京都の夜景と提灯1万個の絶景を楽しむお盆イベント「東大谷万灯会」
目次
実に1万個もの提灯が東大谷墓地を埋め尽くす、東大谷(ひがしおおたに)の「万灯会(まんとうえ)」。
円山公園と高台寺の間にある東大谷では、毎年お盆のお墓参りを涼しい時間に時期に行えるように、1万個の提灯で墓地を照らし出しています。
東山の山腹から見る、1万個の提灯と京都の夜景が織りなす景色は絶景です。
毎年8月14日から16日まで開催されます。
東大谷万灯会とは
真宗大谷派の大谷祖廟(おおたにそびょう)は、親鸞聖人(しんらんしょうにん)の墓地である御廟(ごびょう)を中心とした広大な墓地です。
一般には「東大谷」と称されます。
1961年からお盆の時期に、東大谷の広大な墓地の全域が1万個の提灯で照らし出す「万灯会」が始まりました。
万灯会では、普通の提灯だけでなく、子ども提灯や俳句提灯など多彩な提灯があります。
京都では他にも醍醐寺や壬生寺などでお盆前後に万灯会が行われます。
東大谷の万灯会は、醍醐寺や壬生寺などの数百年の歴史がある行事と比べると比較的新しい行事です。
東大谷万灯会は、一般の人も自由に入ることができますが、あくまでお盆のお墓参りのための行事なので、邪魔にならないよう注意を払いましょう。
万灯会は「まんどうえ」と読まれることもありますが、東大谷さんの公式HPの表記では「まんとうえ」となっています。「まんとうかい」ではありません。
東大谷万灯会の概要
開催期間 | 8月14日~16日 |
開催時間 | 18:00~21:00 |
拝観料 | 境内自由 |
アクセス | 京阪「祇園四条」より徒歩4分 |
公式ホームページ:「東大谷万灯会」を開催します(8/14~16) – 東本願寺
東大谷万灯会へ
提灯だけでふんわりと照らし出される参道
ぽつぽつと雨も降る中、東大谷の広い参道を上っていきます。
照明は提灯のみなので、道の真ん中はけっこう薄暗いです。
参道は八坂神社南楼門を出てすぐ東側からはじまり、東へとのびています。
五条坂にある西本願寺の西大谷と間違えないようご注意を。
外国人の姿はわずかで、見かけても欧米系の方ばかりでアジア系の方はほぼ見当たりません。
半分くらいは、普通にお墓参りの方のようです。
総門にあたる表唐門から東大谷の境内へと入ります。
境内にはたくさんの提灯が掲げられています。
保育園と幼稚園の園児が作った提灯がたくさんあります。
頭上も足下も提灯だらけです。
近隣や西本願寺系列の保育園だけではなく、京都市内全域のたくさんの保育園から集まっています。
まずは親鸞聖人が眠る御廟をお参り
まず東大谷の本堂へお参りし、続いて親鸞聖人の遺骨が納められているという御廟へと向います。
御廟への階段には、上下2段に提灯が並んでいます。
提灯の模様は「本願寺抱牡丹紋(だきぼたんもん)」という東本願寺の寺紋です。
もとは近衛家の家紋で、江戸中期に近衛経熈(つねひろ)の娘が嫁いできたときに拝領したとされています。
西本願寺では主に下り藤紋(さがりふじもん)が使われています。
親鸞聖人をはじめ歴代が祀られている御廟です。
御廟の前には、可動式(?)の屋根が設置されています。
おそらく法要のときのみ設置されるのでしょう。
一般人立ち入り禁止の柵の内側にあるのは、おそらくそこで法要が行われるからなのでしょう。
日本で最も信徒の多い宗派である浄土真宗を生み出し、日本史に大きな影響を与えた偉大な宗教家に拝礼。
安永9年(1780年)刊行の都名所図会でも、今と変わらぬ位置に今と同じ東大谷の本堂や御廟が描かれています(御廟への階段の向きは異なりますが)。
本堂建立は元禄14年(1701年)、今の規模になったのは延享2年(1745年)のことなので、刊行当時はまだ新しいお寺だったのでしょう。
再び階段を降りると、花で描かれた「おぼん」という絵がありました。
お盆ということでしょう。
水面は色とりどりの花で埋め尽くされています。
提灯がならぶ広大な東大谷墓地へ
そして、メインの東大谷墓地へと入ります。
東大谷には来たことがありますが、ここから先に入るのは初めてです。
普段はお墓参りの人以外が入ることははばかられますが、万灯会の期間は遠慮なく入れます。
普通にお盆のお墓参りの人もいれば、大きな三脚を持ったカメラマンも見かけます。
提灯はこのような構造になっています。
電気ではなく、ひとつひとつに蝋燭が灯されていることに驚きです。
消灯は21時過ぎとのことですが、いちいち消して回るのではなく、21時くらいに自然に燃え尽きるような大きさになっているのでしょう。
