいだけあって、いろんな種類の蝶が見られる「藤袴と和の花展」で見つけたヒメアカタテハです。

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⑤アカタテハ(赤立羽)

1933年刊行 加藤正世「分類原色日本昆虫図鑑」出典:国立国会図書館デジタルコレクション

1933年刊行 加藤正世「分類原色日本昆虫図鑑」出典:国立国会図書館デジタルコレクション

アカタテハとは

橿原市昆虫館のアカタテハと藤袴 2020年10月11日 撮影:MKタクシー

橿原市昆虫館のアカタテハと藤袴 2020年10月11日 撮影:MKタクシー

ヒメアカタテハの本物みたな名前をしていますが、日本ではヒメアカタテハほど見ることはありません。
タテハチョウ科タテハチョウ亜科であり、ヒメアカタテハと近縁種であり似てはいますが、後翅の表側の色が褐色である点が異なります。
近くで見れば、一目で識別可能です。

宇治市植物公園のアカタテハと藤袴 2020年10月15日 撮影:MKタクシー

宇治市植物公園のアカタテハと藤袴 2020年10月15日 撮影:MKタクシー

ヒメアカタテハほどではありませんが、南アジアから東アジア、オーストラリアにかけて広く分布しています。

 

藤袴とアカタテハ

橿原市昆虫館のアカタテハと藤袴 2020年10月11日 撮影:MKタクシー

橿原市昆虫館のアカタテハと藤袴 2020年10月11日 撮影:MKタクシー

ヒメアカタテハよりは珍しいとはいえ、割とどこにでもいる蝶のはずです。
遠くから見ると、ツマグロヒョウモンやヒメアカタテハに見えてしまいます。

大原野フジバカマ園のアカタテハ 2022年9月23日 撮影:MKタクシー

大原野フジバカマ園のアカタテハ 2022年9月23日 撮影:MKタクシー

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⑥ イシガケチョウ(石崖蝶)

1933年刊行 加藤正世「分類原色日本昆虫図鑑」出典:国立国会図書館デジタルコレクション

1933年刊行 加藤正世「分類原色日本昆虫図鑑」出典:国立国会図書館デジタルコレクション

イシガケチョウとは

大原野フジバカマ園のイシガケチョウと藤袴 2021年9月26日 撮影:MKタクシー

大原野フジバカマ園のイシガケチョウと藤袴 2021年9月26日 撮影:MKタクシー

タテハチョウ科イシガケチョウ亜科(またはイチモンジチョウ亜科)の蝶です。
イシガケチョウは、近畿以西の比較的暖かい地域から、アジアまで分布しています。
温暖化に伴い、近年分布を広げつつあります。
翅が石垣(石崖)のような模様をしているため、イシガケチョウ(またはイシガキチョウ)といいます。

大原野フジバカマ園のイシガケチョウと藤袴 2021年9月26日 撮影:MKタクシー

大原野フジバカマ園のイシガケチョウと藤袴 2021年9月26日 撮影:MKタクシー

 

藤袴とイシガキチョウ

クリやソバ、センダングサなどを好むイシガキチョウですが、藤袴にも集まってきます。
藤袴に集まるいろいろな蝶のなかでも、一目で識別できます。
細い線を引いたような特徴的な模様をしています。

アサギマダラと同じくひらひらと優雅に藤袴の間を飛び回ります。

明日香・稲渕のイシガケチョウと藤袴 2021年9月19日 撮影:MKタクシー

明日香・稲渕のイシガケチョウと藤袴 2021年9月19日 撮影:MKタクシー

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⑦ ツマムラサキマダラ(褄紫斑)

1933年刊行 加藤正世「分類原色日本昆虫図鑑」出典:国立国会図書館デジタルコレクション

1933年刊行 加藤正世「分類原色日本昆虫図鑑」出典:国立国会図書館デジタルコレクション

ツマムラサキマダラとは

タテハチョウ科マダラチョウ亜科の蝶です。
アサギマダラと同じ亜科に属しています。

日本ではもともと生息しておらず、近年になって南西諸島で生息するようになった蝶です。
関西では見られない蝶ですが、奈良県の橿原市昆虫館の温室内で見ることができました。

翅を広がると、前翅の先端部分が美しい紫色をしていることが由来です。

橿原市昆虫館の飛び立つ瞬間のツマムラサキマダラと藤袴 2020年10月11日 撮影:MKタクシー

橿原市昆虫館の飛び立つ瞬間のツマムラサキマダラと藤袴 2020年10月11日 撮影:MKタクシー

 

