エッセイ「本だけ眺めて暮らしたい」【181】|MK新聞連載記事

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エッセイ「本だけ眺めて暮らしたい」【181】|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、大西信夫さんによる様々な身近な事柄を取り上げたエッセイ「本だけ眺めてくらしたい」を前身を含めて1988年5月22日から連載しています。
MK新聞2006年8月1日号の掲載記事です。

本だけ眺めてくらしたい

以前、この欄で、愛読者のあいだでGTDというアルファベット三文字で通用するカリスマ本があることを記した。その時はあえて中身には触れず、「書名の省略」というテーマで書いた。読者の反響がいくつかあったので、その内容を少しだけご紹介しよう。
いわゆる自己啓発本で、『Getting Things Done』がその書名。この手の本で読むに値するものはほとんどなく、邦訳の題も『仕事を成し遂げる技術』というありふれたものだったが、たまたま手にとって読んでみると、明確なコンセプトに貫かれた普遍的かつ柔軟な方法論がそこにあった。2001年の刊行当時、親しい友人の何人かに「おもしろい本があるよ」と薦めた記憶がある。

で、GTD。それはどんな考え方か。簡単に言ってしまうと次のようになる。まず、すべての「やりたいこと」「やるべきこと」を書き出して、はっきりと対象化し、アタマの中から追い出してしまう。そして、それらをシンプルで漏れのない「信頼できる」システムによるワークフロー(仕事を処理する流れ)に乗せるというものだ。
システムというと難しそうだが、要するに「やりたい(やるべき)こと」を記したもの(紙に書いたメモでもコンピューターに入力したデータでもよい)をすべて保存、分類し、随時参照できるようにする仕組みのこと。あとは、「やりたい(やるべき)こと」(例えば、英会話を習得する)を「次に行なう具体的な行動」(インターネットで教室を探す)に小さく分解し、その一つひとつを、システムが思い出させてくれる契機と状況にあわせて、ただ機械的にやるだけ。
だから、漠然としたやるべきことを単に思いつくまま書き出しただけのTODOリストとは根本的に違う。むしろ、TODOリストはストレスを生む。
つまり、GTDの考え方の核は、「あれをやらなきゃ」とか「他にやらなきゃならないことはなかったっけ」という意識がストレスの源であり、これをなくそう、というもの。このストレスが仕事の生産性を落とし、日常生活の気分に影を落としているのだ、と。

GTDは、道具や具体的な運用の仕方を選ばない。基本さえ守れば、自分にあったやり方でやればよいというのもその特徴だ。
説明が抽象的でわかりにくい? おあとは本で。

 

MK新聞について

「MK新聞」は月1回発行で、京都をはじめMKタクシーが走る各地の情報を発信する情報紙です。
MK観光ドライバーによる京都の観光情報、旬の映画や隠れた名店のご紹介、 楽しい読み物から教養になる連載の数々、運輸行政に対するMKの主張などが凝縮されています。
40年以上も発行を続けるMK新聞を、皆さま、どうぞよろしくお願いします。

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MK新聞への大西信夫さんの連載記事

1988年以来、MK新聞に各種記事を連載中です。

1988年5月22日号~1991年11月22日号 「よしゆきの京都の見方」(45回連載)
1990年1月7日号~1992年2月7日 「空車中のひとりごと」(12回連載)
1995年1月22日号~1999年12月1日号 「何を見ても何かを思う」(64回連載)
1996年4月16日号~現在 「本だけ眺めて暮らしたい」(連載中)

 

本だけ眺めて暮らしたい バックナンバー

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