清水寺の暁天講座・うらぼん法話2023「茶の湯好日」千宗室師(茶道裏千家 家元)
目次
連日の猛暑の京都ですが、早朝は過ごしやすい気候です。その早朝に行われるのが、暁天講座(ぎょうてんこうざ)。
京都各所の寺院で開かれますが、清水寺では「うらぼん法話」という名称です。
無料で予約不要のおすすめイベントです。
初日の2023年8月1日に清水寺のうらぼん法話で茶道裏千家家元の千宗室師のお話を聞いてきました。
清水寺の「うらぼん法話」
107回目を迎えるうらぼん法話
京都では、多くの寺院で夏の早朝に公開講座の暁天講座が行われます。
清水寺では「うらぼん法話」という名称です。
京都のお寺では広く行われており、各界からの多彩な講師を招いて暁天講座が行われます。
毎年日程は8月1日~5日と固定されています。
2023年は第107回になります。
2023年のうらぼん法話
日時 8月1日(火)~5日(土)午前6時~7時
場所 大講堂 圓通殿
テーマ
- 8月1日(火)千 宗室 師(茶道裏千家 家元)
「茶の湯好日」 - 8月2日(水)髙橋 英一 師(瓢亭十四代当主)
「京料理と私」 - 8月3日(木)野村 明義 師(八坂神社宮司)
「水への祈りから世界の平和へ」 - 8月4日(金)赤松 玉女 先生(京都市立芸術大学 学長/画家)
「美との出会い、心を動かす体験」 - 8月5日(土)森 清範 師(北法相宗管長 清水寺貫主)
「きのう・今日・あした」
開門もうらぼん法話も6時から
早朝から開門することで知られる清水寺は、朝6時開門です。うらぼん法話も朝6時開始です。
開門直前の仁王門前には、すでに20名程度の観光客が集まっています。
半数以上が外国人観光客です。混雑の分散化のためにも、観光業界を挙げて朝観光に取り組んでいます。
拝観者は仁王門前で待機し、うらぼん法話参加者は左の大講堂へと進みます。
仁王門前で警備員が拝観者と参加者を振り分けています。
大講堂の圓通殿はすでに満席です。別室と外のテントで講話の中継が見られます。
コロナ禍以前は圓通殿内の床に座って聞く形でしたが、混雑を避けるためにもパイプ椅子を並べる形になったので、入れる定員が減りました。
講師が人気の場合は、早めに到着しておかないとモニター越しでしか見られないのでご注意を。
ただし、カメラワークや音響もばっちりで、モニター越しでも違和感なく見られます。
うらぼん法話は、まず般若心経の読経からはじまります。
法話終了後の朝食接待
うらぼん法話終了後には、朝食のパンと牛乳の配布が行われます。
他の暁天講座では朝粥が多いのですが、清水寺のうら盆法話ではコロナ前から菓子パンと牛乳を配るパターンです。
宿坊等がないので、これだけの人数分を用意するのも困難なのでしょう。
牛乳と菓子パン2個という組み合わせはいつもと変わりませんが、今年の菓子パンはアンパンとジャムパンです。
2022年はアンパンとバニラビーンズクリームパンでした。
2018年はアンパンとジャムパンだったので、アンパンと甘い系の菓子パンが定番の組み合わせなのでしょう。
菓子パンはいつもどおり京都の山一パン総本店製です。
森永牛乳とともにおいしくいただきました。
千宗室師について
茶道の最大流派である茶道裏千家の16代家元です。
同志社大学の客員教授や公益社団法人2025年日本国際博覧会協会のシニアアドバイザーなど多数の公職にも就いています。
100歳となる先代の千玄室も健在です。
千宗室師(茶道裏千家家元)「茶の湯好日」
8月1日は「八朔」の節目
本日8月1日は「八朔(はっさく)」という節目の日です。
今日もうらぼん法話が終わると、八朔の挨拶に裏千家を訪れる来客の相手をします。
八朔では「おついたち、おめでとうございます」という挨拶をします。
一日は、年に12回巡ってくる節目の日です。
節目があるからメリハリができます。
茶の湯に欠かせない水
裏千家のある小川寺之内には、中学生くらいまで小川という川が流れていました。
茶の湯にはよい水は欠かせません。
裏千家には、7つの井戸があります。古図には14もの井戸が描かれています。
堀川の流れが変わったこともあり、以前より水位が下がりました。
