エッセイ「本だけ眺めて暮らしたい」【325】|MK新聞連載記事
MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、大西信夫さんによる様々な身近な事柄を取り上げたエッセイ「本だけ眺めてくらしたい」を前身を含めて1988年5月22日から連載しています。
MK新聞2015年5月1日号の掲載記事です。
本だけ眺めてくらしたい
本は読むけれど、テレビもかなり観る。
放送が重なる番組をタイマー録画するために、ビデオレコーダーを三台使っている。
観ていない録画済みDVD&ブルーレイは本と同様、死ぬまでに観尽くせないほど溜まっている。
最近の機種は外付けHDDを何台も簡単に増設できるので、今後どうなることやら。
「観たい番組」しか観ない。あたりまえのように聞こえるかもしれないが、テレビのある部屋にいるときに今放送している番組の中からおもしろそうなものを選んで観るというようなことはしない、ということだ。
さらに、たとえ観たい番組が放送中に自宅にいたとしても、録画して、放送時間中は観ない。
その時間にテレビを観るのなら、別の録画済みの番組を観る。
時間を節約するために。
つまり、映画や音楽、落語のような番組以外は、音声を聴くことができる一段階の早送り再生で観るわけだ。
また、例えば毎晩放送している一時間のニュース番組などは、構成がほぼ決まっているので必要なところだけを観て、オープニングや、スポーツの結果など興味のないトピックは高速で早送り再生をする。
観る番組の九割ほどはNHKだが、民放の海外ドラマなどはCMをスキップする。
近年の録画機器はCM前後に区切りの信号を付けることができるので、ボタンひと押しで飛ばせる。
区切り信号がうまく付かない場合もあるが、十五秒や三十秒単位のスキップボタンを数回押せば、ピタリとCMを抜くことができる。
民放の特集番組は、音声が聴ける早送り再生とCMスキップを併用すれば、内容をすべて観たとしても時間を三割以上は減らせる。
海外ドラマなんて、早送りせずに観てもCMをカットするだけで、一時間枠の番組で正味は四十分を切ることさえある。
時間の節約とは逆に、興味深い画面や判りにくい場面があれば、巻き戻したり、一時停止することができるのも、必ず録画をしてから観ることのメリットだろう。
考えてみると、本というのは、速読したり、読み飛ばしたり、戻ってみたり、シンプルでありながら自在で完成されたメディアだと再認識する。
ところで、最近、CMの前後で同じ場面を繰り返したり、番組の見所をCM前ごとに何度も繰り返し放送するという悪しき手法が流行しているが、非常に鬱陶しい。そう、思いません?
MK新聞について
「MK新聞」は月1回発行で、京都をはじめMKタクシーが走る各地の情報を発信する情報紙です。
MK観光ドライバーによる京都の観光情報、旬の映画や隠れた名店のご紹介、 楽しい読み物から教養になる連載の数々、運輸行政に対するMKの主張などが凝縮されています。
40年以上も発行を続けるMK新聞を、皆さま、どうぞよろしくお願いします。
ホームページからも最新号、バックナンバーを閲覧可能です。
MK新聞への大西信夫さんの連載記事
1988年以来、MK新聞に各種記事を連載中です。
1988年5月22日号~1991年11月22日号 「よしゆきの京都の見方」(45回連載)
1990年1月7日号~1992年2月7日 「空車中のひとりごと」(12回連載)
1995年1月22日号~1999年12月1日号 「何を見ても何かを思う」(64回連載)
1996年4月16日号~現在 「本だけ眺めて暮らしたい」(連載中)