山の一家*葉根舎「葉根たより」【61】|MK新聞連載記事

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山の一家*葉根舎「葉根たより」【61】|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、山の一家*葉根舎(はねや)の「葉根たより」とその前身記事を1998年12月16日から連載しています。
MK新聞2022年1月1日号の掲載記事です。

大森梨沙子さんの執筆です。

葉根たより

暖かな冬の始まり…と思ったら、やはりその日は突然やってきました。
師走はじまりの日の夜、初雪。翌朝山々は薄化粧。
またこの季節が巡ってきた、そう思ったけれどすぐに溶け、また暖かい冬の日々。
体感的には暖かいのですが、季節は着実に進んでいます。

「閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)」「麋角解(さわしかのつのおつる)」
天地の気が塞がれ、本格的な冬が訪れ、雄鹿の角が落ちる頃。
「麋」とは、「なれしか」というトナカイの一種の大鹿、またはヘラジカのことだとされているそうです。
ちなみに、オスのニホンジカは、五歳までは角を見ればある程度年齢が分かり、生まれた年はまだ角は生えませんが、二歳になると小さな角が一本生え、三歳で枝分かれし、四歳になると三又に、最終的には四又の状態で成熟した大人となります。
毎年生え変わるたびに形が変わっていくなんて不思議ですね。

 

 <冬支度>

寒くなってくると、壁の隙間、天井裏からガサゴソと物音がしてきます。
チューチュー、ネズミの冬支度です。
テラスに干していた種用の稲がかじられ、慌てて足踏み脱穀、唐箕にかけて保存。
次に狙われるは、同じくテラスの干していた大豆。
こちらも同じように足踏み脱穀、唐箕にかけました。さらに綺麗な豆と選り分けるのは、年末年始に家でじっくりと。

サツマイモ、生姜は十一月に、里芋、ヤーコンは十二月にやっと掘り終わり、干してから保存。
畑の白菜を縛ったり、雪が降り積もるまでに草刈り、田畑へ入れたり。
柚子は子供たちと高枝バサミで収穫。
少なめでしたが、みんなでポン酢作り、毎年の冬支度仕事です。

 

<重ねた年月>

冬の大切な仕事、お餅つき。十一月下旬から毎週末ついています。
高三の長男つくし、中三の次男すぎなはすっかりお餅つきが上手になり、小突き、合いの手は夫げん、私は裏方仕事のみとなりました。
たまに学校のある日にお餅つきになってしまうと、夫婦二人で何臼もつくので大変です。
子供たちが幼い頃はずっとそうだったのですが、今はもうすっかり頼りになる存在です。

小五の三男かやは食べる専門。
でも、次の春につくしが家を出るので、そろそろ練習してもらわなければなりませんね。

もうつくしは家を出る年なのですが、私が山へ来て二十年になる時でもあります。
一人の子が育ち、旅立つ年月であることに感慨深い想いになります。

 

<からだのーと>

一月十七日から二月三日までは「冬の土用」。
寒さで腎臓や膀胱系が弱りやすくなり、免疫が下がるので、じっくり陽性な火を通した根菜の煮物や葛湯、梅醤番茶がおすすめです。
足湯や半身浴も身体を芯から温め、汗と共に排毒をしてくれます。

また火にも陰陽があり、赤い薪の火が一番陽性で次に青いガスの火、火のない電気では、あまり温まるものにはならないので、オール電化の時代ですができればガスの火でお料理していただきたいです。

わが家はお風呂も料理、ストーヴ、パン焼きなど全て薪。ガスはありません。
薪のお風呂は本当に芯から温まるので、たまに出かけて他のお風呂に入ると物足りない感覚になります。
薪ストーヴもとても温まるので、その身体で暖房のない台所でお料理していてもあまり寒く感じません。
「必要なものはすでに地上にある。地下は人間の領域ではない。」というようなニュアンスの先住民の言葉があったように思います。

うちでも車はなくてはならないのになっており、地下資源なしでは難しい社会になってしまいましたが、少しずつでも消費を重視することから、全ての物事を丁寧に生み出し、大切に培ってゆく社会になることを願います。
この新しい年がそのように育ってゆきますよう、私も努力を重ねてまいります。

(十二月十七日記)

 

葉根舎

haneya8011@gmail.com

HP:https://www.yamano-haneya.com

 

 

MK新聞について

「MK新聞」は月1回発行で、京都をはじめMKタクシーが走る各地の情報を発信する情報紙です。
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MK新聞への「あ~す農場」の連載記事

1998年12月16日号~2016年6月1日号
大森昌也さん他「自給自足の山里より」(208回連載)

2017年1月1日号~現在
大森梨沙子さん「葉根たより」(連載中)

 

葉根たよりのバックナンバー

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