秋から冬に咲く「桜」があるのを知っていますか?季節外れに開花する秘密とは
秋に咲く桜は、十月桜(ジュウガツザクラ)や冬桜(フユザクラ)、アーコレード、四季桜(シキザクラ)、不断桜(フダンザクラ)、子福桜(コブクザクラ)などの品種です。
京都では例年9月下旬ごろから咲きはじめ、紅葉と同じ11月から12月に秋の見頃を迎えます。冬は花が減りますが、春にもう一度、満開の姿を見せます。
春の花である桜が秋に咲くのは、桜の祖先が、もともと秋に咲く花だったからだといわれています。秋に咲く桜の品種と咲き方、季節外れに咲く理由、狂い咲きとの違いを紹介します。
最終更新:2026年10月30日
秋に咲く桜の主な品種と見頃
主な品種
秋から冬に咲く桜の多くは、人の手で選ばれ、受け継がれてきた園芸品種です。
主な品種と、花の特徴、親と考えられている桜は次のとおりです。
| 名前 | 花の特徴 | 親と考えられている桜 |
|---|---|---|
| 十月桜 | 淡紅色、半八重咲き | マメザクラ×エドヒガン |
| 冬桜 | 白色、一重咲き | オオシマザクラ×マメザクラ |
| 四季桜 | 白色、一重咲き | マメザクラ×エドヒガン |
| 子福桜 | 白色、八重咲き、小輪 | カラミザクラ×コヒガン(またはエドヒガン) |
| 不断桜 | 白色、一重咲き | ヤマザクラ×オオシマザクラ |
| アーコレード | 淡紅色、半八重咲き、大輪 | オオヤマザクラ×コヒガン |
| ヒマラヤザクラ | 白から濃い紅色まで個体差が大きい | (園芸品種ではなく野生種) |
名前と品種が違うこともある秋咲きの桜
京都の寺社や公園でいちばんよく出会うのは、十月桜です。
妙蓮寺の「御会式桜(おえしきざくら)」のように、品種としては十月桜でも、その木だけの名前で呼ばれている桜もあります。
反対に、「冬桜」「不断桜」と案内板にあっても、品種は別の桜ということもよくあります。
十月桜 平野神社 2019年11月13日 撮影:MKタクシー
紅葉と一緒に楽しめる秋に咲く桜
秋咲きの桜は、紅葉と同じ時期に花を付けるので、紅葉と桜を一度に眺められます。
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品種ごとの見分け方と、京都で見られる場所は、次の記事で詳しく紹介しています。
アーコレード 宇治市植物公園 2018年10月20日 撮影:MKタクシー
秋から春までの咲き方
秋に咲く桜も、春に咲く性質をなくしたわけではありません。
秋にいったん咲き、真冬は花が減り、春にもう一度、盛大に咲きます。
京都の十月桜の場合、例年の流れはおおむね次のとおりです。
| 時期 | 咲き方 |
|---|---|
| 9月下旬~10月 | 枝先のあちこちで咲きはじめる |
| 11月~12月 | 秋の見頃。木全体に花が付くが、春ほどの量ではない |
| 1月~3月上旬 | 花はかなり減るが、少しずつ咲き続ける |
| 3月中旬~4月上旬 | 春の見頃。ソメイヨシノとほぼ同じ時期に満開 |
秋と春で咲く花の割合
品種や木によって差は大きいものの、ざっくり言うと、秋に咲くのは全体の3分の1ほどで、残りの3分の2ほどは春に咲きます。
妙蓮寺の御会式桜を例に、季節ごとの姿を見てみましょう。
12月:秋の見頃でも控えめな花付き
妙蓮寺の御会式桜 2008年12月27日 撮影:MKタクシー
秋から冬の花は、多い時期でもこのくらいです。季節外れなのでよく目立ちますが、春の満開とは比べものになりません。
秋の咲き具合は年ごとの差が大きく、ほとんど咲かない年もあります。
1月:厳冬期は細々と咲く
妙蓮寺の御会式桜 2009年1月24日 撮影:MKタクシー
厳冬期には、咲いている花はわずかです。
桜の花は1つひとつが1週間ほどで散るため、冬のあいだも少しずつ新しい花が開いています。
3月:春は盛大に満開
妙蓮寺の御会式桜 2015年3月28日 撮影:MKタクシー
春を迎えると、花の数も花の大きさも秋とは別の木のように変わります。
秋の咲き具合が年によって大きく違うのに対し、春に咲く時期は毎年それほど変わりません。
