MKトラベルの西国巡礼ツアーレポート特別編|高野山金剛峯寺の日帰りツアー
MKトラベルでは、西国三十三所巡礼の日帰りツアーを催行しています。
2024年2月5日(月)には、西国巡礼番外編として高野山の奥の院と金剛峯寺、山麓の慈尊院と丹生都比賣神社を巡礼する日帰りツアーが催行されました。
今回目指した高野山は関西でも屈指の寒冷地。
ツアー出発一週間前から出ている降水予報から、出発前には積雪や路面の凍結なども心配されました。
ツアー当日は雨模様だったものの、比較的気温が高く、後述します高野山内案内人の方のお話もあり、雨天を楽しみながら巡礼を楽しむことができました。
参加者は5名と小規模なツアーでしたが、各スポットをじっくりと楽しみながらも小回りよく様々な場所を周遊でき、小規模ツアーならではの醍醐味を味わうことができました。
MKトラベルの見習い添乗員で公認先達(申請中)の岩本真輝より、ツアーの様子を紹介します。
ツアーの概要
2024年2月5日の日帰りツアー
いずれも世界文化遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部であり、西国三十三所番外霊場である高野山奥の院と、高野山内の金剛峯寺と壇上伽藍、山麓の丹生都比売神社、慈尊院、丹生官省符神社を巡るジャンボタクシーでのツアーです。
高野山自体は西国三十三所巡礼の札所ではありませんが、西国巡礼の途中で立ち寄る定番スポットとして、多くの巡礼者が訪れてきました。
朝8:00に京都駅八条口を出発し、夜19:00に京都駅へと帰着しました。
行程
日時 | 場所 |
7:50 | 京都駅八条口・MKタクシーVIPステーション前(集合) (8:00出発) |
移動 | |
11:00 | 高野山奥之院<約90分(参道往復含)> |
12:30 | ご昼食:一の橋天風にてお食事 ※お買い物/周辺散策:約50分滞在 |
移動 | |
13:30 | 金剛峯寺<約40分> 壇上伽藍エリア<約40分> |
移動 | |
15:00 | 丹生都比賣神社<約30分> |
移動 | |
16:00 | 慈尊院<約30分> |
移動 | |
19:00 | 京都駅(帰着/解散) |
高野山金剛峯寺について
高野山 金剛峯寺は和歌山県の北東部、高野山町にあるお寺です。
平安時代に弘法大師空海が開いたお寺で、紀伊山地の深い山々に抱かれた盆地の全体を境内地としています。
金剛峯寺を指す際に用いられる“高野山”とはお寺の山号であり、お寺の周囲には「高野山」という山はありません。
お寺の境内地は「八葉の峰」と呼ばれる8つの山々に囲まれており、その地形が仏様が座る蓮華の花びらに囲まれているように見えることから、境内そのものが仏教世界を立体的に表しているともいわれます。
広大な境内の中には、僧侶たちの修行の場として高野山の中でも最初に整えられた「壇上伽藍」、高野山真言宗の管長が住む総本山寺院「総本山 金剛峯寺(本坊)」、そして高野山を開いた空海が今も瞑想を続けるとされる御廟がある「奥の院」といったエリアに分かれており、境内全体を詳しく見ようとするといくら時間があっても足りないほどです。
高野山は世界文化遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部として世界遺産に登録されており、世界遺産登録から20周年を迎える2024年は、高野山でも特別なイベントの数々が企画されています。
ツアー時のエピソード
参加者5名とドライバーの猪村乗務員、先輩添乗員の牧、そして私、見習い添乗員岩本の総勢8名という小規模なツアーでした。
今回のツアーは比較的少人数での催行のため、ジャンボタクシーをツアーで貸切で行いました。大人数でワイワイと行くバスツアーはもちろん楽しいものですが、参加者の皆さまとドライバー、そして添乗員が一団となって各スポットを楽しむことができたのはジャンボタクシーでの催行の良い点だったように感じました。
弘法さんが瞑想を続ける「奥の院」
京都駅を出発し、道中道の駅での休憩を挟みながら2時間半ほど。
大阪府を縦断、山道を走り抜けて、車は高野山奥の院前駐車場へ到着しました。
奥の院参道へ入る前に「高野山奥の院/金剛峯寺境内案内人」の方と合流、高野山内では案内人の方にガイドをお願いいたしました。