藤袴とツマムラサキマダラ

ツマムラサキマダラの魅力といえば、美しい前翅の紫色ですが、花の蜜を吸っているときは翅をぴったりと閉じているので、茶褐色の翅の裏しか写っていません。
ひらひらと飛んでいるときは、紫色が見え隠れしてとても美しいのですが、残念ながら飛び立つ瞬間くらいしか写真に収めることができませんでした。
止まっているときも、もう少しすきまがあれば、紫色が見えるのでしょうが、ぴったりと閉じられています。

橿原市昆虫館のツマムラサキマダラと藤袴 2019年10月5日 撮影:MKタクシー

橿原市昆虫館のツマムラサキマダラと藤袴 2019年10月5日 撮影:MKタクシー

橿原市昆虫館では、ツマムラサキマダラだけでなく、同じ区本州では見られないリュウキュウアサギマダラなども見られておすすめです。
アサギマダラとはまたちょっと違った美しさがあります。

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アゲハチョウ科の蝶

チョウ目アゲハチョウ上科に属する科です。
熱帯地方を中心に世界中に約550種類が分布します。
チョウの仲間でも、最も大型の種類で、アゲハチョウ亜科など4つの亜科が属します。

 

⑦ ナミアゲハ(並揚羽)

1933年刊行 加藤正世「分類原色日本昆虫図鑑」出典:国立国会図書館デジタルコレクション

1933年刊行 加藤正世「分類原色日本昆虫図鑑」出典:国立国会図書館デジタルコレクション

ナミアゲハとは

アゲハチョウ科アゲハチョウ亜科の蝶です。
単にアゲハチョウというとこのナミアゲハあるいはキアゲハ(黄揚羽)のことをいう場合が多く、最もありふれた蝶のひとつです。
小学校の理科の授業で、卵から飼ったという経験のある人も多いでしょう。
モンシロチョウと並んで、誰でも知っている人気の蝶です。

下御霊神社のナミアゲハと藤袴 2022年10月17日 撮影:MKタクシー

下御霊神社のナミアゲハと藤袴 2022年10月17日 撮影:MKタクシー

日本全域を含む東アジアに広く分布しています。
春から秋にかけて生息し、春型と夏型があります。
藤袴シーズンに見られるアゲハチョウは、夏に成長する夏型です。春型よりも2周りほど大きいのが特徴です。

 

藤袴とナミアゲハ

京都府立植物園のナミアゲハと藤袴 2020年9月17日 撮影:MKタクシー

京都府立植物園のナミアゲハと藤袴 2020年9月17日 撮影:MKタクシー

アゲハチョウはあちこちで見かけますが、いろいろな植物の蜜を吸います。特に藤袴を好むわけではありませんが、当然のように藤袴もレパートリーのひとつです。
藤袴に集まる蝶のなかでは、ひときわ大型なので最も良く目立ちます。
蜜を吸っている姿も優雅です。

京都府立植物園のナミアゲハと藤袴 2020年9月17日 撮影:MKタクシー

京都府立植物園のナミアゲハと藤袴 2020年9月17日 撮影:MKタクシー

アゲハチョウと言えば、初秋には彼岸花の蜜を吸っているのをかなり良く見かけます。藤袴では彼岸花ほどはアゲハチョウを見かけません。

アゲハチョウの美しさは、古くから日本人に愛されてきました。
平家の家紋として有名な揚羽紋は、アゲハチョウを図案化したものです。
平家の子孫を自称していた織田信長も、木瓜紋(もっこうもん)と並んで揚羽紋を好んで使用していました。

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⑧ アオスジアゲハ(青条揚羽)

1933年刊行 加藤正世「分類原色日本昆虫図鑑」出典:国立国会図書館デジタルコレクション

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アオスジアゲハとは

アゲハチョウ科アゲハチョウ亜科の蝶です。
はねの真ん中に上下に青緑色の筋は入っているのが由来です。
この部分だけ鱗粉(りんぷん)が無く、半透明な部分が美しく透けています。

梅小路公園・朱雀の庭のアオスジアゲハと藤袴 2021年10月5日 撮影:MKタクシー

梅小路公園・朱雀の庭のアオスジアゲハと藤袴 2021年10月5日 撮影:MKタクシー

アジアの熱帯地域を中心に分布しており、日本では東北地方南部が北限です。

温暖化の影響により、徐々に分布を広げています。
見るからにスマートな翅をしているとおり、蝶の中でも飛ぶ速度が速いのが特徴です。

梅小路公園・朱雀の庭のアオスジアゲハと藤袴 2021年10月5日 撮影:MKタクシー

梅小路公園・朱雀の庭のアオスジアゲハと藤袴 2021年10月5日 撮影:MKタクシー

アジアの熱帯地域を中心に分布しており、日本では東北地方南部が北限です。
温暖化の影響により、徐々に分布を広げています。
見るからにスマートな翅をしているとおり、蝶の中でも飛ぶ速度が速いのが特徴です。

