「五山の送り火」は東山の清水寺からも3つ見える!お盆行事の千日詣りと送り火を同時に楽しもう
目次
京都で最も人気の観光地と言えば、清水寺でしょう。京都観光の定番中の定番スポットです。
実は、清水寺からも五山の送り火が3つ見えます。
お盆期間中の清水寺は「千日詣り」で夜間も開門されています。千日詣りと五山の送り火を楽しみましょう。
ただし、清水寺から送り火まではかなり距離があるため、小さくしか見えないのでご注意ください。
レポート日は2022年8月16日です。
清水寺からの五山の送り火レポート
万灯会の東大谷から産寧坂経由で清水寺へ
最終日の東大谷万灯会へ
清水寺の前に、円山公園と高台寺の間にある東大谷へ。
東大谷では、8月14日~16日にお盆行事の「万灯会」が開催されています。
五山の送り火の8月16日は東大谷万灯会の最終日にあたります。
東大谷の墓地にたくさんの提灯が掲げられ、日が落ちて次第に暗くなっていくなかを静かに照らします。
はるか奥に見える山々は京都西山です。
丹波方面から雷雲が近づいているようで、東大谷でも遠雷が響き渡ります。
写真右奥の嵐山方面ではすでに雨雲でおおわれているのが見て取れます。
東大谷万灯会の概要
開催期間 | 8月14日~16日 |
開催時間 | 18:00~21:00 |
拝観料 | 境内自由 |
アクセス | 京阪「祇園四条」より徒歩4分 |
公式ホームページ:「東大谷万灯会」を開催します(8/14~16) – 東本願寺
産寧坂から清水寺へ
次第に夜の闇が濃くなり始めました。
五山の送り火が始まる1時間前の19時ごろに東大谷をあとにし、清水寺へと向かいます。
遠雷だった雷鳴が、しだいに近づいてきます。
ねねの道、二年坂を経て産寧坂へとたどり着いたところで雷雨に追いつかれました。
雨に加えて、雷も激しく鳴り響きます。
産寧坂のお店の軒下で雨宿り。清水寺の夜間拝観が行われていますが、産寧坂で開いているお店は見当たりません。
スマホで雨雲レーダーを見つつ15分ほど雨が行き過ぎるのを待ちます。
おそらく鴨川の河原や京都御苑などでは、五山の送り火を見るために早い時間から場所取りをしていた人がいたでしょうが、この大雨だといったん雨をしのげる場所に避難せざるを得ません。気の毒です。
雨がやんだ一瞬を見計らって千日詣りが行われている清水寺へと急いで移動。
事前に五山の送り火のうち船形の見える位置を確認しておこうと考えていましたが、雨で事前確認の時間はありませんでした。
雨でも原則延期にはならない五山の送り火
2022年は五山の送り火の点火直前に大雨に見舞われましたが、五山の送り火は原則として雨天延期にはなりません。
ちょっとやそっとの大雨であれば雨天決行されます。
1964年以来、一度も延期はなし
直近では、1963年の五山の送り火が点火前に大雨となり、点火の準備を整えることができなかった大文字のみ点火を断念したことがあります。
1963年は、大文字のみが翌17日に点火されました。
以来、60年にわたって五山の送り火は毎年行われて来ました。
2022年以外にも雨に見舞われた年は数多くありますが、万全の備えによって五山の送り火は8月16日に開催されてきました。
コロナ禍の2020年・2021年も中止ではなく部分点火という形で8月16日に五山の送り火が継続されてきました。
五山の送り火は、お盆に家族のもとへと戻って来たご先祖様が帰っていくのを見送るために行われます。
お盆が終わる8月16日でなければならないのです。
ただし、災害級の雨や台風が襲来した場合には五山の送り火が延期されることもあるでしょう。
資金難で中止のピンチも
なお、大雨だった1963年の1年前の1962年にも、天候とは異なる事情で五山の送り火の大文字が中止されかけたことがあります。
大文字保存会が資金難や山麓の学校移転問題などにより、五山の送り火直前の8月12日に大文字の点火中止の決定を行ったのです。
京都市が事態の収拾をはかり、結局予定どおり大文字も点火され、無事五山の送り火が行われました。
しかし、この問題提起によって五山の送り火を京都全体で支える体制が生まれました。
清水寺からは見えない「大文字」と「妙法」
点火の直前に雨が上がる
清水寺の西門からは京都市街の夜景が見渡せます。
20:00からの送り火まであとわずかですが、再び雨雲が接近中です。
再び振り出した大雨が降り始めました。五山の送り火の点火まであとわずかです。
雨雲レーダーを見る限りは短時間で雨はやむはずですが、五山の送り火への影響はあるのでしょうか。
雨のなか、清水寺の西門南側で五山の送り火点火を待ちます。
京都市では、伏見区と山科区を除いて五山の送り火にあわせて19:50~20:50に消灯要請が行われます。
消灯要請時間となった19:50ちょうどに京都タワーが消灯されました。
