清水寺の暁天講座・うらぼん法話2022「日本の和らい」茂山逸平師(狂言師)

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清水寺の暁天講座・うらぼん法話2022「日本の和らい」茂山逸平師(狂言師)

暑い京都の夏でも涼しい早朝時間帯に行われるのが、暁天講座(ぎょうてんこうざ)。
京都各所の寺院で開かれますが、清水寺では「うらぼん法話」という名称です。
無料で予約不要のおすすめイベントです。
2022年8月3日に清水寺のうらぼん法話で大蔵流狂言師の茂山逸平師のお話を聞いてきました。狂言の実演もありました。

清水寺の うらぼん法話

100年以上の歴史あるうらぼん法話

京都では、多くの寺院で夏の早朝に公開講座の暁天講座が行われます。
清水寺では「うらぼん法話」という名称です。
京都のお寺では広く行われており、各界からの多彩な講師を招いて暁天講座が行われます。
毎年日程は8月1日~5日と固定されています。2022年が偶然全て平日開催です。

2022年は第106回になります。

2022年のうらぼん法話

日時 8月1日(月)~5日(金)午前6時~7時
場所 大講堂 圓通殿
テーマ

  • 8月1日(月)西村恵心 師(元花園大学 学長)
    「悟りを超える」
  • 8月2日(火)橘重十九 師(北野天満宮 宮司)
    「歴史に学ぶ平安京 清水さまと天神さま」
  • 8月3日(水)茂山逸平 師(大蔵流狂言師)
    「日本の和らい」
  • 8月4日(木)古谷正覚 師(法隆寺住職)
    「聖徳太子のこころ」
  • 8月5日(金)森清範 師(清水寺貫主)
    「幻の御開帳から見えたもの」
うら盆法話 2022年8月2日 撮影:MKタクシー

うらぼん法話 2022年8月2日 撮影:MKタクシー

会場は大講堂

うらぼん法話会場の大講堂 2022年8月2日 撮影:MKタクシー

うらぼん法話会場の大講堂 2022年8月2日 撮影:MKタクシー

清水寺のうら盆法話が行われるのは、大講堂です。
通常の拝観ルートから外れており、事前に確認しておかないとどこにあるのかわからないかもしれません。
仁王門の階段を上らず、左側の坂道を下ります。
仁王門前に行くと、係員が「暁天講座ですか?ではあちらです」と行先を示してもらえるので心配はないでしょう。

冷茶の接待 2022年8月2日 撮影:MKタクシー

冷茶の接待 2022年8月2日 撮影:MKタクシー

大講堂前のテントには、冷茶があって自由にいただけます。
まだ朝6時とはいえ、清水寺までの坂道を上ってきて暑いのでありがたくいただきます。

今日は特に集まりが良いようで、大講堂に入りきれなかった人は、別の部屋と大講堂前のテントでモニター越しにお話しを聞けるようになっています。

 

法話終了後の朝食接待

パンと牛乳の配布 2022年8月2日 撮影:MKタクシー

パンと牛乳の配布 2022年8月2日 撮影:MKタクシー

うらぼん法話終了後には、朝食のパンと牛乳の配布が行われます。
2021年は新型コロナ対策のために中止でしたが、2022年は復活しました。
他の暁天講座では朝粥が多いのですが、清水寺のうら盆法話ではコロナ前からパンと牛乳を配るパターンです。
他は朝食接待の中止が続く中、いち早く清水寺では復活しました。

パンと牛乳 2022年8月2日 撮影:MKタクシー

パンと牛乳 2022年8月2日 撮影:MKタクシー

袋の中には、アンパンとバニラビーンズクリームパンが入っていました。
2018年はアンパンとジャムパンだったので、アンパンと甘い系の菓子パンが定番の組み合わせなのでしょう。
パンは山一パン製です。
京都では普通にスーパーでもよく見かけるパン屋さんです。
森永牛乳とともにおいしくいただきました。

 

茂山逸平師について

お豆腐狂言で知られる大蔵流の茂山千五郎家の一員。
祖父が四世茂山千作で父が二世茂山七五三。当代の十四茂山千五郎のいとこにあたる。
チョナンの茂山慶和も狂言師に。

 

茂山逸平師(狂言師)「日本の和らい」

狂言について

狂言というのは、「能楽」というお芝居のジャンルのひとつです。能楽に「能」と「狂言」という2つのお芝居があります。
能は、セリフがなく動きが少ないお芝居です。
狂言は、セリフと大げさな動きで日常ありそうなことを、コント形式で演じて楽しんでもらうお芝居です。

能楽というのは、5つの能と4つの狂言を9~10時間かけて楽しんでもらうのが本来の形式です。
室町時代から武家のオフィシャルエンターテイメントとして、大事なお客様のおもてなしに使われて来ました。
有名な忠臣蔵の松の廊下事件は、まさに京都から来た勅使を能楽でもてなしているときに起こりました。
吉良上野介も浅野内匠頭も能楽が嫌いでいらいらしていたことが事件の原因だったのかもしれませんね(笑)。

