エッセイ「本だけ眺めて暮らしたい」【258】|MK新聞連載記事

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エッセイ「本だけ眺めて暮らしたい」【258】|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、大西信夫さんによる様々な身近な事柄を取り上げたエッセイ「本だけ眺めてくらしたい」を前身を含めて1988年5月22日から連載しています。
MK新聞2009年10月16日号の掲載記事です。

本だけ眺めてくらしたい

いよいよKindle(キンドル)を日本でも発売すると10月7日に発表された。
Kindleは、インターネット書店のアマゾンが発売している電子書籍リーダー。
ただし、英語の電子書籍や新聞のみで、まだ日本語には対応していないとのこと。

電子書籍はこれまで、日本の各メーカーもそのパイオニアになろうと何度もチャレンジしてきたが、それほど普及しなかった。
が、このKindleは、これから各国語版が開発されれば、期待が持てそうだ。
電子書籍のハード面だけでなく、ソフトの充実、IT技術や社会的なインフラの整備、人々の意識の変化など、様々な要素がからみあって機が熟してきたということなのだろう。
もちろん、Kindleが実用的になってきたとは言え、まだまだ発展途上だ。しかし、今後さらに洗練されれば、iPod&iTunes(アイポッドとアイチューン)における音楽のように、本や書類を読むことが楽しめるようになるかもしれない。

読書は単なる情報摂取ではなく、肌触りやデザイン、時間や記憶がしみこんだ物としての本や、本を読む環境など、様々な要素を感じる喜びであり、私は基本的には紙の本しか読む気にはならない。
ただ、コンテンツ、時と場所、目的によっては、電子書籍リーダーを選ぶ――というような使い分けをすることに、現実的にはなるのだろう。
それに、PDFファイルが簡単に扱えて画面が少し大きなKindle DXなら、PDFリーダーとして利用するだけでも買うだけの値打ちがある。
ネット上で配布されている論文など、今、PDFを読む機会は増えている。
また、過去の雑誌や新聞の記事などをドキュメントスキャナーでPDF化したものを読むのに、このような端末は非常に便利だ。

あとは、操作性や機能をどれだけ向上できるか。特に、iPodにおけるiTunesのようなソフトの充実が望まれる。
Kindleはそれ自身、通信機能を持ち(しかも無料!)、直接ダウンロードして電子書籍を購入できるとのことだが、PCとの連携あってこそ、資産は活きる。
いずれにせよ、これからが楽しみだ。

 

MK新聞について

「MK新聞」は月1回発行で、京都をはじめMKタクシーが走る各地の情報を発信する情報紙です。
MK観光ドライバーによる京都の観光情報、旬の映画や隠れた名店のご紹介、 楽しい読み物から教養になる連載の数々、運輸行政に対するMKの主張などが凝縮されています。
40年以上も発行を続けるMK新聞を、皆さま、どうぞよろしくお願いします。

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MK新聞への大西信夫さんの連載記事

1988年以来、MK新聞に各種記事を連載中です。

1988年5月22日号~1991年11月22日号 「よしゆきの京都の見方」(45回連載)
1990年1月7日号~1992年2月7日 「空車中のひとりごと」(12回連載)
1995年1月22日号~1999年12月1日号 「何を見ても何かを思う」(64回連載)
1996年4月16日号~現在 「本だけ眺めて暮らしたい」(連載中)

 

本だけ眺めて暮らしたい バックナンバー

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