エッセイ「本だけ眺めて暮らしたい」【237】|MK新聞連載記事

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エッセイ「本だけ眺めて暮らしたい」【237】|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、大西信夫さんによる様々な身近な事柄を取り上げたエッセイ「本だけ眺めてくらしたい」を前身を含めて1988年5月22日から連載しています。
MK新聞2008年12月1日号の掲載記事です。

本だけ眺めてくらしたい

いよいよ師走。来年の事を言えば鬼が笑うというが、再来年の2010年は「国民読書年」と、もう決まっているのだそうだ。
今年六月、衆参両院で決議(!)されたのだという。そしてこの十一月には「2010年国民読書年推進会議」が発足したとのこと。

出版業界はもちろん、教育界や、なぜか医師会に経済界、国会議員など二十二人が組織する「文字・活字文化推進機構」なる財団法人の中に設置されるのだとか(たいそうだなあ)。
行動計画があるらしく、「学校図書館、公共図書館の整備拡充を提言する」のは結構だとしても、「国民の不読率(一か月に一冊も読まない人の割合。こんな言葉、いつできたの?)の引き下げに努める」とか「学校、家庭、職場における国民総読書量(笑)『Gross National Reading=GNR』という言葉を提唱し、その底上げを図りたい」とか、大きなお世話だという気がしないでもない。

それはともかく、言わばその前奏曲としてNHKで「私の1冊 日本の100冊」という番組が始まった。
平日の毎朝十分、BS2とBSハイビジョンで放送。人気タレントや文化人、経済人など各界の著名人が選んだ本を本人のトークを交えて紹介するもので、一日一人一冊で百回。
これが結構しっかり作られた番組で、なおかつ気楽に観られるので、なかなかよい。
その人らしい本を選んでいるなと思える人がいれば、ちょっとエエカッコしているなという人もいたり、あるいは意外性を狙っている人など、いろんな人がいておもしろい。

もし自分が出演を依頼されたら何を選ぶだろうかと考えてみる。
年間ベストを選ぶとしても悩むのに、生涯におけるたった一冊の本を選ぶなんて土台無理な話だから、逆に真剣に考える必要はないのだろう。
というより、観る人が番組を楽しみ、あるいはその本をめぐる個人的な物語に感動し、またその本を読んでみたくなるような紹介ができる、そんな一冊を選ぶのが、テレビカメラの前に立つ人の心得であるに違いない。
単に自分が「いち押し」の本ではなくて。

そのような姿勢は、著名人だけでなく、私たちがビジネスでの商談や日常生活での知人とのおしゃべり、カラオケの選曲においても必要ではないだろうか。

 

MK新聞について

「MK新聞」は月1回発行で、京都をはじめMKタクシーが走る各地の情報を発信する情報紙です。
MK観光ドライバーによる京都の観光情報、旬の映画や隠れた名店のご紹介、 楽しい読み物から教養になる連載の数々、運輸行政に対するMKの主張などが凝縮されています。
40年以上も発行を続けるMK新聞を、皆さま、どうぞよろしくお願いします。

ホームページからも最新号、バックナンバーを閲覧可能です。

 

MK新聞への大西信夫さんの連載記事

1988年以来、MK新聞に各種記事を連載中です。

1988年5月22日号~1991年11月22日号 「よしゆきの京都の見方」(45回連載)
1990年1月7日号~1992年2月7日 「空車中のひとりごと」(12回連載)
1995年1月22日号~1999年12月1日号 「何を見ても何かを思う」(64回連載)
1996年4月16日号~現在 「本だけ眺めて暮らしたい」(連載中)

 

本だけ眺めて暮らしたい バックナンバー

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