 

藤袴とアオスジアゲハ

梅小路公園・朱雀の庭のアオスジアゲハと藤袴 2017年10月5日 撮影:MKタクシー

梅小路公園・朱雀の庭のアオスジアゲハと藤袴 2017年10月5日 撮影:MKタクシー

アサギマダラに負けず劣らず美しい青い蝶です。
ちょっと吸っては機敏に飛びまわり、を忙しく繰り返します。
優雅にひらひらと舞うように飛ぶアサギマダラとは、対照的な飛び方です。

京都府立植物園のアオスジアゲハと藤袴 2019年10月6日 撮影:MKタクシー

京都府立植物園のアオスジアゲハと藤袴 2019年10月6日 撮影:MKタクシー

アゲハチョウの仲間としては珍しく、とまっているときに翅は開きません。
花の蜜だけではなく、水たまりに集まって吸水している姿もよく見かけます。

梅小路公園・朱雀の庭のアオスジアゲハと藤袴 2021年10月5日 撮影:MKタクシー

梅小路公園・朱雀の庭のアオスジアゲハと藤袴 2021年10月5日 撮影:MKタクシー

暑さに弱く朝と夕方を中心に蜜を吸いに集まるアサギマダラとは異なり、アオスジアゲハは暑さに耐性があります。
アサギマダラが少ない日中には、大型の蝶であるアオスジアゲハの姿がよく目立ちます。

大原野フジバカマ園のアオスジアゲハ 2022年9月23日 撮影:MKタクシー

大原野フジバカマ園のアオスジアゲハ 2022年9月23日 撮影:MKタクシー

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シロチョウ科の蝶

チョウ目アゲハチョウ上科に属する科です。
世界中に約1,000種類が分布します。
その名のとおり、白色や黄色をした種類が大半です。
シロチョウ亜科など4つの亜科が属します。

⑨ モンシロチョウ(紋白蝶)

1933年刊行 加藤正世「分類原色日本昆虫図鑑」出典:国立国会図書館デジタルコレクション

1933年刊行 加藤正世「分類原色日本昆虫図鑑」出典:国立国会図書館デジタルコレクション

モンシロチョウとは

シロチョウ科シロチョウ亜科の蝶です。
春から秋にかけてどこでも見られる、誰もが知るおなじみの蝶です。
日本全土をはじめ、東アジア一帯に分布しています。
ヨーロッパやアメリカにも、よく似た姿の亜種が生息しています。
成虫は春から秋にかけて見られ、様々な植物の蜜を吸います。

京都府立植物園のモンシロチョウと藤袴 2020年10月13日 撮影:MKタクシー

京都府立植物園のモンシロチョウと藤袴 2020年10月13日 撮影:MKタクシー

 

藤袴とモンシロチョウ

どこにでもいるモンシロチョウですが、藤袴の蜜を吸っている姿は頻繁には見かけません。
いろいろの花の蜜を吸うモンシロチョウにとって、藤袴は特に好物というわけではないようです。

京都府立植物園のモンシロチョウと藤袴 2020年10月13日 撮影:MKタクシー

京都府立植物園のモンシロチョウと藤袴 2020年10月13日 撮影:MKタクシー

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⑩ モンキチョウ(紋黄蝶)

1933年刊行 加藤正世「分類原色日本昆虫図鑑」出典:国立国会図書館デジタルコレクション

1933年刊行 加藤正世「分類原色日本昆虫図鑑」出典:国立国会図書館デジタルコレクション

モンキチョウとは

シロチョウ科モンキチョウ亜科の蝶です。
モンシロチョウの色が黄色いバージョンに見えますが、モンシロチョウとは亜科のレベルで異なります。
最も大きな違いは、幼虫の食草です。
モンシロチョウはキャベツなどアブラナ科の植物を食べるのに対し、モンキチョウはクローバーなどマメ科の植物を食べます。
モンシロチョウと同じく、どこでも見られる蝶です。

大原野フジバカマ園のモンキチョウと藤袴 2020年10月15日 撮影:MKタクシー

大原野フジバカマ園のモンキチョウと藤袴 2020年10月15日 撮影:MKタクシー

 

藤袴とモンシロチョウ

モンシロチョウと同じく、特別に藤袴が好物というわけではありませんが、藤袴にも集まってきます。
アサギマダラなどのように、ゆっくりじっくりと蜜を吸うのではなく、あっちの花からこっちの花へと次々と移っていきます。
体が小さなこともあり、意外と撮影するのは難しい蝶です。

