エッセイ「本だけ眺めて暮らしたい」【214】|MK新聞連載記事

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エッセイ「本だけ眺めて暮らしたい」【214】|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、大西信夫さんによる様々な身近な事柄を取り上げたエッセイ「本だけ眺めてくらしたい」を前身を含めて1988年5月22日から連載しています。
MK新聞2007年12月16日号の掲載記事です。

本だけ眺めてくらしたい

レストランなどを紹介する『ミシュランガイド』の東京版が2007年11月22日に出版されたが、その十日ほど前、マスコミ各社に「ミシュラン」の代理人と称する国際特許事務所の弁理士名義で封書が送り付けられた。
要点が非常にわかりにくい文章なのだが(直訳? それとも法律の世界ではこれがあたりまえ?)、要するに登録商標である「ミシュラン」を無断で使用するな、ということらしい。
「特に許可なく」、星印品質評定システムを使用する際に「ミシュラン」の名称を併用しないように「厳にここにお願い」すると、“警告”している。
発売日前後、テレビや雑誌の報道を通じた一大キャンペーンは、ほとほとうんざりするものだった。つまり、結果として宣伝になる報道はバンバンやってもらって結構だが、「ミシュラン」はあくまで「弊社の」商標なので、「貴社の」客寄せには使わないでね!ということなのだろう。

おもしろかったのは、朝日新聞社の週刊誌『アエラ』。12月14日号の特集の一つとして、『地方にもある「三ツ星」レストラン』という大きな見出しで何軒かのレストランを紹介する記事を掲載した。話題のブランドを前提とする記事を自社の売り物にした明らかな“客寄せ”。
「地方にもある」は、日本で発売された『ミシュランガイド』が東京版であることを念頭に置いた表現であり、しかも「地方にもある三ツ星レストラン」で別にいいところを、わざわざ「三ツ星」に鉤(かぎ)括弧をつけるところが、いやらしくていい。鉤括弧をつけることで、ことさらに「ミシュラン」を意識させる。
でも、あくまで「ミシュラン」という言葉は使っていませんよ、と(笑)。
「関係各位殿」って、この弁理士は、どれぐらいの範囲でこの“警告”を送り付けたのだろうか。マスコミ年鑑のような住所録を参照したのだろうが、もしかして文芸誌や猫専門雑誌、タクシー業界紙などにも送付したのだろうか。
『ミシュランガイド』発売に便乗する気も興味もないマスコミ関係者がほとんどだと思うが、その気もないのに“警告”を送り付けられたら逆に反発して、いじくりたくもなる。『アエラ』がそうだったりして。

 

MK新聞について

「MK新聞」は月1回発行で、京都をはじめMKタクシーが走る各地の情報を発信する情報紙です。
MK観光ドライバーによる京都の観光情報、旬の映画や隠れた名店のご紹介、 楽しい読み物から教養になる連載の数々、運輸行政に対するMKの主張などが凝縮されています。
40年以上も発行を続けるMK新聞を、皆さま、どうぞよろしくお願いします。

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MK新聞への大西信夫さんの連載記事

1988年以来、MK新聞に各種記事を連載中です。

1988年5月22日号~1991年11月22日号 「よしゆきの京都の見方」(45回連載)
1990年1月7日号~1992年2月7日 「空車中のひとりごと」(12回連載)
1995年1月22日号~1999年12月1日号 「何を見ても何かを思う」(64回連載)
1996年4月16日号~現在 「本だけ眺めて暮らしたい」(連載中)

 

本だけ眺めて暮らしたい バックナンバー

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