京都のあじさい寺「三室戸寺」のライトアップとハート型のあじさい
目次
京都の数あるあじさいスポットのなかでも「あじさい寺」といえば宇治の三室戸寺(みむろとじ)です。2万株のあじさいは見ごたえ抜群。
そして、三室戸寺ならではの楽しみが夜間ライトアップとハート型のあじさい探し!京都でも唯一の幻想的なあじさいライトアップは必見です。
幸せをよぶとして近年人気のハート型のあじさいも、発祥は三室戸寺です。2万株ある三室戸寺のあじさいのなかから、ハート型のあじさいを探してみましょう。
2024年の本堂前石段のアジサイ・アートは大河ドラマにあわせて「紫式部と道長の恋」をテーマとしたものです。
三室戸寺のあじさい園は2024年は6月1日(土)に開園予定です。
三室戸寺について
三室戸寺とは
本山修験宗の別格本山
三室戸寺は、宇治市にある本山修験宗(ほんざんしゅげんしゅう)の別格本山です。
本山修験宗は戦前までは三井寺の天台宗寺門派に属し、戦後になって独立しました。
総本山は京都の聖護院です。他に花背の峰定寺(ぶじょうじ)などが別格本山に名を連ねています。
170の寺院を含めて190の宗教団体が本山修験宗に属しています。
三室戸寺は平安時代から観音信仰の聖地として信仰を集めてきました。
西国三十三箇所観音霊場の第十番札所として古くから知られ、今も四季を通じて多くの巡礼者が訪れます。
応保元年(1161年)の三十三箇所を巡礼した最も古い記録では、三室戸寺が最後の札所となるなど、特に重要視されていました。
かつては総門付近に十輪坊、宝性院、宝珠院、池ノ坊、北ノ坊、金蔵院、公文所などの子院が建ち並んでいましたが、明治維新などの影響で廃絶しました。
「花の寺」とも飛ばれる三室戸寺
広大な三室戸寺の境内には5千坪もの庭園が広がります。戦川を挟んだ両岸に広がる広大な庭園で、戦川の南側は池泉回遊式庭園となっており、ツツジやシャクナゲなどが広がります。
戦川の北川はあじさい園と枯山水庭園になっています。枯山水庭園は阿弥陀三尊をあらわす石組に白砂が配された室町時代風の庭園です。
これらの日本庭園は、「与楽園」は作庭家・中根金作の代表作のひとつとして有名です。
中根金作と言えば、アメリカの日本庭園専門誌「ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング」の日本庭園ランキングで、2003年以来1位の足立美術館庭園(島根県安来市)で有名です。
京都では城南宮「楽水苑」、退蔵院「余香苑」などがよく知られています。三室戸寺の「与楽園」は、中根金作の晩年の1988年に作庭されました。
三室戸寺では年間を通して季節の花が咲き乱れることから、「花の寺」とも呼ばれるようになりました。
特に4月下旬~5月上旬の「つつじ」、6月の「あじさい」、6月下旬~8月上旬の「蓮」は、それぞれが京都どころか関西でも随一の名所として知られます。
特に蓮はあじさいシーズンの後半と時期がかぶります。あじさいと蓮の両方を楽しめるのでおすすめです。
11月には三室戸寺境内では紅葉が始まり、花だけではなく紅葉の穴場スポットの一つでもあります。
三室戸寺の広い境内は、今もどんどん整備が進められています。
2022年には新たに250株のしだれ梅苑が開園し、話題になりました。
まさに四季を通じて”死角”がないお寺になりつつあります。
三室戸寺は、あじさいだけでなくますます美しい「花の寺」へと進化し続けています。
とはいえ、三室戸寺を「あじさい寺」と言うことはあっても、「蓮寺」「紅葉寺」「しだれ梅寺」と言うことはありません。
「つつじ寺」と言うことはありますが、あまり一般的ではありません。三室戸寺と言えば、やっぱりあじさいが一番です。
ちなみに三室戸寺の読み方は「みむろとじ」です。
最寄り駅の京阪宇治線の駅名は「みむろどえき」です。「と」と「ど」の違いがあります。
近隣の三室戸小学校も京都府営三室戸団地なども「みむろど」と読みます。
宇治市史によると、江戸時代には「みむろの里の堂」という意味で、「みむろどう(御室堂)」「みむろ(御室)さん」と呼ばれてきたとされています。
江戸時代の京都観光ガイドである「都名所図会」でも「みむろど」と記載されています。るので、古くから二つの読み方が混在していたことがわかります。
