フットハットがゆく【135】「星、真位置」|MK新聞連載記事

よみもの
フットハットがゆく【135】「星、真位置」|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、塩見多一郎さんのエッセイ「フットハットがゆく」を2001年11月16日から連載しています。
MK新聞2007年6月16日号の掲載記事です。

星、真位置

最近、毎朝起きると携帯の星占いをチェックしている。
僕の牡羊座が運勢ランク1位になっている日はとても嬉しい。
先日、どうしても付き合いでパチンコをしなければならない日があり、5年ぶりくらいに打ってみると、投資額1000円でフィーバーした。
その日は牡羊座ランク1位の日であった。
別の日、買ったばかりのビデオデッキに、酔って酒をこぼしてしまい故障してしまった。
その日はランク最下位の日であった。

星占いを信じる、信じないは人の自由だが、僕はけっこう信じる方である。
星占いの原理はよく知らないのだが、人のバイオリズムが、星の磁気から何らかの影響を受けるであろうとは、何となく思う。
そもそも、1月生まれの人と、7月生まれの人は、『約3億㎞』も離れた場所で生まれているのである。
というのも、地球は太陽のまわりを1年かけて1周(公転)しており、その円の直径が約3億㎞なのである。
だから太陽系規模で考えた場合、生月日が半年違えば、生まれる場所は3億㎞違うということになる。
ということで、3億㎞も離れた場所で生まれた人が、まったく同じ磁気の影響を受けるとは思えない…。
もうひとつ言うなら、地球の公転速度は秒速約30㎞(速っ! …ピンと来ない人のために補足すると、新幹線でだいたい秒速80mである)。
生まれる時間が1秒違えば、生まれる場所は30㎞違うのだ(ほぼ京都―大阪間!)。
1日違えば、約260万㎞離れるのである。
地球1周は約4万㎞だから、65周分がたった1日でずれるのである。

ということで、 生命体が受ける太陽系星の磁気影響は、生まれる時によって全く異なることになり、逆に近い人もいるのである。
近似値の人の運命やバイオリズムを統計立てたのが、星占いということになる。
ちなみに、太陽系が銀河系を公転する速度は秒速約220㎞。銀河系がとなりのアンドロメダ銀河と接近している速度は秒速約100㎞。そう考えると、同じ生月日でも年が違うと、宇宙的には、かなりの距離が離れることになる。う〜ん、深いね。

私見だが、生命が誕生する瞬間というのは、赤ちゃんがオギャーといった時ではなく、精子と卵子が受精した瞬間だと僕は思っている。
子供が欲しい人は、しっかり星の位置を確認してからがんばってね。
お子さんの運命がかかっていますから…。

さて、熱心に星占いについて書いてきたが、同じ星占いでも自分のバイオリズムと合わないものもある。
その証拠に牡羊座一つとっても、雑誌やテレビ、WEBサイトなどによって全く異なる運勢を発表していることがある。
そんな時は、自分と相性の良いものを一つ限定して信じるのが良い。
僕の場合はそれが携帯の占いなのである。

もし、星の真の位置と磁場の関係を完璧に把握し、生態に与える影響を全てデータ化できれば、人生も短編小説並みに集約して運命づけることが出来よう。
でも現代科学ではまだまだデータ不足のため、けっこう複雑な長編小説になったりするのである。

 

星新一 1926〜1997  小説家。短編小説(ショートショート)の神様といわれる。

星新一 1926〜1997 小説家。短編小説(ショートショート)の神様といわれる。

 

田舎暮らし公開中! YouTube『塩見多一郎』で検索!

 

 

MK新聞について

「MK新聞」は月1回発行で、京都をはじめMKタクシーが走る各地の情報を発信する情報紙です。
MK観光ドライバーによる京都の観光情報、旬の映画や隠れた名店のご紹介、 楽しい読み物から教養になる連載の数々、運輸行政に対するMKの主張などが凝縮されています。
40年以上も発行を続けるMK新聞を、皆さま、どうぞよろしくお願いします。

ホームページからも最新号、バックナンバーを閲覧可能です。

 

フットハット バックナンバー

この記事が気に入ったらSNSでシェアしよう!

関連記事

まだ知らない京都に出会う、
特別な旅行体験をラインナップ

MKタクシーでは様々な京都旅コンテンツを
ご用意しています。