一般の民家やビルは以前として灯りがついていますが、京都タワー以外にも消灯された施設があるようで、五山の送り火へ向けて夜の闇が濃くなります。
五山の送り火の点火まであとわずかですが、清水寺では点火5分前の19:55になってようやく雨はやみました。
雨雲レーダーにも近くに雨雲の姿はなく、しばらくは雨も降らなさそうです。
しっかり五山の送り火が始まる前に雨がやんでくれました。
「大文字」の点火をスマホでチェック
五山の送り火の最初を飾る大文字の点火時刻である20:00を迎えました。
清水寺からは将軍塚の向こう側に大文字が位置するため、全く見えません。
スマホでユーチューブの五山の送り火ライブ中継を見ます。
例年であれば、点火とあっという間に大文字全体に火が広がっていきますが、今年はなかなか火が広がりません。
直前までの雷雨の影響でしょう。3年ぶりの全面点火の影響もあるでしょう。
6年前の2016年の五山の送り火は、点火時刻以降も土砂降りの大雨が続きました。
おかげで大文字は部分的に着火できただけで終わったということもありました。
清水寺の西門付近から「左大文字」
予定より早く姿を現した「左大文字」
清水寺からは、五山の送り火のうち大文字と妙法は全く見えないので、しばらく待ちます。
左大文字の点火は20:15ですが、10分以上前から左大文字山方向にうっすらと左大文字の姿が見え出しました。
周囲では「左大文字はこんなに暗いのか。雨のせいで今年は全然火が着かないのだろうか。大文字も着かないらしいし」との声も聞こえてきます。
たしかに、直前の雨もあって例年とは段取りが異なる点もあるのかもしれませんが、20:15の点火が遅れることはあっても10分も早まることはないでしょう。
左大文字に見えているのは点火準備のための灯りでしょう。おそらく雨が上がるとともに急いで準備を行っている光です。
左大文字のさらに西の方の山腹にも、うっすら灯りが見えます。
肉眼ではよくわからりませんが、望遠レンズを通してみると鳥居形であることがわかります。
五山の送り火の最後を飾る鳥居形も急ピッチで点火準備を進めているのでしょう。
予定通り20:15に「左大文字」が点火
さらに待つことしばらく。
五山の送り火のライブ映像では、やや手間取りつつも大文字も無事に着火し、20:05点火の妙法・船形はほぼ予定どおり着火。
左大文字の点火時刻の20:15ちょうどに、左大文字が急に明るくなりました。
直前の大雨をものともせずに、予定どおり点火に成功です。
左大文字から清水寺までは距離があって小さいとはいえ、やはり送り火は明るいです。
大文字が一斉点火するのに対し、左大文字は筆順に点火されます。
2022年は雨の影響もあってわかりにくいですが、たしかに先に点火された左はらいの方が右はらいよりもよく燃えています。
清水寺から五山の送り火のうち大文字と妙法は見えませんが、左文字より早い20:10点火の船形は見えるはずです。
西門の南側からは、左大文字と鳥居形しか見えないため、船形を確認するため場所の移動を開始。
事前の地図上での検証では、清水寺から左大文字と鳥居形が見えることは明らかでしたが、船形だけは確実ではありませんでした。
本当は事前に船形が見える場所の下見をしておきたかったのですが、直前の大雨でできませんでした。
船形が見えるかどうかはぶっつけ本番となります。
清水寺の仁王門付近から「船形」と「左大文字」
ほぼ全容が見える「船形」
西門の北側へと回り込み、鐘楼の向こう側に船形と思われる灯りを発見。
木々が邪魔して形が見えないので、さらに西へと移動し仁王門の西側で船形と左大文字が見える地点を発見。
船形も左大文字も激しく煙をあげています。
さらに船形が見えやすい位置へと移動すると、船形の全容がほぼ見えました。船底部の一部が船山の前山で隠れているだけです。
船形は京都市内中心部のほとんどの位置からは前山で隠れて全容は見えません。
一部が欠けているとはいえ、清水寺は船形がよく見えます。
清水寺から船形は9kmもの距離がありますが、思ったよりも大きく見えます。
さすが五山中でも最も大きい送り火です。
真正面から見える「左大文字」
清水寺からは左大文字が真正面に見えます。
左大文字は南東方向にある京都御所の方を向いています。京都御所の延長線上にある清水寺からは左大文字が正面に見えるのです。
清水寺から左大文字は7kmあまり離れています。
仁王門の向こう側には鳥居形
仁王門付近からは、五山の送り火の最後を飾る鳥居形も見えます。
船形や左大文字とは方向が異なるので同時には見えません。
鳥居形は、ちょうどぴったり仁王門の延長線上にあります。
仁王門の東側から見ると、仁王門の向こう側に鳥居形が見えます。
さらに言うと、ちょうどお盆の時期の日の出は仁王門から見ると鳥居形の方角になります。