あじさい園のある与余園の中央を流れる戦川は、「いくさがわ」「たたかいがわ」「たたこがわ」などと呼びます。
戦川という名前は、忍熊王の乱で神功皇后の命を受けた武内宿禰がこの地で忍熊王側に勝利したことに由来すると伝えられています。
この付近は源平の争乱や承久の乱でたびたび戦場となったので、実際にはこれらの戦いに由来するのかもしれません。
拝観情報
拝観時間 | 8:30~16:30(4月~10月) 8:30~16:00(11月~3月) 受付は30分前まで |
拝観料 | 2月18日~7月17日、11月 大人 1,000円 小人 500円上記期間以外 大人 500円 小人 300円 |
TEL | 0774-21-2067 |
住所 | 宇治市莵道滋賀谷21 |
あじさい園情報
開園期間 | 2024年6月1日(土)~7月7日(日) |
開園時間 | 8:30~16:30(閉門時間) |
あじさいライトアップ情報
開催日 | 2024年 6月8日(土)、9日(日) 6月15日(土)、16日(日) 6月22日(土)、23日(日) |
拝観時間 | 19:00~21:00(受付は20:30まで) |
拝観料 | 大人 1,000円 小人 500円 |
公式ホームページ:京都・宇治 西国第十番札所 三室戸寺
アクセス情報
三室戸寺へ行くには、タクシーがおすすめです。
京阪宇治線
京阪「三室戸駅」から徒歩15分
京阪「宇治駅」から徒歩20分
JR奈良線
JR「宇治駅」から徒歩30分
京阪バス
「三室戸」から徒歩10分
コロナ禍前の2019年までは、京阪宇治駅・JR宇治駅からの臨時直行🚌「あじさい号」がありましたが、近年は運行されていません。
自家用車
駐車代 120分1,000円
ただし、土日は大混雑が予想されるため、三室戸寺からも推奨されていません。
三室戸寺のあじさい
2万株の広大な三室戸寺のあじさい園
園内を埋め尽くす圧巻のあじさい
「あじさい寺」とも言われる三室戸寺は、京都を代表するあじさいスポットです。
拝観受付をくぐってすぐ右手に7,000㎡の広大な「あじさい園」が広がります。
三室戸寺は京都でも最大級のあじさいスポットです。
あじさい園の園内は、赤、ピンク、紫、青、白・・・と一面色とりどりのあじさいで埋めつくされる圧巻の景色です。
長らく「1万株のあじさい園」として知られていましたが、2020年からはさらにあじさいが増えて「2万株のあじさい園」になりました。
山裾から山腹まで広がる三室戸寺の境内をうまく使い、下から眺めたり上から見下ろしたりといろいろな楽しみ方ができるように工夫されています。
あじさい園では50品種という多彩な品種のあじさいが植えられています。
中にはいくつかの色がグラデーション状に入り混じったあじさいもあります。
6月中旬から下旬にかけてが見頃ですが、7月に入っても遅咲きの背丈の低いあじさいの見ごろがしばらく続きます。
三室戸寺といえば、「あじさい寺」です。
ツツジや蓮や紅葉も見事ですが、なんといってもあじさいです。
しかし、三室戸寺にあじさい園が整備されたのは1990年頃のことです。1990年といえば、大阪で国際花と緑の博覧会(花博)が開催された年です。
全国的には、「あじさい寺」と言えば元祖ともいえる鎌倉の明月院が有名です。
京都では、他に岩船寺(木津川市)もあじさい寺と呼ばれることがあります。
実際、江戸時代の絵図では三室戸寺境内は松林に覆われています。
あじさいはもちろん、花の姿は見られません。
三室戸寺の門前に実際は1km以上離れている宇治橋が描かれているように、観音霊験記の絵図が実際の三室戸寺の様子を忠実に表したものではないでしょうが、今の「花の寺」とは大きく異なっていたことはわかります。
三室戸寺境内の絵図で千手堂(せんじゅどう)と書かれているのが本堂です。今は本堂の右手にある三重塔が描かれていません。
実は、三重塔は1910年に移築されてきたものです。さらに現在地へと移築されたのは、1977年のことです。あじさい苑も含め、ここ半世紀で三室戸寺の景観はかなり変わっています。
1930年の吉田初三郎による鳥観図でも、三室戸寺は桜が何本か描かれているだけです。
今はアジサイが広がる庭園はうっそうとした林として描かれています。
