エッセイ「本だけ眺めて暮らしたい」【262】|MK新聞連載記事

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エッセイ「本だけ眺めて暮らしたい」【262】|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、大西信夫さんによる様々な身近な事柄を取り上げたエッセイ「本だけ眺めてくらしたい」を前身を含めて1988年5月22日から連載しています。
MK新聞2010年2月1日号の掲載記事です。

本だけ眺めてくらしたい

なぜか、秘宝館(性に関する古今東西の文物を収蔵したり、性をテーマにしたディスプレイを展示した施設)に関する本が近年、相次いで出版されている。
秘宝館というと、ある年代以上の紳士諸兄は、「懐かしいなあ、そういうの、あったあった。温泉地の近くの国道沿いに。今もあるの?」などと反応されるのではあるまいか。
『I LOVE 秘宝館』(酒井竜次監修、八画出版部)は、この「絶滅危惧」施設の貴重な、かつ充実したガイドブック。数少ない現役の秘宝館から、すでに閉館してしまった秘宝館まで、豊富なカラー写真で詳しく紹介している。
秘宝館全国マップや秘宝館・性神用語集、秘宝館ランキングベスト20も。

同書の共著者のひとりが先行して監修したブックレットが『消えゆくニッポンの秘宝館 秘宝館を世界遺産に!』(舟橋蔵人監修、インディヴィジョン)。
その前にも『元祖国際秘宝館・公式パンフレット』(東海秘密倶楽部監修、インディヴィジョン)なるものが出版されている。ただし、この二冊は完売。
関西の人なら、伊勢方面をバスで団体旅行した際に元祖国際秘宝館や、その看板を目にした記憶(深夜にテレビCMもあった)がおありだろう。二〇〇七年に(一部のマニアに)惜しまれつつ閉館。

『秘宝館』(都築響一、アスペクト)は書名そのまま、直球の写真集。著者はユニークな視点による被写体選びで、知る人ぞ知る写真家だ。
早くから秘宝館の存在に関心を寄せていたひとり。撮影した縁から、閉館した鳥羽SF未来館の展示物を譲り受け、現代美術国際展横浜トリエンナーレに出展したという、今日の秘宝館マニアの生みの親であり、守護神(?)。

「おもしろそう、話の種に秘宝館へ一度行ってみようかなとは思うけど、入館料千五百円はもったいないなあ」なんて躊躇する向きは、これらの本を買えば手軽に数多くの秘宝館を覗き見することができる。
秘宝館が日本列島から消えてしまう前に、これらのハンドブックを片手に、いざ旅へ。「エロやすっぽい」とシュールとレトロの、めくるめく世界へ、ごあんな~い。

 

MK新聞について

「MK新聞」は月1回発行で、京都をはじめMKタクシーが走る各地の情報を発信する情報紙です。
MK観光ドライバーによる京都の観光情報、旬の映画や隠れた名店のご紹介、 楽しい読み物から教養になる連載の数々、運輸行政に対するMKの主張などが凝縮されています。
40年以上も発行を続けるMK新聞を、皆さま、どうぞよろしくお願いします。

ホームページからも最新号、バックナンバーを閲覧可能です。

 

MK新聞への大西信夫さんの連載記事

1988年以来、MK新聞に各種記事を連載中です。

1988年5月22日号~1991年11月22日号 「よしゆきの京都の見方」(45回連載)
1990年1月7日号~1992年2月7日 「空車中のひとりごと」(12回連載)
1995年1月22日号~1999年12月1日号 「何を見ても何かを思う」(64回連載)
1996年4月16日号~現在 「本だけ眺めて暮らしたい」(連載中)

 

本だけ眺めて暮らしたい バックナンバー

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