智積院の暁天講座2022「京都 夏観光の楽しみ方」吉村晋弥(京都旅屋)
目次
京都のお寺では、真夏の早朝に「暁天講座」という恒例行事が行われます。
京都の著名寺院を中心に毎年開催されています。
2022年8月2日(火)の智積院の暁天講座では、京都旅屋の代表を務める吉村晋弥さんの講演が行われました。
講演終了後には、名勝庭園の無料公開も行われます。恒例の朝粥接待は新型コロナの影響で2022年も中止です。
智積院の暁天講座
智積院の「暁天講座」について
智積院では、毎年8月1日と2日の早朝に、無料の公開講座である「暁天講座」が開催されています。
2022年で第66回を迎える恒例行事です。
新型コロナ禍でも事前予約制を取り入れ、途切れることなく実施されてきました。
智積院の暁天講座は、曜日に関係なく毎年8月1日と2日に固定されています。
概ねどちらかが僧侶による法話、どちらかが観光関係者や学者や経営者などの講話になっています。
暁天講座終了後の朝粥接待が恒例でしたが、2019年は智積院会館の工事のため、2020年以降は新型コロナ対策のために中止となっています。
2022年の暁天講座
日程 2022年8月1日(月)~2日(火)
テーマ
8月1日(月) 吉野 孝壽師(東京 福傳寺)
「お大師さまの真実」
8月2日(火) 吉村 晋弥氏(京都旅屋代表・気象予報士)
「京都 夏観光の楽しみ方」
会場は講堂
暁天講座の会場は、講堂です。受付は通常の拝観受付前で行われます。
かつては金堂で暁天講座が行われていましたが、数年前から空調完備の講堂で行われる講堂で行われるようになりました。
智積院の暁天講座は、新型コロナ禍の2020年から事前予約制となりました。
2022年はホームページでも満席の告知がなく、会場にもまだ余裕があったため、満席にはならなかったようです。
年によっては満席となることもあります。
暁天講座参加希望の方は、早めに予約することをおすすめします。
2021年までは平日日中の電話のみでしたが、2022年はメールでの予約も可能になりました。
配布された資料は以下のとおりです。
- 吉村晋弥氏のプロフィール
- 吉村晋弥氏の講演資料
- お勤め文
- アンケート用紙
- 扇子
- ペットボトルの飲料水(智積院オリジナル)
講師プロフィール概要
1982年岐阜県生まれ。
同志社大学在学中に気象予報士試験に合格。
2008年に京都検定1級に最年少で合格。
2011年に京都旅屋を起業。
2016年~2021年の京都検定1級に最高得点で合格
吉村晋弥氏「京都 夏観光の楽しみ方」
京都の夏は全国的にも暑い
雲一つない日は要注意
京都と言えば、昔から夏の暑さでよく知られています。
実際、統計的にも全国の都道府県庁所在地でも屈指の暑さです。
例年35度を超える猛暑日は20日前後もあります。
特に暑い日は、京都は完全に太平洋高気圧に覆われます。
雲ひとつない晴天となることが特徴です。全く雲が出ない日は、とんでもなく暑くなる可能性があるので、暑さ対策は万全にするようにしてください。
歴代最高気温の39.8度を記録した2018年7月19日の空も、雲一つないお天気でした。
夕方以降も暑いのが特徴
京都は最高気温が高いだけではなく、夕方になってもなかなか気温が落ちないことが特徴です。
気象マニアなので毎晩アメダスを見るのが日課なのですが、22時ごろの気温を見ると、関西でも京都だけが30度を超えていることがよくあります。
昨日22時のアメダスも見ましたが、京都が最も暑かったです。
山に囲まれた地形や都市化の影響が気温が下がらない原因です。
京都では夜の熱中症にも気を付ける必要があります。
二十四節季と夏の暑さ
一年を24に分けた古くからの日本の暦である二十四節季と京都の気温を比べてみると、ぴったり対応していることがよくわかります。
7月24日ごろの大暑を迎えると、暑さがピークを迎えます。ちょうど今の時期が、年間で最も暑い時期です。