今も三室戸寺の境内には「山吹や宇治のほいろの匂ふころ」という松尾芭蕉の句碑が建っています。
この俳句は三室戸寺を詠んだものではありませんが、宇治が山吹とお茶の名所であったということがわかります。
三室戸寺ではあじさい園が整備されて、まだたった30年あまりしかたっていないというのは驚きです。
今やすっかり京都を代表するあじさいスポットとして定着している三室戸寺です。
本堂前石段のアジサイ・アート
2021年からは、本堂前の60段の石段を使ったあじさいアートが作られるようになりました。
2021年は600株のあじさいを使った「あじさい昇龍図」、2022年は700株のあじさいを使った「あじさい昇鯉図」、2023年は700株の「あじさい花うさぎ」が作られました。
あじさいアートが始まった当初はコロナ収束祈願という意味合いも強かったため「昇」のアートでした。
2023年がうさぎである最大の理由は、2023年がうさぎ年であることでしょう。
加えて、三室戸寺がある莵道(とどう)という地名は、うさぎに由来するという伝説もあります。
三室戸寺の本堂前には、狛犬ならぬ「福徳兎」の像もあります。
近隣の宇治神社や宇治上神社もうさぎゆかりのスポットとして人気です。
あじさいアートは、三室戸寺の本堂へとのぼる石段に、赤・白株・青株のポットを階段に60段並べて作られています。
ポットあじさいのため寿命は短く、6月上旬のみとなる見込みです。
あじさいアートを見たい方は、早めに三室戸寺を訪れましょう。
2024年は「紫式部と道長の恋」がテーマ
2024年は辰年にちなんで龍かと思いきや、大河ドラマにちなんで「紫式部と道長の恋」のテーマとなりました。
史実でははっきりしませんが、大河ドラマでは紫式部ことまひろと道長との恋が軸となって描かれています。
まさに2024年にぴったりの展示です。
5月27日(月)から公開されていますが、6月1日(土)で終わりなので、たった6日間だけです。
言うまでもなく、三室戸寺のある宇治は源氏物語の宇治十帖の舞台となったゆかりの地です。
三室戸寺の境内にも「浮舟の石碑」があります。
2024年の三室戸寺では限定の切り絵御朱印「光る君へ」もあります。光源氏、薫大将、浮舟、紫式部の4種類があります。
また三室戸寺を中興し「三室戸僧正」とも言われた僧の隆明は、藤原道長の甥である藤原隆家の子です。
藤原隆家は大河ドラマでは竜星涼さんが演じていました。兄伊周とともに長徳の変で失脚しましたが、安倍清明が「隆家さまは、あなた様の強いお力となりまする」と藤原道長に予言したとおり、再登場することでしょう。史実からある程度予想できるとはいえ、どんな活躍をするか楽しみですね。
三室戸寺から歩いて20分弱のお茶と宇治のまち交流館「茶づな」では、大河ドラマ館の「光る君へ 宇治 大河ドラマ展 ~都のたつみ 道長が築いたまち~」】が開催されています。
源氏物語ファンや大河ドラマファンの方は、ぜひ三室戸寺とあわせて大河ドラマ館も訪れてみてください。
来年は何のあじさいアートが展示されるのか、気になりますね!
京都で唯一のあじさいライトアップ
三室戸寺でぜひ一度見てほしいのが、あじさいのライトアップです。
桜や紅葉のライトアップは、京都でもあちこちでおこなわれていますが、事前申込制の特別な条件なくあじさいのライトアップが毎年行われるのは、京都のみならず関西でも「あじさい寺」こと三室戸寺だけです。
闇に浮かび上がるあじさいは、昼間とはまた異なる味わい深さを際立たせてくれます。
まさに幽玄とした光景です。
三室戸寺でしか見られません。
三室戸寺のあじさい園ライトアップも例年通り開催予定です。
2024年の開催は6月8日(土)、9日(日)、15日(土)、16日(日)、22日(土)、23日(日)の予定です。
一年で最も日が長い時期なので、19時の開門時間でもまだ空は明るいです。
三室戸寺の立地は西に向かって広がっているため、晴れた日には夕焼け空も見ることができます。
黄昏の暮れゆくあじさいがほんのりと浮かび上がってくる時間帯もおすすめです。
闇が濃くなってからの時間帯もまた美しいので、21:00の閉門まで三室戸寺のあじさい園で夏の夜をじっくり味わってください。
ただし、虫よけ対策だけは万全にしましょう。
2024年もイチオシのあじさいスポットです。
ハート型のあじさいを探せ!
