フットハットがゆく【142】「GO!!ジーラー!後編」|MK新聞連載記事

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フットハットがゆく【142】「GO!!ジーラー!後編」|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、塩見多一郎さんのエッセイ「フットハットがゆく」を2001年11月16日から連載しています。
MK新聞2007年10月1日号の掲載記事です。

GO!!ジーラー!後編

前編に引き続き、8月28日に行われた、ニューヨーク・ヤンキース対ボストン・レッドソックスの観戦記を…。

松井秀喜vs松坂大輔の日本人対決として多いに話題になったが、結果はご存知の通り、松井は打てず、松坂は打たれ、岡島の出番もなくと、日本人ファンには少し物足りない展開となった。
しかし、地元ヤンキースが勝利したこともあり、現地の盛り上がりはもの凄(すご)かった。

日本のプロ野球ではラッパ、太鼓の鳴りもの付きで客は応援する。
どちらかというと『祭に参加する』といったイメージである(特に阪神ファン)。
MLB観戦は、鳴りものがほとんどなく、一丸となって応援するのは、よっぽどのチャンスやピンチの時だけ自然発生的に行われる。
『観劇』というイメージである。
しかしこれはテレビで見る限りのイメージであって、実際にスタジアムに行くと、かなりの汚いヤジが飛び交っている。
ニューヨークというと、マンハッタン、ブロードウェイ、五番街といったおしゃれで高級なイメージがある。
しかし地下鉄の駅ひとつでガラリと雰囲気がかわるのもまたNY。
ヤンキースタジアムはNYでも比較的治安の悪い場所にあるので、お客さんの中にも気合いの入った人が多い。

僕たちの観戦グループはスタジアムの一塁側三階席に陣取ったのだが、前の列に熱狂的ヤンキースファンの集団、後ろの列に熱狂的Rソックスファンの集団(いずれも試合開始前から泥酔状態)という、めったに経験できない状況での観戦となった。
試合が始まると互いにヤジ合戦、僕たちを挟んでつかみ合いのケンカが始まりそうな雰囲気。
僕らのグループには女の子もいたので、ビクビクしながらの観戦となった。
しかし、つたないヒアリング力で聞いていると、彼らのヤジは「打率や防御率」がどうとか、「年俸」がどうとか、かなりマニアックなことで言い争っている。
なんやかやといって、ベースボールが大好きなのである。

さて、スタジアムを大いに盛り上げたのが、NYの王子様ことデレク・ジーターのホームランである。
MLBファンは声を揃えて、『レッツ・ゴー・○○!』と応援する。
ジーターの場合はアメリカの発音では「ジーラー」と聞こえるので、『レッツ・ゴー・ジーラー!』の合唱となる。
このチームにはゴジラ松井を含め、2匹のゴジラが登場するのである。
いったん勝ち越したヤンキースだが、すぐにRソックスに追いつかれた。
同点となったところで岡島がブルペンで投球練習を始めた。京都からツアーを組んできた僕たちとしては京都出身の岡島の登場を大いに期待したが、ジョニー・デイモンの2ランで彼の出番はかき消された。
しかしまぁこの時のスタジアムの盛り上がりは最高潮であった。
やはりホームチームが勝つと盛り上がる。
またこの日はライトポールにリスが出現したりして、別の意味でも盛り上がった。

試合が終わると、客はフランク・シナトラの『ニューヨーク、ニューヨーク』を聞きながら家路に着く。
あれだけいがみ合っていた両チームのファンたちも、最後は互いに握手をして別れた。
やっぱりスポーツはいいねぇ!

 

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