エッセイ「本だけ眺めて暮らしたい」【274】|MK新聞連載記事

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エッセイ「本だけ眺めて暮らしたい」【274】|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、大西信夫さんによる様々な身近な事柄を取り上げたエッセイ「本だけ眺めてくらしたい」を前身を含めて1988年5月22日から連載しています。
MK新聞2011年2月1日号の掲載記事です。

本だけ眺めてくらしたい

ソニーの電子書籍リーダー「Reader」を買った。
電子書籍はコンテンツの品揃えがまだまだだし、リーダー(読むための機器)にしても各社発売して間もないので、こなれた製品が出るまでにはもうしばらくかかるだろうが、やはりいじってみたくなって買ってしまった。特に「必要」はないのだけれど。
現状の競合商品と比較して私が「Reader」を選んだ理由は、液晶ではなく電子ペーパーと呼ばれる表示画面であること。3G通信や無線LANを装備していないこと。小さく、薄く、軽いことなど。サイズは二種あり、大きいほうの6型画面の機種にした。
ただ、個人的に是非とも改善してもらいたいポイントは、画面のサイズ。5型とか6型という規格ではなく、自炊派にとってリーダーの画面は最低限、文庫本か新書の大きさがほしい。6型だと文庫本よりもひとまわり小さい。つまり、自炊(紙の本をスキャンして自ら電子書籍化)した文庫本を表示すると、版面が縮小してしまうのだ。
文庫本の文字が縮小すると、この歳になるとさすがに目がつらい。特に古い文庫本は文字が小さいので、それがさらに小さくなると読む気がしなくなる。
今のところ、ページの余白をトリミングしてカットしてくれるフリーソフトを使っているので、上下の余白が大きい文庫本なら、ほぼ原寸で読める。もちろん、わずかな手間でもいらないにこしたことはない。
逆にリーダーが大きいと持ち歩く気がしない。
要するに、表示画面を新書のサイズとピッタリ同じにすれば、文庫本と新書は幅が同じなので、文庫本も新書も自炊データを原寸で読める最小のリーダーになるというわけだ。
新書より大きいB6判、城九蟠、A5判、菊判などの自炊データは10インチ前後のiPadやタブレットPCで読むというふうに、自炊した元の紙の本の判型によって二台の電子書籍リーダーを使い分けするのが現実的だろう。
もっとも、電子書籍がビジネスとして注目されているのは、コンテンツの販売によって継続的に利益が見込めるからであって、リーダーしか買わないような、ごく一部の自炊派の要望などメーカーは聞かないかもしれないが。

 

MK新聞について

「MK新聞」は月1回発行で、京都をはじめMKタクシーが走る各地の情報を発信する情報紙です。
MK観光ドライバーによる京都の観光情報、旬の映画や隠れた名店のご紹介、 楽しい読み物から教養になる連載の数々、運輸行政に対するMKの主張などが凝縮されています。
40年以上も発行を続けるMK新聞を、皆さま、どうぞよろしくお願いします。

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MK新聞への大西信夫さんの連載記事

1988年以来、MK新聞に各種記事を連載中です。

1988年5月22日号~1991年11月22日号 「よしゆきの京都の見方」(45回連載)
1990年1月7日号~1992年2月7日 「空車中のひとりごと」(12回連載)
1995年1月22日号~1999年12月1日号 「何を見ても何かを思う」(64回連載)
1996年4月16日号~現在 「本だけ眺めて暮らしたい」(連載中)

 

本だけ眺めて暮らしたい バックナンバー

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