山の一家*葉根舎「葉根たより」【57】|MK新聞連載記事

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山の一家*葉根舎「葉根たより」【57】|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、山の一家*葉根舎(はねや)の「葉根たより」とその前身記事を1998年12月16日から連載しています。
MK新聞2021年9月1日号の掲載記事です。

大森梨沙子さんの執筆です。

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葉根たより

カナカナカナ…この季節の書き出しは、いつもこの音色になってしまいます。
山から聴こえてくる中で、一番好きな唄かもしれません。
夜中のトラツグミの不思議な唄、鶯の谷渡り、空高くからのヒバリ、大好きな唄は数えきれませんが、夏の朝4時半頃、蜩の合唱の目覚し時計は清々しい一日の始まりの贈り物のようです。

今年の梅雨は後半に雨が続き、山の湿度はなかなか厳しいものでした。
梅雨が明けた途端、お日様がしっかり顔を出して暑くなりましたが、さっぱりとして気持ちよく感じていました。
この数年の猛暑ほどの暑さにはならず、山の朝晩は肌寒いくらいになるので、夏の日差しも感じつつ、過ごしやすかった夏土用、ありがたく梅干しを三日三晩干しました。

夏土用が終わると立秋、そしてはじまりの新月。
「涼風至(すずかぜいたる)」「天地始粛(てんちはじめてさむし)」
涼しい風が吹き始め、天地の暑さ収まり始める頃。
立秋を過ぎても暑さは残りますが、風や草木の葉の色は少しづつ落ち着きのある色合いへと変化してゆくことを感じます。

<自然栽培の田畑>

梅雨が明け、やっとジャガイモ掘りができました。
掘った後に小豆撒き。秋野菜の種も少しづつ撒いています。
生姜は土寄せし、昨秋積んでおいた落ち葉を敷きました。
土の乾燥を防ぎ、土作りにもなります。
里芋、大豆も土寄せし、落ち葉が足りなかったので刈った草を敷きました。
里芋には時々、川から水やりも。
田んぼは畦周り、柵周りの草刈り。
最近ヒルが増えてきたので、雨上がりの草刈りには要注意です。
ウサギたちが稲の根元をかじり、倒してしまうことも困りもの。
年々変化する生き物たち。
作物作りには厳しいことばかりですが、欲張らず、長い目で見て、山との付き合いを考えていきたいです。

<野生の花>

「夏の野の 繁みに咲ける 姫百合の 知らえぬ恋は 苦しきものそ」
万葉集から大伴坂上郎女さんの詠。
うちの前には四、五日だけ咲くウバユリの花が、甘い香りを放っていました。
万葉集には、様々な花や鳥が詠われており、重ねて身の回りの風景を見ると、さらに深まるものを感じます。

桃色の百合のような花も咲き、調べてみるとそちらはハダカユリとも呼ばれる夏水仙。
百合でも水仙でもなくヒガンバナ科。
名前が先だったのか、異なるとわかっているうえでの名前なのか。
そのものがどのような経緯で今ここにあるのか。
由来を掘り下げていくことは、どんな対象でも興味深いものです。

<からだのーと>

秋になり冷たい風が吹いた時、身体の中に余分な水分が溜まっていると、身体を冷やし風邪をひいたり、体調を崩しやすくなってしまいます。
冷たいものや生野菜、お砂糖類など身体を冷やすものを控え、煮込んだ料理や里芋、蓮根など少しづつ食事を陽性に傾け、胃腸の働きを整えて活発にしていきましょう。
夏に陰性のものを食べ過ぎてしまった方は、9月頃にしわ寄せが来てしまいます。
その時は少食にし、身体を温めるものを頂くようにして下さい。
秋のお野菜は残暑に耐えつつ、寒さに向けて身体を締めてゆくのにちょうどよい陽性度になっています。
季節のものは、本当にうまくできていて感心するばかりです。
9月23日は、昼と夜の長さが同じになる陰陽調和の秋分の日。
食事を軽くし、エネルギー調整役の彼岸花を愛でて、穏やかに過ごせるといいですね。

<展示案内>

2021年9月13日から19日は大阪ギャラリー螺で一五夜展、17日から27日は宝塚市立文化芸術センターにて未生空間展です。
お月見の季節ですね。
お団子も陰から陽へ向かう間にちょうどよい食べ物です。
万葉集にも月の詠がたくさんあります。
様々な方向から季節を捉える暮らしの中から生まれる絵。
お時間がありましたら、ぜひお越し下さい。

(2021年7月7日記)

葉根舎について

haneya8011@gmail.com
HP:https://www.yamano-haneya.com

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MK新聞への「あ~す農場」の連載記事

1998年12月16日号~2016年6月1日号
大森昌也さん他「自給自足の山里より」(208回連載)

2017年1月1日号~現在
大森梨沙子さん「葉根たより」(連載中)

葉根たよりのバックナンバー

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