北野天満宮に咲く遅咲きの「北野桜」は日本唯一の新品種

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北野天満宮に咲く遅咲きの「北野桜」は日本唯一の新品種

北野天満宮といえば、いわずと知れた梅の名所です。
しかし、実は菅原道真公の生きていたころは、北野一帯は桜の名所として有名でした。
今も梅よりははるかに少ないものの桜もあり、桜が散るころに開花しはじめます。
社務所前の御神木「北野桜」が2016年に新品種と判明するなど、桜の話題にも事欠きません。北野桜はカスミザクラ系の品種なので、かなり遅咲きです。

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北野天満宮にしかない「北野桜」とは

カスミザクラ系の北野桜

北野桜(社務所前) 五分咲き 2017年4月19日(平年4月15日相当) 撮影:MKタクシー

北野天満宮・社務所前の北野桜 五分咲き 2017年4月19日(平年4月15日相当) 撮影:MKタクシー

北野桜は、北野天満宮の本殿などの東側にある社務所前で咲きます。
一重で中輪の白い花を咲かせる樹齢約120年の桜です(2016年時点で約120年なので、約130年の方が正確か)。

開花が進むにつれて色が白からピンクに代わる特徴があり、北野天満宮の御神木として大切にされてきました。
特に名前も付けられていませんでしたが、桜の新品種に認定され、「北野桜」と命名されたのは、2016年と実は最近のことです。

カスミザクラ(広沢池) 見頃 2019年4月18日(平年4月15日相当) 撮影:MKタクシー

カスミザクラ(広沢池) 見頃 2019年4月18日(平年4月15日相当) 撮影:MKタクシー

桜の園芸品種にはいろいろありますが、北野桜はカスミザクラ(霞桜)系の園芸品種です。
後述のとおり、カスミザクラ自体は日本の山野に普通に自生している桜です。
ヤマザクラよりは少ないものの、京都の山野でも見られる桜です。
100年以上前に、開花につれて色が変わるカスミザクラが偶然発見され、珍しい桜として北野天満宮に奉納されたのでしょう。

接ぎ木などで増えるソメイヨシノを代表とする桜の園芸品種と異なり、野生種であるカスミザクラは種で増えます。
個体によって異なる遺伝子を持っているため、個体によって特徴が微妙に異なります。
その中でも観賞的に価値がある特徴を持った個体は、「○○桜」などと呼ばれるようになります。

 

2016年に新品種と判明

北野桜(社務所前) 見頃 2017年4月23日(平年4月19日相当) 撮影:MKタクシー

北野天満宮・社務所前の北野桜 見頃 2017年4月23日(平年4月19日相当) 撮影:MKタクシー

北野天満宮と住友林業が行った2016年の調査で判明したことは、北野桜が観賞価値がある特徴を持つことに加え、住友林業が持つ既知のカスミザクラとは異なる遺伝子を持っていたということです。
もちろん、住友林業が全国全てのカスミザクラの遺伝子データを持っているわけではないので、同じ桜は存在しないと断定はできません。
どこかの神社に北野桜と同じ桜が今も存在している可能性はあります。しかし、少なくとも著名な桜の中では北野桜と同一の桜はないということです。

遺伝子という点だけに着目すると、全ての野生の桜は異なる遺伝子を持っています。一本一本が日本で唯一の存在です。
しかし、それらが新品種と言われるかどうかは、観賞価値が高いかどうかという点が重要です。

北野天満宮・社務所前の北野桜 終わり近し 2021年4月18日 撮影:MKタクシー

北野天満宮・社務所前の北野桜 終わり近し 2021年4月18日 撮影:MKタクシー

なお、2021年時点で北野桜は農林水産省への品種登録は行われていません。
品種登録制度は、新品種作成者の権利を保護することを目的とした制度です。
登録されなければ新品種に認定されないというものではありません。
公的な機関から北野桜が新品種として「認定」を受けたわけではありません。

 

