フットハットがゆく【136】「サインと勇気」|MK新聞連載記事

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フットハットがゆく【136】「サインと勇気」|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、塩見多一郎さんのエッセイ「フットハットがゆく」を2001年11月16日から連載しています。
MK新聞2007年7月1日号の掲載記事です。

サインと勇気

最近はハンカチ王子こと早稲田大の斎藤くんがとても人気だが、盛り上がるファンの気持ちはよく分かる。
去年の甲子園での活躍を見れば、僕だって斎藤くんのにわかファンになった。
実は僕はミーハーなので、有名人やオーラの強い人を見るとすぐに舞い上がってしまう。
そして、チャンスがあればサインをもらう。

ということでサインの話をしてみる。
僕が生まれて初めてもらったサインは高校生の時。京都大学のすぐそばに住んでいた僕は、当時めちゃめちゃ強かった京大アメフト部のファンであった。
そこで部員に知り合いがいるという友人に頼み込み、名QBの東海辰弥選手のサインをゲットした。

僕の自慢の収集サインには、元サッカーブラジル代表のドゥンガさん(現ブラジル代表監督)、元大関朝潮さん(現高砂部屋親方)、元光GENJIのカーくんこと諸星くん、元東洋ボクシングチャンプの寺地永(ひさし)さん、もと競馬ジョッキーの田原成貴さん、がある。
いずれも実際にお会いしていただいたサインで、「サインください」という時にはかなり勇気がいった。
もらったサインの自慢をするところも、かなりミーハー度が高い。

さて、そんな僕がサインをする側にまわったこともある。
何年か前に自費出版でエッセイ集を出したのだが、知人に買ってもらう時には必ず自筆サインを中表紙に書いて渡した。
そんなある日、自分の本がネットのオークションに出品されているのをみつけた。
しかも著者のサイン付きだという。
普通、著者のサイン付きだと定価よりも値が上がるものであるが、僕の本は定価よりかなり安い状況で競りもほとんど成立していなかった。
あまりに自分が可哀想だったため自分で落札してしまった。
数日して僕の手元に帰ってきた、僕のサイン入り本…。
なんとも空しかった…。

話変わるが、僕の母もかなりミーハーである。
これは、2003年に世界柔道が大阪で行われた時のこと。
僕は両親を誘い、谷亮子(当時はまだ田村)の試合を大阪城ホールに観に行った。
そこで母が注目した選手が一人いた。名前は忘れたがイギリスの女子選手で、とても積極的な勝負が好印象だった。
母は昔イギリスに長く住んでいたこともあり、英国選手には特にひいきするのである。
残念ながらその選手は負けてしまったが、しばらくすると、観客席に座って自国の旗をふって応援にまわっていた。
母はそれを見つけるなり持っていた扇子にサインをしてくれと、ねだりに行った。
ところがその人はきょとんとした顔で、「私は選手じゃないよ…」といった。
確かによくみると、その人はただのイギリス人応援者で、畳の上に立っていた選手とは違う人物だった。
しかし、母はいったん差し出した扇子とサインペンを引っ込めるわけにも行かず、「あなたでいいのでサインしてくれ」といった。
結局、わけの分からぬままサインしてくれたあの英国女性の照れくさそうな顔が、今も忘れられない。
ごくごく一般人のあのサイン入り扇子、今もどこかにあるのだろうか…?

斎藤 佑樹 1988~ 早稲田大学野球部所属。通称ハンカチ王子

斎藤 佑樹 1988~ 早稲田大学野球部所属。通称ハンカチ王子

 

 

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