なぜ能はわかりにくいか

能楽は、寺社や河原などに作られた仮設の舞台で演じられるものでした。
屋外ですがマイクはないので、普通に声を出していても聞こえません。細かい動きもよく見えません。
そこで、大きな声でゆっくりと発声し、無駄な動きを削ぎ落して大きな動作をするという演出方法がとられるようになりました。

能は動きがなくてよくわからないと言われることがあります。動かないのはわかりにくくさせるためではなく、わかりやすくするために無駄な動きを削ぎ落した結果なのです。
不自然に動かないことで注目を集め、わずかな動きで状況や時間、天気の変化を表しているのです。
大道具も照明もないなかで、工夫を凝らした特殊な演出方法なのです。

演出がわからない場合は、無理に理解しようとせずに「あきらめる」というのも大事です。
能に限らず歌舞伎でも落語でも、伝統芸能はルールが分からなければ意味がわからないことも多いです。
そこはあきらめて楽しんでください。

仮面を使う能と狂言

能楽も歌舞伎もお芝居ですが、演ずる方法に大きな違いがあります。
歌舞伎が能や狂言と大きく異なるのは、仮面を使わず隈取りなどの派手な化粧をする点です。
能と狂言は仮面を使いますし、使わない場合でも化粧はしません。

能はほとんどの場合仮面を使いますが、狂言は仮面を使わない場合も多いです。
実は、仮面を使うかどうかにはルールがあり、能も狂言も同じです。
素顔で演じられる場合は仮面を使わず、素顔で演じられない場合は仮面を使うというルールです。

能は、怨霊や亡霊、神様など実在しない登場人物が多いです。素顔では演じられないため、多くの場合仮面を使います。
一方で狂言は普通の人々が登場人物となることが多く、素顔でも演じられる場合が多いのです。

「和らい」とは

今日の演題の「和らい」とは、祖父の茂山千作に教えられた言葉です。
「笑い」ではなく、「和らい」です。
舞台上にいると、どうしてもお客様の笑い声を求めがちです。しかし、大事なのはお客様に和やかな気持ちになってもらうこと、「和らい」を招く狂言を目指しなさいと教えられました。

清水寺と狂言

狂言は、どこにでもありそうなお話しです。名前や地名など固有名詞が出てこないのも特徴です。
狂言に出てくる「太郎冠者」は、太郎=1番、冠者=成人男性という意味です。
つまり、単に「男1」という意味です。次郎冠者は男2です。
固有名詞はないため、見ている人も自分にも心当たりはあるが、誰のことかはわからないお話しとして楽しみます。

例外的に、場所を特定する狂言が全180演目中10個ほどあります。
仏様にお願いごとをするお話しでは、ここ清水寺か因幡堂が定番です。
観音様にお願いごとをする狂言のお話しは、清水寺に参詣します。

もちろん、願いごとが叶ってめでたしめでたしでは全く笑いにならないので、そこでひと騒動起きるのが狂言です。
例えば清水寺が出てくる狂言の演目に「井杭」というのがあります。
とても古い演目で、豊臣秀吉、前田利家、徳川家康らが演じたという記録も残っています。

では、ここだ実際に狂言を見てもらいます。
助手に来てもらった息子の慶和と「鬼瓦」を演じます。
(実演)

 

現代にあった狂言に

能楽は長くてわかりにくいものだというイメージがあるでしょう。
今の時代、さすがに朝から晩まで見るのはつらいでしょうが、今は1時間半くらいで気軽に見られる能楽もたくさんあります。

私は狂言師の家に生まれ、狂言師や能楽師に囲まれて育ちました。
そのため一般の感覚に欠けているところがあります。
狂言は、日本人が日本人のために作って受け継がれてきたお芝居です。
時代にあわない変わるべき部分は変えて、現代社会にあった狂言にしていきたいと考えています。
ぜひいろんな意見を聞かせて欲しいと考えています。

狂言は、博物館に閉じ込められた伝統ではなく、楽しんでもらうものです。
日本人が守ってきた心を伝えていくためにも、ぜひ見に来てください。

 

おわりに

早朝アクセスにはやっぱりタクシー

無料で予約も不要でいろんなお話を聞ける清水寺のうらぼん法話ですが、難点は早朝ゆえにアクセス困難なことです。
いろんな暁天講座があるなかで、清水寺のうらぼん法話が始まるのは、何と6:00です。
公共交通機関でのアクセスは事実上困難です。
しかし、24時間営業のMKタクシーなら朝6時だろうと朝5時であろうとアクセス可能です。
MKタクシーなら迎車料金も不要です。

MKタクシーのご予約は075-778-4141まで

便利な配車アプリも是非ご利用ください! → MKスマホ配車

京都観光には観光貸切タクシーもおすすめです。

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まとめ

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