偶然ではない何かがあるのでしょうか。単に清水寺の境内事態が西北西に伸びる尾根上に位置するからなのでしょうが。
鳥居形も点火されたので、清水寺の奥の院方向に移動します。
清水寺の奥の院付近から見る「鳥居形」
舞台からは見えない送り火
拝観受付を通り、清水寺の舞台へ。
舞台からは、五山の送り火はひとつも見えません。
本堂へ手を合わせて奥の院方向へと向かいます。
地主神社前を経て釈迦堂、阿弥陀堂、奥の院前を通過しましたが、鳥居形はまだ見えません。
奥の院を過ぎてさらに南へ20メートルほど進んだところで、鳥居形が見えました。
清水寺の三重塔と京都市街の夜景、鳥居形の景色です。
奥の院の南側から見える「鳥居形」
さすがに清水寺からは11kmもの距離があるのでかなり小さいですが、燃え盛る鳥居形が確認できます。
五山の送り火のうち鳥居形以外は、京都御所の方向が正面です。
鳥居形のみは京都御所のある東ではなく、南西方向を向いています。
おおむね伏見稲荷大社から正面に見えるといいます。
清水の舞台と「鳥居形」
清水の舞台と鳥居形の夢のコラボレーションです。
清水寺からもしっかり見えます。
五山の送り火に伴う京都市内の消灯要請時刻は20:50までです。
京都タワーも再び明るくなり、京都市街全体が明るくなりました。
清水寺からの送り火を堪能したあとは、千日詣りへ。
宵詣りは21:00受付終了で、21:30閉門です。五山の送り火が終わってからでもお詣りする時間はあります。
本堂内々陣をお参りし、帰路へ。
五条坂をくだっていた21:30ごろには再び雷雨に。
ちょうど五山の送り火の時間帯だけ雨が降りませんでした。
清水寺の千日詣りとは
8月9日~16日の千日詣り
清水寺では、毎年お盆の8月9日~16日に「千日詣り(せんにちまいり)」が開催されています。
うち8月14日~16日は千日詣りの夜間拝観である「宵詣り(よいまいり)」が行われます。
3日間の宵詣りの最終日である8月16日は、五山の送り火の日でもあります。
千日詣りとは、その名のとおり一日のお参りで千日分のご利益があります。
清水寺の本尊である観音菩薩の功徳日にちなむお盆行事です。
本堂の内々陣までお詣り
千日詣りでは、清水寺の内々陣(ないないじん)まで入ってご本尊の千手観音を拝むことができます。
普段は内々陣どころか内陣も入ることもできません。入れるのは外陣のみです。
お寺の関係者ですら内々陣へ入ることはあまりありません。
一年間でたった8日間だけ、清水寺の内々陣へはいれるという貴重な機会です。
撮影不可なので写真はありませんが、昼でもうすぐらい内々陣で仏像群がロウソクで照らし出されます。
ぜひ一度は見て欲しい幻想的な光景です・
静かな宵詣りの夜間拝観
清水寺の夜間拝観と言えば、春の桜も秋の紅葉も大混雑で知られます。
とてもじっくりと夜間拝観を楽しんではいられません。
しかし、宵詣りの清水寺はほとんど混雑しません。
美しい夜間拝観を、じっくりと堪能できます。
千日詣りの概要
- 開催期間 8月14日~16日(8月9日~13日は昼のみ)
- 開催時間 9:00~21:00受付終了(8月9日~13日は9:00~17:00受付終了)
- 拝観料 400円
公式ホームページ:https://www.kiyomizudera.or.jp/news/sennichi-mairi.php
おわりに
2024年の五山の送り火も全面点火予定です。
新型コロナのため、五山の送り火が大幅な縮小となったのは、2020年と2021年でした。
MKトラベルの五山の送り火鑑賞ツアー2024
MKトラベルでは五山の送り火に合わせて鑑賞ツアーを催行します。
コロナ禍前より続く、MKトラベルの人気恒例ツアーです。
五山の送り火を鑑賞するのは、西陣織会館の屋上です。
次々と灯されていく五山の送り火をお楽しみいただけます(鳥居形は見えません)。
夜の五山の送り火鑑賞だけではなく、日中には点火前の五山の送り火をジャンボタクシーの車窓から見学します。
夕食には、京料理立神(たてがみ)の会席コースもついている豪華ツアーです。
ぜひ、MKトラベルの五山の送り火ツアーで豪華な旅をお楽しみください。
募集は限定20名なので、申込はお早めに。
過去の五山の送り火鑑賞ツアーのレポートはこちらです。
浴衣ならMKタクシーの「タクポきもの還元」がお得
夏の1ページを彩る五山の送り火、やっぱり似合うのは浴衣姿です。
五山の送り火を訪れるなら、是非浴衣でお越しください。
(ただし、混雑や交通規制もあって配車困難な場合が多いことはご了承ください)
浴衣で歩き疲れたら、是非MKタクシーをご利用ください。
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