御会式桜の秋から春までの様子は、こちらの記事で月ごとに追っています。
桜が春に咲く仕組み
秋に咲く桜の話の前に、ふつうの桜がどうやって春に咲くのかを見ておきます。
背割堤のソメイヨシノ 2019年4月8日 撮影:MKタクシー
「桜」という1つの種類の植物はない
実は、「桜」という名前の1つの種類の植物はありません。
桜は、バラ科サクラ属の野生種と、そこから生まれた園芸品種をまとめた呼び名です。
日本に自生する野生の桜は10種ほどで、どれも春に花を咲かせます1。
万博記念公園のソメイヨシノ 2018年3月25日 撮影:MKタクシー
野生種の中でも、江戸彼岸(エドヒガン)は長生きで、各地にある桜の巨木や古木の多くを占めます。
樽見の大桜(エドヒガン) 2019年4月15日 撮影:MKタクシー
英語のcherry blossomも桜を指しますが、cherryだけだとサクランボを思い浮かべる人が多く、日本語の「桜」とは少しニュアンスが違います。
夏に翌年の花芽をつくる
春に花が散ると、桜はすぐに翌年の準備を始めます。
夏ごろには、葉の付け根に花芽(はなめ/かが)という、翌春に花になる小さな芽ができます。
葉の付け根にできた花芽 京都府立植物園 撮影:MKタクシー
桜の芽は3つで一組になっていることが多く、真ん中が葉のもとになる葉芽(はめ/ようが)、両側が花芽です。
葉の芽1つに対して花の芽が2つあるところに、桜が花をどれだけ大事にしているかが表れています。
秋から冬は休眠して越す
秋になって日が短くなると、花芽の成長を抑える植物ホルモンが働きはじめ、花芽は休眠に入ります。
落葉樹の桜は、葉を落とした晩秋から光合成ができません。限られたエネルギーで寒い冬を越すための仕組みです。
休眠中の花芽 京都府立植物園 撮影:MKタクシー
冬の寒さで目覚める「休眠打破」
休眠していた花芽は、冬の寒さに一定の期間さらされると目を覚まします。これを「休眠打破」といいます。
桜の開花予想のニュースでよく出てくる言葉なので、聞いたことがある人も多いでしょう。
休眠打破した花芽 京都府立植物園 撮影:MKタクシー
ソメイヨシノの休眠打破に必要な寒さ
ソメイヨシノの場合は、8度以下の低温が累計1,000時間必要とされています。このことを利用した開花予測法を「温度変換日数法」と言います。
近年は、分子生物学的な解析手法を利用し、さらに正確な開花予測をしようという研究も進んでいます。
休眠打破のあとは、気温が高いほど花芽は早く育ちます。桜の開花日をかなり正確に予想できるのは、このためです。
必要な寒さの量は、桜の種類によって違います。暖かい地域の桜は少しの寒さで目覚め、寒い地域の桜はしっかり冷えないと目覚めません。
ソメイヨシノの南限は種子島
桜の開花には寒さが必要とされるため、ソメイヨシノが生育する南限は、種子島です。
種子島より南では、冬の寒さが足りず、ソメイヨシノの休眠打破は起こりません。沖縄では一般に桜といえば、寒緋桜(カンヒザクラ)のことを指します。
寒緋桜 長徳寺 2019年3月24日 撮影:MKタクシー
亜熱帯に分布する寒緋桜は寒さに弱く、沖縄以外では自然分布していません。
それでも近年は、きちんと手入れをすれば、京都でも早春に美しく咲きます。
暖冬で変わる桜の開花
暖冬の年は、休眠打破が遅れる一方で、その後の暖かさで開花は早まります。
近年、鹿児島や高知より東京のほうが先に咲く年が多いのは、この2つの働きが重なるためです。
キモノフォレストのソメイヨシノ 2020年3月29日 撮影:MKタクシー
秋に咲く桜がある理由は、祖先のヒマラヤザクラ
桜の祖先はヒマラヤに
休眠打破の仕組みで、桜は春に咲きます。では、なぜ季節外れの秋に咲く桜があるのでしょうか。
その答えは、桜がたどってきた進化の道のりに隠れています。
ヒマラヤザクラ 桂川堤防(鳥羽の大石付近)2020年11月29日 撮影:MKタクシー
日本の桜の祖先は、ヒマラヤにいたという説が有力です。
ネパールの首都カトマンズ周辺、標高1,400~2,000mほどの山地には、ヒマラヤザクラが自生しています。このヒマラヤザクラは、秋に咲く桜です。
遺伝的に近い日本の桜とヒマラヤザクラ
