エッセイ「本だけ眺めて暮らしたい」【305】|MK新聞連載記事

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エッセイ「本だけ眺めて暮らしたい」【305】|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、大西信夫さんによる様々な身近な事柄を取り上げたエッセイ「本だけ眺めてくらしたい」を前身を含めて1988年5月22日から連載しています。
MK新聞2013年9月16日号の掲載記事です。

本だけ眺めてくらしたい

自炊で電子書籍にしてしまうより、紙の本として座右に置いておくほうがいいのはもちろんだが、現実問題として、蔵書が多過ぎるのでそういうわけにもいかない。
ただ、電子書籍ならではの利点や楽しみもあって、そのうち今回は、コニューター(PC)の蔵書データベースから本の検索や絞り込み、並べ替えが瞬時に、自在にできる仮想本棚とでも言えそうな電子書籍管理ソフトを紹介しよう。

私が今、愛用しているのはCalibreというソフトで、英語圏で開発されたもののようだが、日本語でも使用できる。
ひとことで言えば、電子書籍版のiTunesだ。
書名だけでなく、著者や出版社などの書誌情報、利用者が独自に付けたタグや、コメントに含まれる文字列、評価レベルなどで本を検索したり、そこからさらに絞り込んだり、並べ替えたりできる。
選択すればPC画面で読めるし、携帯端末にも電子書籍を転送できる。
文字によるリストだけでなく、表紙だけをパラパラと左右にページをめくるように一覧できる。
例えば、自分の蔵書の中から、岩波文庫だけを抜き出して一覧表示したり、それを発行年順に並べ替えたり。
また、自分が関心のあるテーマとして「民俗学」などとタグ付けしておけば、その関連書籍を抜き出したりできる。
ただし、iTunesのように自動でデータを取り込んでくれないので、自力で入力しなければならないが、アマゾンなどのネット上の書誌データをクリックひとつで取得する機能があり、すべてをキーボードで打つほどの手間はかからない。

最大の問題は、この蔵書データが半永久的に使えるかどうかだ。
もし、ソフト自体が使えなくなったら、せっかく手間暇かけて構築したデータベースがムダになるからだ。
PCに詳しい人ならソフトを自作したり、他のソフト用にデータを返還したりできるだろうが。
Calibreはフリー(無料)で、オープンソース(誰でも改変や再配布ができる)なので、有志によって半永久的に引き継がれる可能性はあるが、商業ベースではないので、逆に責任がなく、消滅する可能性もある。
もっとも、これはこのソフトに限らない問題だが。

 

MK新聞について

「MK新聞」は月1回発行で、京都をはじめMKタクシーが走る各地の情報を発信する情報紙です。
MK観光ドライバーによる京都の観光情報、旬の映画や隠れた名店のご紹介、 楽しい読み物から教養になる連載の数々、運輸行政に対するMKの主張などが凝縮されています。
40年以上も発行を続けるMK新聞を、皆さま、どうぞよろしくお願いします。

ホームページからも最新号、バックナンバーを閲覧可能です。

 

MK新聞への大西信夫さんの連載記事

1988年以来、MK新聞に各種記事を連載中です。

1988年5月22日号~1991年11月22日号 「よしゆきの京都の見方」(45回連載)
1990年1月7日号~1992年2月7日 「空車中のひとりごと」(12回連載)
1995年1月22日号~1999年12月1日号 「何を見ても何かを思う」(64回連載)
1996年4月16日号~現在 「本だけ眺めて暮らしたい」(連載中)

 

本だけ眺めて暮らしたい バックナンバー

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