大原野フジバカマ園のモンキチョウと藤袴 2020年10月15日 撮影:MKタクシー

大原野フジバカマ園のモンキチョウと藤袴 2020年10月15日 撮影:MKタクシー

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セセリチョウ科の蝶

チョウ目セセリチョウ上科に属する科です。
南米を中心に世界中に約4,000種類が分布し、日本には37種が生息します。
漢字で書くと「挵蝶」で、引っかいたりほじくったりするという意味の「せせる」に由来します。
小型の蝶が中心で、見た目から蛾と勘違いされることもあります。
小さいのであまり目立ちませんが、いたるところで見かける小型の蝶です。
幼虫はイネを食べるため、害虫として嫌われものでもあります。

革堂行願寺のイチモンジセセリと藤袴 2021年10月2日 撮影:MKタクシー

革堂行願寺のイチモンジセセリと藤袴 2021年10月2日 撮影:MKタクシー

 

⑪ セセリチョウ(挵蝶)の仲間

1933年刊行 加藤正世「分類原色日本昆虫図鑑」出典:国立国会図書館デジタルコレクション

1933年刊行 加藤正世「分類原色日本昆虫図鑑」出典:国立国会図書館デジタルコレクション

イチモンジセセリ

後翅の裏側に縦に並んだ銀色の斑点模様があることが名前の由来です。
どこにでもいるセセリチョウの中でも、特によく見かける種類です。
一文字がはっきりしない個体の場合もあり、正直よくわかりません。

革堂行願寺のイチモンジセセリと藤袴 2021年10月2日 撮影:MKタクシー

革堂行願寺のイチモンジセセリと藤袴 2021年10月2日 撮影:MKタクシー

イチモンジセセリは、別名をイネツトムシ(稲苞虫)と言います。幼虫が稲の葉に苞(つと)のような巣を作ることが由来です。
幼虫はイネ科の植物を好んで食べ、稲作の害虫として駆除対象になっています。

河原町丸太町のイチモンジセセリと藤袴 2022年10月17日 撮影:MKタクシー

河原町丸太町のイチモンジセセリと藤袴 2022年10月17日 撮影:MKタクシー

 

チャバネセセリ

茶色いまだらの翅が名前の由来です。
イチモンジセセリほどではありませんが、どこでもよく見かける蝶です。

大原野フジバカマ園のチャバネセセリとフジバカマ 2021年9月25日 撮影:MKタクシー

大原野神社のチャバネセセリとフジバカマ 2021年9月25日 撮影:MKタクシー

 

おわりに

MKタクシーでは、京都の歴史や文化に詳しい観光ドライバーがたくさん在籍しています。
観光ドライバーをするのに基本的な知識は、会社の座学や現地勉強会などで習得することができます。でも、そこから先は人それぞれです。

人によって得意分野は様々で、歴史や文化だけではなく、グルメや花に詳しい観光ドライバーもたくさんいます。
蝶など昆虫に詳しめの観光ドライバーというご要望にも応えられる場合もあるかもしれません。
観光・おもてなしのプロといっしょに一味ちがう京都旅行を体験してみませんか?

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藤袴と赤トンボ

梅小路公園・朱雀の庭のナツアカネと藤袴 2023年10月6日 撮影:MKタクシー

梅小路公園・朱雀の庭のナツアカネと藤袴 2023年10月6日 撮影:MKタクシー

藤袴に集まる虫は、蝶だけではありません。例えば、ハチやアブなどいろんな虫が蜜を求めて藤袴に集まります。
そして、蜜ではなく藤袴に集まる虫を狙った肉食性の虫も集まります。
トンボやスズメバチなども藤袴で見かけることがあります。
藤袴の花にとまって蜜を吸っているかのようなトンボを見かけることもあります。

梅小路公園・朱雀の庭のナツアカネと藤袴 2023年10月6日 撮影:MKタクシー

梅小路公園・朱雀の庭のナツアカネと藤袴 2023年10月6日 撮影:MKタクシー

この全身真っ赤な赤とんぼは、ナツアカネという種類です。
とってもきれいですね。

梅小路公園・朱雀の庭のナツアカネと藤袴 2023年10月6日 撮影:MKタクシー

梅小路公園・朱雀の庭のナツアカネと藤袴 2023年10月6日 撮影:MKタクシー

 

秋の京都を彩るおすすめの花

紅葉だけではない、京都の秋を美しく彩る花々を紹介します。

彼岸花(ヒガンバナ)  見頃:9月中旬~上旬
 萩(ハギ) 見頃:9月下旬~10月上旬
秋明菊(シュウメイギク) 見頃:9月下旬~10月下旬
藤袴(フジバカマ) 見頃:9月下旬~10月下旬
秋桜(コスモス)  見頃:10月上旬~11月上旬

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