あじさいの楽しみ方のひとつとして、今や京都だけでなく全国ですっかり定着したのは「ハート型のあじさい」探しです。
見つけると恋が叶うといわれており、ハート型を探してまわる人の姿は三室戸寺に限らずどこでも見かけます。
そんなハート型のあじさいですが、三室戸寺が発祥の地ということをご存知でしょうか?
三室戸寺のあじさい園で「花の茶屋」を営む岩井製菓さんが、「幸せをよぶハート形のあじさい」として2010年に発信したのがはじまりです。
岩井製菓といえば、あじさいシーズンに販売されている紫陽花金平糖(あじさいこんぺいとう)がおすすめです。
三室戸寺のお土産にも大人気の商品です。
三室戸寺には、10,000株もあります。あじさいが見頃の時期には時間さえかけて探せば必ずどこかに見つかるはずです。ただし、ハート型のあじさいは、満開を迎えたあとの花が垂れ下がってできるので、見頃ピーク前は全く見つからない可能性もあります。
三室戸寺はハート型のあじさいの聖地(?)だけあって、熱心に探している人の姿も多いです。
ハート型のあじさいの周りには人だかりができていることもありますが、せっかくなので、自分だけのハート型のあじさいを探してみましょう。
多彩な色があるあじさいですが、やはり人気は赤いハートのあじさいです。
しかし、三室戸寺では赤いあじさいは数が少なく、かなりハードルが高めです。
赤いハートのあじさいが見つかれば、かなりの幸運が期待できますよ!
ハート型だけではなく、三室戸寺では白いあじさいによるミッキーもいます。
白いあじさいの花が3つあわさったかわいい形のあじさいです。
白は数がすくないこともあって、難易度はハート型よりも高いですが、ぜひミッキーあじさいを探してみましょう!
伊藤久右衛門のあじさいパフェも
三室戸寺まであじさいを見に行ったときに是非食べてほしいのが、伊藤久右衛門の「あじさいパフェ」。
伊藤久右衛門といえば、1832年開業という宇治でも屈指の老舗のお茶屋さんです。
抹茶スイーツで全国的に有名な伊藤久右衛門の宇治本店は、京阪/JR宇治駅と三室戸寺との途中にあります。
伊藤久右衛門では、あじさいシーズンにあわせて店舗限定で「あじさいパフェ」が販売されます。
2013年から販売が始まり、2024年で12年目となります。
2024年は5月11日から販売がはじまりました。
販売店舗は、宇治本店、JR宇治駅前店、祇園四条店のみです。
抹茶クッキーや抹茶アイスの上に乗った美しいあじさいは、きんとんでできており、目でも舌でも味わえます。
抹茶パフェを注文すると、特製の「紫陽花コースター」がもらえます。
一見、和紙っぽいのですが丈夫で水に濡れない丈夫な素材です。
紫陽花パフェは単品で1,390円、お茶セットで1,790円、わらび餅もついた紫陽花茶会で1,990円です。
紫陽花パフェ以外にも、宇治本店限定で紫陽花きんとん、紫陽花ぱんなこったの限定メニューも販売されます。
ラストオーダーは16:30なので、くれぐれもご注意を。
宇治本店
営業時間 | 10:00~17:00(L.O.16:30) |
定休日 | なし |
TEL | 0774-23-3955 |
住所 | 宇治市莵道荒槙19-3 |
アクセス | 京阪「宇治」より徒歩5分 JR「宇治」より徒歩15分 |
JR宇治駅前店
営業時間 | 10:00~17:00(L.O.16:30) |
定休日 | 元日 |
TEL | 0774-22-0475 |
住所 | 宇治市宇治宇文字16-1 |
アクセス | JR「宇治」より徒歩1分 |
公式ホームページ:伊藤久右衛門
伊藤久右衛門の関連記事
おわりに
京都の梅雨の季節は、あじさいを見に来てください。
桜や紅葉とは違う、凛とした古都・京都の空気を感じていただけるでしょう。
MKの観光貸切タクシーなら、雨の日でも快適に京都を巡っていただけます。
宇治にある三室戸寺など、ちょっとアクセスしづらい場所でもタクシーにおまかせ!
夜遅いライトアップだって心配なし。
観光・おもてなしのプロといっしょに一味ちがう京都旅行を体験してみませんか?
三室戸寺の関連記事