カスミザクラとは

北野桜(社務所前) 見頃 2016年4月18日(平年4月21日相当) 撮影:MKタクシー

北野天満宮・社務所前の北野桜 見頃 2016年4月18日(平年4月21日相当) 撮影:MKタクシー

北野桜の元となったカスミザクラ(霞桜)は、日本に広く自生している桜の野生種のひとつです。
ケヤマザクラ(毛山桜)ともいわれます。
同じく日本の山野に自生しているヤマザクラ(山桜)よりも、やや標高が高い位置に分布していますが、混生していることもよくあります。
開花は桜の中では遅めで、関西では4月中旬から下旬にかけて見頃を迎えます。
ヤマザクラよりも遅いのも見分けるポイントのひとつです。

北野天満宮・社務所前の北野桜 散りはじめ 2019年4月16日 撮影:MKタクシー

北野天満宮・社務所前の北野桜 散りはじめ 2019年4月16日 撮影:MKタクシー

カスミザクラはヤマザクラと同じく、花と同時に若葉が出ます。
若葉の色には多少の幅はありますが、赤や茶、緑など色とりどりの若葉が出るヤマザクラと比べると、緑の若葉が多いのがカスミザクラの特徴です。

北野桜(社務所前) 散りはじめ 2019年4月23日(平年4月21日相当) 撮影:MKタクシー

北野天満宮・社務所前の北野桜 散りはじめ 2019年4月23日(平年4月21日相当) 撮影:MKタクシー

カスミザクラ系の園芸品種は、たくさんある桜の中でもそれほど多くはありません。
奈良の八重桜(ナラノヤエザクラ)や笹部桜(ササベザクラ)などが比較的知られています。
他の桜と比べて開花が遅いカスミザクラ系の園芸品種は、やはり開花が遅いのが特徴です。
中でも奈良の八重桜は、例年見頃がゴールデンウィークごろです。関西でも最も遅く見頃を迎える桜です。

奈良の八重桜(京都府立植物園) 見頃 2018年4月18日(平年4月28日相当) 撮影:MKタクシー

奈良の八重桜(京都府立植物園) 見頃 2018年4月18日(平年4月28日相当) 撮影:MKタクシー

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なぜ北野桜は色が変化するのか

北野桜は白からピンクへと色が変わるのが特徴です。
実は、多くの桜は散りはじめには赤みが濃くなっています。桜の代表であるソメイヨシノも同様です。
咲きはじめは純白に近い色をしていますが、次第に花の中心から赤みを増していきます。
ただ、ソメイヨシノはピンクまでは色が変化しません。北野桜は、この変化が顕著なのです。
緑の桜として知られる御衣黄や欝金は例外ですが、北野桜ほど赤く変化する桜はまれです。

白とピンクの花の北野桜 2019年4月12日 撮影:MKタクシー

白とピンクの花の北野桜 2019年4月12日 撮影:MKタクシー

桜の色が次第に赤みを増していくのは、アントシアニンの作用です。
開花が進むにつれて、赤い色素であるアントシアニンが増えていくのです。
受粉が終ると、花は生殖器官としての役割を終えます。すると、老化現象の一種としてアントシアニンが合成されるのです。
なお、紅葉の赤色もアントシアニンによるものです。
やはり葉が役割を終えて落葉する前の老化現象としてアントシアニンが合成されます。

北野桜の色が変化する仕組みは、もしかしたらアントシアニンとは別のメカニズムによる可能性もゼロではありません。
しかし、おそらく北野桜はアントシアニンが合成されやすいという個性を持ったカスミザクラなのでしょう。

 

北野桜のこれから

2016年には、住友林業が北野桜のクローン増殖に成功しました。
北野桜の樹齢は120年で、衰えも見えてきたため、万一に備えて後継樹を育てることが目的です。
桜の園芸品種は、通常は接ぎ木によって増やします。
しかし、桜は老樹となると接ぎ木が難しくなるため、近年ではクローン技術が導入されるようになりました。
住友林業といえば、醍醐寺三宝院で「太閤しだれ桜」のクローン増殖に成功したことで知られます。

北野天満宮・社務所前の北野桜 咲きはじめ 2020年4月8日 撮影:MKタクシー

北野天満宮・社務所前の北野桜 咲きはじめ 2020年4月8日 撮影:MKタクシー

カスミザクラは、樹齢100年を超える個体も珍しくない長寿の樹です。
北野桜は多くの人が行き交う社務所前にあります。場所柄、通行を制限することも困難です。
根の周りを踏み固められることを嫌う桜にとって、決して成育環境が良いとは言えません。
しかし、万一の場合も後継の樹が育っているというのは安心です。
いつまでもこの美しい北野桜が見られればうれしいですね。