日本の桜とヒマラヤザクラは染色体の数が同じで、かけ合わせると30~50%の花が実を結ぶことも確かめられています。2つは遺伝的にとても近い関係にあります。
高地のヒマラヤでは春に咲く桜も
同じネパールでも、雪が降り氷点下になる標高3,000~4,000mほどの高地に生える桜は、春に咲きます。
もとは秋に咲いていた桜が、厳しい寒さの土地へ広がるなかで、春に咲くように変わったと考えられています。
ヒマラヤザクラ 京都府立植物園 撮影:MKタクシー
冬を越すために春咲きへ
ヒマラヤザクラが育つカトマンズ周辺は、沖縄とほぼ同じ緯度にあり、1年を通じて気温の差が小さい穏やかな土地です。
一方、桜が中国や台湾を経て広がった日本には、寒く乾いた冬があります。
そうした土地で生き延びるため、桜は冬に葉を落として活動を止める「休眠」を身に付け、暖かくなった春に咲くようになりました。
バラ科の果樹に共通する休眠
アーモンド 平野神社 2020年3月17日 撮影:MKタクシー
冬に休眠して春に咲く仕組みは、桜だけのものではありません。
梅(ウメ)、桃(モモ)、李(スモモ)、杏(アンズ)、アーモンドなど、桜に近いバラ科の果樹はどれも春に咲きます。
休眠打破の鍵になる遺伝子も、桜のほか、桃や梨(ナシ)などで共通して見つかっています。
ヒマラヤザクラとは
ヒマラヤザクラは、ヒマラヤから中国南西部、ミャンマー北部にかけての山地に分布するサクラ属の野生種です。
花の色は白から濃い紅色まで、木によってさまざまです。
花びらが散らずに、枝についたまましぼんでいく点が、日本の秋咲きの桜と共通しています。
清水寺・大講堂前のヒマラヤザクラ 2020年12月2日 撮影:MKタクシー
日本各地で育てられるヒマラヤザクラ
冬の寒い日本は、ヒマラヤザクラにとって育ちやすい土地ではありません。それでも、人の手を借りて各地で育てられています。
静岡県熱海市では、1967年にネパールの皇太子(当時)から贈られた種子が育てられ、毎年11月ごろに花を咲かせています。
京都で秋に咲くヒマラヤザクラを見られる場所
京都では清水寺や京都府立植物園、桂川堤防の鳥羽の大石付近などで見られ、例年11月ごろから咲き、12月に見頃を迎えます。
野生種なので木ごとの差が大きく、1月や2月に咲いていることもあります。
ヒマラヤザクラ 桂川堤防(鳥羽の大石付近)2017年12月3日 撮影:MKタクシー
環境浄化木としても注目
ヒマラヤザクラは、二酸化炭素や二酸化窒素の吸収効率が高く、近年は環境浄化木としても注目を集めています。
ヒマラヤザクラは、秋咲きの園芸品種よりもたくさんの花を付けます。花の雰囲気も、日本でよく見る桜とは少し違います。
鳥羽の大石付近の桜も、正体を知らなかったころは、寒い時期に咲く謎の花でした。
秋に咲く桜の品種が生まれた経緯
先祖がえりした変異枝から品種へ
春に咲く桜にも、まれに祖先の性質が現れる「先祖がえり」が起こり、秋に花を付ける枝が出ることがあります。
ただ、秋に咲いても、子孫を残す役にはほとんど立ちません。
桜は同じ木の花粉では実を結びにくく2、仲間の木が咲いていない秋には受粉の相手がいないためです。
1921年発行 三好学 著「桜花図譜」(国立国会図書館デジタルコレクション)
人の手で育てられた秋咲きの品種
放っておけば消えてしまう性質ですが、秋や冬に咲いた変異枝を見つけた人間は、その枝を採取し、育ててきました。
変異しやすい遺伝子を持った桜を、何世代も重ねながら遺伝的に固定化することで、季節外れの秋に開花する桜の品種が誕生したと考えられています。
同じ十月桜でも、秋の花が多い木と春の花が多い木があるなど、性質には幅があります。
江戸時代から記録に残る秋咲きの桜
十月桜や冬桜の名前は、江戸時代後期の記録に、すでに登場します。
園芸が盛んだった江戸時代の人々は、季節外れに咲く桜を見逃さなかったのでしょう。
当時の十月桜や冬桜が、今の品種と同じものかどうかは断定できませんが、数百年にわたって受け継がれてきた品種である可能性は高いでしょう。
1920年発行 内務省編「史蹟名勝天然記念物調査報告」(国立国会図書館デジタルコレクション)
国の天然記念物「白子不断桜」
秋や冬に咲く桜は、古くから「霊木」として大切にされてきました。