上流部の北大路方面に雨が降らないと井戸が枯れることもあります。
井戸は息をするように水位が上がったり下がったりするのです。
竹藪と節目
裏千家には、この講堂の3分の2くらいの面積の竹藪があります。
子どものころは竹藪で忍者ごっこをして遊んだものです。
茶の湯が日本に入ってきた当時は、道具も全て中国のものでした。
日本風に茶の湯を変えていく中で、茶筅もひしゃくも国産原料の竹製となりました。
竹薮から取ってきた竹で道具を作るのです。
竹の節は、根本の方は間隔が狭いですが、先の方が間隔が広くなっています。
人生と同じで、幼いころは頻繁に節目が訪れますが、歳をとるにつれて節目は減っていきます。
振り返ってみると、あの時が人生の節目だったと気づくことがあります。
年を経て場数を積んだからこそわかる節目です。
若い世代に節目を教えるのも私たちの役割です。
枝は時代に合わせて変えていく
茶の湯を始めた利休居士は志なかばで切腹しました。
しかし、利休がまいた種を2代目3代目が伸ばし、茶の湯を愛する人たちが今まで育ててきました。
茶の湯も時代にあわせてどんどん変わっています。
例えば明治初期の11代目は、テーブルを使った茶の湯を始めました。
正座しない茶の湯は当時としては斬新でしたが、花街では茶の湯と言えばテーブルを使うのが普通になるなどすっかり定着しています。
13代目のときに大阪でペストが流行し、100人を超える死者が出ました。
濃茶はひとつの茶碗を順番に飲んでいくのが作法ですが、ペスト感染防止のために新たに1人1碗の作法を作り出しました。
ペストの収束とともに1人1碗の作法はすたれましたが、コロナ禍で復活しました。
コロナの流行がはじまったころに裏千家の蔵をあさり、13代目の記した巻物を探し出すことで今の世に蘇ったのです。
茶の湯は幹の部分は変わりませんが、枝の部分は時代に合わせて変えていくものです。
利休四規七則
利休は茶の湯と禅は同じであるという「茶禅一味」という言葉を残しました。
そして茶禅一味にのっとり、利休四規七則を生み出しました。
四規は「和敬清寂(わけいせいじゃく)」です。
「和」は、和やかに仲良くすることです。
「敬」は自らのいいところを探す気持ちです。自分のいいところがわかれば、相手のいいところも見えるようになります。
「清」は自らの汚いところを探して、きれいにすることです。
「寂」は和敬清によってもたらされる何もない境地です。ねたみもひがみもなくなります。
「七則」は以下の7つです。
茶は服のよきように
炭は湯の沸くように
夏は涼しく冬は暖かに
花は野にあるように
刻限は早めに
降ふらずとも雨の用意
相客に心せよ
どれも当たり前のことです。
当たり前のことを当たり前にできることがどれほど難しいことか。
日日是好日
映画のタイトルにもなった「日日是好日(にちにちこれこうじつ)」という言葉があります。
これは、単に毎日ほっこりしようね、という意味ではありません。
あなたは一日一日をえり好みしていないかという問いかけです。
一日を生きるありがたさを丸ごと受け入れます。
どの一日もかけがえのないものです。どんな一日でもよいところはあります。
唐の時代に百丈懐海(ひゃくじょうえかい)という立派だが変わり者の禅僧がいました。
ある修行僧が懐海に「奇跡とは何か」と尋ねました。
懐海は「わしが今ここにおることや」と答えました。
一日一日が全て奇跡です。
今日、私と皆さんが出会ったことも奇跡でしょう。
どんな日もいいことがありますよ。
おわりに
早朝アクセスにはやっぱりタクシー
5日間にわたっていろんな分野のお話を聞ける清水寺のうらぼん法話ですが、難点は早朝ゆえにアクセス困難なことです。
清水寺のうらぼん法話は特に開催が早く、何と6:00開始です。
公共交通機関でアクセスできる範囲は非常に限られます。
しかし、24時間営業のMKタクシーなら朝6時だろうと朝5時であろうとアクセス可能です。
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京都観光には観光貸切タクシーもおすすめです。