このガイドの方、金剛峯寺が主催する試験に合格しているだけあって、高野山についての知識量は凄まじいものがありました。しかし、何よりすごいのはお話がわかりやすく楽しいこと。参加者の皆さまを終始笑顔にされ、私も添乗員としてその場にいることを忘れそうになりながら一緒になって楽しませていただきました。
奥の院への参道は様々な企業の慰霊碑や供養塔、そして諸大名の墓所が続き、特徴的、ダイナミックな墓石・供養碑が並ぶ光景やミステリアスな雰囲気が国内外で知られています。
今回のツアーではロケットの形をした新明和工業株式会社の慰霊碑や、自由に落書きをして良い楽書塚(らくがきづか)の前を通り、加賀前田家や豊臣家、織田信長の墓所前を通って奥の院前の御廟橋へ到着しました。
道中では山内ガイドの方から、高野山と高野槙の関係などのお話を伺いながら歩みを進めていきました。2月は高野山の閑散期にあたり、ツアー当日に稼働されていた山内ガイドもおひとりだけだったとのこと。
路肩には雪が残り、足元が良くない中ではありますが、奥の院の参道で静寂を感じながら歩き、人けの無い参道の写真も撮り放題という状況は、オフシーズンの参拝ならではのもので特別感がありました。
参拝前にご朱印をいただき、いよいよ橋を渡って奥の院の霊域に入ります。奥の院では写真撮影は禁止。厳かな雰囲気から声量が自然と低くなり、背筋の伸びる思いがします。
奥の院灯籠堂で納経して、弘法大師が今も瞑想される御廟の前へ向かいます。
奥の院をはじめ今回のツアーでは、参加者各自でお勤めをしていただきました。
参拝の際山内ガイドさんから、高野山に伝わるお話をひとつ紹介いただきました。「お大師さまは晴れの日はお出かけになられており、雨の日や雪の日に御廟にいらっしゃる。」あくまで民間で伝わるお話とのことでしたが、雨天という当日の気候が実は「天気に恵まれた」ツアーであったことに驚き、嬉しく思いました。
参拝を終えてお堂を出ると雨は小ぶりとなっており、傘をささずに参道を駐車場まで戻ることができました。案内人さんからは「寺社の参拝を終えた後に雨がおさまる、晴れ間が見える、などはそのお寺や神社さんの神様や仏様が、お願いを聞いて下さった証ですよ。」とのお話もお聞きし、ご参加の皆さまと共に笑顔で昼食場へ向かいました。
高野山の本堂、庭園と屏風が美しい「金剛峯寺」
奥の院の後は昼食を挟んで金剛峯寺へ訪れました。高野山は「一山境内地」となっており、高野山のお山全体がお寺の境内であることが特徴です。
高野山エリアの中ほどにある金剛峯寺は、高野山真言宗の管長が座す総本山の寺院です。先ほど訪れた奥の院や、次に訪れた壇上伽藍は修行や信仰の空間としての意味合いが強い場所ですが、金剛峯寺はお寺の「事務所」や「応接間」として考えるとわかりやすいでしょうか。
金剛峯寺内では、時代ごとの様々な画家たちによる襖絵や、日本最大級といわれる庭園を楽しむことができました。
色とりどりの襖絵は部屋ごとに題材が異なり見ごたえがありましたが、中でも私が印象的だったのは『断崖図』です。飾られる部屋は得度式(お坊さんになるための式典)の控室に飾られており、若い弘法さんが修行した風景を表しているとのことで、得度する若い僧侶を応援する意図から描かれたとのことです。
日本最大級の庭園『蟠龍庭(ばんりゅうてい)』も大変見ごたえがありました。雲海の中を飛ぶ龍を再現したという石組みは静かな迫力があります。
山内ガイドの方も「辰年の今年にこの庭園を見られたことは大変意義深いこと」と仰られ、お話を楽しみながらゆったりと境内の参拝を楽しむことができました。
高野山の中心地「壇上伽藍」
金剛峯寺を出た後は壇上伽藍へ向かいました。壇上伽藍は弘法さんが高野山を開いた際、一番最初に修行の場所として整えた場所です。
エリア内には多くのお堂が建ち並び、その様子は密教曼荼羅の世界を具現化したものともいわれています。
壇上伽藍では完全自由行動とさせていただきましたが、高野山のランドマークとして知られる高さ48.5mの根本大塔の前で写真を撮られる方や、弘法さんにまつわる伝説が伝わる「三鈷の松」で三本葉の松葉を探される方、六角経蔵を回して功徳を得る方など、皆さま思い思いに楽しく過ごされていました。
高野山の守り神、「丹生都比売神社」
壇上伽藍からは再びタクシーに乗車、山を下って丹生都比売(にうつひめ)神社へ向かいます。
ツアーご参加の皆さまへは車内で私からご案内させていただきましたが、丹生都比売神社は弘法さんに高野山の土地をお譲りした神様がお祀りされている神社です。
朱塗りの楼門や輪橋が織りなす境内の風景が美しく、私も一押しの神社のひとつです。
