エッセイ「本だけ眺めて暮らしたい」【238】|MK新聞連載記事

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エッセイ「本だけ眺めて暮らしたい」【238】|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、大西信夫さんによる様々な身近な事柄を取り上げたエッセイ「本だけ眺めてくらしたい」を前身を含めて1988年5月22日から連載しています。
MK新聞2008年12月16日号の掲載記事です。

本だけ眺めてくらしたい

年末になると新聞や雑誌などで、各界の著名人が選ぶ「今年の三冊」というような企画をあちらこちらで目にするようになる。で、私なら……とこの一年の読書を振り返ってみる。
とは言ったものの、著名人でもなんでもない私の気に入った一般的な本を挙げてもしかたがないので、少し変わったところで、豆本をご紹介しよう。

私は豆本のコレクターでもなんでもなく、ただ古本屋でたまたま見つけて読んでみたいと思っただけで、値も安く、サイズが(文庫本より)小さかったというだけなのだが、それでも、今年も何冊かあった。
『洞房百話』(太平書屋刊、昭和六十一年)は、表紙が金砂子布目和紙で二色刷り。簡易だが帙(ちつ)入りで「限定三百部番号入り」とある。買値は千三百円。
「珍事・奇談、さては秘語・陰名に関する」随想。解説によると、宮武外骨が所蔵していた秋の屋望月の礎稿を広田魔山人が追補したものということ。

『えぞキリシタン』は、北海道テレビ社長室の発行となっている。「HTBまめほん」の第六巻(昭和四十六年)で、著者は永田富智。
百円の均一台で買った。徳川幕府の迫害をさけて東北、蝦夷地へと移動したキリシタン。その多くは鉱山労働者として身を隠して生活、信仰を貫いた。が、松前藩の追手により大量に処刑されたという。
「HTBまめほん」をネットで調べたら、つい最近ヤフーオークションで、三十九冊まとめて二千四百円で落札されていた。

『日本艶歌集』は、民謡や歌謡曲の卑猥(わい)な替え歌を集めたもの。温泉地のスナックやみやげ物屋などで売られていたのだろうか。
金髪でヌードの外国人女性がビーチで寝そべっている写真が表紙に使われていて、いかにもという感じ。
お馴染みの替え歌もあるが、歌詞はここでは紹介できない。もちろん奥付はなく、刊行年も出版社も不明。百四十九曲。二百円。

全共闘世代なら「懐かしい」という人もいるかもしれない『毛主席語録』は百円で購入。真っ赤な表紙のあれ、です。ゴダールの映画『中国女』のイメージが印象に残っている人もいるのでは。こちらは中華書店版。
扉に「万国のプロレタリア団結せよ!」とある。新「蟹工船」世代のアクセサリーとしていかが。

 

MK新聞について

「MK新聞」は月1回発行で、京都をはじめMKタクシーが走る各地の情報を発信する情報紙です。
MK観光ドライバーによる京都の観光情報、旬の映画や隠れた名店のご紹介、 楽しい読み物から教養になる連載の数々、運輸行政に対するMKの主張などが凝縮されています。
40年以上も発行を続けるMK新聞を、皆さま、どうぞよろしくお願いします。

ホームページからも最新号、バックナンバーを閲覧可能です。

 

MK新聞への大西信夫さんの連載記事

1988年以来、MK新聞に各種記事を連載中です。

1988年5月22日号~1991年11月22日号 「よしゆきの京都の見方」(45回連載)
1990年1月7日号~1992年2月7日 「空車中のひとりごと」(12回連載)
1995年1月22日号~1999年12月1日号 「何を見ても何かを思う」(64回連載)
1996年4月16日号~現在 「本だけ眺めて暮らしたい」(連載中)

 

本だけ眺めて暮らしたい バックナンバー

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