三重県鈴鹿市の子安観音寺にある白子不断桜は、江戸時代から知られた秋冬咲きの桜で、1923年に国の天然記念物に指定されました。
寺伝では、1,200年あまり前の寺の創建のころに芽吹いたと伝わります。
京都府立植物園の不断桜
品種としての不断桜は、京都でも京都府立植物園の半木の森の前で見られます。
ただし、近年の花付きは控えめです。
不断桜(フダンザクラ) 京都府立植物園 撮影:MKタクシー
日本で秋にも咲くようになったアーコレード
近年、秋から冬に咲く桜として人気を集めているのがアーコレードです。
大山桜(オオヤマザクラ)と小彼岸(コヒガン)をかけ合わせて、イギリスで生まれた桜です。
アーコレード 宇治市植物公園 2018年3月25日 撮影:MKタクシー
イギリスでは春だけ咲くアーコレード
生まれたイギリスでは、春にだけ咲く桜です。ところが日本に植えると、秋から冬にも花を付けます。
はっきりした原因はわかっていませんが、おそらくイギリスよりかなり暑い日本の夏により、何らかの不全が発生しているのではないでしょうか。
大輪の美しい花に加えて、秋にも咲くことが人気の理由になっています。作られたときには思いもよらなかった特徴でしょう。
なお、十月桜など他の秋咲きの桜をイギリスで植えても、ちゃんと秋から冬にも開花するそうです。
気候によって、秋に咲いたり咲かなかったりするのはアーコレードだけの特性です。
秋に咲く桜と「狂い咲き」の違い
秋咲きの品種とは別に、春に咲くはずの桜が秋に花を付けることがあります。
一般に「狂い咲き」と呼ばれ、秋にソメイヨシノが咲くと、季節外れの開花としてよくニュースになります。
兼六園菊桜の狂い咲き 撮影:MKタクシー
台風や虫の害で起こる狂い咲き
休眠をうながす植物ホルモンは、主に葉から花芽へ送られます。
夏に台風や虫の害で葉の多くを失うと、花芽は休眠に入れません。そこへ暖かい日が続くと、秋のうちに咲いてしまいます。
「春と勘違いして咲いた」と言われるのは、このような場合です。
ソメイヨシノに限らず、どの品種の桜でも起こることがあります。
寒桜の狂い咲き 佐野藤右衛門邸 2018年10月18日 撮影:MKタクシー
秋に咲く桜の品種と狂い咲きの比較
秋咲きの品種と狂い咲きの違いをまとめると、次のとおりです。
| 秋咲きの品種 | 狂い咲き | |
|---|---|---|
| 主な例 | 十月桜、冬桜、四季桜など | ソメイヨシノなど春咲きの桜 |
| 秋に咲く理由 | 品種が持つ性質 | 台風や虫の害で葉を失うなどの事故 |
| 毎年咲くか | 咲く量に差はあるが、毎年咲く | 条件がそろった年だけ |
秋に咲く桜にまつわる話
文献に残る最古の桜は、秋に咲いた桜
日本で単に「花」といえば桜を指しますが、万葉集のころは、花といえば梅でした。
桜が登場する最も古い文献は、720年に完成した日本書紀です。
履中天皇と磐余稚桜宮
磐余池推定地 撮影:MKタクシー
日本書紀の巻第十二「履中紀(りちゅうき)」には、履中天皇が11月に磐余市磯池(いわれのいちしのいけ)で船遊びをしていたとき、季節外れの桜を見つけた話が記されています。
天皇はこれにちなんで、宮を磐余稚桜宮(いわれのわかざくらのみや)と名付けました。西暦では402年にあたるとされます。
磐余市磯池は残っていませんが、跡地とされる場所が奈良県橿原市東池尻町にあります。
桜について書かれた記録としては、この日本書紀の記述が最も古いものです3。
ここに出てくる桜は、今の秋咲きの品種につながるものではなく、狂い咲きした桜だろうといわれています。
江戸時代の「古今要覧稿」にも登場
屋代弘賢「古今要覧稿」出典:国立国会図書館デジタルコレクション
19世紀前半に編まれた「古今要覧稿」では、「十月桜」の項でこの話が引かれています。
ただ、そこに描かれた十月桜は一重の花で、今の十月桜とは明らかに違います。
若桜神社と桜井の地名
磐余稚桜宮の跡と伝わる場所は、今の奈良県桜井市谷にある若桜神社(わかさじんじゃ)です。
磐余稚桜宮伝承地 撮影:MKタクシー
境内にある「桜の井」は、桜井という地名の由来とされています。
若桜神社 撮影:MKタクシー