カスミザクラ(京都御苑) 見頃 2014年4月14日(平年4月15日相当) 撮影:MKタクシー

カスミザクラ(京都御苑) 見頃 2014年4月14日(平年4月15日相当) 撮影:MKタクシー

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北野天満宮の桜

北野天満宮と言えば梅ですが、少ないながら桜も咲きます。

桜も愛した菅原道真公

菅原道真公といえば梅を愛したことで知られますが、実は桜も好みました。
道真公が大宰府に左遷されるとき、次の和歌を詠んでいます。

東風吹かば 匂ひおこせよ 梅の花 主なしとて 春を忘るな

桜花 主を忘れぬ ものならば 吹き来む風に 言づてはせよ

1つ目は、飛梅伝説のもととなった有名な歌です。
2つ目はあまり知られていませんが、同じときに詠んだとされる歌です。
出てくる花が梅と桜で異なるだけで、大意はほぼ同じです。
なお、能楽「老松」では、お別れのときに歌を残してもらった梅は道真公のいる大宰府へと飛んでいきましたが、歌を残してもらえなかった桜は悲しみのあまり枯れてしまったというお話になっています。

北野天満宮の桜 見頃 2018年4月4日 撮影:MKタクシー

北野天満宮の桜 見頃 2018年4月4日 撮影:MKタクシー

北野天満宮のあたりは、道真公がいたころは「右近の馬場」といわれる馬場でした。
右近の馬場は桜の名所としても知られていました。道真公も馬を走らせたり桜を楽しみに来たりと頻繁に訪れていました。
今も北野天満宮の本殿北側にある摂社の桜葉社に祀られている桜葉大明神は、右近の馬場の千本桜の女神です。
能楽「右近」の主人公でもあります。「右近」でも北野天満宮は桜の名所として描かれています。

 

4月上旬に枝垂桜とヤマザクラが開花

枝垂桜(連歌所の井戸) 見頃 2019年3月31日(平年4月1日相当) 撮影:MKタクシー

北野天満宮・連歌所の井戸の枝垂桜 見頃 2019年3月31日(平年4月1日相当) 撮影:MKタクシー

北野天満宮の梅は、例年2月末から3月上旬に見頃を迎えます。
梅苑が開苑され、多くの人で賑わいます。
3月下旬には、梅苑も閉苑となりますが、引き続き境内各所で遅咲きの梅が開花します。

そんな中、数は少ないものの、北野桜以外の桜も開花しはじめます。

枝垂桜(連歌所の井戸) 見頃 2019年4月5日(平年4月4日相当) 撮影:MKタクシー

北野天満宮・連歌所の井戸の枝垂桜 見頃 2019年4月5日(平年4月4日相当) 撮影:MKタクシー

連歌所の井戸の横には、枝垂桜が咲きます。
まだそれほど大きくはありませんが、これからの成長が楽しみです。

右の建物には三つの摂社があり、そのうちの一つは豊国社です。
北野の大茶会など北野天満宮にはゆかりの深い秀吉ですが、ここで祀られているとは知りませんでした。

山桜(ヤマザクラ) 見頃 2019年4月7日(平年4月7日相当) 撮影:MKタクシー

北野天満宮・本殿と山桜(ヤマザクラ) 見頃 2019年4月7日(平年4月7日相当) 撮影:MKタクシー

枝垂桜だけでなく、ヤマザクラも境内のところどころに咲いています。
緑や赤など色とりどりの新芽が美しい桜です。
北野桜はまだつぼみが小さく、まだ時間がかかりそうです。

