エッセイ「本だけ眺めて暮らしたい」【233】|MK新聞連載記事

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エッセイ「本だけ眺めて暮らしたい」【233】|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、大西信夫さんによる様々な身近な事柄を取り上げたエッセイ「本だけ眺めてくらしたい」を前身を含めて1988年5月22日から連載しています。
MK新聞2008年10月1日号の掲載記事です。

本だけ眺めてくらしたい

『超「超」整理法』という新刊が出た。著者は野口悠紀雄。
十五年前に出版された『「超」整理法』の改訂最新版というか、この間のインターネットを中心とするIT技術の爆発的な発展を踏まえて新たに書き下ろされた続編である。
当時ベストセラーとなった『「超」整理法』。その中で紹介された「押し出しファイリング方式」と呼ばれるユニークな情報整理術は、これまで多くの人々によって実生活に採り入れられてきたようだ。
前書では主として紙ベース(書類)の情報(アナログ)が取り扱われていたのに対して、『超「超」整理法』では電子ベースの情報(デジタル)、しかもインターネットのオンライン環境での情報整理に関する方法論が説かれている。
「革命的」とまで著者が評する無料メールサービスのGメールや、検索サイトのグーグルの活用法と、その背景となる基本的な考え方、「検索」概念の重要性などが、本書の中心だが、その具体的な内容について言及するのがこの文章の目的ではない。

情報整理とIT技術に関心のある人なら、私も含めて本書に記されているようなことは既に実践していることだし、もっと便利なツールやサービスも知っている。
もちろん、その背景となる基本的な考え方を基にして、自分なりのノウハウも持っている。

では、この本が出版されることの大きな意義は何かというと、こういった情報整理術の分野で影響力の大きい著者が(本業は経済の研究者なのだが)、新しい時代に必須の知的生産技術として一つのまとまった提案をすることで、一部の人だけでなく、より多くの一般人に共通の認識が広まるということだろう。
言うまでもなく、情報のやり取りは他者との間で行なわれることであり、こちらがいくら便利で有益な方法論によって情報整理を実践しようとしても、先方や周囲の人がそれに対応してくれなければ、またそういった認識がなければ、うまく機能しないからだ。
そのためには、このような考え方や方法論がインターネット上で一部の人にだけ認知されるのではなく、やはり本としてベストセラーになる必要があるのではないだろうか。

 

MK新聞について

「MK新聞」は月1回発行で、京都をはじめMKタクシーが走る各地の情報を発信する情報紙です。
MK観光ドライバーによる京都の観光情報、旬の映画や隠れた名店のご紹介、 楽しい読み物から教養になる連載の数々、運輸行政に対するMKの主張などが凝縮されています。
40年以上も発行を続けるMK新聞を、皆さま、どうぞよろしくお願いします。

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MK新聞への大西信夫さんの連載記事

1988年以来、MK新聞に各種記事を連載中です。

1988年5月22日号~1991年11月22日号 「よしゆきの京都の見方」(45回連載)
1990年1月7日号~1992年2月7日 「空車中のひとりごと」(12回連載)
1995年1月22日号~1999年12月1日号 「何を見ても何かを思う」(64回連載)
1996年4月16日号~現在 「本だけ眺めて暮らしたい」(連載中)

 

本だけ眺めて暮らしたい バックナンバー

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