暑さがピークを越えたところで、8月7日ごろの立秋を迎えます。ようやく気温が下がりはじめ、秋を感じ始めます。
少しずつ気温が下がりはじめますが、8月23日の処暑を迎えたところで、グラフの傾きが大きくなり、気温の下がり方が顕著になります。
京都の気温の変化と二十四節季がぴったりと一致していることがよくわかります。
早朝から参拝できる社寺
京都の夏の暑さを避けるには、早朝観光が最適です。
以前東京の気象会社に勤めていたころ、夜行バスで京都を訪れることがよくありました。
早朝に京都に着いてもまだあいている社寺は少なく、いくつか早朝に訪れる定番スポットがありました。
清水寺
早朝観光スポットの代表は、朝6時から開いている清水寺です。
京都を代表する人気観光スポットである清水寺も、早朝は人の姿も少ないです。
いつも人でいっぱいの舞台も独り占めできたりします。
朝8時を過ぎると、朝食を終えた修学旅行生や団体旅行客が一気に増えてきます。
南禅寺
南禅寺は境内に24時間入れるのでおすすめです。
早朝から伽藍や水路閣などをじっくり見学できます。
9時開門になりますが、塔頭の天授庵も朝は池のスイレンが美しくおすすめです。
同じく塔頭の南禅院も滝が涼を運んでくれます。
龍安寺
龍安寺も朝8時開門でおすすめです。
夏の朝は鏡容池のスイレンと蓮が美しい姿を見せてくれます。
人気の石庭も静かに眺めることができます。
二条城
二条城で9月末まで行われている「京ゆば御膳」がおすすめです。
午前9時からなので、やや遅めの朝食にはなってしまいますが、清流園内にある通常非公開の香雲亭で和洋折衷の御膳をいただくことができます。
清流園は香雲亭から見ることを想定して作られたお庭なので、一見の価値はあります。
予約は京料理いそべへ。
日中は避暑地を楽しむ
京都市内が暑くなる日中は、市内から離れた涼しい避暑地を訪れるのがおすすめです。
貴船
川床で知られる貴船の川床では、日中でも気温が20度台半ばくらいです。
すぐ下を涼しい川が流れ、耳でも涼しさを感じることができます。
若いころ、会社の先輩に連れられて貴船の川床で鱧の梅肉添えを食べたとき、「ケチャップを付けた鱧は最高ですね」と言ってあきれられたことは良い思い出です。
8月15日までは七夕飾りが行われており、夜もライトアップが行われており夜もおすすめです。
2022年は七夕飾りに加えて風車も展示されているそうです。
比叡山
標高が高い観光スポットと言えば、比叡山延暦寺です。
だいたい比叡山は東北の気温と同じくらいです。東北は遠いですが、比叡山はケーブルカーやバスなどで気軽に訪れることができます。
比叡山から見る京都と琵琶湖の大展望は素晴らしいです。
ガーデンミュージアム比叡も大好きです。
ただ、山なので雷雨には要注意です。
雷雨の予報があるときは避けるようにしましょう。
正寿院
最近人気が上がっている宇治田原の正寿院もおすすめです。
京都市内よりも5度くらい気温が低いです。
自動車でないとアクセスが難しいのが難点ですが、バスやタクシーでも訪問可能です。
正寿院では、夏に行われている風鈴祭が人気です。
ひまわりなどのオリジナル風鈴やご当地風鈴などいろんな風鈴が涼やかな音を奏でています。
風鈴の絵付け体験もできます。
正寿院で最も有名なのは、客殿のハート形をした「猪の目窓」です。
猪の目紋は、古くから魔除けの紋としていろんなところで使われています。
智積院でもそこの釘隠しに猪の目紋が隠れていますね。
夏ならではの楽しみは、8月下旬から9月中旬の16時ごろにあらわれるハート形の日差しです。
インスタ映えするとして、若い人でいつもにぎわっています。
正寿院のある宇治田原町は、ハートの町おこしを行っています。
町のいろんなところでハートをモチーフにしたものがあります。
足元のマンホールもよくチェックしてみてください。
