エッセイ「本だけ眺めて暮らしたい」【322】|MK新聞連載記事

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エッセイ「本だけ眺めて暮らしたい」【322】|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、大西信夫さんによる様々な身近な事柄を取り上げたエッセイ「本だけ眺めてくらしたい」を前身を含めて1988年5月22日から連載しています。
MK新聞2015年2月1日号の掲載記事です。

本だけ眺めてくらしたい

今回は古本の値札に関するあれこれを。
値札は一般的に古本の裏表紙をめくったところ、見返しに貼られている。
また、鉛筆で本の最終ページに直接手書きで記している場合もある。
古本屋になじみのない客が、たまたま通りがかった古本市で「これ、いくらですか」と店員にたずね、この「しきたり」を教えられている場面を時々見かけたりする。

かつてはブックオフでも、本の裏表紙をめくったジャケットの袖(折り返された部分)に値札シールを貼っていたと記憶するが、現在は一律で裏表紙に貼られている。
このブックオフの値札シール。買った後、あなたは剥がす派? それとも、そのまま派? 目障りなので剥がす人もいれば、じゃまくさいからそのままという人も。
いくらで買ったか記録になるという理由で剥がさない人もいるようだ。
中には、安く買ったという自慢? の証として(笑)。

古本屋では会計のときに売上票として店側が剥がすことがほとんど。
ただ、値を記した紙切れが見返しに「糊付け」されているので、剥がすと跡が残る。
お気に入りの本なので、きれいな状態で保存したい人にとっては、「傷」として残ってしまうのが問題だ。
剥がし跡が残らないように、ポストイットのような剥がせる値札を使用したり、糊付けせずに二つ折りの値札でページを挟み込むようにしたりする方法などもある。
ただ、客が安い本の値札と付け換える不正をされないよう、簡単に剥がせないようにするのが原則で、糊付けしない場合は値札に書名も記す必要があるから、そういった手間を考えると、高価な古本に限られるのも仕方ないのかもしれない。

その点、鉛筆で本の最終ページに直接値を記す旧来の簡易なやり方は消すのも簡単なので(ただし、やわらかめの芯で、先を丸くした鉛筆)、むしろ都合がいい。
また、蔵書票のようにデザインした古書店独自の値札を貼り付け、会計の際には値を記した部分だけを半券のように切り取るタイプもある。
かつては結構あったが、最近はあまり見かけなくなったのが残念だ。
そのような値札は剥がすものではなく、貼ったままにすることで、古本の出所、来歴を示す証票となる。

 

MK新聞について

「MK新聞」は月1回発行で、京都をはじめMKタクシーが走る各地の情報を発信する情報紙です。
MK観光ドライバーによる京都の観光情報、旬の映画や隠れた名店のご紹介、 楽しい読み物から教養になる連載の数々、運輸行政に対するMKの主張などが凝縮されています。
40年以上も発行を続けるMK新聞を、皆さま、どうぞよろしくお願いします。

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MK新聞への大西信夫さんの連載記事

1988年以来、MK新聞に各種記事を連載中です。

1988年5月22日号~1991年11月22日号 「よしゆきの京都の見方」(45回連載)
1990年1月7日号~1992年2月7日 「空車中のひとりごと」(12回連載)
1995年1月22日号~1999年12月1日号 「何を見ても何かを思う」(64回連載)
1996年4月16日号~現在 「本だけ眺めて暮らしたい」(連載中)

 

本だけ眺めて暮らしたい バックナンバー

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