歴史的な経緯から高野山との関係も深く、世界遺産『紀伊山地の霊場と参詣道』の構成資産にもなっている神社ですが、公共交通機関でのアクセスが良くないため、高野山の行き帰りに立ち寄られる方は必ずしも多くありません。
今回はタクシーツアーということで、私の希望もあって行程に加えていただきました。
雨が降りしきる中での参拝となりましたが、私たち以外の参拝者がいない時間帯もある境内をゆったりとお参りすることができたのは良かったかなと感じています。
弘法さんのお母さまのお寺「慈尊院」
丹生都比売神社から30分程タクシーに乗車して、当日最後の目的地である慈尊院(じそんいん)と丹生官省符神社(にうかんしょうぶ)へ向かいます。
慈尊院は弘法さんのお母さま(玉依御前:たまよりごぜん)が、「息子の開いた高野山を見たい」という思いから高野山を目指し、しかし女人禁制の山内に入ることができなかったことから開かれたと伝わっているお寺です。
企画した段階では気づいていなかったのですが、ツアー当日の2月5日は玉依御前の御命日と伝わる日、また御前の信仰された慈尊院本尊の弥勒菩薩のご縁日でもあり、なんとも奇縁を感じます。
ご参加の皆さまごとにご参拝をいただき、ご朱印を授与いただく際、ご参加された中のおひとりが『神仏霊場』と書かれた辞書ほどの厚みのあるご朱印帳へ集印されていたのが目につきました。
『神仏霊場』は関西の神社仏閣、152霊場が参加している巡礼です。私も大学時代からお巡りしているのですが、今までお巡りしている方にお会いしたことがありませんでした。
まさかツアー添乗の際にお巡りされている方にお会いできるとは思わず、大変驚きました。
高野山への登山口だった「丹生官省符神社」
慈尊院からは石段が高野山の方向に伸びており、登り切った先に丹生官省符神社が坐しています。
丹生官省符神社は明治時代まで慈尊院と一体として信仰されてきた歴史を持っており、丹生都比売神社と同様に今なお高野山と深い関係を持ち、世界遺産に登録されている神社です。
先週訪れた紀三井寺などと比べると段数が多い石段ではないのですが、ツアー最後のスポットでの石段登りは体力を使い、息を切らしながら登ります。
鉄道や道路が高野山まで開通する以前、高野山への参拝者は石段下の慈尊院の後にこの神社にも詣で、そこから山道を6時間かけて高野山へ向かっていたと考えると、その労苦には気の遠くなるような思いがします。
参拝を終えてタクシーへ戻ると日は暮れかかっていましたが、一日かけて高野山と、麓の高野山に関係する社寺を参りきることができたことに安堵しました。
その後京都へも予定より少し早い時間に到着し、ツアーを無事終えることができましたが、これもご参加された皆さまのおかげと考えております。
今回のツアーは、関西の中でも寒い地域へのツアーであり、さらに移動時間が多く、立ち寄るスポットも多いため、ご参加の皆さまがお疲れにならないか心配をしていました。
しかし参拝の途中や、お開きの際などに「良いお参りができました」などのお声がけをいただき、私どもとしても催行できて良かったと感じ入りました。
今月26日には5〜8番札所への巡礼ツアーも予定しています。
今後は私も加わり、より催行回数も増やしながら頑張ってまいりますので、今後ともみなさまのMKトラベルと西国巡礼ツアーへのご愛顧のほどよろしくお願いいたします。
岩本真輝執筆記事
MKトラベルの日帰りツアー
さて、これからもMKトラベルの西国巡礼ツアーは毎月催行予定です。
すでに次回のツアーを申し込んでおられた方もいらっしゃいました。
冬の巡礼は寒いから「4月はじまり」をぜひ企画してほしい、というお声も。
西国巡礼ツアーには今後も力をいれていくので、乞うご期待!
2024年2月26日の葛井寺・壷阪寺・岡寺・長谷寺・法起院ツアー
皆さまのご参加をお待ちしています。
2024年3月11日の南円堂・三室戸寺・醍醐寺ツアー
皆さまのご参加をお待ちしています。
2024年4月15日の岩間寺・石山寺・三井寺・今熊野観音寺ツアー
皆さまのご参加をお待ちしています。
2024年4月20日の青岸渡寺・熊野那智大社・那智の滝/飛瀧神社ツアー
皆さまのご参加をお待ちしています。
2024年5月13日の善峯寺・穴太寺・総持寺・勝尾寺ツアー
2024年5月25日の紀三井寺・粉河寺・施福寺ツアー
皆さまのご参加をお待ちしています。
2024年7月22日の清水寺・六波羅蜜寺・頂法寺・行願寺ツアー