日中は駅近くを探そう
郊外まで行く時間がない場合、暑い日中は外を歩く距離が少ない駅近くがおすすめです。
建仁寺
祇園からもほど近い建仁寺は初めての京都観光におすすめです。
堂内も含めて撮影OKなのが喜ばれます。
やっぱり写真があれば思い出になります。
旧三井家下鴨別邸
出町柳から近い旧三井家下鴨別邸もおすすめです。
2016年から公開が始まった新しい観光スポットです。
中にはカフェもあり、冷たいスイーツをいただくこともできます。
8月11日~16日に行われる下鴨納涼古本まつりとあわせて訪れるのも良いでしょう。
お盆などの夜の行事
日が暮れたあとの夜の京都もおすすめです。
特にお盆シーズンには、夜の伝統行事もいろいろ行われます。
北野天満宮の石の間通り抜け神事
あまり知られていませんが、8月11日~14日の16時から行われる石の間通り抜け神事はおすすめです。
国宝の社殿の中に入れる貴重な機会です。
神聖な雰囲気のなか、幻想的な経験をできます。
同時期には足付け灯明神事も行われています。
五山の送り火
お盆の京都と言えば五山の送り火です。
どこから見るのがおすすめかとよく聞かれます。
一度でたくさんの送り火を見るのも良いですが、毎年一つ一つじっくり見るのをおすすめします。
五山の送り火は観光行事ではなく、先祖送りの行事です。
あっち見てこっち見てと忙しくするのではなく、ひとつの送り火をじっくり眺めながら、亡くなった近親者や先祖へと思いを馳せることが大事だと思います。
智積院の名勝庭園
智積院 秋里籬嶌「都林泉名勝圖會」 出典:国立国会図書館デジタルコレクション
暁天講座終了後は、名勝庭園の無料公開が行われます。
智積院の名勝庭園も無料公開されています。
じっくり楽しんでください。
智積院の名勝庭園は、江戸時代の庭園ガイドブックである都林泉名勝圖會そのままであることに感動をします。
石ひとつとっても、まったく同じところに同じ石があります。
江戸時代の人々が眺めた景色を今の私たちも見られるのはすごいことです。
注目して欲しいのは、庭園の左の方にある「羅漢石」です。
見る方向によって形が変わる石です。
南の方から見ると、しゅっとした姿かたちの羅漢さんが手を合わせている姿に見えます。
北から見てもやっぱり手を合わせている羅漢さんなのですが、ずいぶんとずんぐりむっくりした姿をしています。
ぜひ、このあと見比べてみてください。
今回の話しを参考にして、暑さをしのぎつつ、京都観光を楽しんでもらえたらうれしいです。
おわりに
京都のいくつかのお寺で行われている暁天講座の中でも、智積院はおすすめのひとつです。
2018年以来、5年連続での訪問となりました。
他の暁天講座は新型コロナでの中止等もあったため、毎年の訪問というわけにはいっていません。
無料の朝粥接待こそないものの、普段は有料の名勝庭園を見られるのもうれしい点です。
長らく工事中の新展示収蔵庫も、来年2023年4月にオープン予定です。
今年は収蔵庫の桜図・楓図などの無料拝観はありませんでしたが、来年に期待です。
早朝アクセスについて
魅力的な智積院の暁天講座ですが、6:30開始という早朝開催のために、交通手段に難儀します。
智積院は比較的アクセスが良好な方ではありますが、遠方の方は時間通り訪れるのは困難でしょう。
しかし、24時間営業のMKタクシーなら朝6時だろうと朝5時であろうとアクセス可能です。
MKタクシーなら迎車料金も不要です。
MKタクシーのご予約は075-778-4141まで
便利な配車アプリも是非ご利用ください! → MKスマホ配車
京都観光には観光貸切タクシーもおすすめです。
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まとめ
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