山桜(ヤマザクラ) 見頃 2018年4月1日(平年4月7日相当) 撮影:MKタクシー

北野天満宮・本殿と山桜(ヤマザクラ) 見頃 2018年4月1日(平年4月7日相当) 撮影:MKタクシー

ソメイヨシノは見かけませんが、境内各所を北野桜以外にもヤマザクラが彩ります。

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4月中旬に主役の「北野桜」が開花

北野桜(社務所前) つぼみ 2018年4月1日(平年4月7日相当) 撮影:MKタクシー

北野天満宮・社務所前の北野桜 つぼみ 2018年4月1日(平年4月7日相当) 撮影:MKタクシー

北野桜は、社務所前に咲きます。
まだほとんどがつぼみですが、よく探すとほんの一部だけ開花していました。

北野桜(社務所前) ちらほら 2019年4月12日(平年4月11日相当) 撮影:MKタクシー

北野天満宮・社務所前の北野桜 ちらほら 2019年4月12日(平年4月11日相当) 撮影:MKタクシー

まだ北野桜のつぼみが膨らみかけている段階ですが、一部はちらほら開花しています。
真っ白な花を咲かせています。
北野桜の咲きはじめはこのような純白をしています。

北野桜(社務所前) 咲きはじめ 2019年4月16日(平年4月13日相当) 撮影:MKタクシー

北野天満宮・社務所前の北野桜 咲きはじめ 2019年4月16日(平年4月13日相当) 撮影:MKタクシー

北野桜の花びらの一部がうっすらピンクがかっています。
開花時はほぼ白色ですが、次第に赤みがまし、ピンク色が濃くなるのが北野桜の特徴です。可憐な花を咲かせます。
2016年に北野桜が新品種であると判明するまでも、長らく参拝者からも不思議がられていたそうです。

北野桜の案内板

北野桜の「北野桜」案内板

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御土居の「新緑」も見逃せない

北野天満宮で北野桜とともに見逃せないのが、新緑です。
北野桜が咲きはじめるころ、モミジの新緑も始まります。
北野桜が見頃を迎えるころには、北野天満宮の境内は鮮やかな新緑で覆われます。

北野天満宮・御土居の新緑 2017年4月18日

北野天満宮・御土居の新緑 2017年4月18日 撮影:MKタクシー

今やすっかり京都を代表する紅葉スポットのひとつとして定着した北野天満宮の御土居は、新緑シーズンにも特別公開されます。
御土居の斜面と紙屋川の渓谷は、瑞々しい新緑で覆われます。
空気や川まで緑色に染まるかのようです。

北野天満宮・御土居の新緑 2017年4月18日

北野天満宮・御土居の新緑 2017年4月18日 撮影:MKタクシー

2022年は4月9日(土)~6月26日(日)に「史跡御土居の青もみじ苑」が公開されます。
当初は瑞々しい黄緑色をしたモミジが、次第に濃い緑へと移り変わっていきます。

北野天満宮・御土居の新緑 2018年4月4日 撮影:MKタクシー

北野天満宮・御土居の新緑 2018年4月4日 撮影:MKタクシー

紅葉もいいですが、新緑にはエネルギーをもらえるような気がします。
知名度向上とともに、紅葉シーズンの北野天満宮の御土居は込み合うようになってきましたが、新緑の時期は閑散としています。
ゆっくりと美しい新緑にひたることができます。

北野天満宮・御土居の新緑 2017年4月28日

北野天満宮・御土居の新緑 2017年4月28日 撮影:MKタクシー

北野天満宮について

「学問の神様」として信仰されてきた菅原道真公をおまつりしている神社です。
藤原氏の陰謀により左遷され、失意のうちになくなった道真公の霊を慰めるため、947年に創建されました。

道真公は、梅をこよなく愛したといわれ、境内にはたくさんの梅が植えられています。
道真公の命日にちなんで毎月25日は「天神さん」の縁日がひらかれ、大変にぎわいます。

拝観情報

拝観時間5:30~17:30(10~3月)
5:00~18:00(4~9月)
拝観料境内自由
TEL075-461-0005
住所京都市上京区馬喰町 北野天満宮社務所
アクセス嵐電「北野白梅町」より徒歩5分

史跡御土居の青もみじ苑公開

公開期間2022年4月9日(土)~6月26日(日)
拝観時間9:00~16:00
拝観料大人 500円
小学生・修学旅行生 250円

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おわりに

京都の桜はソメイヨシノだけではありません。
ソメイヨシノが散ってから見頃を迎える桜もたくさんあります。

北野天満宮の北野桜が知られるようになったのは、2016年からです。
MKタクシーの観光ドライバーであれば、まだガイドブックにも載らないような新しい名所の情報も引き出しにたくさん入っています。

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