この話が事実なのか、創作なのかは確かめようがありません。
それでも、日本書紀がまとめられたころには、桜を美しいと思う心も、季節外れに咲く姿を喜ぶ心も育っていたことがわかります。
桜についての最古の記録が秋に咲いた桜だというのは、興味深いことです。
「秋桜」は桜ではなくコスモス
冬に咲く桜には、その名も冬桜(フユザクラ)があります。一方で「秋桜」と書くと、桜ではなくコスモスです。
嵯峨野 コスモス 見頃 2019年10月7日 撮影:MKタクシー
コスモスは、キク科コスモス属の植物です。ふつうコスモスと呼ぶのはオオハルシャギク(大春車菊)で、同じ仲間にキバナコスモスやチョコレートコスモスがあります。
メキシコ原産で、明治以降に日本へ入り、今では野原や道ばたでもよく見かけます。
桜のバラ科とは特に近い仲間ではなく、見た目もまったく違います。
木津川市山城町綺田 コスモス 見頃 2018年10月20日 撮影:MKタクシー
「秋桜」の表記が広まったのは1977年から
戦前にもコスモスを「秋桜」と書いた例はありますが、ほとんどはカタカナで書かれていました。
亀岡夢コスモス園 2020年10月20日 撮影:MKタクシー
「秋桜」の字が広まったのは、1977年に山口百恵さんの「秋桜」が大ヒットしてからです。作詞作曲のさだまさしさんが、この表記を選びました。
京都府立植物園 見頃 2018年11月4日 撮影:MKタクシー
もし十月桜などの秋に咲く桜を「秋桜」と呼ぶのが一般的だったら、名曲の題名も違っていたかもしれません。
秋に咲く桜のよくある質問
秋に咲く桜には、どんな品種がありますか?
十月桜や四季桜、冬桜、子福桜、アーコレード、不断桜といった園芸品種があり、野生種のヒマラヤザクラも秋から冬に咲きます。京都でよく見かけるのは十月桜です。
秋に咲く桜は、何月ごろに見られますか?
京都の例年の流れでは、9月下旬ごろに花が付きはじめ、紅葉の盛りのころに秋の見頃となります。年が明けると花は減り、3月中旬から4月上旬に春の見頃を迎えます。
なぜ秋に咲く桜があるのですか?
桜の祖先に近いヒマラヤザクラが、秋に咲く桜だからです。秋に咲く品種は、祖先の性質が現れた枝を人が見つけ、長い年月をかけて育ててきたものと考えられています。
ヒマラヤザクラ 桂川堤防(鳥羽の大石付近) 撮影:MKタクシー
秋に咲く桜と、桜の狂い咲きはどう違いますか?
秋に咲く品種は、咲く量に差はあっても毎年秋に花を付けます。狂い咲きは、台風や虫の害で葉を失った春咲きの桜が、暖かい秋に咲いてしまうもので、毎年起こるものではありません。
秋に咲く桜は、春にも咲きますか?
春にも咲きます。秋に開くのは花芽の一部で、多くの花芽は冬を越してから開くため、春のほうが花の数は多くなります。
おわりに
桜の品種は300とも600ともいわれ、その中には秋から冬に咲く品種もあります。
京都では、紅葉を背に咲く桜や、花の少ない冬に咲く桜に、街のあちこちで出会えます。
MKの観光ドライバーは、春以外に桜を楽しめる場所もよく知っています。
おもてなしに慣れた観光のプロが案内する貸切タクシーで、京都の秋と冬を心ゆくまで楽しんでみませんか。
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主要参考文献
- 染郷正孝『桜の来た道 ネパールの桜と日本の桜』信山社、2000年
- Miyawaki-Kuwakado, A., Han, Q., Kitamura, K., Satake, A.「Impacts of climate change on the transcriptional dynamics and timing of bud dormancy release in Yoshino-cherry tree」『Plants, People, Planet』2024年
- 三好学『桜花図譜』1921年
- 内務省編『史蹟名勝天然記念物調査報告』1920年
- 屋代弘賢ほか編『古今要覧稿』19世紀前半
- 『日本書紀』720年
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