グローバル・ビジネス・レポート【106】「卒業:長岡技術科学大学の4年間を振り返って」|MK新聞連載記事
MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、「グローバル・ビジネス・レポート」を2012年2月1日から連載しています。
MK新聞2022年3月1日号の掲載記事です。筆者プロフィールは新聞掲載時点のものです。
長岡技術科学大学 経営戦略・技術経営・ものづくり経営研究室の尾股佑亮さんの執筆です。
卒業:長岡技術科学大学の4年間を振り返って
私は福島高専を卒業後、長岡技術科学大学の3年次に編入し、この3月で大学院の修士課程を修了し卒業する。4年間の大学生活では数多くのことに挑戦し、様々なことを経験することができた。ただし、新型コロナウイルスの影響で後半の2年間ではそれまでの2年間とは異なった学生生活となった。今回の記事では、新型コロナウイルスに負けずに学生時代に取り組んだ3つのこと、研究活動、インターンシップ、大学祭実行委員会、について書く。
最初は研究活動についてである。私が所属している経営戦略・技術経営・ものづくり経営研究室では、毎週、ゼミがある。通常は学生と先生が同じ教室に集まり、発表・議論を行う。しかし、新型コロナウイルスの影響で私が修士1年(2020年)の4月から7月にかけては、オンラインでのゼミとなり、研究室にも大学にも入れない時期があった。
私は後述する海外長期インターンシップ(実務訓練)に行っていたため、新しい後輩とは数回しか会ったことがない状態でオンラインのゼミが始まった。私の研究室は、歴代、先輩・後輩の仲が良い。しかし、オンラインでは学生同士のコミュニケーションは制限されてしまう。具体的には、学生同士のゼミ前後の雑談の時間や普段の研究室での会話が全く無くなってしまった。
夏休みが明け、研究室での活動が再開しゼミも対面となってからは、私は積極的に後輩に話しかけたり、新しく配属された後輩を食事に誘ったりとできるだけ後輩とコミュニケーションを取ることを心がけた。私は、新型コロナウイルス前のにぎやかで楽しい学生生活を経験している。昨年度、今年度に入った学生は、そのような経験ができないでいる。後輩に聞くと「友達ができない」「仲の良い先輩が少ない」という話も聞く。卒業後も適宜、後輩と連絡を取って、相談に乗れることがあれば相談に乗りたいと思う。
2つ目は前述したインターンシップだが、私は2019年の10月から2020年の2月にかけてフィリピンのセブ島にある語学学校ネクシードで働いた。インターンシップの前半は、管理部門に配属され、後半は営業部門に配属された。
私がインターンシップを終了したのは2020年の2月であった。当時は新型コロナウイルスが世界的に流行し始めた時期だった。フィィリピンと中国、台湾の渡航が禁止となり、無事に日本に帰国できるか不安であったが、私はなんとか予定通りに帰国することができた。その直後に日本では海外渡航に制限がかかり、長岡技大でも海外インターンシップは中止となり、私が海外インターンシップに行った最後の学年となった。
私は、いつかは長岡技大の海外インターンシップが復活してほしいと願っている。海外で長期に働くという経験は普通にできる経験ではない。私は海外で働くことができ、本当に良かったと思っている。海外インターンシップが復活した時には、是非、後輩に私の経験を伝え、海外に行くことを勧めたいと考えている。
最後は大学祭実行委員会の活動である。私は、4年間、大学祭実行委員会の中で企画の運営・管理・統括を行う企画局に所属していた。4年生の時には局長を務め、約30人いる局員をまとめる立場となった。しかし、昨年度は新型コロナウイルスのため、大学祭は中止となった。今年度は、大学側と何度も協議を重ねた結果、新型コロナウイルス対策をしっかりと行い、学内に入ることができるのは大学関係者(学生、教職員)のみ、一般の方はオンラインで大学祭の各種イベントを見るという形での開催となった。
今までとは全く違う大学祭になるため、企画立案は非常に苦労した。結果として、新型コロナウイルスの感染者を出すことなく大学祭を無事に終了することができた。私は、通常の学生生活を送れていなかった学生たちが大学祭を通して縦と横のつながりを作ることができたこと、大学祭の運営のノウハウを実行委員の後輩に伝えることができたこと、この2つのことでそれまでの苦労がすべて吹き飛び程の達成感を感じることができた。
特に私が嬉しかったエピソードを一つ紹介すると、大学祭実行委員会が立案したeスポーツ大会に参加した新入生が約15人いた。新入生たちはほとんど初対面だったが、ゲームを通して仲良くなり、ある学生から新しい友達を作ることができたと後でお礼を言われた。私が目指していた、大学祭を通して、新型コロナウイルスで希薄となっていた学生同士の中で新しく友達を作り、学生生活を楽しいものにしてほしいという願いがまさに実現した瞬間だった。私はお礼を言われたとき、今までの苦労が本当に報われた気持ちになり少し泣いた。
私はこの3つの活動を中心とした大学生活の中で、多くの人と出会い、学びお世話になった。研究活動、インターンシップ、大学祭実行委員会での活動は生涯の財産になり、全ての学びを社会人としての今後の人生に生かしていきたい。大学生活を通してお会いしお世話になった方々に心から御礼申し上げます。
筆者プロフィール
福島県出身。福島高専卒業。現在、長岡技術科学大学大学院情報・経営システム工学専攻の第2学年に在籍。
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