山の一家*葉根舎「葉根たより」【69】|MK新聞連載記事
MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、山の一家*葉根舎(はねや)の「葉根たより」とその前身記事を1998年12月16日から連載しています。
MK新聞2022年9月1日号の掲載記事です。
大森梨沙子さんの執筆です。
葉根たより
夏土用からお盆にかけては最も暑い季節ですが、夏が終わり、立秋を迎える時期でもあります。
夏の終わりが最も暑い時ということが、旧暦を意識して暮らすうちに腑に落ちるようになってきました。
暑さに夏の名残を感じつつ、秋の虫の音に涼やかな季節への喜びを感じ、移ろいを楽しんでいます。
「寒蝉鳴(ひぐらしなく)」
「蒙霧升降(ふかききりまとう)」
蜩(ひぐらし)が鳴き始め、深い霧がまとわりつくように立ち込める頃。
真夏でも涼しい山の夜はすっかりひんやりとしてきて、虫の音が賑やかになってきました。
<草との日々>
カナカナカナ…唄いはじめたのは、七月中旬頃。四時半頃の目覚ましでしたが最近は五時頃に。日が短くなってきていることを感じます。
草の勢いも少し落ち着いてきましたが、刈りきれていないところはまだまだたくさん。
田畑のあぜ、柵まわり、斜面など山の中の暮らしは刈るところが多く、草刈りが終わることはありません。
畑の隅の草むらも放っておくと野ウサギが潜み、作物を狙われやすくなります。
大豆は様々な対策をしましたが結局植えた苗の四分の三ほど食べられてしまい、稲の根本も少しずつかじり倒しています。
大変ですが、ビニールマルチなどはゴミとなるので使うことは避けたく、できることを一歩一歩、草刈りの毎日です。
刈った草は里芋や生姜の畝にひくと、保湿と土壌環境改善へ役立ちます。
刈った後も役立つ草。その旺盛な生命力に苦戦もしますが、その力で暮らしを支えてくれる、大きな存在です。
<三少年>
夏休みの子供たち、林業大学校へ行っている長男つくしは合宿免許をとって帰ってきました。
甘えん坊の末っ子かやはつくしの膝に座りっぱなし。
絵ばかり描いていた次男すぎなもつくしが帰ってきたので、薪割りをしようと言い出し、相変わらず仲のいい三人組です。
かやはお兄ちゃんたちが割った薪をたくさん運び、珍しくお昼寝をしてしまい、夏休みらしいひと時でした。
すぎなはバイトをしたいと言い出し、知り合いの農家さんのところへ。
朝五時半に家を出て、自転車で山を下り、半日農作業のお手伝い。
家の手伝いとはまた違うようで、新鮮な様子。
それぞれが違う夏休みを過ごすようになってきたことに成長を感じます。
<からだのーと>
秋になり物悲しい気分になったら、肺や大腸が弱っているかもしれません。
咳やたん、喘息も出やすい季節。脂もの、乳製品を摂り過ぎてしまうと、肺や大腸の老廃物やガスを排泄するリンパ管が詰まり、水はけが悪くなり症状が出やすくなります。
大根や玉ねぎ、ねぎ、生姜などといった辛味の食材や蓮根、玄米がおすすめです。
9月23三日は秋分の日。昼と夜の長さが同じになる陰陽調和の日なので、プチ断食などをして、食べ物でないところからエネルギーを感じるような過ごし方をしてみましょう。
彼岸花がこの日のエネルギー調整をしてくれるそうです。
<展示案内>
9月1日から10日、大阪のギャラリー螺にて「十五夜展」に参加します。
11月9日から15日は、あべのハルカス近鉄本店アートギャラリーにて「ハタノワタル・大森梨紗子二人展・紡いできたもの」を開催します。
秋の移ろいと共に作品も感じ、穏やかな意識で暮らしていただけたら嬉しいです。
(2022年8月10日記)
■葉根舎
haneya8011@gmail.com
HP:https://www.yamano-haneya.com
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1998年12月16日号~2016年6月1日号
大森昌也さん他「自給自足の山里より」(208回連載)
2017年1月1日号~2022年12月1日号
大森梨沙子さん「葉根たより」(72回連載)