フットハットがゆく【231】「ふどう視聴者」|MK新聞連載記事

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フットハットがゆく【231】「ふどう視聴者」|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、塩見多一郎さんのエッセイ「フットハットがゆく」を2001年11月16日から連載しています。
MK新聞2013年2月1日号の掲載記事です。

ふどう視聴者

日本語って、同じ発音の言葉でも意味が異なることが多いので難しいですね。
僕のまわりで登場したややこしい言葉を紹介します。
ちなみに僕は京都でテレビ番組のディレクターをしていて、イベントの撮影なども行います。

スポンサードリンク…この言葉を聞いて、あなたはどちらの意味を先に思い浮かべましたか?
『スポンサー・ドリンク』『スポンサード・リンク』。
僕は仕事でどちらも使います。
イベントなどでは飲料メーカーさんがスポンサーにつくことも多く、会場で試飲用のものが配られたり、スタッフ用に無料配布されたりします。
それらは『スポンサー・ドリンク』ということになります。
一方、番組のホームページやブログなどでスポンサーへのリンクを貼る場合があり、これらは『スポンサード(支援者、広告主)へのリンク』という意味で、『スポンサード・リンク』と呼びます。
ということで使い方としては、「スポンサードリンクを提供してくれた企業にスポンサードリンクを貼る」という感じです。

バーター…業界ではよく使われる言葉ですが、業種によって使い方が異なるので注意が必要な言葉です。
元々は『Barter』という英語が語源で、『物々交換』を意味します。
例えば、うちの番組に出演してくれるアーティストさん、本来ならギャランティーが発生しますが、新作CDの宣伝を入れるということでノーギャラ出演いただいたとします。
アーティスト側に支払うべきギャラと、アーティスト側がTVに支払うべきCDのコマーシャル料を相殺するわけで、これは物々交換の『バーター』になります。
別の意味では、束(たば)を逆に読んで『バーター』という場合もあります。売れているタレントと同じ事務所の売れていないタレントをセットにして出演させる方法のことです。
昔、ファミコンのカセットで、売れ筋カセットと売れないカセットをセットにして売るバーター販売がありましたが、似た原理です。
「バーターで…」という言葉が出た時は、話の流れからどちらの意味か推察しなくてはなりません。

ふどう…『ふどう視聴者』と聞いてあなたはどんな視聴者を思い浮かべますか?
本来は選挙などで使われる『浮動票』という言葉と同じ意味で使われます。
『浮動(ふどう)』というのは、「一定の場所に定まらないで漂い動くこと…」ですから、TVをつけてはいるけども、何を見るともなくパチパチとチャンネルを切り替えている視聴者のことを『浮動視聴者』といいます。
しかし逆に、ふどうというと『不動』の漢字もあり、これは「動かないこと」を意味します。
『不動視聴者』という字になると、「その番組を見るためにTVをつけ、チャンネルを変えない視聴者」ということになります。
わたくしテレビマン(テレビ業界で働く人)としては、浮動視聴者がチャンネルを止めるキャッチーな内容から、不動視聴者が増えるコアな内容までを番組に盛り込んでいくことが課題になります。

 

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