東大谷万灯会開催中の3日間、1万個の提灯ひとつひとつ蝋燭を交換する作業はさぞかし大変でしょう。
提灯1つの点火に1分かかるとすると、167時間もかかります。
もちろん、もう少し手早くできるのでしょうが、かなりの人手が必要でしょう。
提灯と京都の夜景が織りなす3日間だけの絶景
東山の斜面に設けられている東大谷墓地内を上に上っていきます。遠くには京都タワーが見えます。
もう少し早い時間の闇が濃くなりつつある時間帯の方が美しいでしょうが、それは今後の楽しみにとっておきます。
参拝者の足下を照らすことが目的で提灯が設置されています。
確かに東大谷墓地内は不規則な階段になっており、提灯が無ければ歩くことはできません。
標高を徐々に上げるにつれ、夜景の見える範囲も広がっていきます。
東大谷万灯会でしか見られない幻想的な眺めです。
暗くて写真ではわかりませんが、あちこちで普通にお墓参りをしている方々もいます。
夜中のお墓参りというのも他では見られない景色です。
観光目的で来ている人もまばらで、細い東大谷墓地内の道ですが混雑はしません。
近景と中景に提灯、遠景に夜景・・・
墓地は多段になっており、近景と中景に提灯、遠景に夜景というなかなか味わうことができない景色です。東大谷万灯会ならではの光景です。
時折雨のぱらつきますが、景色がかすむことはありません。
東大谷万灯会は8月16日までですが、16日は五山の送り火のため、夜間の照明は自主規制が行われます。
ようやく最高地点へと到着。
概ね標高は140m地点です。本堂が90mなので、50mほど登ってきたことになります。なお清水の舞台が110m、青龍殿が220m、京都駅が30mくらいです。
京都タワー方面ばかりだけでなく、もう少し北の三条四条方面もきれいに見渡せます。
中央の大き目の建物は河原町御池の京都ホテルオークラでしょう。
さすがに最上段部には、お墓参りではなく観光目的の人が10人ほど集まっています。
カメラマンにとっては垂涎の景色です。
ただし墓地内に大きな三脚を持ち込むのはマナー違反な場合もあるのでご注意を。
周縁部は多段になっているのがよくわかると思います。
ちょっとした段々畑です。
墓地が山腹へと拡大していったのはそれほど古い話ではないようです。
それぞれの段の際(きわ)からはきれいに景色が見渡せます
お墓の数も約1万基なので、提灯の概ね1つにつき1つ程度のお墓があります。
亡くなった方1人の魂が1つの灯りとなっているということです。
「生のみが我等にあらず 死もまた我等なり」
いい歌だなぁと思って調べてみると、明治の宗教家であり現大谷大学の初代学長を務めた清沢満之(きよざわまんし)のものです。
東大谷万灯会が消灯になる21時が近づいてきたので、最近亡くなった親族のことを偲びながら東大谷を退出しました。
おわりに
東大谷の万灯会は、いろんな寺社で行われるライトアップイベントとはかなり様相が異なります。
いずれも信仰がベースになっていることは間違いありませんが、観光イベントという側面も否定はできません。
その点、東大谷の万灯会は宗教行事という側面が今も濃厚に残っています。
お先祖様、亡くなった方々を偲ぶというお盆にふさわしい行事です。
くれぐれもお墓参りの方々の邪魔にならないよう、配慮を忘れず拝観しましょう。
それにしても、東大谷万灯会の提灯と夜景の織りなす景色は本当に必見です。
お盆の夜に行われる行事を効率的に回るには
東大谷万灯会が行われる8月14日から16日にかけての夕方から夜には、京都の各地でお盆関連の行事が行われます。
有名なのは五山の送り火ですが、それ以外にも
- 8月8日~16日 千本釈迦堂「六道詣り」
- 8月9日~16日 壬生寺「盂蘭盆万灯供養会(うらぼんまんとうくようえ)」
- 8月13日~16日 京都霊山護国神社「みたま祭」
- 8月14日~16日 東大谷「万灯会(まんとうえ)」
- 8月14日~16日 車折神社「万灯祭(まんとうさい)」
- 8月15日 「花背松上げ」
- 8月16日 「五山の送り火」
- 8月16日 「嵐山灯籠流し」
- 8月16日 広沢池「灯籠流し」
と盛りだくさんです。
限られた時間内に複数箇所を回ろうにも、この期間は地下鉄や市バスも休日ダイヤで通常より本数が少なくなっています。
点々と離れたスポットを効率的に移動するのに、何といっても効率的なのはやはりタクシーです。
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